著者
板橋 慶造
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.150-157, 1992-02-01

ENERGYファイルとは,DIALOGオンラインシステム上では「DOE ENERGY」(FILENUMBER 103,104)を,STN上では「ENERGY」を指す。ENERGYファイルは,元来米国エネルギー省科学技術情報局(CSTI)が1974年以来,原子力を含む「エネルギーデータベース(EDB)」として1986年まで蓄積してきた約200万件のデータがもとになっている。こうしたなかで,データの収集を容易にし,米国のコスト負担を軽減するために,OECDの国際エネルギー機関(IEA)を中心とする国際協力に基づく情報システムに衣替えすることになった。1987年1月にエネルギー技術データ交換計画(Energy Technology Data Exchange:ETDE)として,カナダ,デンマーク,西ドイツ,フィンランド,日本,オランダ,ノルウェー,スペイン,スウェーデン,イギリス,米国の計11ヵ国が参加して発足し,その後イタリア,フランス,スイスが順次加入した。その結果,1986年以前の分までも含めて参加国はENERGYファイルを利用できるようになった。日本はそれまで利用できなかった1974年以降の「エネルギーデータベース(EDB)」に加え,1948年以来米国原子力委員会が30年近く蓄積してきた「Nuclear Science Abstracts:NSA」も,この計画参加によって利用できるようになった。本報告は,DIALOGおよびSTNによって1990年10月に全世界のENERGYファイル利用者に発送されたアンケートをまとめたものである。そして,ETDE第9回執行委員会(1991年4月,テネシー州ガトリンバーグで開催)に報告された。なお,図表類は見やすくするために一部作成し直した。
著者
三浦 和己
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.61-66, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

映画の製作及び流通の過程においては,情報量やフォーマットの違い,使用目的に応じた特性の違いによって,様々なバリエーションのデータが生成される。同様にこれらのデータを保存するメディアも,バックアップを目的として用途に応じた複数の種類が生成される。デジタル映画の保存を目的としたデータベースを考える上で,これら様々なバリエーションのデータとメディアをどのように分類し,管理するかが重要なポイントとなる。本稿では,この分類上の考え方を中心に,データベースの構成,項目について,国立映画アーカイブで検討中の方針を具体例として挙げ,紹介する。
著者
宮原 俊之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.55-60, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

オンライン授業が多くの大学で行われるようになり,動画の教育利用は大きく取り上げられることになったが,単に動画を使うことだけでは学習効果が得られるかはわからない。動画をあくまで教育手段の一つと捉え,動画を含めた授業コンテンツを独り立ちさせることによって,オンライン授業における学習効果は期待できる。誌面の関係もあり,本稿では,オンライン授業の「動画」を作成する際に考えたいこと留意したいことを中心に,授業設計の手順から動画作成のポイントまでを順にまとめたほか,運用に際しては組織的な支援が求められることについても触れている。
著者
永田 正樹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.49-54, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

静岡大学では2013年より動画配信ポータルサイト「静岡大学テレビジョン(SUTV)」を運用している。静岡大学テレビジョンの目的は,学部や研究,大学行事,サークル活動などを,動画を用いて配信し,大学の広報力を向上することである。昨今,動画は広報媒体として重要かつ効果の高い手段である。本稿では,静岡大学テレビジョン運用によるこれまでの研究を概説し,動画を用いた大学広報に対して効果的な知見や手法を紹介する。
著者
辻 泰明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.38-43, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

インターネット動画が興隆し,テレビに代わって映像メディアの首座に就きつつある。動画が有する特性の根幹は双方向性にある。この特性は,個人による全世界への映像コンテンツ発信を可能にし,ビデオブログ,ゲーム実況など,新たなジャンルを産み出した。また,映像による日常のコミュニケーションが促進される一方,決定的瞬間をとらえた動画が容易に拡散されるようになり,社会にさまざまな影響を与えている。動画は,送り手にとっても受け手の情報を得られるという利点をもたらす。視聴者データの分析による内容の改善,役割に応じたコンテンツの作り分けと配置などといった編成の工夫により,動画の特性を十全に発揮した活用が可能である。
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.37, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

情報伝達媒体としての動画を考えてみると,文字情報に比べて大量の情報を一度に伝えることができたり,編集による表現の幅が広いため,発信者のメッセージをより効果的に受け手に伝えることができます。その特性から,娯楽や広告での利用はもちろんのこと,業務研修や講義配信なども行われてきました。大学では,従来より広報のために動画が利用されてきたほか,特にCovid-19の流行以降は講義を動画で配信するなど,動画活用の動きは加速しています。そこで今月号では,動画を活用する上で必要な基礎知識から,実際の利活用事例を紹介し,動画の活用を促すための特集を企画しました。まずは辻泰明氏(筑波大学)に動画の特性や普及状況を整理した上で,社会に与える影響や活用の方向性について広く論じていただきました。その後,斎賀和彦氏(駿河台大学)に動画を作成する上での基礎知識を整理していただきました。実際の動画作成フローを元に,各ステップで非常に実用的なアドバイスをいただいております。これらを基礎的な知識としてインプットした上で,より理解を深めていくため,永田正樹氏(静岡大学)及び宮原俊之氏(帝京大学)に,特に大学での動画作成の目的となる広報と教育の観点から,どのような動画が良いと考えられるか,ご執筆いただきました。最後に,動画の効率的な管理方法について考えるため,三浦和己氏(国立映画アーカイブ)に国立映画アーカイブが動画管理に用いているデータベースについて,どのようにデータを管理しているのかを中心にご紹介いただきました。本特集を,皆様の所属機関での動画作成にお役立て頂けますと大変嬉しく存じます。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),池田貴儀,中川紗央里,長谷川智史)
著者
武邑 光裕
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.440-446, 2004
参考文献数
13
被引用文献数
1

「記憶」がデジタル環境に記録され,デジタル・アーカイブは未来の記憶に資する可能性を提示する。言語を記述,印刷し,書籍という重量媒体を最終形とした情報資産の意味は変容し,テクストの深層にあるコードそれ自体が,デジタル情報の原資と認識される。累積と離散性,この二つの概念が合流するデジタル・アーカイブの概念を考えると,それはデジタル情報財の普遍的な格納を目指すと同時に,情報の流動化や創造性を促す装置でもあるといえる。累積・固定性と離散・創造性を前提に,近年のデジタル・アーカイブやレポジトリの概念を整理し,多様なデジタル情報資源をめぐる保存と利活用にかかわる新たなコモンズの役割を,個人のアーカイブ環境と次世代の知識創造という観点から概説する。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.549, 2019

<p>「インフォプロの未来を考える ~INFOPRO 新たな出発!~」のテーマで開催された第16回情報プロフェショナルシンポジウム(INFOPRO2019)にお越しいただき,あるいは,ご発表,ご登壇頂いたみなさま,誠にありがとうございました。タイトなスケジュールの中,スポンサーとなっていただいた企業様にも厚く御礼申し上げます。INFOPROは開催時期を秋から夏に移すために,一日開催となった昨年の移行期間を経て,2年ぶりの2日開催となりました。移行のためとはいえ,一旦縮小したイベントの規模を戻すことができるのだろうかという不安もありましたが,結果として一昨年と変わらず多くのご参加と発表をいただいたことで文字通り安堵いたしました。とはいえ,新米委員長にとっては,勝手がわからない中の運営であり,文字通り"番頭さん"として動いてくれた川越副委員長を始めとする実行委員はもちろんのこと,会長を筆頭とする三役や担当理事のみなさま,さらには,JSTさん他,関係のみなさまの全面的なバックアップにより無事開催することができました。この場を借りて御礼申し上げます。</p><p>さて,今回のテーマの副題は"INFOPRO新たな出発!"ということで,いくつかのチャレンジをしてみました。中でも一番大きなものは,プロダクトレビューのプレゼンテーションに投票を取り入れたことです。これは製品や企業の優劣をつけるのではなく,そのプレゼンをしている方を褒めるのはどうか,ということで試行的に行ってみたものです。その目的や意義自体にも賛成・反対のご意見をいただいた中,ある程度のリスクを覚悟で行ってみると,投票のためにプロダクトレビューの枠の間,最後まで参加者が留まってくださり,また,後半,製品の特徴や違いをはっきりさせるディスカッションができたなど,これまでのプロダクトレビューでは実現できなかった濃度の高い場が提供できたように思います。一方,プレゼンの評価にどのくらいの意味があったかは,みなさんにご意見を伺ってみたいところです。</p><p>また,特別講演の代わりにJST CRDS(研究開発戦略センター)の全面的なご協力のもと,科学技術俯瞰報告書の最新の内容を網羅的にご紹介いただきました。これも,企業と繋がりたいCRDSさんと,意外に俯瞰報告書自体を認識していなかったインフォプロという具合で,一見近いようで実はそれほど交流がなかったことがわかり,今後に繋がりそうな話となりました。(そして3iの裏番組だったために,参加ができなかった方々にはお詫び申し上げます。)他にも,OUGのコマを設けてガイダンスを行ったり,ポスターをよりオープンにしてミニ発表の時間を設けたりもしました。ポスターと展示会場が賑わっているのは,やっぱりいいですね。懇親会は昨年の低コスト手弁当スタイルを踏襲し,食事や飲み物の質よりもコミュニケーション促進を重視することで,狙い通り,コストパフォーマンス良く活発な交流を促すことができたと思います。そして,最近はワークショップ形式で行うトーク&トークでは,副題に正面から向き合い,インフォプロの将来像を探るべく,清水さん(IMIC),森長さん(NEC),黒沢さん(医中誌)さんをロールモデルに議論を行いました。各参加者が自分ごととして,その立ち位置を確認しながら将来を模索する姿を見て,このような対話の場を提供するのがINFOPROの大事な役目だと改めて確認した次第です。</p><p>このようにして,INFOPRO2019は,リニューアル初回としては致命的なトラブルもなく,成功裏に終わったと言えると思います。この経験,知見を生かして,来年のINFOPRO2020に向けて,実行委員会一同ほぼ同じメンバーで臨みます。インフォプロの新たな出発をより確実かつ魅力的なものにできるようみなさまのご賛同とご協力を改めてお願いする次第です。まずは,INFOPRO2019の記事をご覧いただき,奇譚のないご意見や今後に向けた示唆を賜ればと思います。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。</p><p>(INFOPRO2019 実行委員会委員長 林 和弘)</p><p>INFOPRO2019 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(㈱富士通総研),委員:高杉秀隆,矢口 学(科学技術振興機構),小山信弥(関東学院大学),矢田俊文(クラリベイト・アナリティクス),山中とも子(㈱ファンケル),担当理事:吉野敬子(日本医療研究開発機構),副担当理事:増田 豊(ユサコ㈱)</p>