著者
大島 優香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.257-262, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)

化学構造検索による特許検索において,索引系データベースはその化学物質索引の信頼性と検索機能の利便性から必須である。一方,全文系特許データベースでは,索引系データベースでは索引されなかった化学物質の検索ができること,タイムラグ無く検索できることが実証できた。特に出願前先行技術調査や無効化資料調査の場面での活用が期待できる。全文系特許データベースの化学物質切出しは,システムにより異なる。そして,正確性の観点で,現時点で,どのシステムにおいても不十分と言える。今後の化学物質辞書の充実やAI技術の進展等により,正確な化学物質切出しに期待する。
著者
坪内 優佳
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.251-256, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)

PATENTSCOPE特許検索サービスは,世界知的所有権機関(WIPO, World Intellectual Property Organization)が無料で提供する特許文献検索サービスで,1億200万件以上(2022年3月末時点で)におよぶ特許文献を検索・閲覧することができる。2021年3月からは一部の非特許文献の検索も可能となり,同年9月からは化学化合物検索に関し,マーカッシュ構造の検索機能も追加されるなど,PATENTSCOPEは進化を続けている。本稿では,進化を続けるPATENTSCOPEについて,その特徴や最新機能も含めた全体像を紹介する。
著者
安藤 俊幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.245-250, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)

最近では知財情報業務への人工知能(AI: Artificial Intelligence)の適用も身近な存在になってきている。商用のAIを利用した特許調査ツールも複数登場している。ただ,これら商用のAI調査ツールをユーザーが使いこなす上で押さえておくべき基本事項や限界・課題も多いのも現実である。本報では,特許調査でのAI活用について,過去の概念検索の導入過程を振り返り,概念検索とAI検索との比較を,特許調査と機械学習の観点から特許調査システムのユーザーの立場として述べる。また,現在の深層学習(第3世代AI)の限界も指摘され,第4世代AIと言うべき提案もなされている。商用のAI利用特許調査システムにおいても,第4世代AIを目指すツールが出現しており注目している。
著者
隅田 英一郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.232-237, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)

深層ニューラルネットの登場によって人工知能の実用化が様々な分野で進んでいる。自動翻訳はその典型的な成功事例である。2016年以降の深層ニューラルネットによる自動翻訳の高精度化は革命的である。汎用だけでなく分野特化型もあり,多くのサービスが上市され,加速度的に普及し始めている。高精度化の背景にある自動翻訳の固有の事柄を説明し,自動翻訳を一層高精度にするために研究者以外が大きく貢献できることを述べる。また,自動翻訳が音声技術と連携することによって可能となる,逐次通訳と同時通訳の自動化についても現状と展望を述べる。
著者
パテントドキュメンテーション委員会
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.231, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)

「AIを用いた特許検索」を掲げて「KIBIT」が登場して大きな話題を呼んだのが2015年のことでした。それ以降,様々な検索システムがAIを前面に打ち出した拡張機能を搭載しており,今日ではAIを使った特許検索や特許分析,IPランドスケープ作成等を日常の調査業務に取り入れておられる方も少なくないことと推察いたします。重ねてAI技術の発展は自動翻訳や自動分類などの技術にも波及し,これらの技術が特許調査の領域でも使われ始めていることはご承知の通りです。化合物調査の分野でも,従来のように人の手により化合物構造式を索引してデータベース化するのではなく,AIが自動的に特許全文から化合物名称や構造式を取り込んで索引を作成する手法が提案され,実装が進んでおります。これらAI技術を核とした様々な機能の追加により,特許調査実務はまさに今,転換点を迎えていると言っても過言ではないと思います。本特集号は,これらの新しい手法に関する基本的知識や使用に際して留意すべきことをまとめて,特許調査に関わる皆様のお役に立てればという思いで企画しました。また,新しい調査・解析手法を日々研究しているエンドユーザー協議会様の研究成果の一端を紹介することで,最新の検索技術に対する知見を深めていただくことも企図しております。最初にAI自動翻訳の第一人者でおられる国立研究開発法人情報通信研究機構フェローの隅田英一郎氏に,自動翻訳の基本と同時通訳への適用を見据えた今後の展開について,初心者にもわかりやすく解説していただきました。第二稿は一般財団法人日本特許情報機構の長部喜幸氏に,中国特許のAI翻訳と自動分類についてSDGs特許を分類した実例を挙げてご紹介いただきました。第三稿は,アジア特許情報研究会の安藤俊幸氏に,AIを用いる特許調査と概念検索の利用に際する留意点をご提案いただきました。第四稿はデータベース提供の立場から世界知的所有権機関(WIPO)の坪内優佳氏に,WIPOが公開している「PATENTSCOPE」について解説いただいております。第五稿は日本アグケム情報協議会の大島優香氏に,第六稿は日本FARMDOC協議会の小島史照氏に,それぞれの協議会がユーザー視点で取り組まれた化合物検索システムの研究成果をご紹介いただきました。なお,化合物検索については各稿で取り上げた以外にも各種システムがありますが,今回は事例紹介の位置づけですので,全ての検索システムに言及してはおりませんことをご承知おきください。最終稿は日本EPI協議会の田中厚子氏に,IPランドスケープの事例として協議会での研究事例をご紹介いただいております。いずれの論文も読み応えがあり示唆に富んだものとなっております。皆様の日々の調査実務のご参考になれば幸甚です。INFOSTAパテントドキュメンテーション委員会
著者
竹内 比呂也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.72-77, 2012-02-01 (Released:2017-04-18)
参考文献数
24
被引用文献数
1

日本の紀要,特に大学紀要の現状について,その定義の困難さ,歴史,掲載論文の特性,質についてのこれまでの議論に着目してレビューした。紀要が学会誌や専門誌に取って代わられなることなく継続して刊行されている理由を,特に人文社会科学における研究や研究者の意識などから検討した。また紀要の電子化について,機関リポジトリの発展および大学図書館間のILLの状況を踏まえて現状を述べた。最後に,学術情報メディアとしての紀要の質の確保と,紙媒体と電子版が共存するハイブリッド環境下において書庫狭隘化に直面している大学図書館における合理的な紀要管理の方向性について議論した。
著者
長谷川 寿一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.138-144, 1995-04-01 (Released:2017-05-26)
参考文献数
8

「論文を執筆できる」ということは、大学教育における大きな到達目標のひとつであるに違いない。にもかかわらず,大学生にとって論文を書くことがどのような意味をもつのか,また大学人は学生に対して論文執筆をどのように教育したらよいのか,といった基本的な問いに対しては,従来,正面から答えられることが少なかった。本稿では,論文執筆の原点は,他者との交流を通じて自らの主張を節度をもって根拠づけることであるとの認識から出発し,レポートと論文の相違点,論ずるに足る主題とは何か,論拠の示し方などについて述べ,さらに,執筆上のトラブルや悩みの対処の仕方などを論じた。
著者
井上 透
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.210-214, 2022-06-01 (Released:2022-06-01)

デジタルアーカイブは,文化・科学・教育・産業資源をデジタル化により保存・継承・公開することで,情報への継続したアクセスを担保し,意思決定やイノベーション,リスクコントロールを支援することで人々の生活を豊かにする営為・システムである。デジタルアーカイブを開発,運営する人材,デジタル・アーキビストへのニーズは増加している。2006年に始められた日本デジタル・アーキビスト資格認定機構による人材育成制度は①対象・文化の理解,②情報のデジタル記録と利用,そのための③法と倫理から構成されており,図書館司書,博物館学芸員,自治体職員,教育関係者,企業関係者等約6,700名へ資格を与えている。
著者
北川 正路
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.204-209, 2022-06-01 (Released:2022-06-01)

特定非営利活動法人日本医学図書館協会は,2004年1月に,認定資格「ヘルスサイエンス情報専門員」の申請募集を開始した。本認定資格は,「基礎」,「中級」,「上級」の3種類から構成され,3種類とも,業績と専門職活動によるポイントを自己申告することにより審査・認定がなされる。現在の認定資格の申請,審査・認定の方法は,2014年に本協会にて承認された「専門職能力開発プログラム」に基づいて定められており,認定資格事業が,教育・研究関連の事業と連携して,専門職能力の向上における自己研鑽,自己啓発を支援することを想定している。更に,認定資格の認定は,ヘルスサイエンス情報専門職の専門性が内外に認識されるきっかけとなっている。
著者
大谷 康晴
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.198-203, 2022-06-01 (Released:2022-06-01)

日本図書館協会認定司書は2010年に開始して制度として定着している。しかし,その発足には多くの時間を要している。その原因は「専門性評価」そのものにもあるため簡単な問題ではない。それでも,インフォプロには「専門性評価」は必要と考える。たとえば司書の場合,外部から見てその知識・技能を測ることが難しく社会的評価が低い状態に陥っている。これは経済学でいうレモン市場の状況に近い。この状況を改善するため認定司書のような「専門性評価」は必要であり,インフォプロにおいても同様であると考える。
著者
青野 正太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.191, 2022-06-01 (Released:2022-06-01)

今月号は,「インフォプロの認定制度」と題してお届けします。昨今,図書館においては職員の非正規率の増加が指摘され,日本図書館協会図書館政策企画委員会専門職制度検討チームから「専門職制度検討チーム報告~非正規雇用職員が職員数の多くを占める時代における職員制度のあり方について~」(2019年3月)という報告が出されました1)。さらに,日本私立大学連盟が提言した「ポストコロナ時代の大学のあり方~デジタルを活用した新しい学びの実現~」(2021年8月)においては,“基準で想定されている専門的職員(第38条3)である司書は図書館機能の多様化に伴って,図書館職員に求められる能力も多様化したため,形骸化している”と指摘されています2)3)。このように,図書館司書をはじめとするインフォプロの働く環境は厳しい状況にあります。そうした中で,認定制度はスキルや経験を証明することにつながるとともに,キャリア形成を支援する手段となることが期待されます。そこで本特集では,インフォプロの認定制度について経緯を含めて解説し,その意義や今後果たしうる役割を明らかにしたいと考えています。まず,総論として,相模女子大学学芸学部の宮原志津子様には,専門職の質保証として機能している海外の図書館情報学専門職資格の事例を取り上げ,日本の司書資格における課題を示していただきました。次に各論として,3種類の認定制度について,制度運営に携わっている方に,制度づくりの背景から今後の課題に至るまで解説していただきました。青山学院大学コミュニティ人間科学部の大谷康晴様には,日本図書館協会が2010年に創設した認定司書制度についてご解説いただいた上で,専門性評価の必要性と制度化における課題についても触れていただきました。東京慈恵医科大学学術情報センターの北川正路様には,日本医学図書館協会が2004年に創設したヘルスサイエンス情報専門員制度についてご解説いただきました。岐阜女子大学文化創造学部の井上透様には,2006年に始められた日本デジタル・アーキビスト資格認定機構によるデジタル・アーキビスト認定を中心とする人材育成制度についてご解説いただきました。最後に,認定制度の活用事例として,認定司書,ヘルスサイエンス情報専門員として活躍されているインフォプロの方に取組内容をお寄せいただきました。日本図書館協会認定司書第1060号である砂生絵里奈様には,ご自身の認定司書としての活動についてご解説いただきました。ヘルスサイエンス情報専門員(上級)である牛澤典子様には,ご自身のヘルスサイエンス情報専門員としての活動についてご解説いただきました。読者の皆様におかれましては,本特集記事を通して認定制度の現状を理解していただくとともに,制度の活用についても知っていただき,インフォプロのキャリア形成について考えるきっかけとなれば幸甚です。なお,情報科学技術協会で実施している検索技術者検定もインフォプロの能力を認定する制度といえるものですが,別稿で扱う予定のため,今回は取り上げていません。(会誌編集担当委員:青野正太(主査),安達修介,長谷川智,長谷川幸代)1) 専門職制度検討チーム報告:非正規雇用職員が職員数の多くを占める時代における職員制度のあり方について.日本図書館協会図書館政策企画委員会専門職制度検討チーム.2019,34p.http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/iinkai/seisakukikaku/senmonshokuseido.pdf, (参照2022-04-26)2) ポストコロナ時代の大学のあり方:デジタルを活用した新しい学びの実現.日本私立大学連盟.2021,23p.https://www.shidairen.or.jp/files/user/20200803postcorona.pdf, (参照2022-04-26)3) なお,日本私立大学連盟は2021年10月21日に“ポストコロナ時代に向け,図書館という場の機能は高度化・多様化する極めて重要な存在”であり,“その機能と合わせ司書の役割は,専門職員として更に大きな意味を持つものであるにも関わらず,現行の大学設置基準の条文では不十分であり,改めてその役割を再定義する必要がある”旨を説明するページを公開しています。“提言「ポストコロナ時代の大学のあり方」における図書館等の記述について”日本私立大学連盟.https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=3412, (参照2022-04-26)
著者
池内 有為
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.170-176, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

データキュレーターの役割を“研究によって生み出されるデータから有用なデータを選択し,第三者が再利用できるようにFAIRデータ(見つけられる,アクセスできる,相互運用できる,再利用できるデータ)として流通させ,長期にわたって管理・保存すること”と定義して,研究データ管理サービスやデータライブラリアンとの関係を整理した。また,大学・研究図書館協会の『研究データのキュレーション』に基づいて,データキュレーションのライフサイクルに沿って実務の内容を示した。さらに,日本の現状をふまえてデータキュレーションを(1)分野専門家,(2)図書館員,(3)情報技術専門家で分担することを提案した上で,人材育成について検討した。
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.159, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

2022年5月号の特集テーマは,「データの価値を創出するために」です。近年,イノベーションの創出を目的として,官公庁データ,研究データ,民間データなど,あらゆるデータの利活用が推進されています。これまでの社会では,存在する膨大なデータを収集して「ビッグデータ」としてまとめることが中心となりがちでした。それが昨今は,データの収集,蓄積,管理,流通を的確かつ効果的に行い,それらを利活用して新たな価値を作り出していくことが期待されています。情報専門家であるインフォプロも,従来の資料や情報の収集と提供からさらに発展し,新たな情報資源ともいえる多様なデータを扱う機会が増えてきています。このような中で,改めて身に付けておく基礎知識や求められる能力などについて検討する必要が出てきているのではないでしょうか。今号がこの状況に際して,データ利活用の現状やスキル,人材育成等の側面から皆さまに情報を提供する機会となることを願います。本特集では,まず総論として林和弘氏から,オープンサイエンス政策と学術情報流通を中心とした研究データ利活用の国内及び海外の動向について解説し,さらに展望について述べていただきました。次に,吉武道子氏からは,主に材料科学分野を例に取り上げ,データの種類ごとにデータの利活用の現状と,利活用するために必要な処理であるデータキュレーションについての概観を論じていただきました。池内有為氏には,「データキュレーター」について定義を行い,その役割や人材育成について解説していただきました。河塚幸子氏からは,図書館で利用可能なデジタルデータを中心に現状を紹介,さらにその活用に向けて図書館がどのように対応していくべきかの役割と課題について述べていただきました。水田正弘氏には,データを活用して実社会に役立てる方法について論じていただく中で,必要となるデータに関する状況について解説し,推測統計や記述統計等についてもふれていただきました。大量かつ多種にわたるデータを蓄積していくだけでなく,そこに付加価値を付けて社会に還元していくスキルと人材がとても重要になってきます。インフォプロが直面する新たな課題も出てくると思われます。今号がそのようなことに対して,新たな知見を与える契機になれば幸いです。(会誌編集担当委員:長谷川幸代(主査),今満亨崇,中川紗央里,水野澄子)
著者
水田 正弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.183-186, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

「ビッグデータ」は,魅力的なワードであり,情報技術,特にインターネットや記憶装置の異常なまでの発展に伴い,大きな期待と注目を浴びてきた。しかし,実際にビッグデータを活用しようとすると,統計学をはじめとするデータ解析の技術がキーポイントになることが認識されてきた。すなわち,本質的なことは,「ビッグ」なデータを扱うことではなく,「データ」を活用することである。これらの活用のためには,データを扱うための考え方を整理する必要がある。本稿では,データに関係する状況,推測統計と記述統計,その発展形を含めて取り扱う。それらにより,データを活用して,実社会に役立てる方法を議論する。
著者
池田 貴儀
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.219-223, 2005-05-01 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
2

会議録は, 研究者が最新の研究動向を知るための情報源であり, 図書館が収集すべき重要な資料にもかかわらず入手が困難とされている。その会議録について, 日本原子力研究所図書館では, 現在, 約1万9千件を収集し研究者に提供している。本稿では, 主として, 学協会からの会議情報の入手, 国際原子力情報システム(INIS)データベースの利用, 研究者からの情報入手といった会議録の収集手法を紹介した。また, 日本原子力研究所が研究報告書として刊行する会議録JAERI-Confのシリーズについても触れている。
著者
徳原 靖浩
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.8-13, 2016-01-01 (Released:2016-04-01)

東洋文庫研究部イスラーム地域研究資料室は,「イスラーム地域研究」ネットワークの拠点の一つとして,現地語資料の収集や整理に関わる課題に取り組んできた。本稿では,まずイスラーム地域の現地語資料の特徴と,日本における蔵書の概要について述べ,次に,アラビア文字資料の整理をコンピュータで行う際の問題点について,NACSIS-CATのアラビア文字対応の経緯とともに解説する。次に,現地語資料を効率的に収集・整理・利用する際の問題点と,それに対する東洋文庫研究部イスラーム地域研究資料室の取り組みについて紹介する。最後に,今後の展望について,日本の現状に合わせたネットワーク型の協力の利点に触れつつ述べる。