- 著者
-
長濱 康弘
- 出版者
- 認知神経科学会
- 雑誌
- 認知神経科学 (ISSN:13444298)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.3+4, pp.162-167, 2016 (Released:2017-03-25)
- 参考文献数
- 12
【要旨】レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies, DLB)を早期診断するためのポイントを概説した。アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)と比較すると、DLBでは記憶障害や全般的認知機能低下に比べて構成障害、視空間機能障害、遂行機能障害が目立つ傾向があるので、立方体模写などの描画課題やtrailmaking testなどの遂行機能検査をスクリーニングに加えるとよい。片手指パターンの模倣障害は他の認知症よりDLBで多くみられるので診断の参考になる。DLBの初期症状としてはREM睡眠行動異常症(RBD)、嗜眠、調子の変動、易転倒性、幻視、錯視、人物誤認などの誤認症状、不安、うつ状態、嗅覚障害、便秘などがADよりも有意に多い。特にRBD、うつ状態は他の症状に数年先行することも多い。錯視はDLBでADより有意に多く、錯視を誘発するパレイドリアテストはDLBを診断する一助になりうる。DLBの個々の初期症状は非特異的なものが多いが、これらの組み合わせからDLBを疑い、必要最小限の画像検査を追加することで、DLBの早期診断率の向上が期待できる。