著者
織田 二郎 村長 昭義
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.163-173, 2015-10-14

Color of pollen grains of Chrysosplenium album Maxim. (s.l.) in vital conditions were yellow from Fukushima Pref. to north-east Gifu Pref., while those were white from south-west Gifu Pref. to Miyazaki Pref. These results are geographically so stable that color of pollen grains is valuable for diagnostic character between C. album var. album (white) and var. stamineum (yellow). Boundary area between var. album and var. stamineum is probably located around Gujo-shi, Gifu Pref., concordant with Wakabayashi(2001)'s recognition.
著者
北川 尚史
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.63-70, 2001-11-25
著者
藤井 伸二 牧 雅之 國井 秀伸
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.169-176, 2014-09-05

Eleocharis dulcis, Rumex longifolius and Persicaria erectominor were newly found from Shimane Pref. The Hii River in Izumo City revealed the western limit of the distribution of R. longifolius and the Lake Nakaumi is the second record of P. erectominor from the area along the Sea of Japan in Kinki-Chugoku District. Persicaria erectominor var. erectominor f. viridiflora showed some difference from f. erectominor on phenology, morphology and distribution.
著者
倉園 知広 角野 康郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.141-151, 2012-08-28
参考文献数
22

モウコガマが日本にも分布することは既に指摘されていたが,その実態については情報がなかった.本稿では,今まで「モウコガマ」とされてきた兵庫県産植物の再検討を通じて,日本産モウコガマについて考察した.兵庫県小野市産「モウコガマ」1集団とヒメガマ16集団,最近,秋田県から報告されたモウコガマ1集団について5形質を比較した結果,兵庫県産「モウコガマ」はヒメガマの変異に含まれた.一方,秋田県産モウコガマは葉身の長さと幅で「モウコガマ」とヒメガマから明瞭に識別された.モウコガマとヒメガマの識別形質とされる雌花の小苞片の有無を確認した結果,秋田県産モウコガマの雌花に小苞片は無く,「モウコガマ」とヒメガマには小苞片があった.花粉サイズを比較した結果,秋田県産モウコガマの花粉は「モウコガマ」とヒメガマの花粉よりも有意に大きく,「モウコガマ」とヒメガマの花粉サイズには差がなかった.これらの観察結果より,兵庫県産「モウコガマ」はヒメガマの変異形であり,秋田県産モウコガマは真のモウコガマであると結論した.近年,モウコガマを外来植物とする文献があるが,本種は在来種であり,絶滅危惧種として検討すべきことを指摘した.
著者
藤井 伸二
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.103-107, 2013-08-26 (Released:2017-03-25)

Cuscuta chinensis is often confused with the related naturalized species as C. pentagona. The specimens kept in the herbaria were examined and the distribution of C. chinensis in Japan was shown.
著者
平原 友紀 矢野 興一 星野 卓二
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-30, 2007-02-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
21

ビャッコイ(Isolepis crassiuscula Hook, f.)は日本とインドネシア,パプアニューギニア,オーストラリア,ニュージーランドに分布することが報告されている.日本では福島県白河市のみに生育しており,絶滅危惧種(IB)に指定されている.本研究では日本産ビャッコイの染色体と葉緑体遺伝子の解析を行った.その結果,ビャッコイの染色体数は2n=96であり,今までに報告されたビャッコイ属の他種よりも高次の染色体数を持つことが明らかになった.また,ビャッコイ属10種について葉緑体rbcL遺伝子とtrnL intron傾城の比較を行なった結果,日本産ビャッコイは同属9種よりも,オーストラリア産ビャッコイと相同性が高いことが明らかになった.
著者
直海 俊一郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.25-40, 2006-02-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
35

村上・芹沢の「種の数だけ種のあり方がある」という研究プログラムは,独創的でかつ自然理解に役に立つ優れものである,と高く評価する.この研究プログラムは種の概念論的構造の明示化に役に立つ.また,種の実際の状況の研究・探索に啓発をもたらすばかりでなく,生物多様性の研究にとって意義深いものである.本稿では, Templeton (1989)の「凝集的種概念」を簡単に紹介し,その問題点([1]概念的構造における誤謬,および[2]生物学的実体と分類学的種の混同)を指摘した.村上・芹沢の研究プログラムの概念的枠組みを積極的に頑健なものにするために,彼らの理論内部にある2つの論理的誤謬([1]「種のあり方」と「種の認識]の混同,および, [2]種のあり方は,彼らの主張とは逆に,彼らの理論の文脈のなかにおいて特定されている点)をそのつぎに指摘した.最後に,「種の数だけ種のあり方(実際?)がある」という学問的枠組みの方向性にも簡単に触れた.
著者
福原 達人
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.35-46, 2011-02-21 (Released:2017-03-25)
参考文献数
55
著者
角野 康郎 福岡 豪
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.203-206, 2016 (Released:2017-01-16)

Najas guadalupensis (Sprengel) Magnus subsp. floridana (R. R. Haynes et W. A. Wentz) R. R. Haynes et C. B. Hellquist (Hydrocharitaceae) was recorded from a brackish pond in Ehime Prefecture, Shikoku, as the second locality of the species in Japan. A specimens of the species was proved to have been collected in 1923 from the same area. The origin of the species in Japan was discussed.

2 0 0 0 OA 私の地衣学

著者
柏谷 博之
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-95, 2016 (Released:2017-01-16)
著者
藤井 伸二 海老原 淳
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.203-205, 2015-10-14

A specimen of Angelica dahurica (Umbelliferae) collected at Ono-gahara (Ehime Prefecture) in 1950 was found. This is the first record of the species from Shikoku Island but it was unclear whether native or cultivated.
著者
天野 百々江 大野 睦子 須田 隆一 飯田 聡子 角野 康郎 小菅 桂子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.129-139, 2008-08-20
被引用文献数
1

インバモはササバモとガシャモク間の自然雑種である.福岡県北九州市のお糸池では国内で唯一,絶滅危惧種ガシャモクとインバモが野生状態で継続的に生育しているが,近年,これらの個体数が減少しつつある.お糸池の現存個体と博物館所蔵の過去の標本を用いて,インバモの交配の方向と形態的特徴を調べた.核遺伝子adhと葉緑体遺伝子rbcLを解析した結果,インバモにはガシャモクを母親とするD型とササバモを母親とするM型があり,両者は葉の形態である程度区別できた.お糸池では,過去にD型のインバモが採集されているにもかかわらず,現存するパッチはすべてM型であった.栽培実験では,ガシャモクはササバモに比べて渇水時の生存能が低く,M型のインバモはササバモと同様に渇水時の生存能が高かった.お糸池では,近年,透明度の低下や渇水が起こっており,このような生育環境の悪化により,D型のインバモは選択的に生育できなくなった可能性がある.
著者
高倉 耕一 西田 佐知子 西田 隆義
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.151-162, 2010
参考文献数
26
被引用文献数
2

Reproductive interference (RI) refers to negative interspecific interactions in which the reproductive activities of one species directly reduce the reproductive success of another species. RI can be observed in various events in plant reproductive processes, such as stigma clogging and pollen allelopathy. The most conspicuous feature of RI is its positive frequency dependence and its self-reinforcing impact via positive feedback: when two species exert RI on one another, the more abundant species exerts a more intense adverse effect on the reproductive success of the other and then becomes more abundant. Therefore, two species that exert RI on each other essentially cannot co-exist, even if the interfering effect is subtle. Increasing numbers of studies have verified the effects of RI in plants, but the phenomenon is still misunderstood. Here, we present a theoretical outline of RI, discriminating it from hybridization or pollen competition, and address its pivotal importance in the relationships between invasive plants and native relatives, the exclusive distributions of closely related species, and character displacement between these species.
著者
小菅 桂子 秋山 弘之 田口 信洋
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-28, 2004-02-29
被引用文献数
2

ヨウ化メチル剤ならびに臭化メチル・酸化エチレン混合剤にて燻蒸を行った植物・菌類・動物の乾燥標本を用いて,サンプルに含まれるDNAに対して薬剤燻蒸がどのような影響を及ぼすかを調べた.抽出されたDNAの電気泳動像は生物種や組織,抽出方法によって異なるが,燻蒸によって高分子DNA量が減少し,多少なりともDNAの分解と低分子化が認められた.しかし,分子系統解析等で問題となるPCR増幅の効率や増幅断片の塩基配列には燻蒸による影響は認められなかった.臭化メチル・酸化エチレン混合剤に比べ,ヨウ化メチル剤はDNAへの影響がより少なかった.薬剤はDNAだけでなくタンパク質を変性させてその可溶性能を変化させること,同じ材料でも抽出方法の違いによりDNAの分解状態が異なることから判断すると,燻蒸による高分子DNA量の減少は,変性したタンパク質によってDNAの抽出効率が低下した結果と考えられる.