著者
西田 佐知子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.137-151, 2004-08-31
著者
藤井 紀行
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.5-14, 2008-02-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
34
被引用文献数
1

日本列島における高山帯は,本州中部以北の山岳に点々と隔離分布している.一般にこの高山帯に生育の中心を持つ植物のことを「高山植物」と呼んでいる.高山帯がハイマツ帯と呼ばれることもあるように,この植生帯ではハイマツ(マツ科)がマット状に広がったり,色とりどりのお花畑が広がったり,美しく雄大な景観を見ることができる.日本に分布する各高山植物の種レベルの分布を見ると,その多くが日本より北の高緯度地域にその分布の中心を持っており,日本の本州中部地域がその南限になっていることが多い.こうした分布パターンから,一般的に高山植物の起源は北方地域にあり,過去の寒冷な時期に北から日本列島へ侵入し,現在はそれらが遺存的に分布しているものと考えられている.しかしそうした仮説の検証を含め,いつ頃どのようにして侵入してきたのか,その分布変遷過程について具体的なことはまったく分かっていないのが現状である.そこで筆者はこれまで,こうした植物地理学的な課題を解明するために,主に葉緑体DNAをマーカーとした系統地理学的解析を進めてきた(Fujii et al. 1995, 1996, 1997, 1999, 2001, Fujii 2003, Senni et al. 2005,Fujii and Senni 2006).本稿ではそれらの解析を通して見えできた本州中部山岳の系統地理学的な重要性について言及する.過去に書いた総説的な和文諭文も参照していただきたい(藤井1997, 2000, 2001, 2002,植田・藤井2000).
著者
坪田 博美
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-27, 2008-02-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
81
被引用文献数
1

この総説は,日本植物分類学会奨励賞の受賞講演「コケ植物の分子系統学的研究の現状」(2007年3月16日,新潟大学)についてまとめたものである.受賞講演では,おもに私自身の研究の歴史と,予報的な内容ではあるが,現在のコケ植物の大きなレベルでの系統関係について触れた.また本稿では,時間の関係で講演の際に取り上げることのできなかったコケ植物の分子系統学的研究について,私がこれまで関わってきた研究を中心に,その概略を述べるとともに,コケ植物の分子系統学的研究の現状を紹介する.とくに,分子系統学的研究によって明らかになったことと,未だ明らかになっていないことを含めて紹介したい.
著者
持田 誠 片桐 浩司 高橋 英樹
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.41-48, 2004-02-29 (Released:2017-03-25)
参考文献数
30

Although all recent Japanese floras had recognized Potamogton cristatus Regel et Maack as a species distributed in Honshu and Kyushu but not in Hokkaido, we found this species in Kamihoromui, Iwamizawa city of central Hokkaido in 2000. A careful reexamination of early floristic reports and herbarium specimens clarified that P. cristatus was once collected at Sapporo city of central Hokkaido by Dr. K. Miyabe in 1901 and its presence in Hokkaido was reported by Miyabe and Kudo (1931). Thus, the present report is a rediscovery of P. cristatus in Hokkaido after about a century. Other previous floristic reports which admitted the presence of this species in Hokkaido, were not based on any reliable herbarium specimens.
著者
高倉 耕一 西田 佐知子 西田 隆義
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.151-162, 2010-08-27 (Released:2017-03-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2

Reproductive interference (RI) refers to negative interspecific interactions in which the reproductive activities of one species directly reduce the reproductive success of another species. RI can be observed in various events in plant reproductive processes, such as stigma clogging and pollen allelopathy. The most conspicuous feature of RI is its positive frequency dependence and its self-reinforcing impact via positive feedback: when two species exert RI on one another, the more abundant species exerts a more intense adverse effect on the reproductive success of the other and then becomes more abundant. Therefore, two species that exert RI on each other essentially cannot co-exist, even if the interfering effect is subtle. Increasing numbers of studies have verified the effects of RI in plants, but the phenomenon is still misunderstood. Here, we present a theoretical outline of RI, discriminating it from hybridization or pollen competition, and address its pivotal importance in the relationships between invasive plants and native relatives, the exclusive distributions of closely related species, and character displacement between these species.
著者
西田 佐知子 高倉 耕一 西田 隆義
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.41-50, 2015-02-20 (Released:2017-03-25)

繁殖干渉とは,繁殖の過程で他種から悪影響を受けることで起こる適応度の低下を指す.在来種に対する外来種からの繁殖干渉が確認された例は年々増加しているが,繁殖干渉の強さと両種の分布との関係については検証が始まったばかりである.そこで私達は伊豆の在来タンポポについて,外来タンポポ群との分布の関係と,外来タンポポ群からの繁殖干渉を調査した.その結果,在来と外来タンポポ群の局所的な密度には有意な負の相関がみられた.また在来の結実率は,外来タンポポ群の頻度が8割近くになるまで外来の頻度に応じた低下は見られなかったが,8割以上に増加すると急に低下した.本研究の結果から,伊豆の在来タンポポは外来タンポポ群からの繁殖干渉に概ね強いが,大量に外来タンポポ群が入り込むと存続が難しくなると予想できる.
著者
芹沢 俊介
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-37, 2007-02-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
12

標準的に使われる図鑑の写真は,多くの人がそれを頼りに同定するため,影響が大きい.最近になって改めて「日本の野生植物 シダ」(平凡社)を検討したところ,相当数の写真に何らかの問題があるように思われた.そこで,利用者の注意を喚起する目的で,気にかかる写真のリストを作成し,その理由を記述した.
著者
福永 裕一 澤 進一郎 澤 完
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.141-147, 2008-08-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
5

四国は四季を通じて雨量が多く,豊かな森に覆われており,その林床には有機質に富んだ腐食土や適度な湿度が必要である地生ランが多く自生しており,菌寄生性無葉緑の地生ランであるオニノヤガラ(Gastrodia)属も比較的数多く自生している.その中でもヤツシロラン類は,開花期間が短く,朔果は受粉後約30-40日後に裂開し種子を飛散し腐敗するため,地上部に出現している期間が短く,更には結実個体標本では同定困難なものが多いため,その分布状況の詳細については十分に把握されていなかった.そこで我々は,四国で現地調査並びに大学や博物館での標本調査を行い,ヤツシロラン類の分布調査を行ってきた結果,ヤツシロラン類の新産地の発見や,過去にハルザキヤツシロラン(G. nipponica (Honda)Tuyama)やアキザキヤツシロラン(G. confusa Honda et Tuyama)であると思われていたものの中にクロヤツシロラン(G. pubilabiata Sawa)が含まれる等の事実が判明した.そこで,今回の調査により得られた知見をもとに,現在までに明らかとなった四国におけるヤツシロラン類の分布調査結果を報告する.
著者
清水 建美
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.51-52, 2002