著者
川村 秀憲 角田 久雄 山本 雅人 高谷 敏彦 大内 東
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.203-211, 2005-04-15
被引用文献数
6

本稿では, 人の呼びかけに反応して様々な動作を行うエンタテインメントバルーンロボットの開発と基礎的な実験について報告する.バルーンロボットにはワイヤレスCCDカメラとワイヤレスマイクが搭載され, 人の拍手を感知して回転動作や上下移動を行う.人の呼びかけに対しては, 確率的状態遷移機械を利用することによって, 不確実な再現性をともなった動作系列の生成を実現した.バルーンは空調などの外乱に容易に影響を受けるので, 連続的に動作可能な状態を維持することは困難であるが, 地面に置かれたランドマークを利用したホバリング制御に基づいて制御することによって長時間安定してインタラクティブな飛行を可能とした.実験を通して, 人とインタラクションをとりながら長時間飛行が可能であることを確認した.
著者
篠田 孝祐 松尾 豊 中島 秀之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.410-422, 2008-06-15
被引用文献数
1

ネットワークの中心性とは,ネットワークにおけるノードやリンクの重要性を表わす指標である.ネットワーク分析では,いくつかの代表的な尺度が用いられている.これまでに,著者らは単一の中心性を合理性の基準とし,ネットワークの形成過程をシミュレートするモデルを提案した.しかし,形成可能なネットワークが限定的であること,現実のネットワークの分析への利用が難しいことなどの問題があった.本論文ではモデルを拡張することで,形成可能なネットワークを広げ,現実のネットワーク分析への応用を試みる.具体的には,エージェントとしてのノードが,ネットワークの形成に参画する際,追加するリンク候補を評価するときの合理性の基準を,単一の中心性ではなく,複数の中心性を属性とする多属性効用とした.提案モデルにおいて生成可能なネットワークの特徴の分析を行ない,現実のネットワークへの適用を試みた結果,ネットワークを構成する主体の合理性をその構造的特徴から推定できることを示した.本論文は,新たなネットワーク分析の手法の可能性を示していると考えている.
著者
嶋田 香 平澤 宏太郎 古月 敬之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.881-891, 2006-12-15
被引用文献数
1 5

遺伝的ネットワークプログラミング(GNP)を用いた興味深い相関ルールの抽出手法を提案する.GNPは,ノードをネットワーク状に接続することによって,プログラムの自動生成を行う進化論的計算手法の1つである.GNPの1つの判定ノードが1つの属性に関する判定を行うとき,処理ノードからの判定ノードの連結を相関ルールと対応させることができる.GNPはノードの再利用・共有が可能であるため探索空間を有効に構成できる.また,ルールの興味深さの指標としてサポート値,x^2値をGNPの特性を利用することで算出している.各世代のGNP個体が抽出した興味深い相関ルールはライブラリーに蓄積され,GNPは新規のルール抽出を目的として進化する.シミュレーションの結果から,提案手法が興味深い相関ルールを効率よく抽出することを示す.
著者
堀内 匡 別府 俊幸 藤岡 美博 原 元司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.817-822, 2008-10-15
被引用文献数
1 3

本研究では,実現が期待されているシジミ自動選別装置の開発に向けて,シジミ貝をぶつけた際に発生する音響信号に基づく不良シジミ貝の判別に関して検討を行った.具体的には,音響信号を周波数解析した後,特徴ベクトルを抽出し,各種のパターン認識手法を用いて不良シジミ貝の判別を行い,判別精度を比較評価した.パターン認識手法として,決定木学習,k-最近傍識別法,多層ニューラルネットワーク,サポートベクターマシンを取り上げ,それぞれについて同様の判別実験を行い,判別精度の比較検討を行った.その結果,多層ニューラルネットワークによる手法が他の手法に比べて最も優れており,約95%の判別精度が得られた.次いで,サポートベクターマシン,k-最近傍識別法,決定木学習の順で判別精度が高く,いずれの手法においても一定の有効性を確認することができた.
著者
松本 義之 和多田 淳三
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.44-52, 2004-02-15
被引用文献数
1

規則性を見出しにくいデータを予測する方法に,カオス理論に基づく時系列データの短期予測がある.これは,従来ランダムに推移すると考えられていた時系列データをTakensの埋め込み定理を用いてアトラクタを多次元空間に再構成することにより,短期予測を可能としている.しかし,ランダムプロセスと異なる幾何学的性質を持つ時系列データでも,低次元のカオス性を示さない時系列データをカオスで予測することは困難である.そこで,本研究では,予測するデータに関連する別の時系列データを同時に埋め込むことにより,予測を行いたい時系列データのカオス性を抽出し,予測精度を向上させる.また,ユークリッド距離を考慮したカオス予測手法に対して,そのあいまいな情報を扱うためにファジィ理論を適用する.そして,これらの手法に対して東証日経平均株価を予測するシミュレーションを行い,その有効性を明らかにする.さらに,用いたファジィ理論における前件部メンバーシップ関数の生成のために組み合わせ最適化の手法の一種である遺伝的アルゴリズムを用い,より簡単に予測モデル構築をする.
著者
村田 剛志 齋藤 皓太
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.701-710, 2006-10-15
被引用文献数
2 2

ログデータからWebユーザの関心を抽出し視覚化することは,Web利用マイニングにおける挑戦的な研究テーマである.Webサイトや検索キーワードを頂点とし,時間順序を辺とすると,ユーザのWeb閲覧行動はグラフとして表現できる.我々はこれをサイト・キーワードグラフと呼ぶ.本論文ではWebログデータから生成されるサイト・キーワードグラフからユーザの関心サイト集合の部分グラフを抽出する手法について述べる.人手による分析を容易にするために,抽出された部分グラフの視覚化も行う.本手法において,元のサイト・キーワードグラフの約30パーセント程度の頂点数の部分グラフを抽出することに成功している.PageRankランキングアルゴリズム上位の頂点数を用いて,抽出された部分グラフの評価も行っている.
著者
島川 はる奈 山田 亮太 森谷 俊洋 乾 和志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.591-600, 2008-08-15

近年,日本ではマザー工場制を採用している企業が増えている.マザー工場制とは,メーカーが海外生産子会社に対して技術支援を展開する際,そのモデル工場となる本国工場が窓口ないしは担当工場となり,現地にあるサテライト工場に適した技術者や管理者を派遣し,現場指導を展開する人材派遣を中心とした技術支援方法である.サテライト工場で生産した製品に不具合が発生し,その原因が現場担当者では判断できない場合,本国にいるマザー工場の熟練者に出張を依頼した上で不具合を解消してもらう必要がある.このため,マザー工場の熟練者の出張費かかさみ,莫大なコストが必要となる.また,熟練者がサテライト工場に到着するまで不具合が放置されてしまう.更に,熟練者を長時間拘束することで,生産性の低下にもつながってしまう.そこで我々は,オンラインノウハウ伝承システムを開発した.これは,遠隔コミュニケーションの基盤技術であるSOBAフレームワークと,暗黙知を形式知化することができる知識管理システムを利用したものである.本稿では,オンラインノウハウ伝承システムの導入によって,どれくらいの効果が得られるかを検証する.
著者
中島 伸介 舘村 純一 原 良憲 田中 克己 植村 俊亮
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.156-166, 2007-04-15 (Released:2007-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2 1

個人の情報発信やコミュニケーションツールであるblogの利用者が増加している.blog情報は社会的イベントに対する世論そのものであるとも考えられ,これを有効に利用することで即時性および重要性の高い情報の取得が可能であると考えている.そこで我々はWeb上の有識者としての重要なbloggerを発見し,この重要なblogger が発信するコンテンツを利用することで,信頼できる情報の取得が可能ではないかと考えた.本研究では,まずblog データモデルを定義し,重要なblogger の定義とそのタイプ分類を行った.その中でも特に重要と考えたAgitator の判別方法を提案すると共に,実データに基づいてその妥当性に関する考察を行った.提案手法の妥当性の検証方法としては,Agitator判別の再現性に関する検証と,Agitatorであると認定されたblogサイトの正当性の検証を行った.その結果から,提案手法によって重要なbloggerであるAgitator の発見が十分可能であることを示した.
著者
川上 悟郎 西田 佳史 本村 陽一 溝口 博
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.190-200, 2008-04-15
被引用文献数
3 3

本論文では,日常行動理解研究を推進するために,異分野の専門家や知見を利用するユーザが,日常行動に関連する情報を書き込んだり,分析したり,考察したり,活用するための,容易に理解可能な情報表現法やそれに基づく計算法を考察する.また,そのような情報の表現や計算の手段を提供する具体的なシステムとして,「時空間意味情報マッピング・システム」(STS Map;Spatio-Temporal-Semantic Map)を提案する.STS Mapは,1)ロケーションセンサを用いた現象の時空間展開機能,2)時空間座標系をベースとした多層的な情報の表現機能,3)時空間統計数理を用いたモデリングとリターゲット機能から構成される.本論文では提案システムの実現可能性と有用性を考察するために,ロケーションEMGセンサを用いて保育園の遊具で遊ぶ幼児47名の行動計測を行い,時空間意味情報マッピング・システムを適用した事例について報告する.さらに,幼児の年齢を考慮した難度を有する新しい遊具の設計について報告する.新しい遊具は幼児の遊んでいる「最中」の行動をモデル化し,構築したモデルによる筋電位推論値のクロス評価を行い,モデルの改善を行った.改善された行動モデルをベースとしてリターゲットを行うことで新しい遊具での筋電位発生頻度を推論し,その結果を遊具デザインの指針として,遊具メーカと協力することで遊具を作成した.
著者
清川 清
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.318-325, 2007-08-15
被引用文献数
2

バーチャルリアリティ(VR)における代表的な視覚提示装置としてヘッドマウントディスプレイ(HMD)と没入型投影(IPT)ディスプレイを取り上げ,それらの特徴を概説する.HMDは装着して持ち運べ,透過型にすれば実物体への重畳表示が可能であるなどの利点があり,VRだけでなく関連の深いウェアラブルコンピューティングや拡張現実感分野に最適である.ただし,人の視覚能力に匹敵するHMDの製作は極めて困難であり,視野角,解像度,重量,許容する光学歪み等に関するトレードオフを考慮する必要がある.一方IPTディスプレイは視野角や解像度の点で費用対効果に優れ,プロジェクタの低価格化等により急速に普及している.周壁面スクリーン・曲面スクリーンや前面投影・背面投影などを用途に合わせて選択するのが一般的であるが,近年は複雑な起伏や模様のある壁面に対し歪みや色ムラのない映像投影が可能になり,設置場所の制約が緩和されつつある.
著者
城市 広大 三好 力
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.184-195, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
12

インターネット上のWEBページを検索するには検索エンジンを利用するのが一般的であるが, 検索結果の中にユーザーの求める情報を持つページが高い順位で表示されない問題が指摘されている. この理由の一つとして, ユーザーが入力した検索語を含むページを, 検索エンジンが単純に選択していることが挙げられる. 言葉には意味的な多義性や曖昧性があるため, ユーザーがある検索意図を持って検索語を入力しても, 使用した検索語によっては意図と異なる種類のページが混在した状態の検索結果になりやすい.この様な検索結果を改善する方法として, 検索結果に出力されたページ群を内容別に自動分類する手法が研究されており, その一手法としてベクトル空間法を用いるのが一般的である. ベクトル空間法はページ内容の類似性を, 使用単語を次元としたベクトル空間により求める手法であるが, ベクトル空間法をそのままWEBページ分類に適用した場合, 2つの問題点が挙げられる. 1つはページ中に1回でも使用された単語全てを用いるので次元数が大きくなり, 計算コストが大きくなってしまうこと, もう1つはページ間の類似性だけを計算するのでグループの内容を示す言葉を抽出することができず, ページ分類後に各グループの名前もしくは基準をユーザー側に提示できないことである.我々はこの問題点に着目し, 改善を加えることで検索結果のWEBページ群を内容別に自動分類するシステムを提案した. 次元数が大きくなる問題に対しては, ファジィ推論を用いてベクトル空間に使用する単語を一定数だけ選択することで解決を図る. ページ全体での単語の使用傾向をファジィルールに当てはめることで, 重要な単語とそうでない単語との判別が可能であると考えた. もうひとつの問題である, ユーザーに提示するグループの基準については単語の共起頻度を用いることでグループ名を自動作成し, それを基にグループの代表となるページを選択する手法をとった. また, システムについての実験を行い, 選択する単語の総数が200のときが計算コストと分類精度の点から見て最適であること, システムによる分類結果から人間の感覚に近いWEBページの分類が行われることを確認した.
著者
中島 伸介 舘村 純一 原 良憲 田中 克己 植村 俊亮
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.156-166, 2007-04-15
被引用文献数
2 2

個人の情報発信やコミュニケーションツールであるblogの利用者が増加している.blog情報は社会的イベントに対する世論そのものであるとも考えられ,これを有効に利用することで即時性および重要性の高い情報の取得が可能であると考えている.そこで我々はWeb上の有識者としての重要なbloggerを発見し,この重要なbloggerが発信するコンテンツを利用することで,信頼できる情報の取得が可能ではないかと考えた.本研究では,まずblogデータモデルを定義し,重要なbloggerの定義とそのタイプ分類を行った.その中でも特に重要と考えたAgitatorの判別方法を提案すると共に,実データに基づいてその妥当性に関する考察を行った.提案手法の妥当性の検証方法としては, Agitator判別の再現性に関する検証と,Agitatorであると認定されたblogサイトの正当性の検証を行った.その結果から,提案手法によって重要なbloggerであるAgitatorの発見が十分可能であることを示した.