著者
蓮井 洋志
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.247-255, 2009-04-15
被引用文献数
1

本研究では,作曲モデルを利用した対話型進化論的計算手法の作曲支援システムを作成している.作曲モデルは確率決定性有限状態オートマトンで,メロディーを学習し,その学習データをもとに作曲する.作曲モデルを個体とした対話型進化論的計算手法によって,ユーザの好みをモデルが学習し,ユーザの好みのメロディーを作曲する.ユーザが GUIで作曲モデルが作曲したメロディーを修正する.修正したメロディーの中からうまく選択して学習すると,好みに合うモデルとなる可能性があると考えた.実験の結果,作曲モデルは7曲メロディーを学習したときが,評価が一番高く,比較的修正したいと感じる曲数が多かった.そこで,7曲学習する作曲モデルを個体として,対話型作曲支援システムを実行したところ,世代が進む毎に作曲モデルの適応度が上がった.適応度は 12世代くらいで伸びが止まり,類似したメロディーだけになった.また,高い適応度の個体の子は類似したメロディーとなるために,高い適応度を持ちやすい.しかし,いろいろなメロディーを何度もを聞くうちに,ユーザの好みのメロディーが変わるために,適応度が一定しないことが分かった.世代を追うごとに作曲モデルだけでなく,ユーザの好みも明確化すると理解できる.
著者
野中 俊昭 遠藤 靖典 吉川 広
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.431-440, 2004-10-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

安全性や騒音防止の観点から,鉄道車両の滑走防止制御に対する研究は非常に重要である.しかし,ブレーキというシステムにおいて,滑走という非常に不確実性の高い現象を防止することは容易ではなく,一般的な制御方法というものは存在しないのが実情である.ところで,ファジィ推論は,不確実性の高い制御対象に対して高い有効性を発揮することが知られており,滑走に対しても,同様の効果が期待できる.そこで,本論文では,ブレーキ距離の短縮を第一目的として,鉄道車両に対するファジィ推論を用いた新たな滑走防止制御手法を提案する.本論文で提案する制御手法は,同時に計算量の低減とチューニングの容易化も図っている.また,数値シミュレーションを通して,提案する制御手法によってブレーキ距離の短縮が実現されていることを示す.
著者
蟻川 浩 村田 忠彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.211-222, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
19

本論文では,環境情報を考慮した大規模マルチエージェントシミュレーションを実現することを目的として,大規模な環境情報を複数の環境情報に分割して表現する方法を提案する.提案手法を人工社会モデルのひとつであるSugarscapeモデルに対して適用し,提案手法に基づく並列計算機向けシミュレーションプログラムの実装方法と並列処理向けエージェント間の調停ルールを説明する.また,大規模な問題サイズのシミュレーションによる評価実験を PC クラスタ上で実施し,提案手法によるシミュレーション結果の非並列シミュレーション結果との類似傾向と,シミュレーション時間の短縮可能性を示す.
著者
松村 嘉之 大倉 和博
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.972-980, 2008-12-15

本稿ではセル生産における自律分散的な作業現場において,作業者が持つ作業機械に関する情報について作業者機械評価表を用いて簡便に抽出することを試みる.そして,作業現場がフラットな組織に近く,リーダーが存在しない場合に,PM理論に基づく一定のリーダーシップを持つインフォーマル・リーダーを選出し,ナレッジ・マネジメントを促進する簡潔な方策を提案する.そして,実際のクリーニング工場のセル生産現場において,PM理論に基づくインフォーマル・リーダーを中心にして作業者から作業機械情報を抽出し,それに基づくナレッジ・マネジメントによって作業時間を短縮することによって,心理的見地に基づく情報共有の有用性を実証した.
著者
宇谷 明秀 西元 雅明 山本 尚生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.791-802, 2012-06-15 (Released:2012-06-26)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本論文では高次元連続型多峰性関数の最適化問題に対する解探索性能に優れた Artificial Bee Colony アルゴリズムに着目し,高次元(数百次元)の最適化問題に対して,一つの大域的最適解ではなく,複数の許容解を求めることができるように拡張発展させた実用手法を提案する.数値実験では多峰性を有する代表的な3つのベンチマ-ク関数(Rastrigin関数/ Schwefel関数/ Griewank関数)を用いてその解探索性能を評価した.数値実験の結果は既往の複数解探索手法に対する提案手法の優位性を示している.
著者
山田 誠二 山口 智浩
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.289-297, 2005
参考文献数
16
被引用文献数
4 1

擬人化エージェントと人間との間に効果的なコミュニケーションを実現するためには, 双方が相手の表情から相手の感情, 負荷状態などの内部状態(マインド)を同定し, 相手のマインドに沿った行動をとることが重要である.しかし, 人間と擬人化エージェントが互いに相手の表情からマインドを同定することは, 一般に困難である.なぜならユーザはエージェントの表情の解釈において, 個人差, 文化的差異などをもつため, すべてのユーザにとってマインドを容易に推定できる表情をもったエージェントを設計することは難しいからである.本論文では, 人間と擬人化エージェントがマインドマッピングをお互いに学習して相互適応を実現する枠組みを提案する.マインドマッピングとは, 人間や擬人化エージェントの表情からマインドへの写像である.人間とエージェントは, 相互読心ゲームと呼ばれるゲームを行うことにより, 相手のマインドマッピングを学習していき, 相互適応が実現される.この相互適応において, エージェントは, 観測された人間の顔画像を事例とした事例に基づく学習により, マインドマッピングを学習し人間に適応する.一方, 人間側は自由に学習をしてエージェントに適応する.PCとCCDカメラを用いてこの枠組みを実装し, 我々の枠組みで実際にマインドマッピングの相互適応が実現されることを実験的に示す.また, マインドマッピングの相互適応を高速化するヒューリスティックスを提案する.
著者
三吉 建尊 越野 亮 笠原 竹博 上田 芳弘 木村 春彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.909-919, 2012-08-15 (Released:2012-09-05)
参考文献数
15

現在,工作機械用の制御盤内において,部品同士をハーネスと呼ばれる電線で結線する作業は手作業で行われており,自動化が求められている.本研究では機械によるハーネス結線作業の自動化を行うために,部品に予め取り付けられているハーネス取り付け用のネジ位置を検出すること.そして機械によってハーネスが取り付けられた後に,正しくハーネスが取り付けられているか検査を行うこと.これら2つの処理を画像認識によって行う.本研究では,機械学習によって画像の特徴量を学習して識別するという,一般物体認識の手法を用いる.特徴量の計算には HOG と Bag of Keypoints を用いる.そして得られた特徴量を機械学習によって学習・識別を行うことによって画像認識を行う.本稿では,上記の手法を用いたネジとハーネスの認識率について報告する.
著者
亀井 且有 豊田 晃史 串田 淳一
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.944-953, 2012

擬似同期を用いた動画共有の代表的な例として,ニコニコ動画がある.そこでは,コメントが挿入されたビデオを見ている視聴者は一人でビデオを見ているにもかかわらず,ユーザーとそのシーンの感情をあたかも共有しているかのように感じる.本論文では,擬似同期を用いた動画共有において動画に重畳されるコメントに起因する視聴者の感情高揚について述べる.まず,ラッセルの円環モデルの4感情を生起させる動画を選出する.次に,それらをニコニコ動画に投稿し,それら動画に重畳された代表的なコメントを抽出する.さらに,それらコメントを先の動画に重畳した動画を作成し,被験者がコメントあり動画およびなし動画(オリジナル動画)をそれぞれ視聴しているときの感情の強さを測定する実験を行う.最後に,実験結果より各感情におけるコメントの有無と感情高揚との関係を明らかにするとともに感情心理学や神経科学の観点からその現象を考察する.
著者
徳丸 正孝 村中 徳明 今西 茂
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.299-312, 2007-06-15
被引用文献数
2 4

カオスニューラルネットワークは連想記憶の能力を持つことが知られており,想起過程において複数の記憶パターンの特徴を併せ特つような新たなパターンが想起されるなどの興味深い振る舞いを示すことが知られている.本研究では,カオスニューラルネットワークの新たな分野への応用の試みとして,記憶と忘却を繰り返すことにより徐々に変化するパターンを発想し続けるシステムを提案する.本システムでは,複数の記憶パターンを記憶したニューラルネットワークにより新たなパターンの想起を行うが,記憶パターンの1つを忘却し,新たに出現したパターンを記憶して想起を続ける.これにより,本システムは想起パターンの特徴を徐々に変化させながらも新たなパターンを次々と想起し続けることができる.このようなシステムはエンターテイメント分野などへの応用が期待できるが,本論文では応用例として,雰囲気を徐々に変化させながら楽曲を奏で続けるシステムを作成した.実験の結果,本システムが記憶と忘却を繰り返しながら新たな楽曲を生成していることが確認された.また,聴取実験により,本システムの奏でる音楽は,数小節のメロディを繰り返すような単純な音楽よりも飽きないものであり,また心地よいものであることが確認された.
著者
野津 亮 山本 優 本多 克宏 市橋 秀友
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.154-164, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
15

本研究は,複雑な人間関係によって構成される社会構造を理解する手がかりを得る為に,認知的経済性をエージェントに実装したマルチエージェントシステムを提案する.このシステムでは対人関係のメカニズムに関する理論として,Heiderの認知的均衡理論(バランス理論)とその数学的拡張としてCartwrightとHararyによって提唱された構造的均衡理論を認知的経済性の論理的な基礎としている.これらの理論では,概念間の関係性を肯定的関係である「+」と否定的関係である「-」に定義し,その関係によって作られたサイクル上の各関係性の積の符号によって認知的均衡状態を判断する.人間は認知的均衡化に向かうように認識を改めるとされる.このモデルにより,エージェント同士のコミュニケーションに様々な条件を付与しつつ,情報が伝達されていく仮想社会をシミュレートしたり,グループ構造やストレス構造がいかに形成されるかについても検討することが可能となる.本論文では複雑化するコミュニケーションネットワークが人間関係や認識にどのような影響を与えるのかを調査することを目的としている.エージェントモデルを定義し,ネットワークやコミュニケーションパターンの違いが持つ意味について検討する.共通の認知構造を持ちやすい,あるいは持ちにくいネットワークやエージェントについていくつかの知見を得た.たとえば,一般的にはグローバルなコミュニケーションが共通認識を持つために必要なように思われるが,それよりも個々のエージェントが選り好みしないことが遙かに重要であることなどが,今回の実験では明らかになった.
著者
張 建偉 河合 由起子 熊本 忠彦 白石 優旗 田中 克己
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.568-582, 2013-02-15 (Released:2013-03-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ニュースサイトは日常生活における重要な情報源であり,閲覧者は発生事象の情報を受信する(受ける)のと同時に,書き方によって「楽しい」,「悲しい」,「怒り」等の多様な印象も受けている.特に,賛否両論となるニューストピックに関しては,複数のニュースサイトで報道傾向が異なるため,異なった印象を受ける.また,同じ話題であっても,時間が経つと報道傾向が変化する場合には異なる印象を受ける.そこで本研究では,記事の書き方を「印象」という評価指標で分析することで,ニュースサイトの報道傾向を視覚的に比較可能な分析手法を提案する.提案手法は,まずニュース記事の多様な印象を表現するのに適した複数の印象軸を設計し,ニュース記事に対する印象辞書を構築する.次に,この印象辞書を用いて各記事と各ニュースサイトの印象値を算出し,最後にサイトごとの報道傾向の違いおよび時間的推移を閲覧者へ比較提示する.本論文では,多様な印象に基づくニュースサイト報道傾向分析手法を提案し,国内 15 社,国外 10 社の計 25 社のニュースサイトに適用したシステムを用いて,その有効性を検証する.
著者
内海 ゆづ子 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.476-487, 2007-10-15 (Released:2008-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

顔認識の特徴量としては,様々なものが利用されているが,その代表的なものとしてGaborウェーブレット特徴量がある.Gaborウェーブレット特徴量は,出力特性が生物の視覚特性と似ており,Eigenface等,他の顔認識手法と比較して良好な性能を示している.しかし,顔認識の特徴量として,Gaborウェーブレット特徴量が最適であるか明らかではない.そこで,本研究では,Gaborウェーブレット以外の様々なウェーブレット(Haar, French hat, Mexican hat, Daubechies, Coiflet, Symlet, O-spline)を用いて特徴抽出を行い,どのウェーブレット特徴量が顔認識に最適であるかを調べた.ウェーブレットのスケールを固定したもの,スケールを可変にしたものの認識率を AR Face Databaseを用いて比較を行った.さらに,スケール可変ウェーブレットを8方向に回転させ特徴抽出を行い,認識を行った.その結果,スケール可変ウェーブレットで8方向から特徴抽出を行った場合,全てのテスト画像において Haarウェーブレットが Gaborウェーブレットより高い認識率を示すことが明らかになった.
著者
鈴木 聡 森島 泰則 中村 美代子 槻舘 尚武 武田 英明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.513-525, 2008-08-15
被引用文献数
1

本研究では身体化エージェントの登場位置・身体方向に注目し,物理空間・仮想空間の間に寸断されたユーザと身体化エージェントの位置関係を乗り越え,対等な社会的関係の構築が行える環境を追求する.身体化エージェントの身体方向と,画面奥行き方向の仕切りを基準とした身体化エージェントの登場位置に着目し,これらのユーザへの影響を心理実験により検討を行った.この際,人間同士の2者対話における身体配置の選好における男女差の存在が知られているため,考慮に入れた.実験1(N=48)では作業の遂行(写真の記憶再認課題)と身体化エージェントの印象に対して上記の要因が与える影響について,男女差も考慮の上検討した.実験2(N=51)においては身体化エージェントの身体方向の,ユーザが認知するエージェントとの距離への影響について実験を行った.これらの実験の結果,エージェントの登場位置のみならず,身体方向もエージェントとの距離のユーザの認知に影響し,男性のユーザは女性のユーザより距離を離した形でのエージェントの身体配置を好む可能性が示唆された.身体化エージェントの身体配置,およびその影響の男女差を踏まえた身体化エージェントの設計の必要性を本研究は示している.
著者
渡部 啓吾 Danushka BOLLEGALA 松尾 豊 石塚 満
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.739-748, 2011-10-15 (Released:2012-01-11)
参考文献数
15

クエリー拡張や類似検索など,さまざまな情報検索のタスクにおいて,関連語が登録されているシソーラスは必要不可欠な言語資源である.人手で作られたシソーラスであるWordNet やロジェのシソーラスを使っている情報システムは多数存在するが,関連語シソーラスを人手で構築または更新する作業は大変コストがかかるだけでなく,新語や既存の単語の新たな使い方をカバーできないという問題がある.本論文ではウェブを膨大なテキストコーパスとみなし,検索エンジンを通して関連語を抽出するための手法を提案する.提案手法では,ウェブ検索エンジンから得られるスニペットを用い,効率良く関連語を抽出することができる.
著者
福島 隆寛 内海 彰
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.239-249, 2007-06-15 (Released:2007-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本論文では,Web ページに記載されている情報の信頼性(Web ページの信頼性)を,そのWeb ページやそこに含まれているテキストのさまざまな特徴から推定する手法を提案する.提案手法は,信頼性判断に影響を与える各特徴が推定対象のWeb ページで成立しているかどうかを自動判定する処理と,成立すると判断された特徴からそのWeb ページの信頼度を求める処理から構成される.どのような特徴が信頼性判断に影響を及ぼすかについては,アンケート調査を実施して,68個の特徴とWeb ページの信頼性への影響度を得た.本研究では,それらのうちの40個の特徴(信頼性の尺度)の成立を自動判定する手法を開発した.また信頼度を計算する手法として,影響度の総和を取る方法とSupport Vector Machineを用いた機械学習により信頼度を求める手法を開発した.そして,評価実験を通じて,信頼性の尺度の判断処理の有効性と信頼できる/信頼できないページの二値分類に対する提案手法の有効性を確認した.
著者
間所 洋和 佐藤 和人 門脇 さくら
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.157-169, 2011-04-15 (Released:2011-07-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本論文では,表情空間の動的多様性を定量化する表情空間チャートという枠組みを提案する.表情空間チャートは,「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,各表情の覚醒度を軸とする表情の表出レベルをチャート状に表現したものであり,教師なしニューラルネットワークのSOM(Self-Organizing Maps)とFuzzy ART(Adaptive Resonance Theory)を用いて生成する.評価実験では,Ekman が定義した基本6表情の中から「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,被験者 10 名の7週間から 20 週間に及ぶ独自の長期表情画像データセットを構築し,各被験者の表情空間チャートを生成した結果,被験者間の表情の多様性と各被験者における時系列変化を可視化することができた.更に,表情空間チャートから人間が抱える心理的ストレスが表情に与える影響について分析するために,心理的ストレスシートを用いて慢性的ストレスを測定し,SVM(Support Vector Machines)によりストレスレベルを推定した.その結果,10 名全体で 68.6%,10 週間以上の被験者5名では 77.4%の推定率が得られたことから,表情空間チャートからストレスレベルを推定できる見通しが得られた.
著者
山中 努 田中 祐也 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.691-706, 2010-12-15
被引用文献数
1 2

近年,GPS機能付きの携帯電話や,マイクロブログなどの手軽な情報発信サービスの普及により,時空間情報を伴うテキストデータ(メッセージ)が増加しつつある.本研究では,公園などの施設の管理者や自治体の防災センターの職員などが,上記テキスト情報を用いて管理区域の状況把握を行うことを支援するシステムを提案する.提案システムでは,メッセージを決まったカテゴリに分類する自動分類,類似するメッセージを集約するクラスタリング,メッセージが通常より密に発生していることを検出するバースト検出の3つの機能を備えている.万博記念公園で被験者120人に,現場の状況を携帯メールでサーバに通知してもらう実験を行い,時空間情報を伴うテキストデータを収集した.このデータを用いて,提案システムの評価を行った.