著者
根岸 龍 酒井 浩之 永並 健吾
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.693-699, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
10

本研究では,日経平均市況概況記事を自動生成するための一環として,株価と決算短信から株式動向を表現する文を自動的に生成することを目的とする.本手法によって自動生成される株式動向を表現する文は,例えば「小売業,卸売業,建設業関連が上昇.機械,鉄鋼,電気機器関連が下落」のような文である.本手法では,株価と決算短信から株式市場の動向,株価の変動要因となる事業,製品,社会背景等を投資テーマとして抽出する.具体的には,株価データから大きく変動した企業群を抽出し,各企業の決算短信から抽出したキーワードを基に,企業群をクラスタリングして絞り込みを行う.次に,絞り込みを行った企業群の各キーワードから投資テーマを推定し,推定された投資テーマを基に株式動向を表現する文の自動生成を行う.また,生成した株式動向を表現する文を用いて,日経平均市況概況記事の生成を試みる.
著者
宮本 友樹 山本 隆太郎 片上 大輔
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.731-735, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
10

本研究では,対話型擬人化エージェントの受容性について,日米比較の観点で議論する.具体的に,「調査1:社会に進出するロボットとの対話に関する受容性のオンライン調査」および「調査2:対話型擬人化エージェントとの対話を想定した言語的配慮の印象評価」を実施する.調査1では,固有の擬人化エージェントを指定せず,社会に参画するロボット全体に対して抱いている否定的態度と不安印象を評価する.調査2では,対話型擬人化エージェントと対話する想定の動画を実験参加者に視聴してもらい,その印象を評価する.これらの調査の結果,アメリカ人参加者は擬人化エージェント全体に対する否定的態度や不安な印象が日本人参加者より強い傾向にあったが,その一方で擬人化エージェントと疑似的な対話を行なうシチュエーションにおいてアメリカ人参加者に対する受容性を日本人参加者よりも高めることが可能であることが示唆された.
著者
枡谷 保博
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-8, 2006 (Released:2017-09-24)
被引用文献数
2
著者
秋山 英久 中島 智晴 五十嵐 治一
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.691-703, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
42

本稿では,RoboCup サッカーシミュレーション2Dを題材として,ゲームAIにおける局面評価の表現法と学習法を概説する.一般的に,サッカーゲームは動的環境下におけるマルチエージェントシステムの代表的な例として知られている.そこでまず,RoboCupサッカーシミュレーションをゲーム AI 研究における他のベンチマークテストと比較し,類似点や相違点について議論する.次に,サッカープレイヤが行動選択をするメカニズムとして行動連鎖の考えに基づいた探索法を示す.それは,チェスや将棋プログラムと同じように探索木と局面評価による状況の「読み」に基づいており,チームメイトとの協調行動を計画し,選択することが可能である.そして,行動連鎖生成で用いる局面評価モデルを機械学習の枠組みにより構築する方法を様々な事例をあげながら概観する.
著者
森田 譲 前田 保憲 日隈 崇文
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.262-270, 2004-06-15 (Released:2017-05-29)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

本論文では、ニューラルネットワークを利用し、倒立振子制御におけるPIDゲインのセルフチューニングを行い、評価関数の最小となるPIDゲインが存在することを明らかにした。実システムの制御対象として無駄時間を含む1重倒立振子を考える。この制御系は1入力2出力系を構成し、台車、倒立振子および角度補償器と位置補償器を含めた系を伝達関数で表し、これに時系列処理を行いニューラルネットワークで同定する。このニューロエミュレータはPIDゲインをチューニングする際に必要なシステムヤコビアンを計算するときに用いる。つぎに実システムモデルに対して、別のニューラルネットワークを用いて、倒立しているが不安定なPIDゲインの初期値からセルフチューニングを開始する。この結果チューニングで得られたPIDゲインを用いて実験を行い、測定された振子の角度および台車の位置の情報とも整定時聞か短くなり、かつシミュレーション結果とよく一致することを示した。
著者
山口 翔大 下川原(佐藤) 英理 山口 亨
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.547-551, 2023-02-15 (Released:2023-02-15)
参考文献数
9

近年,機械学習や画像処理を用いた読唇技術に関する研究が国内外でおこなわれている.これらの研究では,認識手法や認識精度に焦点を当てたものが多いが,実際に読唇を活用してコミュニケーションをとっている聴覚障害者に焦点を当てた研究は少ない.機械による読唇技術において認識精度の高かった話者であっても,聴覚障害者にとって読唇をしづらい話し方である場合もある.そこで本研究では,日常的に読唇を活用してコミュニケーションをとっている聴覚障害者にとって,読唇がしやすい話し方を数値的に解析すべく実験と調査をおこなった.
著者
久保田 直行 脇阪 史帆 小嶋 宏幸
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.449-460, 2008-08-15 (Released:2008-11-10)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

近年,ロボットは,人間と混在する一般の環境での行動が求められている.その様な環境では,ロボットの行動を事前に設計しておくことが困難であるため,ロボットは自身の経験から行動を学ばなければならない.そのような背景のもと,シミュレーション上で学習を併用する研究が行われているが,実環境とシミュレーション環境とのギャップのため,学習した行動が実環境で使えないなどの問題が指摘されている.そのため,本研究では実空間と仮想現実空間とができる限り,シームレスにつながった仮想現実空間を構築し,ロボットが環境や人間との相互作用を学習するための方法論を提案する.さらに,仮想現実空間上での行動制御や人間との相互作用に基づく実験を行った.実験結果では,情動に基づく環境の知覚が有効であること,また,人間とのコミュニケーションが円滑になることを示した.
著者
久保田 直行 矢口 愛子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.683-692, 2009-10-15 (Released:2010-01-12)
参考文献数
43
被引用文献数
1

国内における少子高齢社会の到来により,高齢者や子どもの見守りのため,家庭用パートナーロボットの開発への期待が高まってきている.しかし現状のロボットはシナリオに依存することが多く,自然なコミュニケーションを実現できてはいない.本研究の目的は,環境と発話内容の関係性を学習することで,人間とロボットの間での自然なコミュニケーションを実現することである.本論文ではロボットが環境と発話内容の関係性を学習するためにスパイキングニューラルネットワークを用いた手法を提案した.提案手法を用い,コミュニケーションを通じて,ロボットが日用品の用途を学習する実験と,時間と発話の関係を学習する実験を行った.実験の結果,ロボットが人間との相互作用によって認知環境に基づいた発話内容の更新を行えるようになる,ということを示した.
著者
山下 真裕子 山田 逸成 安田 昌司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.599-607, 2015-04-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
22
被引用文献数
2

点滅周期を変化させた色データにおける生理的・心理的影響を検討することを目的に,学生16名を対象に実験を行った.その結果,点滅周期の違いによる脳波のa3分布率および主観評価に有意差を認めた.つまり長周期の点滅周期の点滅光に快適性やリラックス感が高まる傾向を認めた.今回得られた結果により,ストレスに起因する心身の不定愁訴を抱える人々に対し,病院や企業,教育現場,地域社会において癒し効果の高い快適空間に提供することが可能と考えている.
著者
田中 成典 山本 雄平 姜 文渊 中村 健二 清尾 直輝 田中 ちひろ
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.821-830, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スポーツにおけるICTの活用として,選手をトラッキングする画像処理の研究が行われている.しかし,アメリカンフットボールなどのフィールド上での選手のオクルージョンが頻発する競技では,選手位置が正確に取得できない.そのため,選手の移動軌跡が分断され,正確なトラッキングが難しいことが課題となっている.そこで,本研究では,複数地点から撮影した映像から得られた移動軌跡を用いて,それらを相互に補完することでオクルージョンに頑強な選手のトラッキング手法を提案する.これにより,GNSSセンサなどのデバイスを相手選手へ装着ができない課題を解決する.
著者
面﨑 祐一 増山 直輝 能島 裕介 石渕 久生
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.531-536, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

マルチラベル多目的ファジィ遺伝的機械学習は,進化型多目的最適化手法により識別器の識別性能最大化と複雑性最小化を同時に考慮したファジィ識別器の学習手法である.しかし,マルチラベル識別問題において,識別性能に対する尺度が複数存在し,各評価尺度に対して最適な識別器を獲得するためには識別器の学習を複数回実行する必要がある.そこで本研究では,一度の実行で複数の識別性能評価尺度に対して最適な識別器を同時に獲得する多数目的最適化への拡張を行う.数値実験では,多数目的化したことによる探索性能への影響を多目的最適化の場合と比較することで調査する.
著者
野本 弘平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.918-926, 2019-12-15 (Released:2019-12-25)
参考文献数
12

この研究では,3つのグループの人々,すなわち日本人居住者,日本人来訪者,外国人来訪者が視線計測装置を装着して,伝統的な日本の商店街を歩く実験を,東京都荒川区において行った.注視点は,視線計測装置視野画像上の2次元直交相対座標系で計測された.これらの2次元データを3次元極絶対座標系へ変換する方法を開発し,これにより3次元空間における注視点分布を求めた.注視時間分布と注視対象についても併せて特定した.つぎに,上記3つのグループの視行動について,解析し比較を行った.そして,街を歩くときの無意識の視覚的注意がその人の社会的背景により定量的に特徴づけられた.
著者
戸田 雄一郎 宮瀬 光梨 岩朝 睦美 和田 亮雅 竹田 宗馬 松野 隆幸 久保田 直行 見浪 護
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.872-884, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)
参考文献数
15

未知環境において移動ロボットを自律行動させる場合,ロボット自身が自己位置推定および障害物の認識,目的地までの行動計画を行う必要があり,各タスクに応じた作業空間の環境地図を必要な粒度で獲得しなければならない.また,このような自律移動ロボットを災害現場や商業施設など様々な環境へ導入するために,未知環境において状況や用途に応じた経路計画を行う必要がある.そこで本研究では,高精度な自己位置推定のために用いる粒度の細かいメトリックマップから経路計画に適したトポロジカルマップを獲得するために,自律移動ロボットのためのGNGに基づく環境のトポロジカルマップ構築に関する新たな手法を提案する.本提案手法では,メトリックマップに含まれている占有度情報を環境地図の幾何的な構造を保持したまま学習することが可能である.つぎに,提案手法により位置情報と占有度情報を含んだトポロジカルマップを構築し,占有度を考慮した未知環境における経路計画手法を提案する.さらに,実機を用いた検証実験において未知環境における経路計画実験を行うことで提案手法の有効性を示す.