著者
石野 亜耶 難波 英嗣 竹澤 寿幸
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.667-679, 2010-12-15 (Released:2011-03-11)
参考文献数
17
被引用文献数
3

本研究では,自動的に観光情報を収集するための手法を提案する.我々は観光情報を収集するため,ブロガーが日記形式で綴った旅行記である旅行ブログエントリに焦点を当てた.多くのブロガーが旅行記をこの形で記述するため,旅行ブログエントリは観光情報を得るための有益な情報源であると考えられる.まず本研究では,ブログデータベースから旅行ブログエントリを検出した.その中から観光情報として土産物情報と観光名所情報を抽出する手法を提案した.更に,旅行ブログエントリからリンクを抽出することで,観光情報リンク集の構築を行った.また実験により提案手法の有効性を示した.旅行ブログエントリの検出に関しては,再現率 38.1%,精度 86.7%を得た.また,旅行ブログエントリからの観光情報の抽出においては,抽出された上位 100 件の土産物において精度 74.0%,観光名所において精度 71.0%を得ることができたため,旅行ブログエントリは観光情報の有益な情報源であるといえる.旅行ブログエントリからの観光情報リンク集の自動構築においても,高い精度・再現率を得られており,提案手法の有効性を示すことができたと言える.
著者
谷 卓哉 長谷川 浩司 坂本 博康 坂田 年男 廉田 浩 福島 重廣
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.52-64, 2010-02-15 (Released:2010-05-21)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1 1

本論文は正準相関分析を用いて顔表情画像から感情の程度を測定する手法を提案する.ここでは,顔表情のグレースケール画像およびその表情・感情を主観評価した値(快-不快および覚醒-沈静)との2種類の変量間における正準相関を分析する.顔表情画像に対する人の視線の動きから求めた注視特性を,本測定法の加重関数として組み込み,その有効性を述べる.また,画像のサンプル数の不足から生じる非正則な共分散データの場合,その情報を効率的に分析するために,中間変数を導入した正準相関分析の分解手法を提案する.また,ガウスカーネルによる非線形カーネル正準相関分析の効果について,線形の正準相関分析と比較し,その有効性を示す.男性と女性に分けた顔表情画像データベースに対して Leave-One-Out法による数値実験を行った結果と動画像に対する測定実験を行った結果を示すことにより,本提案法の有効性を示す.
著者
西野 浩明 武方 一馬 賀川 経夫 宇津宮 孝一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.519-533, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2 4 4

本論文では, 3次元物体の触知を可能にする触力覚装置の最適化を, 対話型進化計算 (IEC) で支援する手法を提案する. 提案手法は, 利用する装置に関する知識やプログラミング技能を要せず, 触力覚技術に不慣れな利用者でも, 自身がイメージする触感を直観的に作成することを可能にする. 利用者は, 計算機が提示する複数の触感つき3次元モデルに触 (さわ) りながら, 自身の好みで適合度を与える. それに対して, システムが遺伝的アルゴリズムを用いて, 利用者から与えられた適合度を基にモデルの触感を進化させる. この「利用者評価とモデルの進化」を利用者が満足する触感が得られるまで繰返す. さらに, IECによる触感生成法と従来型の手動式パラメータ設定法を実装し, 比較実験をとおして提案手法の有効性を検証した.
著者
斉藤 史哲 長谷川 修
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.266-278, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
21

近年,移動ロボットの自己位置・状態推定にニューラルネットワークを用いる手法が多く提案されている.これらの手法はある特定の静的な環境に対してロボットを適応させることに主眼が置かれており,異なる環境に置かれたときに頑健に振舞うことが出来ない.一方,包摂アーキテクチャは動的環境でも頑健に振舞うことができると期待されている.しかし,包摂アーキテクチャは環境の構造に依存するタスクには向いていない.そこで,本研究では包摂アーキテクチャに基づく行動則と学習により獲得した行動則を状況に応じて切り替えるハイブリッドモデルを提案する.強化学習の状態空間には,状態数を事前に決定する必要がなく追加学習に頑健な自己増殖型ニューラルネットワークを改良した力学的自己増殖型ニューラルネットワークを用いた.本提案の有効性は,移動ロボットが複数の環境(迷路)上で獲得した行動則を環境の変化に応じて適切に切り替えながら振舞う事ができることをシミュレーション実験により確認した.
著者
盛多 亮 鬼沢 武久
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.121-134, 2010-02-15 (Released:2010-05-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1 7

本論文では,動きを伴う文字の映像表現であるフレーズアニメーションを,形容詞・形容動詞を用いて生成する手法を提案し,その性能を評価する.提案手法は,印象推定,テンプレート動画選出,ユーザ評価による動画再構成の3パートで構成される.印象推定処理では,入力される形容詞・形容動詞の印象をフレーズアニメーションの印象因子で推定する.テンプレート動画選出処理では,推定された印象を表現するテンプレート動画をデータベースから選出し,ユーザに提示する.ユーザ評価による動画再構成処理では,提示される動画にユーザが評価を与え,評価に応じてフレーズアニメーションが再構成される.被験者実験によって提案手法の性能を検証し,ユーザが満足し,かつ鑑賞者が形容詞・形容動詞の印象を感じ取れるフレーズアニメーションが生成できていることを示す.
著者
加藤 聡 堀内 匡 伊藤 良生
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.452-460, 2009-08-15
被引用文献数
5

自己組織化マップ(SOM)を用いたクラスタリングは,k-means法などと比較して,任意形状のクラスタ抽出を比較的容易に行えることが特長の「距離ベース」の手法である.一方,個々のデータ同士の距離に注目するのではなく,データ集合の分布の状態に注目した「分布ベース」のクラスタ抽出法があり,具体的にはベイズ型情報量基準(BIC)をk-means法のアルゴリズムに適用するx-means法などを挙げることができる.この情報量規準を用いたクラスタ抽出のアプローチは,SOMを用いたクラスタリング手法にも比較的容易に適用可能であると考えられる.そこで本論文では,SOMによって初期のクラスタ候補群を生成し,これらを情報量規準に基づく判定手法によって徐々に併合するクラスタリング手法を提案する.提案手法に対して,人工的に作成したデータセットおよびUCI Machine Learning Repositoryのデータセットを用いた評価実験を行い,SOMのみを用いたクラスタリングと比較して,より本来のクラスタ分割に近いクラスタリング結果が安定的に得られること,情報量規準としてはBICよりも赤池情報量規準(AIC)が提案手法には適していること,クラスタ数の自動推定が可能であることなどの知見を得た.
著者
小西 健太 村田 忠彦 名取 良太
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.203-210, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

本論文では,投票率上昇と投票所数削減のための投票シミュレーションを提案する.まず,有権者の投票と棄権の2つの効用関数を設定する.次に,区域ごとに,それらの効用関数を組み合わせる投票係数を調整する.実際の投票率を用いた調整プロセスにより,各区域の実投票率と予測投票率の差を最小化する.さらに推定された投票係数を用いて,2目的遺伝アルゴリズム(NSGA-II)による投票率最大化と投票所数最小化を行う.これにより,投票所数を維持したまま,投票率が上昇する投票区割りの最適化や,投票率を維持した投票所数の最小化を行うことが可能となる.
著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.211-217, 2008-04-15

本論文は,人間の日常生活行動の中で,購買行動に着目しつつ,企業のマーケティング活動や需要予測などを円滑に行うためのファジィ推論モデルの構築を試みる.具体的には,主成分分析の適用によって有用になるであろう気象要因の選定を行い,また,来客数と気象要因の相関分析をも試みる.そして,分散分析を適用する事によって,日々の売上高や来客数と気象要因との関係について解析を行う.これらの解析結果から,人間の購買行動に影響を及ぼす気象要因を選定し,ファジィ推論モデルが構築される.最後に,著者らは需要予測の想定の確立を試みる,同時に,本ファジィ推論モデルの有用性を明らかにするために,従来の予測手法である回帰分析の予測結果と比較する.
著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.211-217, 2008-04-15 (Released:2008-07-04)
参考文献数
9

本論文は,人間の日常生活行動の中で,購買行動に着目しつつ,企業のマーケティング活動や需要予測などを円滑に行うためのファジィ推論モデルの構築を試みる.具体的には,主成分分析の適用によって有用になるであろう気象要因の選定を行い,また,来客数と気象要因の相関分析をも試みる.そして,分散分析を適用する事によって,日々の売上高や来客数と気象要因との関係について解析を行う.これらの解析結果から,人間の購買行動に影響を及ぼす気象要因を選定し,ファジィ推論モデルが構築される. 最後に,著者らは需要予測の想定の確立を試みる.同時に,本ファジィ推論モデルの有用性を明らかにするために,従来の予測手法である回帰分析の予測結果と比較する.
著者
澤勢 一史 延原 肇
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.32-40, 2009-02-15 (Released:2009-06-18)
参考文献数
17
被引用文献数
4

大量の画像情報を束構造として可視化することで,情報の大局の把握および未知の関係構造を発見するための,形式概念分析に基づく束構造可視化システムを提案する.このシステムでは,画像と対応する特徴を示す属性からなるコンテクスト表を作成し,属性の集合の包含関係を順序関係としたコンセプトラティスを得る.本研究では,コンテクスト表作成の際の属性選択の難しさに対応するため,直感的に理解しやすい7つの属性と,インタラクション機能を導入したシステムを提案し,ユーザが理解し易い束構造を得る. 提案システムをJAVAベースのプログラミング言語であるProcessingを用い,計算機(CPU=2.13GHz,MM=2GB)上に構築し,Corel Image Galleryより選定した1000枚の画像群を対象とした可視化実験を行う.5名の被験者によるアンケート調査および得られたコメントに基づき,提案システムによる束構造可視化の有用性を確認する.
著者
森田 譲 前田 保憲 日隈 崇文
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.262-270, 2004-06-15

本論文では、ニューラルネットワークを利用し、倒立振子制御におけるPIDゲインのセルフチューニングを行い、評価関数の最小となるPIDゲインが存在することを明らかにした。実システムの制御対象として無駄時間を含む1重倒立振子を考える。この制御系は1入力2出力系を構成し、台車、倒立振子および角度補償器と位置補償器を含めた系を伝達関数で表し、これに時系列処理を行いニューラルネットワークで同定する。このニューロエミュレータはPIDゲインをチューニングする際に必要なシステムヤコビアンを計算するときに用いる。つぎに実システムモデルに対して、別のニューラルネットワークを用いて、倒立しているが不安定なPIDゲインの初期値からセルフチューニングを開始する。この結果チューニングで得られたPIDゲインを用いて実験を行い、測定された振子の角度および台車の位置の情報とも整定時聞か短くなり、かつシミュレーション結果とよく一致することを示した。
著者
荒谷 寛和 藤田 茂 菅原 研次
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.196-212, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
21
被引用文献数
3

これまで我々は, ウェブ検索エンジンのランキング手法として, ウェブページ間相互評価手法を提案してきた. 従来のウェブページ間相互評価手法は, 適用対象とするウェブページ集合の中に高適合および適合ページが15%以上含まれていない場合に, ランキング精度が改善されないという課題が残されていた. この課題に対し, 本稿では, 新たにテキスト要約技術と適合度の推定を用いる評価関数を組み合わせる事で, 手法のランキング精度の改善を行った. 提案手法を評価するために, 第3回NTCIRワークショップのウェブ検索タスクで用いられたテストコレクションによる評価を行った. この結果, 従来手法で課題であった状況に対する改善が見られ, 同一のテストコレクションを用いた, 他の検索システムとの検索結果の評価尺度であるDCGによる比較において, 本手法がより良い順位付けを行っている事を確認した.
著者
古川 忠延 松尾 豊 大向 一輝 内山 幸樹 石塚 満
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.557-566, 2009-08-15
被引用文献数
1

ブログ上では日々コンテンツが更新されては,他のブロガーを巻き込んでの議論が行われている.本稿ではブログにおけるこうした話題伝播を解析することによる話題語の判別手法を提案する.ブログにおける話題伝播が語とブロガーの影響力によって起こるという仮説の下で,ブログ間の話題伝播を表現する行列を特異値分解することによって,それぞれの影響力を算出し,強い影響力を持つ語を重要語と判別するものである.本手法により,多くのブログ上で突発的に盛り上がる話題だけでなく,嗜好の類似したブロガー間で継続的に言及されている話題の抽出をすることが可能である.
著者
澤勢 一史 延原 肇
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.32-40, 2009-02-15
被引用文献数
4

大量の画像情報を束構造として可視化することで,情報の大局の把握および未知の関係構造を発見するための,形式概念分析に基づく束構造可視化システムを提案する.このシステムでは,画像と対応する特徴を示す属性からなるコンテクスト表を作成し,属性の集合の包含関係を順序関係としたコンセプトラティスを得る.本研究では,コンテクスト表作成の際の属性選択の難しさに対応するため,直感的に理解しやすい7つの属性と,インタラクション機能を導入したシステムを提案し,ユーザが理解し易い束構造を得る.提案システムをJAVAベースのプログラミング言語であるProcessingを用い,計算機(CPU=2.13GHz,MM=2GB)上に構築し,Corel Image Galleryより選定した1000枚の画像群を対象とした可視化実験を行う.5名の被験者によるアンケート調査および得られたコメントに基づき,提案システムによる束構造可視化の有用性を確認する.