著者
江木 鶴子 竹内 章
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.369-381, 2009

トレース技術はエキスパートの道具であるだけでなく,プログラミングの学習者にとっても学習を効果的に進めるためには早期に習得することが望ましい.筆者らは,プログラミングの最も初期段階の学習者にトレースを指導するデバッグ支援システムDESUSを開発し,実際のプログラミング教育で使用した.本論では,実践教育で得られたデータを基にDESUSのトレース教育に関する評価について論じる.DESUSに支援を求めた学習者は利用者の92%で,実際にトレースの実行を試みた学習者は52%であった.学習者のうち36%がトレース技術を獲得しており,DESUSの指導により学習したと断定できるのは,32%であった.いずれもDESUSを使用していない環境下での学習に比べ増加した.一方,支援を受けたにも関わらずトレースを試みなかった学習者が40%を占めた.この最も大きな要因は,実行状態で受けるべきトレース指導を翻訳エラーの状態で受けていたことであった.
著者
望月 俊男 久松 慎一 八重樫 文 永田 智子 藤谷 哲 中原 淳 西森 年寿 鈴木 真理子 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-33, 2005
被引用文献数
11

本研究では, 電子会議室で協調学習を行う学習者の発言データをもとに, そこで各学習者が発言している議論の内容とプロセスを可視化するソフトウェアi-Beeを開発した.i-Beeは任意の期間を単位として, 各学習者がどのようなキーワードをもとに発話したのか, 相互関係をまとめたマップを提示する.また, 過去にさかのぼってマップの変化の過程を確認できる.ある大学の授業で, i-Beeを利用して電子会議室上で議論を行い, その有効性を検討したところ, 学習者がi-Beeを見ることで, 自分自身や他の学習者の議論への関わりや, その時点までの関わりの変化の特徴に気づくことができることが分かった.また, 学習者がこれまで関わってこなかった学習者や話題にアクセスしたり, 議論への関わり方をリフレクションすることを促すリソースとなることが示された.
著者
清水 康敬 山本 朋弘 堀田 龍也 小泉 力一 吉井 亜沙
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.249-257, 2007
参考文献数
3

教育の情報化の推進に関するアンケート調査を全国の5,000校に発送し,3,869名の教員と2,019名の管理職からの回答を得て,推進のための要因と阻害要因等に関する学校種の違い,教員の経験年数,学校に対するコンピュータや電子メールアドレスの支給の有無,教員の性別の違い等について分析した,その結果,小学校から中学校,高等学校になるにしたがって学校に対するコンピュータ等の整備が進んでいるが,利用については逆に減少していること,男性教員の方が女性教員より利用度が高いこと,授業でのコンピュータ等の利用度は小学校の方が高いこと,教員の経験年数が10年以上20年未満の教員の利用度が高いこと,コンピュータが学校等から支給されている教員の利用が有意に高いことなどを明らかにした.
著者
木村 篤信 黒田 知宏 眞鍋 佳嗣 千原 國宏
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.293-303, 2007
被引用文献数
2

被教示者が教示者の動作を学習するために視覚情報を用いたシステムを利用する際,動作の種類や目的に適した教示動作提示方法を選択することで効率的な学習支援が可能である.本研究では,教示動作提示方法を,被教示者の体と教示者の体との位置関係によって,主観位置条件,3軸一致位置条件,2軸一致位置条件,1軸一致位置条件の4つの位置条件に分類し,それぞれの特徴を調べることを目的とする.それぞれの位置条件の特徴を調べるために,姿勢を模倣する実験と動作を模倣する実験を行った.その結果,主観位置条件は部分的な動作の修正や細かな姿勢の模倣に適しており,3軸一致,2軸一致,1軸一致の位置条件は動作の全体的な模倣に適していることがわかった.
著者
永田 智子 鈴木 真理子 森広 浩一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.181-184, 2006
被引用文献数
3

筆者らは,教員養成課程の大学生が,デジタル・ティーチング・ポートフォリオを作成する授業を開発・実践してきている.本研究ではこのデジタル・ティーチング・ポートフォリオを,ブログを使って作成することの可能性について,授業実践を通して検討する.