- 著者
-
中村 恵子
- 出版者
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
- 雑誌
- 廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.3, pp.93-100, 2009 (Released:2013-12-18)
- 参考文献数
- 14
福島県大内宿では,およそ300年間,江戸時代宿場町の町並み,「住まい」,生活文化を保持し続けたまま,人々は生活と生業を成立させている。1981 (昭和56) 年には,国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。大内宿の概要,「住まい」,江戸時代からの歴史と生活を調べ,まちづくりのキーパーソンに取材し,「持続可能な住まい」を現出させた要因を考察した。その要因は 1.収入減と情報減による江戸時代そのままの暮らし,2.日本の風土に合った建築と建て方 3.「地域コミュニティ」の仕組みである。その住み手のライフスタイルと仕組み,現在も続く「持続可能な住まい」への努力を報告する。大内宿の事例は,循環型社会,低炭素社会,自然共生社会を地球規模でめざす現在の私たちに,大きなメッセージを伝えているが,とりわけ,経済成長戦略の道具と化した日本の住政策に警鐘をならしている。