著者
山本 良郎 土屋 文安
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.431-439, 1976-01-15 (Released:2009-11-16)
参考文献数
36

油脂の脂肪酸配列とCa含量の違いが油脂および脂肪酸, Ca, Mgの消化吸収性に及ぼす影響を知るために, 油脂としてパーム分別油, 牛脂分別油, 豚脂分別油を選び, Ca含量として3水準 (飼料中での目標含量450mg%, 270mg%, 100mg%) をとり, 離乳直後の白ネズミによる消化吸収実験を行ない, あわせて糞便中の脂質につき検索した。油脂の消化吸収率に及ぼす効果は油脂の種類よりCa水準のほうがはるかに大であり, Ca含量の高いほど消化吸収率は低下した。3油脂のなかでは豚脂分別油の消化吸収率が最も優れ, 豚脂分別油の優秀性はCa含量の高いときにとくに顕著であった。パルミチン酸 (C16) の消化吸収率は, C16含量に大差のない油脂では, C16のグリセリンの2位への結合比の高い油脂において高く, この差はCa含量の高い群において大であった。C16含量に大差のある油脂間では, この関係はなかった。ステアリン酸 (C16) の消化吸収率はC16の2位結合比の高い油脂で高い傾向にあったが, むしろ消化過程で遊離してくるC16の量の影響が大きかった。糞便中に排泄されるけん化脂肪酸, 遊離脂肪酸量はCa水準の低下により減少するが, 減少の度合いはけん化脂肪酸のほうが顕著であった。また両者の脂肪酸組成も異なり, けん化脂肪酸のほうが明らかに飽和脂肪酸が多いが, 脂肪酸組成はCa水準によっても変化し, Ca含量が低下するとけん化脂肪酸中のオレイン酸含量が上昇した。グリセリドとして排泄される脂肪酸の割合はCa量の少ない飼料群で高く, また豚脂分別油群で高かった。Caの吸収量はCa含量の上昇とともに上昇したが, 消化吸収率は低下した。油脂については豚脂分別油群でCaの消化吸収率が高かったが, Ca水準と油脂の種類の効果を比べれば, 前者の効果のほうがはるかに大であった。Mgの消化吸収率は, Ca含量が多くなると低下した。糞便中に排泄されたけん化脂肪酸, 遊離脂肪酸総量と排泄Ca量との間には強い正の相関があった。
著者
中川 一郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.105-106, 1971 (Released:2009-11-16)
参考文献数
3

The correlation between body weight and basal metabolism of children is, except for middle school children, closer than the correlation of heat production with body surface. Therefore, the standards of metabolism based on body weight are considered simple and practicable for use in determination.
著者
寺田 喜己男 吉田 景畝
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.216-220, 1960

(1) クリームサンドの剥れ現象測定のため, 剥れ試験器を試作し適用した。<BR>(2) 測定値と感応評価による結果, クリームアイシングの剥れ接着力限界は80~90g/cm<SUP>2</SUP>にして, 70g 3cm<SUP>2</SUP>以下の接着力では容易に剥れ易い事が判った。<BR>(3) 剥れ現象にはBodyであるビスケットあるいはクラッカーの塗布面状態および使用ショートニングに特に影響を受ける事が判明した。<BR>(4) ショートニング, 粉糖の比が1:2なるクリームァイシングでは, 使用ショートニングのミクロペネトレーションが40~50mm/10をもって限界とし, 30mm/10以下では完全密着, 50mm/10以上では剥れ現象を呈し易い。<BR>(5) ショートニングのS. C. I. からは接着の限界点は40前後で, S. C. I. 30以下では危険であRる。
著者
満田 久輝 安本 教傳 岩見 公和
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.210-214, 1966-09-30 (Released:2010-02-22)
参考文献数
20
被引用文献数
249 373 4

Antioxidative activity of aromatic amino acids and indole compounds for the autoxidation of linoleic acid was found to correlate in some extent with the highest occupied molecular orbital energy which represents the electron donor property of respective molecule. 5-Hydroxytryptophan, one of the best electron donor among the compounds tested, was the most effective antioxidant. However, antioxidative activity of some indole compounds could not be interpreted simply by their highest molecular orbital energies.Neither the chelating action for the possible metal traces nor the accelerated decomposition of hydroperoxide produced during the course of the reaction explained these actions of indoles. Tryptophan, while preventing the autoxidation of linoleic acid, underwent the ring cleavage at the position of between C2 and C3 or hydroxylation at C5 to yield formylkynurenine, kynurenine, 3-hydroxykynurenine, 5-hydroxytryptophan, 5-hydroxyindoleacetic acid, etc. Following mechanisms which were compatible with the experimental results were proposed for the antioxidative action of indoles; indole donates an electron from its π-pool to linoleic acid radical or peroxy radical produced during the autoxidation of linoleic acid to form a loose charge transfer complex through a “local” interaction; an electron transfer occurs within the complex, which brings cleavage of indole rings and an inhibition of autoxidation.
著者
笠原 賀代子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.171-175, 1978-04-10 (Released:2010-03-01)
参考文献数
3

大徳寺納豆の全香気成分, カルボニル成分, 酸性成分および塩基性成分につきGC-MS, IR分析およびtRによる同定を行なった。カルボニル成分としてアセトアルデヒド, イソブチルアルデヒド, イソバレルアルデヒド, フルフラール, 5-メチルフルフラール, ベンズアルデヒド, フェニルアセトアルデヒドの7成分, アルコール成分としてフルフリルアルコールを, 酸性成分として酢酸, プロピオン酸, イソ酪酸, n-酪酸, イソバレリアン酸, イソカプロン酸, n-カプロン酸, フェニル酢酸の8成分の計16成分を同定した。さらにトリメチルピラジン, テトラメチルピラジン, テトラハイドロピリジン, ピリジンおよび2-フリルメチルケトンの5成分を推定した。以上のうち大徳寺納豆の主要ピーク成分はイソバレルアルデヒド, フェニルアセトアルデヒド (ヒヤシンスの香り), フルフラールおよびフルフリルアルコールであり, これらの4成分に加えて微小ピークではあるがベンズアルデヒド (梅の花の香気成分) が大徳寺納豆香気の重要因子とみなされる。
著者
岩田 久敬 小林 邦彦 中谷 哲郎 林田 卓也 泉 清
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.172-175, 1958 (Released:2010-02-22)
参考文献数
8

1. 小麦胚芽は生でも炒つたものでも, 還元型グルタチオン (G) 約100mg%と, 総G約250mg%を含んでいた。これを37℃で16日間貯えた場合に生胚芽では還元型G 40%以上を損失したが, 炒つたものでは少く, 20%以下を損失するに過ぎなかつた。これを更に30℃で80日間貯えた場合にGの損失は多かつた。然し炒つたものでは常に損失がやや少かつた。2. 小麦胚芽の炒つたものを約2年間室温に貯えた場合の損失は, 還元型Gは約93%で, 総Gは約68%であつた。3. 米胚芽は還元型G 40mg%, 全G 150mg%余を含んでいた。大麦胚芽は前者を20mg%, 後者を40mg%位含んでいた。そして貯蔵中の還元型Gの損失は大麦胚芽の方が少かつたが, 総Gの損失は両胚芽共に少かつた。4. 小麦粉のGは強力粉・普通粉・新鮮粉・未漂白粉に多くて, 還元型G約7mg%, 総G約30mg%であつた。その他の粉は前者3mg%, 後者20mg%位であつたが, 多くの場合に貯蔵した粉はこの値をほぼ最低値として保つていた。5. 一般に還元型Gは貯蔵中に速かに減少し, 総Gは減少がおくれ, 小麦粉の場合には数ヵ月間不変のこともあつた。
著者
印南 敏 手塚 朋通
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.14-16, 1966-05-30 (Released:2010-02-22)
参考文献数
2

こんにゃくマソナソが腸内細菌によって分解をうけ, 単糖類となり, その一部が腸管から吸収されてシロネズミの成長に寄与しているが, 実際にどの程度成長に貢献しているのか, つまりこんにゃくマンナソの生体内利用度を知る目的で実験を行なった。すなわち, 飼料中の米でんぷんの半量をこんにゃく粉および寒天で置き換えてpair feeding法により飼育し { (終体重一消化管の重量) 一初体重} を真の体重増加量 (成長量) と考え, この値から生体内利用率を算出した。すなわち, 寒天群の成長量を0, でんぷん群のそれを100とすると, こんにゃく群のそれは44.7, つまり米でんぷん群の示す成長量の約45%の成長を示したことになる。換言すれば, 今回の実験条件ではこんにゃく粉炭水化物の約45%がシロネズミの真の成長のために利用されたといえる。
著者
三橋 俊彦 檀原 宏
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.320-322, 1967 (Released:2010-02-22)
参考文献数
2

これまで5回行なわれた中共の核実験による, 牛乳の放射性ヨウ素 (I-131) の汚染濃度を, 爆発の翌日から毎日測定した。その結果,1) 中共の核実験により, 我国の牛乳に放射性ヨウ素が, 極めて明りょうに, かつ速やかに現われた。2) その濃度, 最高値の現われる時間は, 核実験の規模などで異なるが, 第1回目で千葉の牛乳では最高400pCi/lが記録され, 汚染は1カ月ほど続いた。3) 第2回以降には, あまり大きな濃度が検出されず, 7~10日間で汚染は消失した。
著者
細谷 憲政 飯豊 紀子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.83-86, 1969-03-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
12

白ネズミを用いXy投与の影響を, 体重の増加, 生殖状況, 肝XDH活性について観察した。1. 含飼中Xyを10%以上に投与すると下痢を起こすが, 毎週5%ずつXyの含存を増大して20%にし, さらに20% Xy飼料を用いて4カ月飼育しても白ネズミの体重増加曲線は無添加群とほとんど差異がみられなかった。2. 白ネズミにXyを増大して投与するとある許容量限界で下痢症状を呈するが, 速やかに適応し, さらに肝細胞質のXDH (NAD) 活性も誘導される。3. 交配時ならびに妊娠時にXyに適応させても出産に影響はみられず, また仔白ネズミの発育にも影響はみられなかった。また仔白ネズミの食べ始めた日よりXy含有飼料にて発育した場合には親白ネズミと同様のXyによる適応現象が観察された。
著者
津郷 友吉
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.151-153, 1953-12-15 (Released:2010-11-29)
参考文献数
1

落花生乳について鹽酸, 乳酸並びに各種鹽類による凝固性を試験した成績によれば, 落花生乳は大豆乳と同じく牛乳よりも遙かに少量の酸によつて, 且つ反應のpHは高くして凝固を起し, また総ての可溶性カルシウム鹽の極少量によつても凝固する。落花生乳は大豆乳よりも一層凝固し易いことが認められる。即ち一定量の落花生乳を完全に凝固するに要する鹽類の最少量はpH6.8とした落花生乳について實驗の結果はその10ccに勤し鹽化カルシウム11.2mg (Ca 4.1mg), 乳酸カルシウム23.4mg (Ca 4.3mg) または硫酸カルシウム37.Omg (Ca 10.9mg) になつている。
著者
飯豊 紀子 森内 幸子 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.77-81, 1974-03-31 (Released:2010-02-22)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

下痢を誘発する限界以下にマルチトールを5人の男性被検者に経口投与した場合の, 血液成分に対する影響を観察してみた。マルチトールを体重kgあたり0.5gを水100mlとともに経口投与した場合の血液成分の変動を, マルチトール無添加の場合の早朝空腹時, マルチトールを7日間連続投与した後の早朝空腹時, さらにマルチトールを30日間連続投与した後の早朝空腹時について観察した。血糖値は5人の被検者のうち3人は投与1時間後の血糖値が20%前後の上昇を示した。 この場合血液中のマルチトール量は0.66-1.52 (平均1.08mg/dl) であった。 総たん白, A/G, 血漿の各たん白画分, チモール混濁試験, 硫酸亜鉛試験, C. C. F. コレステロール, クレアチニン, 尿素窒素, 尿酸, 電解質 (ナトリウム, カリウム, カルシウム, リン, クロール) 鉄, アルカリホスハターゼ, 酸性ホスハターゼ, コリンエステラーゼ, 血清アミラーゼ, GOT, GPT, 乳酸脱水素酵素, ロイシンアミノペプチダーゼを観察したが, マルチトールの投与による影響は観察されなかった。それゆえ, 下痢を誘発する限界量以下に正常人に経口投与した場合には血漿成分になんら影響を示さないものと考えられる。
著者
北川 雪恵
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.139-143, 1973-12-29 (Released:2009-11-16)
参考文献数
4

前報に続いて果菜類のトマト, ピーマン (ナス科), イチゴ (バラ科) を用いて生育時期別, 上下部位別, 組織別のV. C量の変化について観察した。1) トマトの果実の生育に伴うV. C量 (mg%) の変化は総C, 還元型Cでは生育につれて増加し, いわゆる収穫期に最高になるが, 完熟期には逆に減少した。 細かく上下部位別の差異を果肉部でみると, 全期間を通じて基部に最も多く, 先端部がこれにつぎ, 中部が最も少なかった。 また組織別では全期を通じて胎座・種子部が果肉部より多く, とくに種子を含むゼリー状部に多かった。なお, 酸化型Cについては未熟期ほど多く, 生育につれて減少したが, 部位別, 組織別には総Cとほぼ同様の傾向がみられた。2) ピーマンの果実の生育に伴うV. C量 (mg%) の変化は総C, 還元型Cでは生育につれて漸増し, とくに完熟期に著しい。 上下部位別の差異を果肉部についてみると, 幼果期には中部に多いが, 収穫期以後は果頂部に最も多かった。 組織別にみると, 全期間を通じて果肉部にとくに多く種子部, 胎座部には少なかった。 また果肉部, 胎座部は完熟期に著しく増加するが, 種子部では反対に減少した。なお, 酸化型Cについては幼果期に多く, 収穫期にやや減少するが過熟期になると再び増加した。また果肉部よりは種子と胎座部に多かった。3) 可食適期のイチゴの場合を上下部位別にみると総C, 還元型Cは果頂部に近いほど多く含まれ基部に最も少なかった。また組織別では皮部にとくに著しく, ついで果肉部に多く含まれ芯部は最も少なかった。酸化型Cについても総Cの場合と同様の傾向が認められた。

1 0 0 0 OA 米飯の香気

著者
相坂 浩子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.421-424, 1977-12-05 (Released:2009-11-16)
参考文献数
4
被引用文献数
6 4

Hydrogen sulfide which seemed to contribute to the aroma of cooked rice was determined quantitatively by colorimetry, and it was found that 2 to 4μg% of hydrogen sulfide was contained in the distillate obtained during cooking rice.The effect of volatiles on the sensory quality of cooked rice was studied by comparing the GC patterns of head space vapor of tasty cooked rice of fresh crops with those of non-tasty stored rice and or with those of twice cooked rice. Total amount of volatiles from tasty cooked rice was 3 to 5 times as much as that from nontasty one. Lower boiling volatiles from fresh crops represented 80 to 90% of total aroma compounds but those from stored rice were 45%. On the other hand, carbonyls (C3-C6) from stored rice represented 30% of total aroma compounds, which corresponded to 10 times as much as those from fresh crops.Aroma concentrate of cooked rice was prepared and separated into basic, neutral and acidic fractions. Basic fraction showed the characteristic aroma of cooked rice, which was somewhat pyrazin-like and had a resemblance to the aroma produced from heated aqueous solution of proline with dihydroxyacetone.
著者
古沢 康雄 原田 知枝
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.71-74, 1960-07-25 (Released:2010-11-29)
参考文献数
2

小麦粉に対して白米粉を混合しさらにそば粉を添加すると次第にその蛋白価が向上して来る。各種の組合わせ飼料を作リラッテによる成長試験を試み栄養価を比較検討したところ, 飼料の蛋白価の推移にほぼ一致するような傾向を示したが, 本実験においては白米/小麦/そばの比が50/25/25の場合に最も栄養価が高くまた蛋白質効率も高い結果を得た。その原因は主として, 白米粉および小麦粉の配合だけではなお不足しているトリプトファン, リジンあるいは含硫アミノ酸などの必須アミノ酸がそば粉の添加によって補足せられたためであると考えられる。
著者
松岡 芳隆
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.311-316, 1971-09-20 (Released:2009-11-16)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

冒頭に述べたように, リゾチームの発見はおよそ半世紀前のことであったが, この溶菌性酵素が実際に広く利用されるようになったのは比較的近年のことである。その背景には, リゾチームの酵素化学の急速な進歩と, 幅広い利用研究の成果があり, 1959年, 1961年, 1964年の3回にわたり, いずれもミラノで開催された“Fleming のリゾチームに関する国際シンポジウム”はその集大成ともいうべきものであった。そしてその後の研究はますます尨大なものになりつつある。しかしながら, 利用研究を促し, その利用を実現化した影の力として, 高純度の鶏卵白リゾチームを工業生産可能にした製造技術の進歩を見逃すわけにはゆかない。
著者
斎藤 洋子 和泉 真喜子 大沢 章
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.468-473, 1981 (Released:2009-11-16)
参考文献数
10

The amount of dietary fiber (neutral detergent fiber, acid detergent fiber and lignin) in the edible portion; leaf, stalk and bud; of 53 species of wild plants was determined by Van Soest method and also the amounts of crude fiber, water, fat and ash of these plants were estimated. These plants were taken in Fukushima prefecture and belonged to Compositae, Liliaceae, Umbelliferae, Polypodiaceae, Araliaceae, Cruciferaeae, Uruticaceae, Polygonaceae, Caprifoliaceae, Equisetaceae, Rosaceae, Lardinabalaceae, Campanulaceae, Leguminosae, Chenopodiaceae, Saururaceae, Plantaginaceae, Berberidaceae, Saxifragaceae, Rutaceae, Gramineae, Actinidiaceae and Clethraceae.Takadiastase digestion of plant before analysis of neutral detergent fiber had little effect on the amount of neutral detergent fiber in leaf, stalk and bud of wild plants. The amounts of neutral detergent fiber, acid detergent fiber and crude fiber of these plants were 1.07 to 5.92%, 0.79 to 5.19% and 0.64 to 3.67% respectively. The correlation (r) of c ude fiber with neutral detergent fiber, acid detergent fiber and cellulose; the difference between acid detergent fiber and lignin; were 0.63, 0.65 and 0.77 respectively. Neutral detergent fiber had a little correlation with nitrogen free extract (r=-0.64) but no correlation with protein and ash (r=-0.24, 0.22).
著者
吉野 芳夫 平松 芳子 寺戸 国昭
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.53-57, 1973-12-29 (Released:2010-02-19)
参考文献数
11

二クエン酸一第一鉄四ナトリウム塩は広いpH域で可溶性であり, 吸収可能な低分子キレートとして溶存する。中性溶液中ではその80%が酸化されても消化管吸収不可能な高分子ポリマーの形成はおこらない。この化合物のラット貧血回復効果について硫酸第一鉄と比較した。両鉄化合物は鉄として0.3mg/ratを11日間にわたり10回連続投与し (第1回目は59Feでラベル化合物を投与), 鉄の消化管吸収率, Hb値の回復, 貯蔵鉄の増加を測定した。その結果, 消化管吸収は両化合物とも貧血依存性で, 貧血の亢進に伴い5%から70%にまで吸収率の増加がみられた。Hb値の回復は, クエン酸第一鉄塩投与群がより早い傾向にあったが, 最終的なHb値には差異はなかった。一方, 肝臓非ヘミン鉄は硫酸第一鉄投与群がより高値をとる傾向にある。脾臓非ヘミン鉄では両化合物で差異はなかった。
著者
志村 二三夫 森内 幸子 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.159-163, 1975-05-31 (Released:2009-11-16)
参考文献数
15

小腸のCa吸収に対するリジンならびにD3の影響を観察した。白ネズミはたん白質をアミノ酸混合物に置き換えたD欠乏飼料を用いて飼育した。白ネズミ体重の増加はリジン1.35%・D3投与群が比較的良く, これに続いてリジン1.35%・D欠乏群であり, リジン0.45%投与群の体重増加は比較的悪く, さらにD投与による差異は, ほとんどみられなかった。反転腸管を用いる45Ca輸送能は, D欠乏状態ではリジンの含有量による差異はみられなかったが, D3投与による増大効果は, リジン1.35%投与群はリジン0.45%投与群に比して大きかった。十二指腸粘膜のCaBPにも, 同様の傾向が認められた。小腸の45Ca吸収に対するリジンの促進効果は, Dを介して発揮されるものと考えられる。