著者
三浦 貴大 藪 謙一郎 荻野 亮吾 堤 可奈子 檜山 敦 廣瀬 通孝 伊福部 達
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.21-29, 2017-01-15

高齢者や障がい者の円滑な移動のために,さまざまな場所のバリアフリー化が進展している.しかし,当事者が事前に一連の経路の状況を知るには,さまざまな団体が提供した情報を総合する必要がある.一方で,アクセシビリティ状況を発信するボランティア団体もあるが,継続的なアセスメントには労力を要するため情報更新が滞りがちである.そこで本研究の目的を,実地でのアクセシビリティ状況を共有するためのシステム開発と,ボランティア支援の効率化スキームの提案とした.我々が開発したシステムでは,各地点のバリアフリー状況を地図上に概要マーカとして表示するほか,その地点の画像,関連テキストなどを記録できる.また,投稿された情報をボランティアが簡易的に整理できる.本システムの支援効果を確認するために,2つのボランティアグループにて本システムを評価した.この結果,本システムは実地でのアクセシビリティ状況の収集・整理に効果的だと分かった.また,ボランティアの経験や知識,参加意識の高さに応じて支援方策を変える必要性を示した.
著者
田中 一成 池田 紀子
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.378-385, 2016-10-15

特許は企業活動にとって欠かすことのできない財産であり,開発した技術の資産化と資金調達を含む経営判断においても重要である.特許を生み出したり,活用したりするためには特許調査を行う必要があり,その過程で特許文書を読むという作業は避けて通れない.一方で特許文書には独特の読みにくさがあり特許文書を読み解く作業が負担になってしまう.特に特許文書の独特の書き方に不慣れな技術者にとっては深刻な問題である.本稿では,特許文書を読むノウハウを機能として作り込むことによって,特許文書を読む作業を支援するシステムを構築したので報告する.さらに,化学分野に特化した特許読解支援システムの応用を通してさまざまな情報を統合し利活用する可能性について述べる.
著者
大倉 俊平 村尾 一真 田頭 幸浩 小野 真吾 田島 玲
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.386-393, 2016-10-15

記事推薦システムにおいて,機械学習を用いてユーザと記事をマッチングする手法については,すでにさまざまな研究が成されている.一方で,大規模トラフィックを処理する実サービスにそれらを適用しようとすると,システムの応答速度に関する制約や,季節性によるデータ分布の変化などさまざまな問題が浮上する.また,機械学習の「精度」が利用者の満足に直接結びつくとは限らない.本稿では,筆者らが実際の記事推薦システムを構築する上で,それらの問題にどのように対処したかを事例と実験結果を合わせて紹介する.

1 0 0 0 OA 表紙・目次

雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, 2016-10-15
著者
武田 浩一 住田 一男 那須川 哲哉
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.394-405, 2016-10-15

「デジタルプラクティスの読者の方には,自分の専門をちょっと壊してほしい!」.人工知能の父と呼ばれるMarvin MinskyやAlan Kay等との親交が深い静岡大学教授の竹林洋一氏を迎え,これまでの人工知能技術の研究開発を俯瞰するとともに,「ディープラーニングには何が足りていないのか」,「将来を見据えて研究開発のターゲットを設定することの大切さ」,現在精力的に取り組まれている「人工知能の医療介護への応用」といったテーマで大いに語っていただきました.
著者
坂本 誠 岡崎 吾哉 岡本 直子 川口 晴之 永野 学 瀬戸 洋一
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.52-60, 2016-01-15

個人情報影響評価(PIA:Personal information Impact Assessment)は,個人情報の収集を伴う情報システムの導入,改修の際に,個人情報漏洩問題の回避あるいは低減を目的として個人情報に関するリスクを「事前」に評価するリスク管理手法である.海外ではPIAの実施例は多いが,その有効性を客観的に評価した事例はない.日本で普及させるには,有効性の検証が必要である.評価対象システムの個人情報に関するリスクを構築前に可視化することができるか,システムを適正に構築運用するためにPIA実施依頼組織の個人情報保護意識を向上させることができるかという観点からPIAの評価を行った.個人情報保護意識が約10% 改善するなど,有効性があるという結果を得た.
著者
樋渡仁 岩村相哲 新井克也
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.227-234, 2011-07-15

本論文では,我々のクラウドコンピューティング環境において,多数のHDDが故障した事例を取り上げ,故障実績を調査した.この故障実績をもとに,HDDの寿命分布を求め,代表的な寿命分布をあてはめた.赤池の情報量基準(AIC)を用い,適合度を評価すると,ワイブル分布(形状母数α=1.508)が最も良くあてはまることが分かった.この結果から,交換用HDDの必要数を推定する手法を提案した.さらに,RAIDコントローラが保持するHDDの状態とHDDの平均寿命について調査した.コマンド中断数,メディア故障数,接続失敗数とHDDの平均寿命に有意な相関関係があり,幾つかの仮定の下で我々のHDDの故障物理が速度過程モデルに従うことが分かった.この結果から,メンテナンス時にHDDの余命を推定し,予防的に交換する手法を提案した.
著者
石田朗大 寺西教高 日隈美奈子
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.239-245, 2015-07-15

設計書や仕様書などのドキュメントが十分に整備されていないシステムについて,その利用や改修を行うためにソースコードの解析,ドキュメントの整備を行う場合,目的によっては必ずしもシステム全体を解析する必要がない場合も多い.課題に対してシステムの必要な部分のみを解析するといったことは,実務ではよく行われるが,その具体的な手法について体系的にまとめられたものはなかなか見受けられない.本稿では,公的年金財政検証プログラムを対象として,いかにして短期間でソースコードの解析を行い,プログラムの改修を行ったかについて,その実践事例を示す.設計書や仕様書を網羅的に作成するのではなく,目的に合った解析を集中的に行うことで,プログラム解析の工数削減を行うことができた.
著者
中野猛 下垣徹 橋本拓也 渡邉卓也
出版者
情報処理学会
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.130-138, 2014-04-15

本稿では,オンライン機械学習を実現するためのミドルウェアであるJubatusのユースケースとして,不動産賃貸物件を題材とし,利用者の嗜好を反映させながら絞り込みを行い最終的に物件を推薦するサービスを開発した.このサービスでは物件の属性情報を基にMDS(多次元尺度構成法)を用いて探索空間を構築する.利用者の操作に応じ,その空間上で二分探索を基本的発想とする幾何的絞り込み,およびJubatusの分類器を利用した絞り込みを行い,探索空間を狭めていく.さらに3次のBスプラインによるcurve fittingを行い,絞り込みの収束点を予測した上で,利用者の嗜好に合致する物件一覧を提示する.
著者
中井俊文 石田浩二 安浦寛人
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.169-178, 2015-04-15

東日本大震災以降,各自治体で防災計画の見直しが行われている.福岡県糸島市も緊急時防護措置準備区域を抱える自治体である.我々は,糸島市と協力し,有事の際の住民の円滑な広域避難体制の確立を目指し,ICTを利用した避難支援システムを開発し,避難訓練にて実証実験を実施した.その結果,ICTを用いることにより,過去に行ってきた避難訓練の結果を革新的に変え,住民の確認時間を1/4に削減することにより全体の避難時間を1/2とすることが可能となった.加えて,本システムを有効に利用するためには,今後検討しなければならない課題もあることが判明し,その解決法について検討を行った.
著者
原田康徳
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.105-111, 2015-04-15

プログラミング教育を,実用的なプログラムを書くためのスキル教育だけでなく,情報化社会を生き抜く上で広く全員が知るべき教養的な位置づけで捉える.筆者は,ビジュアルプログラミング言語ビスケットを使って「コンピュータとは何か」を一般人(小学生から大人まで)に伝える活動(授業,ワークショップ,イベント)を行っている.その内容を紹介する.
著者
竹村治雄 西田知博
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.139-148, 2015-04-15

情報通信技術が教育に及ぼす影響は大きい.ここでは,eラーニングの学習環境やコンテンツの作成にかかわる3氏に話を伺った.今,注目されているMOOCを始め,それを支えるプラットフォームの翻訳,コンテンツのディレクションや標準化などについて,各氏の経験に基づくノウハウなどが語られた.
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.71-71, 2015-01-15
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.72-73, 2015-01-15
著者
橋田浩一 和田典子 藤島寿智 上沼亜希子
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-34, 2015-01-15

PLR(個人生活録)は,個人データを本人(代理人)が管理し,本人のメリットを高めるように自由かつ安全に他者と共有して活用するためのスマートフォン等のアプリ(ミドルウェア)である.個人データを本人がPLRで管理し本人同意に基づく個人データの流通と利活用を容易にすることにより,B2Cサービスに関連する産業や文化の活性化と個人情報の保護を両立できると期待される.こうしてヘルスケアサービス全体の価値を高めるための布石として,PLRに基づく介護支援システムKWeN(Keishin Wellness Network)を施設介護の現場のニーズを反映させながら開発した.現在,試験運用を通じた改良を進め,その実用化とともに,PLR の特徴を活かした新サービスの開発や医療との連携を目指している.
著者
寺田雅之 川上博 岡島一郎 篠崎俊哉 坂下昭宏
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-42, 2015-01-15

携帯電話ネットワークの仕組みを使って日本全国の現在人口を継続的に推計できるモバイル空間統計について述べる.モバイル空間統計は人口の地理的分布を示す人口分布,地域ごとの現在人口の時間推移を示す人口推移,性別・年齢・居住地に基づく人口構成を推計することを通じ,社会や産業の発展に寄与していくことを目的としている.本稿では,モバイル空間統計の概要と,その実用化に向けたプライバシー保護や社会的説明,信頼性・有用性検証への取り組みを紹介するとともに,国内外の関連動向について触れる.
著者
金子朋子 村田松寿
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.54-60, 2015-01-15

筆者らは,情報技術セキュリティの評価基準であるCommon Criteria(CC)に関して,評価機関,ベンダ,研究者が集まる国際会議に出席した.同会議において2014年9月8日付で,本評価基準に基づく評価結果を相互に承認する国際的なアレンジメントであるCC 承認アレンジメントの改訂版発効が発表された. 新しいアレンジメントに基づき,今後CC承認アレンジメント(CCRA)加盟各国が製品ベンダや評価機関,研究者と協力し技術分野ごとに共通のPP(cPP:Collaborative PP)を開発するとともに,加盟各国の政府調達でのcPP 活用を促進することが新たに宣言された.本稿では,CCについて,① CCとは何か? ② CCにおける認証制度はどのようになっているのか? ③本会議で発表されたcPP活用により,国際社会におけるCCはどのように変わっていくと想定できるのかについて,所見を述べたい.

1 0 0 0 OA アンケート

雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.74-74, 2015-01-15
著者
櫻田武嗣 萩原洋一
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.61-69, 2015-01-15

我々は全国の国立大学法人の連合農学研究科を結ぶシステムとして,HD(High-Definition)の遠隔講義システムを構築し,2009年から運用を開始した.本システムはネットワークを用いて遠隔制御を行うことで自動化行い,あらかじめ予約をするだけで全国の大学を結んで遠隔講義が可能である.これまで遠隔講義やテレビ会議を利用してこなかった方々にも利用が進んでおり,すでに運用は5年を経過している.本論文ではシステム自動化にあたって考慮した点や実際の構築について述べるだけでなく,複数組織にまたがったシステムの構築,運用を行う中で得たさまざまな知見について述べる.今後は機器だけでなくネットワークに関してもマニュル等に載っていないノウハウなどの情報を含めて集積し,運用をよりスムーズにしていく必要がある.

1 0 0 0 OA 巻頭言

著者
平田圭二
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-1, 2015-01-15