著者
棚橋 祐治
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-36, 1999-10

論説昭和50 年代から日本の貿易黒字が高まり、なかんずく対米貿易収支の黒字が拡大するにつれて日米間の貿易摩擦が続いている。カラーテレビ等の家電製品から始まって、自動車・工作機械・半導体等の戦略産業分野において激しい対立が生じた。米国は、経済の好調を背景として、ここ2 年ほど、日本の経済の更なる悪化は米国経済にも悪影響を及ぼすという判断から、為替政策等において、日本の対米貿易黒字が拡大することについては比較的静観していた。しかし、米国の貿易収支が1998 年には約2 ,億ドルという最高の赤字を記録するにいたり、米国の通商政策は硬化してきている。米国貿易収支の悪化は、モノづくりの生産拠点の大幅な海外移転といわゆるサービス経済化に加えて米国経済の拡大による資本財等の需要増加によってもたらされたものである。しかしながら、日本は米国市場にその輸出の約30 %という大きなシェアを依存しており、付加価値の高い米国市場は日本にとって重要であり、理屈だけで日米貿易問題を論ずることはできない。既に四半世紀に亘って、日米両国政府により自動車や半導体等の個別協議から、構造協議あるいは包括協議と言われる全体協議が重ねられている。
著者
菊池 静香
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.45-60, 2006-07

論説(Article)本稿は、学位論文「明治以降における河川にかかわる地域組織の成立と変遷に関する研究」のうち、明治期から現在までの河川にかかわるNPO活動の変遷を把握するため、基礎調査としてとりまとめた一つの章について、一部加筆したものである。一般に、NPOについては様々な分野において研究がなされている。しかし、河川にかかわるNPO活動については既往研究が限られており、明治期から現在までの組織活動を通史的に論じたものはほとんど見られない現状にある。そこで、河川をフィールドに公益活動を行なう市民活動や住民活動について、時代を象徴するような組織活動や全国的に影響を与えた運動などを整理し、時系列的な類型化を試みた。はじめに研究の目的、既往研究、考察の対象などについて述べる。次に、河川にかかわる環境運動について、運動内容により(1)河川改修促進運動、(2)反対運動、(3)自然環境保全運動の3つに大別し、それぞれ時代を象徴するようなNPO活動や全国的に影響を与えた運動などについて、その概要を整理する。そして、社会や河川施策に果たした意味を把握した上で、明治期から昭和初期、第二次世界大戦後から昭和40年代、昭和50年代から現在について類型化を行い、その特徴を明らかにした。
著者
柿本 昭人
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-12, 2014-09

論説(Article)「安全神話」という成句は、奇妙な成句である。安全と神話という相容れない基盤に立つ用語が、同じ土俵で渾然一体となった有様なのである。しかも安全神話は、巨大システムにおけるトラブルのたびに否定されると同時に、その安全神話の再構築や継続を誓う際に用いられ続けている。原発が潰えた安全神話の代表であるなら、新幹線はいまだ命脈を保ったままの安全神話の代表である。しかし新幹線システムの開発・運営の歴史そのものは、事象の発生確率の大小と無関係に安全バリアの機能が無条件に喪失するという極端な想定に立ち、危険の顕在化プロセスを防止するために、発生防止の層だけでなく、それに続く拡大抑制、影響緩和という三層に及ぶバリアを設定する「深層防護」と呼ばれる考え方に立ってきた。この新幹線システムの開発・運営の歴史そのものと新幹線を取り巻く安全神話との同居が、科学理論の裏づけに基づく個別の具体的な技術的前進ゆえに被害を最小限に抑えるのに成功した時でさえ、それを我々に失敗と把握させ、「安全神話が揺らいだ」と言いつのらせ、経営トップに「安全神話を守り抜く」と決意表明をさせる。安全神話とは、安全運行に関する経験や勘に基づく人間の判断の排除によって達成された安全の実績を熟考することなく、安全への人間の意志と注意力こそが安全を実現するとする、安全についての反射的思考の絶対化である。
著者
三浦 哲司
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.33-46, 2010-09

研究ノート(Note)大阪市でも全国的なながれと同様に、1935年から選挙粛正運動が展開された。端的にいうと、この運動は1935年から1942年までの7年間に、全国各地で展開された一連の選挙浄化運動のことである。そして、本稿は大阪市のなかでも北区を事例として取り上げ、1937年6月の市議会議員選挙の際の運動展開について検討する。そこで、本稿ではとりわけ、従来の先行研究が選挙粛正運動の際の部落懇談会の重要性を説いてきた点をかんがみ、大阪市における町内懇談会(大阪市では部落懇談会に相当する会合がこのように呼ばれた)に着目して検討を進めていく。そして、北区都島第一学区の都島本通1丁目および2丁目で開催された町内懇談会の検証により、全国各地で開かれた部落懇談会の開催方式とは異なる大阪市の特徴を把握することができるのである。すなわち、一般的な事例と比較すると、大阪市の場合には町内懇談会に参加する有権者の割合が極端に低いことに加えて、有権者にまでその成果が浸透するまでには多くの階層を経なければならないという「間接型懇談会方式」を採用せざるを得なかったのだった。これは、当時の大阪市内の有権者数の多さをかんがみるならば彼らすべてを町内懇談会に参加させるのは非現実的であり、自ずと参加対象者が限定されていたことに由来する。もっとも、本稿における検討では、地域社会のアクターとして中心的に取り上げたのは町内会であり、また当時の大都市のなかでも大阪市のみを扱っているにすぎない。そのため、今後は地域社会のなかで選挙粛正運動の展開を支えた他の団体のうごきを検証するとともに、他の大都市でも「間接型懇談会方式」が採られていたのか否かを検証していきたい。
著者
戸政 佳昭
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.307-326, 2000-12
被引用文献数
1

研究ノート本稿は、政治・行政学や公共政策論において一種の流行語となっているガバナンスという言葉が、流行のゆえに混乱をもたらしていると認識し、ガバナンスという言葉そのものについての整理・検討を行っている。言葉が引き起こす混乱は、その言葉が登場することとなった背景が整理されないままに使われることが原因になっていることが少なくないので、まずはガバナンスという言葉が日本の政治・行政学や公共政策論において浸透するに至った背景を6 つに分けて整理している。さらにこれらから、政治・行政学や公共政策論においてガバナンス概念を用いる意義・意味は「ガバメントからガバナンスへ」という文脈で発揮しうるものであるとしている。次 に、ガバナンスという言葉の具体的な使われかたとしては、辞書的用法、規範的用法、分析的用法の大きく三つに分けることができるとしたうえで、規範的用法については、共通点とでもいうべき5 つのキーワードがあることを指摘し、さらにこの用法においての問題点および今後注意すべき点などを整理している。分析的用法については、さらに包括的アプローチ、サード・セクターからのアプローチ、政府からのアプローチ、の三つにわけることができるとした上で、それぞれにつき簡単な説明を加え、さらにこの用法においての問題点および今後注意すべき点などを整理している。なお、本稿は今後作成する予定の論文の一部分に相当するものとして執筆したものである。
著者
竹内 孝之
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.331-346, 2003-03

研究ノート香港の返還に伴う80 年代から今日までの香港政治経済の変化を、財界内部の変化と政府の関係から分析した。香港は自由放任経済といわれるが、実際はサービス産業には独占やカルテルが政府によって認めらている。また、末端の行政においても、各種委員会を設け、関連する企業の意向が反映される制度になっている。そのため、(返還前)香港政庁と英資財閥との関係は植民地体制下の癒着関係に見える。だが、1970年代より華資財閥が規模を拡大し、英資財閥の企業や財閥そのものを買収する例も見られた。その背景には、英資を支えていた香港上海銀行が華資財閥に買収資金を貸与した他、所有株式を譲渡するなどの支援を与えたことがある。また、香港政庁も華資財閥による英資企業・財閥の買収を妨害しなかった。つまり、英資財閥と香港政庁は互いの利益を守るために、癒着関係を形成してはいたが、必ずしも華資財閥を政治的に排除するものではなかった。そのため、中国政府は、中資企業を通して香港経済の脱植民地化(英資の特権排除と華資との協力)を試みるが、必ずしも華資財閥の利益には結びつかず、単に中資企業が利権を獲得しただけに終わる場合もあった。返還後は海運会社会長だった董建華が行政長官に就任し、華資財閥が香港の政治経済を掌握した。さらに、官僚の権限を財界人へ移すための閣僚制度の導入も検討されている。だが、政策の公平性や整合性に欠けるなど問題も出始めている。
著者
緒方 あゆみ
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.283-296, 2003-03

研究ノート平成5年に制定された「障害者基本法」の第2条が、「この法律において『障害者』とは、身体障害、知的障害又は精神障害(以下「障害」と総称する。)があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」と規定していることから、精神障害者も他の障害者と同等に扱われるようになった。次いで、平成 7年に制定された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)により、精神障害者にも医療と福祉の両方のサービスが提供されるようになった。しかし、現状は、しばしば指摘されるように、精神保健福祉の歴史の浅さに加え、長年の精神障害(者)への偏見や差別から、精神障害者の社会復帰支援に関する施策は他の障害者のそれに比べて遅れているといわれる。では、その実態はどうか。本稿では、精神障害者の自立生活支援及び就労支援施策を含めた社会復帰支援施策について、わが国および地方自治体レベルではどのような施策が現在展開されているのかの問題に焦点を合わせ、わが国の精神医療の歴史、現行の精神保健福祉法の内容、地方自治体(京都市)が現在行っている施策等を研究し、最後に、京都市内の精神障害者共同作業所への実態調査の集計結果から、精神障害者の社会復帰支援の現状と課題について考えていきたい。
著者
黒澤 寛己 横山 勝彦
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.115-118, 2010-09

研究活動報告(Research and Activity Report)本稿は、2009年12月25日~28日にかけて、日本広報学会「スポーツ広報とソーシャル・キャピタル研究会」の会員5名 が中国上海市を訪問して、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)形成に果たすスポーツの事例を調査した報告である。今回の訪問では、在留邦人を含む多くの外国人が駐在し、複雑な多民族・多国籍文化を形成している国際都市上海を事例に、スポーツを活用したソーシャル・キャピタルの構築について、美津濃(中国)体育用品有限公司・上海石橋水産品有限公司 の各企業を中心とした支援体制のもと調査を行った。スポーツの「強化」と「普及」の両面を調べるため、国家のスポーツエリート養成施設「東方緑舟体育訓練基地」と日本人駐在員を中心としたボランティアによる「龍心館柔道場」を訪問先として選定した。
著者
小田切 康彦
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.39-51, 2012-09

論説(Article)本稿の目的は、多様なアクター間協働の管理運営に影響を及ぼす条件を明らかにすることである。わが国においては、地方分権や地域自治の推進を背景に、地方自治体を中心とした協働政策が積極的に展開されている。しかし、資源不足やアクター間の関係構築の困難性等、その管理運営について多くの問題を抱える現状にある。協働を扱った先行研究は蓄積されているが、管理運営のあり方に着目したものは少なく、本稿ではその管理運営に影響を及ぼし得る条件について検討した。まず、政府-市民間、政府-営利企業間、営利企業-市民間、あるいは政府-営利企業-市民間等の協働を扱った先行研究を基に、協働の形成及び持続性に関する論点整理を行った。つづいて、京都西陣地域における自治体、市民、商業者、自治会、大学等が参画する協働事例のケーススタディを行った。結果、多様なアクター間協働の管理運営に関して、目的の共有、アイデンティティの共有、協働形成以前のアクター関係及び経験、協働の組織構造・関係性、協働の文脈、という5つの条件が明確化された。
著者
小山 健一 山口 洋典
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.17-32, 2010-09

論説(Article)本論文は、民間の劇団による公的事業の展開に着目し、フィールドワークを通じて、文化芸術分野からの地域活性化の方策を取りまとめたものである。特に、第一筆者が自治体からの交付金を得ておこなった演劇公演の運営を経て感じてきた、創造集団における「作家性・芸術性」とアートマネージャーによる「戦略」とのあいだで生じた衝突・軋轢の中から、いくつかの検討を重ねた。実践に対しては、文化政策やアートマネジメントの観点から論考がなされた。そして、(1)公立文化施設での非文化芸術分野の活動への公的資金充当で市民芸術家は育成されるか、(2)アートマネージャーと創造集団の代表者とのあいだにはどのような確執があるかについて接近している。これらを通じて、公による文化施設の活用、すなわち「アウトリーチ」の視点に加えて、民による公への「インリーチ」の観点が重要であることを明らかにした。そして、アウトリーチとインリーチが断続的に展開されること、すなわち反復的交替するとき、公民協働のダイナミックスが導かれることを示し、その状態を担保するために民に求められる視点をまとめた。This fieldwork argues about the difficulty of the community revitalization through a private theatrical company with local government. The difficulty is featured of the gap between artisticity and strategy in the 1st author's practice. From reviewing some references especially in arts management and cultural policy studies, two critical points became clear. (1)How can public fund develop a citizens' art movement in cultural facilities. (2)What kind of discords are generated between Arts manager and representative. mutually as feed-forwarding to create the better future. Finally, this paper proposed the importance of private inreach activity for public outreach program. Furthermore, we had pointed it out about the necessity of repetitive change in project independence which is started from a citizen's action to keep the dynamics on inreach and outreach.
著者
小山 健一
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.45-61, 2009-12

研究ノート(Note)本稿は、わが国の地域文化政策のあり方について、演劇を事例にまとめたものである。考察にあたり、はじめに、演劇の定義や社会的効用について、先行研究をふまえながらまとめた。次に、演劇の振興をはかるうえで重要な役割を果たすこととなる行政と劇団については、いずれも筆者の活動フィールドであることから、その現状の整理と課題の析出に多くの分量を割いた。そのうえで、地域文化政策のあり方を提示した。本稿では地域文化政策を論じるうえで協働という概念を採用しており、協働する主体を「行政」「劇団」「アートNPO」「企業」の4つとした。また、協働のあり方については、それぞれが他の協働主体に対し、どのようなコンテンツを提供することが必要かという観点から論じた。特に、行政や劇団、アートNPOについては、アウトリーチとよばれる活動に焦点を当て、そのうえで協働主体としてのあり方を提示した。その際、筆者みずからが参加した関連活動における事例をいくつか紹介した。最後に、4者が協働による地域文化政策において果たすべき役割を、主体間の相互作用も含めて明らかにしたうえで、今後の展望と課題を示した。本稿は2009年6月27日、28日両日に、大阪市立大学にて開催された日本演劇学会全国大会において、筆者がおこなった研究発表に大幅な加筆修正を加えたものである。I argue in my paper the local cultural policy, especially theater arts ,  in Japan. First, I review the previous research to define social effects by theater arts . Second, I discuss about the administrative policy of local government and the situation of the theatrical company from my action research. In this paper, "collaboration" is the key concept for an appropriate cultural policy agreement with local government, theatrical company, nonprofit organization in Arts and profit organization. This kind of collaboration brings about cooperation to share the each contents and ideas each other. And this paper feature the action which is called "outreatch" by collaboration among stakeholders in my practices as the cases. Finally,  I show the the roles of collaborators in a local cultural policy,  especially theater arts . Incidentally, this paper is based on the my presentation in the Japanese Society for Theatre Research annual conference 2009 on June 27-28 at Osaka City University.
著者
柏原 清江
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.33-46, 2008-07

論説(Articles)本稿での「企業再生」は、再建型法的手続を適用した企業を過去のしがらみから脱却させ、再出発させることを重点に早期再建を検証する。筆者は、再建型法的手続の企業を中心に、適用した企業に買収監査(Due Diligence)を行い、管財人および経営者、従業員の事情聴取を行ってきたなかで、従業員が再生に対しての管財人並びに旧経営陣の経営続投に対する不安感が多くあった。一方では、経営者たちも後継者難の悩みを抱え、再生に対して、不安を募らせていた。また、経営者たちのなかでは「現状の再建型法的手続は、未だネガティブなイメージがあり、申し立てに躊躇してしまう。再建型法的手続による成功事例(企業再生)が少なく、どのようなスキームで再建できるのかを知りたい。むしろ、中途半端な再建をしなければならない状態では申し立てした意味がない。これでは、敗者復活(再生)ができるのか不安で、再建型法的手続の意味がわからない。」といった意見も多く耳にした。本稿の目的は、以上の調査から再建型法的手続の倒産処理において「企業再生」に何が必要なのか。再建型法的手続の主旨である「企業再生」を有効にかつ早期実現できるように、人的・制度枠組みを提言する。"Revival of enterprises" in this text verifies that the enterprise that applies the rebuilding type legal procedure is gotten rid of from past bonds, and it is made to start afresh and rebuilding at the early stage is verified to the emphasis. The author audited purchase (Due Diligence), existed to the enterprise that applied mainly the enterprise of the rebuilding type legal procedure by the employee on the inside where the administrator, the manager, and the employee had been questioned, and there were a lot of anxieties to management the consecutive pitching of the administrator and former executives to the reproduction. On the other hand, managers also held the worry about the difficulty of finding successors, and uneasiness was felt increasing for the reproduction. Moreover, managers. "The rebuilding type legal procedure of the current state is still a negative image, and hesitates in the statement. I want to know can the success case (revival of enterprises) by the rebuilding type legal procedure able to be few, and in what scheme to rebuild it. There is no stated meaning in the state to have to do a halfway rebuilding. With this, it is uneasy, and doesn't understand the meaning of the rebuilding type legal procedure. whether it can be a consolation (reproduction)" It heard of a lot of opinions. What of the purpose of this text is necessary for "Revival of enterprises" in the bankruptcy processing of the rebuilding type legal procedure from the above-mentioned investigation?"Revival of enterprises" that is the purport of the rebuilding type legal procedure does, and it is effective and to achieve it at the early stage, proposes the human system frame.
著者
橋本 誠志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.45-64, 2003-03

論説ブロードバンドサービスの普及に伴い我が国は本格的なインターネット常時接続時代へと突入している。インターネットに長時間接続するユーザーが増加するにつれ、インターネット上にユーザーの個人データが流出する危険性は拡大する。精度の高い個人データが一旦、ネットワーク上に流出すれば、データ主体は、たとえ犯人が逮捕された後も私的生活の平穏を脅かされるリスクを常に背負う。個人データの流出予防策に加え、実際にデータが流出した際の被害拡散防止策の充実が今後のインターネット上の個人データ保護政策にとって不可欠である。現在のプライバシー侵害の主な救済手法である不法行為構成には、要件上の限界が存在し、権利保護に費用と時間がかかるばかりでなく、(1)賠償額も低額しか認容されない、(2)立証責任、時効面で柔軟性に欠ける、(3)権利保護の程度が貧富の差に左右される等の問題がある。近時では、情報主体と事業者間において契約関係が存在する場合、事業者がデータ主体の同意した範囲を超えた情報取扱をした場合に債務不履行責任を認める契約アプローチが提唱され、米国では、既にインターネット上での個人データ保護政策のフレームワークとして利用されている。しかし、我が国では事業者のプライバシーポリシーの監視制度やプライバシー保護団体のサポートが機能しておらず、契約アプローチの実効性は期待できない。本稿では、近時のプライバシー保護技術の動向に鑑み、インターネット上への個人データ流出した際の被害拡散防止手法として、財産権的アプローチの有効性を検討し、インターネット上での個人データの交換にライセンス制の導入を提案する。
著者
加藤 良太
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.145-157, 2006-12

2005年11月末に始まった、小泉政権におけるODA(政府開発援助)一元化議論は、ODA政策に対するアドボカシーを行なってきた市民・NGOにとって、ODA政策形成への「市民・NGO参加」を自ら問い直す契機となった。経済財政諮問会議の決定に基づき、2005年12月から開催された「海外経済協力に関する検討会」(以下、「検討会」)では、内閣に「ODAの司令塔」となる「海外経済協力会議」を設置し、ODA実施機関であるJICA(国際協力機構)とJBIC(国際協力銀行)の一部を統合、一元化することが決定されたが、市民・NGOはこのプロセスに公式に参加することができなかったのである。 市民・NGOはこれに抗議し、検討会への働きかけや提言、報道関係者や国会議員などとの連携を通じて、市民・NGOの意見がODA一元化議論に反映されるよう取り組んだものの、結果的には、市民・NGOの意見が十分に反映されず、国益志向の強いODAの流れを後押しする報告が検討会から出される結果となった。一方で、ODAの話題が報道で広く取り上げられたこと、報道関係者や国会議員との新たなつながりなど、市民・NGO参加の今後に資する成果も残された。 こうした結果を受け、今後の新たなODA政策形成の枠組みの動向を見極めながら、市民・NGOとして、新たな参加のあり方を模索していくことが必要である。
著者
上田 誠
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.83-103, 2005-12
被引用文献数
1

論説(Article)本稿は、わが国の商業政策における振興政策として、長年にわたりその主軸を担ってきた商店街を対象とする政策に関する研究である。 商店街を対象とする政策は、1998年に、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の、いわゆる「まちづくり3法」が成立し、大店法を中心とした調整政策が大きく政策転換した後も、引き続き国や自治体の小売商業振興政策において重要なポジションを占めている。しかしながら、一方では、「商店街の疲弊や衰退に歯止めがかかっていないのではないか?」あるいは、「商店街政策や施策が機能していないのではないか?」 との指摘がなされているのも事実である。 本研究では、商店街の捉え方と本質把握の重要性を指摘することを目的に、3つの考察を行った。1点目は、商店街の概念の考察である。商店街には、空間的概念と組織的概念が存在し,この2つの概念の混同とズレから生ずる問題点を指摘する。2点目は、組織としての商店街の意思決定に関する考察である。商店街組合が戦略的な行動を選択しにくいメカニズムを説明する。3点目は、商店街の3段階の形成と、特に政策形成関係者としての位置付けの考察である。第1次百貨店法、第2次百貨店法、大店法の3つの法律の制定局面における政治的動きの特徴を説明する。 最後に結論として、商店街の多面性を理解し、本質を把握することが、商店街を対象とする政策を進めていく上で極めて重要であるということを指摘するとともに、合わせて商店街研究の多様性,学際性を示している。
著者
松本 茂章
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.139-155, 2008-12

研究ノート(Note)本稿は、パリ日本文化会館の運営状況と資金調達のシステムについて調査研究した成果である。同会館は、日本が海外に持つ最大級の総合的な文化交流施設であり、独立行政法人・国際交流基金が所有、運営している。1997年に開館したので、2007年は開館10周年に当たり、活発な文化事業が展開された。この節目に合わせて2008年3月から4月にかけて訪問、聞き取り調査を行った。同年8月には国際交流基金および資金調達を担当する同会館・日本友の会に取材を行った。同会館が以前から気になっていたのは「官民合同プロジェクト」と呼ばれ、日仏両国政府や経済界の連携で進められてきたからである。現在も事業費の相当額は民間支援金でまかなわれ、資金調達の組織とスタッフを擁している。わが国の自治体文化施設に関しては、建設する際に多額の資金が投じられるものの、開館後は事業予算の確保が難しくなり、建物は豪華でも事業の内容は貸し館中心で、「ハコモノ行政」と指摘されてきた。パリ日本文化会館の事例研究を通じて、わが国の文化施設をめぐる官民協働のありようについて学ぶ点があるのではないか、と考えた。同会館の運営システムと資金調達状況から浮かび上がる意義と課題を提示する。
著者
權 永錫
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.167-179, 2006-07

研究ノート(Note)この20年余りは新自由主義に基づいたNPM論が行政改革の基本理念として位置づけられた。政府部門に競争と市場原理や成果主義人事管理の導入、構造改革の推進、企業型政府の模索などあまりにも激しい変化が続く中、行政学の本来的な研究領域が経営学や経済学に侵害されているのではないかとの不安を持ち、韓国で行われている行政革新プログラムを事例に上げ、行政の本来の役割とNPM論の関係を考察してみようと思った。 先ず、韓国における行政改革の歩みを現代史を中心に歴史的な観点からみたうえで、各時代の主な改革の動きと特徴の検討を通じて、現在、行われる韓国の行政改革に対する理解を助けようとした 。 第3章と第4章では韓国行政自治部の政府革新プログラムの柱を成していると思われる、政府樹立以降初めてのチーム制導入の動きとバランス∙スコアカードを用いた成果主義業績評価システム導入、顧客志向の行政システム整備などNPM的な改革政策について詳しく説明した。 第5章は行政自治部の政府革新が抱えている問題や、今後の研究の方向を、NPM論の批判的な立場から考え、公務員に求められるのは管理能力ではなく政策能力であることと政策的能率を求める成果主義が必要であること、多面的能力評価が人気投票化する恐れ、顧客志向行政の現実的な難しさなどに触れた。 最後の第6章では、政策の意味や政策能力と成果主義をどう結びつけるのか、成果を引き出すための政府組織のあり方や行政に対する成果評価システムの構築など、行政学の理論と管理手法を築き上げていくことがこれから先に力を入れていくべき研究課題であることを打ち出した。
著者
杉本 究
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.73-91, 2006-07

論説(Article)近時の司法制度改革の一環として、訴訟手続によらず、公正な第三者たる専門家の活用により紛争の実情に即した解決を図ろうとする裁判外紛争処理手続(Alternative Dispute Resolution;ADR)の拡充・活性化が必要とされている。その潮流からすれば、事業再生版の裁判外紛争処理手続と言える私的整理(事業再生ADR)が、その現場においても利害関係者の総意では圧倒的に好まれる傾向とも相俟って、将来的にはさらにその意義並びに重要性が増すであろうと考えられる。本稿では、まず、筆者のアドバイザー業務経験に基づき、実務的視座からする私的整理の作業工程並びに作業負担について時系列的に俯瞰するとともに、私的整理、法的整理及び私的整理と法的整理の連続性にかかる課題について検証した。次に、以上の検証結果を踏まえつつ、事業再生ADR活用に向けての一試論として、ADR基本法に定める認証機関に関して、その導入効果も含めた政策提言を行うとともに事業再生ADRの機能について検討した。認証機関に認定される基準としては、英国のインソルベンシー・プラクティショナー(Insolvency Practitioner)を範とした資格制の導入により、当該人材を擁する民間事業者が認証機関として認定されることとし、その機関活用の効果として、認証機関が関与・策定した私的整理の場合は、仮に法的整理に移行した場合においても、私的整理の過程で合意形成が可能となった部分について一定の法的効果を供与する仕組みが検討に値する。そして、事業再生ADRの機能としては、(1)コスト削減機能(2)早期着手機能(3)権利調整機能を有することが期待され、その活性化は事業再生全体の効率性・実効性に資するものと言えよう。