著者
Sterling Adam N.
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.167-182, 2014-03

研究ノート・資料(Note)2012年11月に政治資金収支報告書への虚偽記載をめぐって民主党元代表の小沢一郎の無罪が確定した。このことは、政治とカネの実態を象徴するものであり、利益誘導政治を抜本的に改善すべく1994年に成立した政治改革が未だに効果を発揮しておらず、政治資金に対する規制がザル法であることを改めて明らかにした。本論文では、政治資金をめぐって日本の抱える問題を如何に解決するか、その示唆を得んがために、まず政治資金規正法の諸規制を概観する。そして、政治資金パーティーによる企業献金の抜け道や個人寄附の遅れといった問題に焦点を当て、寄附制限と公開規定が腐敗防止策として機能していないことを明らかにする。筆者は、日本の文化や日本独自の問題を考慮した上で、1998年にエアーズによって提唱されたDonation Booth制度に基づいた新たな規制のあり方が必要であると考える。
著者
本多 幸子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.61-73, 2006-12
被引用文献数
1

この論文の主たる目的は、いわゆる熟年期--本論では、「第3ステージ」と呼ぶ--にさしかかった女性の自己実現をもたらす有力な契機ないし活動として、「社会起業」(social enterprise)の可能性(potentialities)を論じることである。 私自身、第3ステージを迎えているが、第2ステージの中途から、約10年にわたって主婦や高齢者層の「デジタル・ディバイドの解消」をミッションとし、そのミッションを出版や講座等の事業によって遂行していく団体を立ち上げ、現在はNPO(特定非営利活動法人)として運営している。その理事長を務めてきた経験からも、第3ステージにおける女性の自己実現の手段としての社会起業に一種の自信と期待を持っている。その自信と期待が独りよがりのものではなく、ある程度の普遍性を持つものであることを、事例調査の結果を踏まえつつ、論証しようとしたのが本論である。
著者
武蔵 勝宏
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-13, 2013-09

論説(Article)2007年7月の参議院選挙の結果、当時の政府与党は参議院での多数を失い、ねじれ国会のもとで、野党が強く反対するテロ特措法の延長問題に直面していた。米国を中心とする国際社会が「テロとの闘い」への日本の協力継続を強く求める中で、政府与党は、支援対象を海上補給活動に限定し、有効期限を1年間とする補給支援特措法案を提出するに至った。その背景には、テロ特措法のもとで海上自衛隊が実施していた給油がイラク戦争に転用されたとの疑惑が争点化し、集団的自衛権の行使による憲法違反との野党各党からの批判をかわす狙いがあった。また、参議院での派遣承認が得られるめどが立たないことから、法案からは国会承認規定も削除された。これに対し、野党各党は、参議院での逆転を利用して、衆議院段階から国政調査権の発動による給油疑惑の解明を強く求め、政府側からは補給活動の内容についての具体的な情報開示が小出しながらも相当程度に行われた。その結果、国会での法案修正には至らなかったものの、政府側の答弁を通じて間接給油先の使用目的の確認の徹底など、法執行段階で合法性を担保する運用を政府に確約させることにつながった。ねじれ国会という政治状況は、本来、与野党が合意形成を図る契機となるものである。政権交代を経て、与野党が安全保障政策に関する政権担当の経験を経た現在、日米同盟や国際平和協力などの安全保障政策をめぐって与野党が国益実現の観点から合意点を探しだす努力をすべきである。そのうえで、制服組の行き過ぎや大臣・内局による文民統制の不備があった場合には、党派を超えて国会が監視機能を発揮することが民主的統制の観点から求められているといえよう。
著者
緒方 あゆみ Ayumi Ogata
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.151-161, 2004-02

わが国の精神保健福祉施策は、1995年に制定された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下、「精神保健福祉法」と略称する)以降、自治体レベルで積極的に展開されてきたが、長年の精神障害(者)への偏見や差別等から、他の障害者施策に比べると遅れているのが現状である。特に、精神障害者の社会復帰支援(自立生活支援および就労支援)に関する施策の遅れは深刻であり、地域住民への啓発活動をさらに推進するとともに、地域生活支援センター、授産施設、グループホーム等の社会復帰関連施設の整備が急務である。問題は、精神障害者が地域の中で安心して社会生活を営めるようになるためには、地域精神科医療と地域精神保健福祉に関する支援や施策をどのように実施し発展させるかにある。そこで本稿では、障害者福祉に関する施策の歴史が長く、精神医療においても先進国であるイギリスの取り組みを検討したい。イギリスの精神障害者施策は、病院での入院中心のケアからコミュニティケアへと移行したが、その経緯と現状については批判もあるものの、世界的にも高く評価されており、わが国の精神保健福祉施策を検討するにあたって、イギリスの動向を知ることは必要であると考える。また、イギリスの現行法である「精神保健法」(The Mental Health Act 1983)は、強制入院手続に関する規定等に関してわが国の精神保健福祉法と類似しており、また、2003年7月に国会で可決・成立したばかりの「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下、「心神喪失者等医療観察法」と略称する)は、主としてイギリスの制度を参考にして提案されたものである。本稿では、イギリスの精神保健法の概要の紹介に加え、同法を含む法律からみた精神医療史、医療制度等を中心に検討する。研究ノート
著者
川浦 昭彦
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-4, 2008-07

ハーディンは「共有地の悲劇」という言葉により、共有地(ローカル・コモンズ)の資源枯渇は避けることが困難であることを主張した。しかし、現実には多くの共同体において共有地を維持するための伝統的管理手法が継承されており、random allocationもその一つの方法である。random allocationとは共有地・共有資源を一定の規模に分割した上で、くじ引き等のランダム・プロセスによりそれぞれの区画を共同体構成員に配分し、一定期間の後に配分を繰り返す仕組みである。本論文では2時点モデルにより、random allocationによる管理が共有地の資源保護をもたらす条件を明らかにする。論説(Articles)
著者
松木 宏美
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.195-200, 2009-12

研究活動報告(Research and Activity Report)古来、イタリアは食文化の中心地の一つであり、近年においてはスローフード運動の発祥の地としても知られる。筆者は2008年10月「テッラ・マードレ」参加のため、イタリア北部の古都トリノを訪れた。その際、それぞれの社会の進化において共通の問題が帯のように横たわっているのではないかと考えた。併せて、スローフード運動の発祥はなぜイタリアだったのか、イタリアと日本との差異の要因は何なのかという疑問を持つようになった。その後、中央大学法学部の工藤裕子教授(政治学)の地域・公共マネジメント・プログラムの海外現地調査の一環である『イタリア・アグリツーリズモ・ワークショップ』に参加し、中部イタリアの農家民宿に宿泊しながら、地域の農家や自治体関係者の話を聴くことができた。ここでは、この体験をもとに、人間やその共同体にとっての「食べること」の意味、生活の質、よりよい生活に向けての活動の要点、よりよい生活の実践に際しての日本との差異等について、調査し考察した結果を報告する。
著者
小野 千佐子
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.149-162, 2009-12

本稿は、布製で洗って繰り返し使用できる月経処置用品である布ナプキンを通じて、月経が社会の中でどの様に考えられ、受け止められるかという月経観がいかに変容するかについて論じた研究ノートである。月経をめぐる問題の根底には、月経痛などの身体的症状によるもののほか、月経に対して隠したい、あるいは厄介で、なければいいのにと思うようなネガティブな価値観がある。そのような価値観の背景には、社会通念や国家の政策等があり、また月経処置の方法にも左右される。つまり、月経をめぐる問題は個人的問題ではなく、社会全体の問題として取り組んでいく必要がある。とりわけ、月経観は月経をめぐる問題を検討していく際に重要なことである。そこで、月経と社会のかかわりについて歴史をひもときながら整理をし、加えて、今日一般的に使用されている月経処置用品が普及した背景について述べた。そして、その月経処置用品が内包する問題点を明らかにし、新たな選択肢としての布ナプキンの可能性について、先行研究と筆者がおこなっている社会実験のひとつを事例として報告した。さらに、使用する月経処置用品の違いによって変化する事象について考察を加えた。研究ノート(Note)
著者
入江 容子 加藤 洋平 大空 正弘
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.265-270, 2011-03

研究活動報告(Research and Activity Report)同志社大学大学院総合政策科学研究科関係者が自らの研究にどのようにして取り組んでいるのかレポートした。Interviews with past students, an interviewee Yoko Irie and Yohei KatoContentsのタイトル表記に誤りあり (誤)Syouhei → (正)Yoheiインタビュアー:大空正弘
著者
武蔵 勝宏
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.105-121, 2005-12

研究(Note)2003年5月、国連安全保障理事会は、イラク戦争後のイラク復興支援に貢献することを加盟各国に要請する決議1483号を全会一致で採択した。日本政府は、米英によるイラク武力行使とそれに引き続く事態をイラク特別事態と位置づけ、日本の「主体的」な判断から、イラクでの人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うため、イラク人道復興支援特措法案を国会に提出した。これに対し、野党は、イラク戦争の正当性、占領行政への協力と交戦権、自衛隊派遣の現地のニーズ、非戦闘地域の判断の困難さ、安全確保と武器使用基準、武器・弾薬の陸上輸送、国会の関与の限定性などについて、政府の立場を批判した。国会での審議・決定過程では、民主党から自衛隊の派遣を法案から削除する修正案が提出され、政府与党との論戦が展開された。最終的には、与党が衆参両院を多数決で押し切り、実質的な戦闘状態が継続されているイラクに陸上部隊を派遣するという従来の自衛隊の海外派遣をこえる立法が成立した。法律の実施段階では、立法段階で積み残された矛盾点が顕在化し、安全確保の観点から、実際の派遣部隊の活動は現地のニーズに十分に対応し得ない限定されたものとなった。イラクでは、2004年6月にイラク暫定政府への主権移譲が行われ、自衛隊の活動は、実質的に多国籍軍の下で展開されるようになった。こうした変化を受け、政府与党内では、自衛隊の海外派遣を本来業務に位置づけ、事態対処的な特措法を恒久法として統一化する動きがある。恒久法を検討する際には、国連決議の有無や受け入れ国の同意、非戦闘地域や安全確保の要件などの派遣条件や、後方支援が認められる活動内容の範囲を合憲性と政策的合理性の観点から明確化し、国会の関与についても、事前承認を原則とし、国会への定期的な情報提供と国会に派遣中止決議権を付与することが考慮されるべきであろう。
著者
孔 泰寛
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.235-251, 2003-03

最近、医療過誤や医療事故が数多く報道されているが、これらは一過性の現象ではなく、看護婦等のスタッフ不足、医療の高度化・複雑化、医療教育等の問題を背景とする、医療システムの構造上の問題であると考えられている。医療全体への不信感を払拭するためには、医療の質の向上への取組みを行う必要があるのはもちろんであるが、同時に、アカウンタビリティの確保が重要である。今回の研究目的として、我国の医療分野における高次のアカウンタビリティが、いかにすれば確保できるのかを主眼に置いた。しかし、我国の医療におけるアカウンタビリティの議論はほとんどなされていないのが現状である。そこで、医療のアカウンタビリティ論が主張されて久しい米国の現状を調査することが、我国の医療のアカウンタビリティ確保に結びつく手がかりであると推察した。そこで今回、まずアカウンタビリティの概念の歴史と現状を整理し、医療におけるアカウンタビリティを米国を参考に、その背景・視点から3つのモデルを提示した。そしてそれらを日本の現状と照らし合わすことにより今後の日本の医療におけるアカウンタビリティの課題として、評価のシステムの構築が必要であると考えた。いいかえれば、アカウンタビリティの確保には、評価のシステムがなければ困難となるといえよう。その評価システムにも、また種々の立場からのものが必要となると考えた。研究ノート
著者
池永 一広
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.117-130, 2013-03

研究ノート・資料(Note)日本のコンテンツ産業は、情報技術の進展、コンテンツのデジタル化、流通の多チャンネル化などを背景に、急速に発展した。しかし、ここ数年、日本経済の低迷、メディア環境の変化、韓国・中国はじめアジア勢の台頭などを背景に、市場の成長は鈍化傾向にある。こうした中、コンテンツの中でもデジタル系コンテンツは今後の成長市場として期待されている。伝統的に我が国のコンテンツ産業の裾野は、中小企業によって支えられてきた。しかし、これら中小企業の伸び悩みが成長減速に拍車をかけている。コンテンツ産業に関連する中小企業の多くは、主に大手コンテンツ流通企業からの受託型ビジネスが一般化しており、企業自体もこれに甘んじてきたケースが多いのが現状である。また、コンテンツ産業を支援する立場である公的機関などの産業振興策も、必ずしも有効に働いているとは言えない。本論では、日本のデジタルコンテンツ産業の今後のさらなる飛躍を目指して、これら中小企業が抱えている課題を探る。次に、これからの方向性を経営の基底をなす「ヒト・モノ・カネ」の観点から、「人材育成」、「製品開発」、「資金調達」に焦点を当てて検討し、産業振興に向けた展望を、企業内改革と企業外支援の視点から試みる。
著者
高 明珠
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.93-109, 2012-09

研究ノート・資料(Note)横井・高(2012)は、清末の10年間(1901年―1911年)において清朝政府がほぼ唯一の留学先として日本を選定した背景を明らかにした上で、日本への留学生派遣政策が奨励から引き締めへ転じた経緯も概観した。すなわち、清朝政府は国内で教育・軍事・政治体系の改革を実行するのに必要な人材を、出来る限り多くかつ迅速に育成するため、日本を第一の留学先に選び、試行錯誤を経て、最初の奨励方針から質の引き締めへと転じる、一連の政策を打ち出した。しかしながら、清朝政府の留学生派遣政策の効果については論じていなかった。そこで本稿では、日本への留学生の帰国後のパフォーマンスを検証することによって、清朝政府の留学生派遣政策の効果を検証する。本稿では、まず、ピーク期に達した1907年前後の清国人の日本留学の実態、すなわち法政、教育、軍事に関する速成教育を受けた留学生の比率が明確に高かったことを検証する。次に、帰国した留学生の出世ルートとして清朝政府が実施した留学生登用試験とその結果を検討し、数多くの法政留学生が国家の改革を推進する行政機関に抜擢された事実を明らかにする。さらに、法政、教育、軍事および文化の面における留学生の歴史的な貢献を紹介する。最後に、清末の日本留学生の全体像を把握した上で、このような結果をもたらした留学生政策の効果と問題点を指摘する。
著者
野見山 宏
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.77-78, 2011-09

書評(Book Review)本稿は、晴山一穂・佐伯祐二・榊原秀訓・石村修・阿部浩己・清水敏著『欧米諸国の「公務員の政治活動の自由」』の書評である。著者らの研究によると、英米独仏の公務員は原則として、勤務時間外においては政治活動は制限されていない。これに対して、日本の公務員は、一律にその政治活動の大半が厳しい制限を受けている。著者らは、この点において、日本の公務員の政治活動の自由は不当な制限を受けていると主張している。また、こうした状況を放置している立法府や前例踏襲主義の司法に対しても厳しい批判の目を注いでいる。This article is a book review of "the freedom of the political activity of the public employee of American and European countries"written by Kazuho Hareyama, Yuji Saeki, Hidenori Sakakibara, Osamu Ishimura, Koki Abe, Satoshi Shimizu . According to the study of authors, as for the public employee of the Britain, the United States, Germany and France, the political activity is not limited as a general rule when I put it outside working hours. In contrast, the Japanese public employee is subject to the limit that most of the political activities are severe uniformly. In this respect, authors insist that the freedom of the political activity of the Japanese public employee is subject to an unfair limit. In addition, I pour eyes of severe criticism for the legislature and the judiciary of the principle of precedent inheritance ignoring such situation.
著者
[タカ]橋 克紀
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.47-61, 2008-07

論説(Articles)市行政の警察的役割を、市民はどう考えるのだろうか。本稿は、姫路市が2001年に制定した暴走族対策の「生活安全条例」の審議過程を取り上げ、議会でどのような関心が議論されていたのかを検証し、この疑問を考える一助としたい。姫路市は、当時、警察官僚出身の市長が犯罪からの安全安心を重視し、週末深夜にエスカレートしていた姫路駅前の暴走族を根絶すべく、彼らを煽る「ギャラリー」を規制する自主条例制定に乗り出した。オール与党体制にもかかわらずこの条例案は市議会で強い批判を受け、条例案は一度撤回された。姫路の生活安全条例案は少なからず報道もされ、市民の関心を集めたため、市の役割(福祉政策的な期待が強い)と警察の役割との関係を問い直す一つの機会が生まれたといえよう。しかし、実際の議論は、もっと目に付きやすい部分、たとえば「特攻服」それ自体の規制、若者のエネルギー発散、条文の曖昧さを技術的に解消することなどにばかり向かってしまい、概して福祉的イメージの強い市レベルの行政が司法警察的役割の一部をどう担うのかにまでは議論が及ばなかった。Himeji City was troubled with spasmodic violences by young motor gangs in public spaces, though often minor crimes or misbehaviors. Officials thought that this problem were excited by irresponsible spectators. The mayor, who was once bureaucrat of National Police Agency, introduced the bill that would prohibit those spectators from cheering hot-rodders. Surely this regulation included many problems in view of civil liberty, but catchy superficials (the peculiar costume for hot-rodder in itself, newly constructing practice fields in order to give vent to the young's energy, etc.) dismissed the problematics on redefining municipal police role. This paper reviews its discursive process in 2000-2001.
著者
太田 航平
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.111-113, 2010-09

研究活動報告(Research and Activity Report)2009年夏から秋の約5ヶ月間、筆者が代表理事を務めるNPO地域環境デザイン研究所ecotoneと京都市が共催し、コカ・コーラウエスト(株)と(株)ローソンの協力を得て、環境意識の高まりを具体的な実践行動に結びつける飲料販売手法の創出に取り組んだ。具体的には、保有率は高いが使用率の低い「マイボトルやマイカップ、水筒など」へのディスペンサー機器を用いた飲料販売を行った。そこで、ソーシャル・イノベーション研究コースにおける社会実験の中間報告としても位置づけつつ、本稿にまとめたい。"NPO environmental design laboratory ecotone" where the author served as the representative director and Kyoto City co-sponsored for about five months from the summer of 2009 to autumn, the cooperation of the "coca-cola west Ltd." and "Lawson Ltd." was received, and it worked on the creation of the beverage sales technique for tying to a concrete practice action the rise of environment awareness. Concretely, the beverage with a dispenser equipment to "My bottle, My cup, and flask , etc." that the usage rate is low was sold though the ownership ratio was high. Then, I want to bring it together in this text locating it as an interim report of a social experiment in the social innovation research course.
著者
柏原 清江
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-44, 2006-07

論説(Article)近年、「企業再生」という言葉が、わが国において頻繁に耳にされるようになってきた。日本経済の長期不況が続くなかで個々の企業を過去のしがらみから脱却させ、再出発させることの重要さが理解されるようになり、政府や金融機関による本腰を入れた「企業再生」への取り組みが始まった。筆者は、現在企業のM&Aに携わる業務を行うなかで、主に再建型法的手続を適用した企業に買収監査(Due Diligence)を行い、管財人および経営者、従業員の事情聴取を行ってきた。そのなかで、一番多く耳にしたのは、従業員が再生に対しての管財人並びに旧経営陣の経営続投に対する不安感であった。一方では、経営者たちも後継者難の悩みを抱え、再生に対する不安を募らせていた。また、経営者たちは「現状の再建型法的手続では、大型倒産事件に関しては、社会的影響から司法、行政が優先的に再生に関与するが、中小企業の場合は関与さえされない。むしろ、中途半端な再建をしなければならない状態である。」これでは、敗者復活(再生)ができるのか不安で、再建型法的手続を申立てる意味がない。 本稿の目的は、以上の実務経験から再建型法的手続の倒産処理において「企業再生」に何が必要なのか。再建型法的手続の主旨である「企業再生」を有効にかつ早期実現できるように、人的・制度枠組みを提言したい。Word "Corporate reproduction" has come frequently to be heard in our country in recent years. The importance of getting rid of past bonds an individual enterprise on the inside where a long-term recession of Japanese economy continued, and making it start afresh came to be understood, and the approach on "Corporate reproduction" that put the set about in earnest by the government and the financial institution started. The author audits purchase (Due Diligence), and has questioned the administrator, the manager, and the employee to the enterprise that chiefly applies the rebuilding type legal procedure on the inside where the business to be involved in M&A of the enterprise now is done. In a lot of hearing by the average, the employee was the anxieties to management the consecutive pitching of the administrator and former executives to the reproduction. On the other hand, managers also held the worry about the successor accident, and uneasiness to the reproduction was felt increasing..Moreover, managers :. 「Administration of justice and the administration take part from the social influence in the reproduction by priority in the rebuilding type legal procedure of the current state for the large-scale bankruptcy event, and even participation is not done for the small and medium-sized enterprise. It is necessary to do a halfway rebuilding. 」,With this, it can be a consolation (reproduction) or there is no meaning to be uneasy, and to state the rebuilding type legal procedure. What of the purpose of this text is necessary for "Corporate reproduction" in the bankruptcy processing of the rebuilding type legal procedure from the business experience of the above-mentioned?"Corporate reproduction" that is the purport of the rebuilding type legal procedure does, and I am effective and to achieve it at the early stage, want to propose the human system frame.
著者
金田 重郎 本村 憲史 橋本 誠志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究
巻号頁・発行日
vol.1, pp.49-65, 1999-10
被引用文献数
1

論説ネットワーク上に溢れている個人情報は、デジタル化されているが故に、統合され、個人のプライバシーが侵害される恐れがある.情報統合を視野に置くプライバシー保護法制は、欧米には存在する。ドイツ身分証明書法は、個人ID による情報統合を禁止している。民間部門に対するプライバシー保護法制自体が存在しないわが国と比較すれば、このような法律があるだけでも、西欧諸国の状況は大きく異なっている。しかし、これら既存の法律で想定されているのは、キー属性(いわゆる国民背番号等)による統合である。キー属性でなくても、複数属性を併用すれば、結果として、キー属性として利用できる。その結果、データ主体・データ管理者の予知範囲を超えて侵害が発生する恐れがある。情報統合によるプライバシー侵害は、個々のデータ管理者の善良なる管理監督のみでは防ぎ得ない。わが国でも、情報統合を前提とする法制度の確立と、併せて、データ主体が個人情報の存在を常に把握し得る、個人情報流通管理システム/データ監察官の設置が必要と思われる。
著者
中本 新一
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.171-181, 2007-07

わが国における15歳以上の国民1人当たりの酒類消費量は、7.38ℓ(純アルコール換算値)近辺であり、世界では国別順位は20位台後半である。日本人には酒に弱い者が多いが、しかし、過飲者が約3,400万、多量飲酒者が約860万であるといわれている。また、アルコール関連問題による国家的損失が、単年度で6兆6千億円だとする研究もあった。さて、日本では個人の責任で上手に飲む「適正飲酒」政策がとられてきたが、そのことは厚生労働省の政策意図が反映されている『健康日本21推進のためのアルコール保健指導マニュアル』で明らかである。わが国のアルコール政策の難点は、個人に問題を投げ返し、酒類販売・広告などの国家的規制が非常に不足していることにある。自販機の存在や飲む場面を放映するテレビCMから、そのことは了解できるだろう。筆者は、わが国のアルコール政策は転換されなければならないと考えている。この視点を深めるためにスウェーデンとアメリカのアルコール政策を研究していく。前者は世界でもっとも酒害の小さい国であり、後者は多彩な政策に力を投入している。まず、アメリカ。禁酒法(1920-1933)の廃止後、AAとアルコール医療が誕生した。1970年にはヒューズ法が制定され、アルコール依存症への対策が総合的に追求された。そして、法定飲酒可能年齢21歳、「国立アルコール乱用・依存症研究所」、血中アルコール濃度0.8パーミル、警告ラベルなどが生みだされた。スウェーデンでもかつては酒害が深刻であった。そこで、1920年から割当て配給制が施行され、1956年以降、酒類の製造、販売に専売制が導入された。2つの外国を比較すると、アメリカは営業の自由ならびに飲酒と自己決定の自由に大きな価値を置いている。スウェーデンでは酒害を小さくすることを目的にして、入手規制、接近規制、購買欲求抑制という3領域で総量抑止が図られている。
著者
兪 祖成
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-59, 2014-09

論説(Article)19世紀末期から、「滅私奉公」をイデオロギーとする革命政党と政治的集団主義の台頭を契機に、中国の伝統的な「公」観念は劇的に再編され、多様化・重層化していた「公」の世界は「一元化」、つまり「国家的公共性」へと集約されていった。紆余曲折を経て1949年に政権の奪取に成功した中国共産党は執政党になった直後、「国家的公共性」の基盤としての「国家権力」を構築し、「市民的公共性」の物質的基盤である市場経済を排除し、さらに「市民的公共性」の物理的基盤としての「公共空間」を解体するに至った。このような「国家的公共性」の形成に伴い、憲法上の結社の自由が形骸化され、そして整理・整頓を目的とする社団政策が強行されたことによって、1949年までに存在し続けた様々な社団は改造、取締、解散の憂き目に遭った一方で、新政権の維持や社団を通じた民衆掌握のため、「官製社団」が次々と作られた。さらに、新政権のもとで存続できた社団にしても、新設された「官製社団」にしても、すべて党の下部組織 (党組という)によって完全に支配されることとなった。かくして、文化大革命期間を除けば、1949年から1977年までの中国における非営利部門は、党・政府の意図を受けて公共サービスを提供していた反面、アドボカシー、価値の擁護、ソーシャル・キャピタルの醸成という社会的機能を果たすことがほぼ出来なくなった。一言でまとめるならば、「国家的公共性」の形成に伴って、1949年から1977年までの中国における社団を中心とする非営利部門は、結果として党・政府に従属せしめられたのである。
著者
米崎 寿行
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.241-243, 2007-12

研究活動報告(Research and Activity Report)筆者が自らの音楽活動に連携して岐阜県多治見市で行ったイベント「TAJIMI-ISM」についての活動報告。「TAJIMI-ISM」は地元多治見市で活躍する高校生やアーティストを集め、音楽やダンスなどを取り入れたイベントであり、多治見市の活性化を狙ったものである。本稿は「TAJIMI-ISM」設立のきっかけから開催に至るまでの経緯について詳述している。