著者
上田 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.947-950, 1998-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

前報までに古代の酒の変遷について, しとぎ (米粉を固めて造る餅) に着目して解説されたが。今回は現在における全国の神社でのしとぎの分布を調査し, その地域的特徴等からわが国古代史や日本人の起源との関わりに至る部分まで解説して頂いた。
著者
上田 誠二
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.13-27, 2007-03

本稿は、大衆文化の教育化という問題を、昭和戦前期における中山晋平作曲の流行歌=「晋平節」=晋平流の四七抜き五音短音階(ラ・シ・ド・ミ・ファ)の曲を素材に考察した。これまで日本教育史研究で音楽といえば唱歌であり、多くの蓄積がある。唱歌が創出する「日本」や「国家」という風景=学校的知識=学校文化を国民統合の装置として論じてきた従来の研究に対して本稿は、晋平節という大衆文化の教育化過程から、実はそうした学校文化が充分に機能していなかったことを示唆した。音楽の領域では、学校文化は大衆文化の人気に圧倒され、その担い手である音楽教師は機能不全の危機感に苛まれていたのである。そうした状況下に教育化した晋平節は、国策から学校文化の手の届かない部分の国民化を担わされたに過ぎなかった。本来晋平が構想していた、日常に疲れた大衆が晋平節を通し自然に明日への活力を得る、という教育の可能性は、戦前期社会教育の文脈では実現していない。
著者
上田 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.498-501, 1996-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

原始社会において食物は最大の関心事であった。その食物の安定確保を左右するものとして天候, 気候があり, この管理しがたい事象を人間側に有利ならしめるものとLて神まつりがあった。餅と酒は人間側に立つ神を元気付けるもの, あるいは人間に敵対する神を懐柔するためのものであった。餅には2種類あリ, 普通の餅は丸米をついて造るが, しとぎは米粉をこねて造る。筆者は神の食物であるしとぎと酒の関係について研究している。古代の酒造りにも思いを巡らしていただきたい。
著者
上田 誠也
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Supplement, pp.391-405, 1991-07-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
38
被引用文献数
4

In Greece, astonishing success has reportedly been achieved in predicting earthquakes by monitoring the geoelectric potential changes. The method, called the VAN-method taking the initials of Varotsos, Alexopoulos and Nomikos, claims that earthquakes with magnitude greater than ca. 5 occurring in Greece can be predicted within the errors of 100km in epicenter and 0.7 in magnitude. The lead time is between several hours and ca. 20 days. The actual success rate and alarm rate for the recent one year are both estimated to be about 60%. Some technical aspects and the outline of suggested physical mechanism of the method are reviewed. A brief introduction of our attempt to apply the method in Japan is also given.
著者
椎葉 祐士 秋山 慶介 小林 一郎 上田 誠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_142-I_149, 2012

本研究では,発注者と施工者による地形改変モデルを用いた施工計画立案を提案する.自然災害が発生すると,2次災害を防ぐため迅速な対応が求められ,応急・緊急復旧工事が行われる.応急・緊急復旧工事では時間短縮のため設計図面作成を設計業者に依頼しない.そのため,施工計画立案は発注者と施工者の対策検討,施工方法検討で行われるが,協議項目の多さからやり取りが複雑になっている.地形改変モデルは,地盤モデルと掘削モデルを用いることで,対策検討等の協議項目を考慮した施工計画立案を可能にする.したがって,発注者と施工者が本モデルを利用して施工計画を立てることで協議に掛かっていた時間を短縮することができ,速やかに施工を行うことができる.
著者
服部 克巳 早川 正士 湯元 清文 長尾 年恭 上田 誠也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.377, pp.37-42, 1997-11-17
被引用文献数
2

1997年3月26日(Ms=6.3)および 5月13日(Ms=6.2)に発生した鹿児島県北西部地震について央震から約40kmに雛れた地点で観測された ULF磁場データの解析を行い, 地震関連 ULF電磁気現象の特徴をスペクトル解析等で調査した. その結果, 周波数0.01Hzにおいて地震の2週間前から鉛直成分と水平成分の比 Z/Hの値が大ぎくなり, 約1週間継続し, その値が小さくなり, 地震が発生している. その後の余震活動や 5月13日(Ms=6.2)に関連するULF活動がその後のデータに出現していると推察される.
著者
上田 誠之助
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工学会誌 : hakkokogaku kaishi (ISSN:03856151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.133-137, 1992-03-25
被引用文献数
1

From a study of various records, the author suggests that Japanese sake may have originated as follows. The Jyomon people (縄文人)-the first inhabitants of Japan-were taught sake brewing by means of chewing rice by the non-Chinese prople who crossed the East China Sea to Japan from the southern part of China in the 5th century BC. Later, the Yayoi people(弥生人)-Chinese prople who came from China or Korea to Japan-taught the Japanese people sake brewing by means of sprouted rice in the 2nd-4th century AD. From the 4th to the 9th centuries AD, the sprouted rice saccharifying agent was improved through adding sprouted rice infected by Aspergillus oryzae to steamed rice infected by Asp. oryzae, that is koji.
著者
相本 啓太 太田 進 上田 誠 鈴木 康雄 元田 英一 木村 宏樹
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.90-96, 2011-04-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2

【目的】膝歩きは臨床で骨盤に対するアプローチとして使われることがあるものの,その動作特性の解析に関する報告は少ない。そのため本研究は骨盤に着目し,膝歩きを歩行と比較することで,膝歩きの運動特性を解析することを目的とした。【方法】対象の健常者24名(22 ± 2歳)に三次元動作解析装置用マーカーを貼付し,歩行と膝歩きの1歩行周期における骨盤可動域の平均変化量,重心移動を解析し,比較を行った。また,体幹・骨盤近位の7筋での立脚期,遊脚期における% MVC(% Maximum Voluntary Contraction:最大随意収縮に対する割合)を求め,歩行と膝歩きの比較を行った。【結果】骨盤前後傾・水平回旋可動域の平均変化量において,膝歩きの方が有意に高値を示した。筋活動量は立脚期,遊脚期において計測した多くの筋で歩行と比較し,膝歩きの方が有意に高値を示した。【結論】膝歩きは,骨盤の可動性・近位筋の活動性を高める運動療法として有用である可能性があると考えられた。
著者
相本 啓太 上田 誠 太田 進
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第25回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.79, 2009 (Released:2010-04-21)

【背景・目的】膝立ちは立位と比べ身体重心が低く、膝・足関節の影響を除外し、選択的に股関節伸展を促通するための有益な肢位とされ、また膝立ちや膝歩きは骨盤や股関節周囲筋のリハビリテーションとして臨床で使用されている。膝立ち位についての研究では、脊柱起立筋、大殿筋など骨盤の周囲筋で筋活動量が立位より有意に高いことが報告はされているものの膝歩きについての筋活動や運動学的解析を用いた報告は少ない。適切な運動処方のため、膝歩きの運動特性を明確にすることが必要であり、そのために膝歩き動作の運動特性を解析することを本研究の目的とした。 【方法】対象の健常者24名(22±2歳)に3次元動作解析装置用マーカーを貼付し、歩行、膝歩きを3回ずつ測定した。各動作の立脚期、遊脚期における骨盤の最大可動域とその変化量、左右への重心移動量を解析し、歩行時と膝歩き時の比較を行った。また、表面電極を体幹・骨盤周囲の筋7つに貼付し、各筋での立脚期、遊脚期での平均に対して%MVC (%Maximum Voluntary Contraction:最大随意収縮に対する割合)を求め、歩行と膝歩きの比較を行った。統計処理には対応のあるt検定を使用した。 【結果】膝歩きの筋活動量は立脚期、遊脚期において脊柱起立筋、中殿筋などで歩行と比較し、有意に高値であった(p<0.01)。各関節の可動域の変化量においても骨盤で有意に高値を示した(p<0.01)。左右への重心移動は膝歩きの方が有意に高値であった(p<0.01)。 【考察】膝歩きは足関節機能が除外されるため、側方への重心移動増大によるバランスの保持や前方への推進力を生み出すための体幹や骨盤の周囲筋による代償が必要であり、骨盤周囲の関節・筋が歩行と比べ有意に可動・活動していると考えられた。 【まとめ】膝歩きは骨盤の可動域や骨盤周囲筋の活動性を高めることを目的としたリハビリテーションとして有用と考えられた。
著者
上田 誠二
出版者
教育史学会
雑誌
日本の教育史学 (ISSN:03868982)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.46-59, 2019 (Released:2020-04-01)
参考文献数
12

This paper traces changes experienced by youth in Tsurukawa Village in Minami-Tama County, Tokyo Prefecture, who faced modernization as a result of mass socialization in the 1920s and 1930s. Tsurukawa Village experienced drastic changes from being an isolated farming village to a farming village adjacent to the expanding Tokyo metropolitan area. This paper focuses on how local young men reconstructed the vision of their village through their elementary school alumni magazine as a tool of public opinion formation.The youth sought for a vision of their village in the alumni magazines that could not be sufficiently covered by state logic, while making efforts to coordinate school education with societal education. Their efforts are worthy of attention because they proposed rational farming to attract urban residents to become loyal customers when Tsurukawa Railway Station was constructed as part of the Odakyu Line which opened in April 1927, and a proposed flexible citizen model (farmer) who attached importance on dialogue, discussion and public opinion. This paper reveals the process of “establishing an official ego” by young farmers in the suburbs of the metropolitan area who wavered between their adoration of the decadent urban modernist culture and the backlash against it. The final issue of the alumni magazine published in December 1937 following the outbreak of the Sino-Japanese War, showed practical farming of shiitake mushrooms cultivation during the agricultural off-season, but also included “Guidelines for National Spiritual Mobilization.” The “Guidelines” clearly urged youth to strengthen their spirit on the “home front.” The alumni magazine’s strong coordination with Tsurukawa Elementary School was initially intended to explore the future vision of the village and support revitalization of the community by positioning the school as a center of the community. In reality, however, during wartime, these efforts ended up becoming a double-edged sword that eventually allowed state logic to subvert their future vision of the village.
著者
上田 誠也
出版者
学士会
雑誌
学士会会報
巻号頁・発行日
vol.2007, no.4, pp.46-62, 2007-07
著者
中村 豊彦 黒川 隆則 中津 誠一郎 上田 誠之助
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.159-166, 1978
被引用文献数
9 43

<i>Aspergillus niger</i>-12株の生産する3種の細胞外イヌラーゼのうち,イヌリン分解力に特にすぐれているP-III酵素について精製を行い,硫安による結晶化に成功した.本酵素について,一般的性質および作用機作の検討を行い,次の結果を得た.<br> (1) 本酵素は硫安により結晶化され,結晶酵素は,4&deg;C,冷蔵庫内で2か年にわたり安定であった.<br> (2) 本酵素の最適pHは5.3付近,最適温度は45&deg;Cで,pH4.0~7.5の範囲では安定であった.<br> (3) 熱安定性については, pH 5.0, 30分間で, 40&deg;C以下で安定であった.<br> (4) 本酵素はMn<sup>2+</sup>, KCNで活性が強められ, Ag<sup>+</sup>, Hg<sup>2+</sup>, Fe<sup>3+</sup>およびPCMBによって顕著な阻害が認められた. PCMBによって活性が阻害を受けることから,本酵索の活性中心にSH基が存在するものと思われた.<br> (5) 本酵素のイヌリソに対する作用はendo型であり,主な分解生成物はD. P. 3, 4, 5および6のイヌロオリゴ糖であり,イヌリンの分解限度は約45%であった.<br> (6) 本酵素はイヌリンのみに特異的に作用し,ショ糖,ラフィノース,バクテリアレパンおよびメレチトースには全く作用しない酵素であった.<br> (7) 本酵素のイヌリンに対するMichaelis定数(<i>Km</i>)は1.25&times;10<sup>-3</sup>Mであった.
著者
上田 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.725-727, 1997-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23

前報では, 米粉を固めて造るしとぎが口嘴酒にされ御神酒として供される風習について解説されたが, 今回は筆者の古代から現代に亘る幅広い調査結果に基づき, しとぎや牙米 (発芽米) から造られる醴酒 (一夜酒) を通じた古代の酒の変遷が明らかにされている。