著者
加藤 禎行
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
no.13, pp.79-89, 2020-03-31

This article introduces three letters of Sata Ineko addressed to Narasaki Tsutomu. Narasaki Tsutomu (1901-1978)was an editor of the literary magazine Shincho in 1926-1945,and Sata Ineko(1904-1998) was a female writer known for her masterpiece KURENAI. Through the investigation of these letters, some of the new facts on Sata Ineko's and Narasaki Tsutomu's biographies were made clear.
著者
高木 健志
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.119-124, 2016-03-31

本稿は、中山間地域等に関する定義の確認、精神科訪問看護に関する文献の検討、中山間地域等を対象とした精神科訪問看護の文献の検討、精神保健福祉士と精神科訪問看護に関する文献の検討を中心に行った。中山間地域等について、農林水産省による中山間地域等に関する定義と、社会学の領域における知見について整理した。また、精神科訪問看護については、看護師による文献があること、中山間地域等を対象とした精神科訪問看護に関する先行研究では実践に関する研究があり、理論的な研究の必要性について見出された。今後は、地理的な条件が不利と見られることの多い中山間地域等における精神保健福祉士による訪問型の相談支援についての調査に取り組んでいく必要が見出された。This study went mainly on the examination of documents about the confirmation of the definition about the intermediate and mountainous area, the examination of documents about the psychiatry temporary nursing at home, the examination of documents of the psychiatry temporary nursing at home for the intermediate and mountainous area, mental health welfare person and the psychiatry temporary nursing at home. About intermediate and mountainous area, I arranged it about there being a definition about there being a pioneer study in sociology, the intermediate and mountainous area by Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries. In addition, about the psychiatry temporary nursing at home, there was a study on practice in the precedent study on psychiatry temporary nursing at home for a thing, the intermediate and mountainous area where the documents by the nurse were found, and the need was found about the theoretical study from now on. Above all, in psychiatry temporary nursing at home in the intermediate and mountainous area, it was thought that the role that a mental health welfare person achieved was big, and the need that wrestled was found in future by an investigation about the visit-shaped consultation support by the mental health welfare person in the intermediate and mountainous area where there was many that I was seen if a geographical condition was disadvantageous.
著者
井竿 富雄
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-10, 2015-03-31
著者
水津 久美子 橋本 瞳
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.89-101, 2017-02-28

学校給食の7つの目標の一つに「我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること」があげられているが、その具体的な方法や内容を示した資料は少ない。そこで本研究では、伝統的な食文化への理解について、特産品と郷土料理に着目し、学校現場で行われている教育活動の実態を把握することを目的とした。島根県内のA市、B市に勤務する栄養教諭17名を対象に無記名自記式の質問紙調査を行った(有効回収率100%)。調査内容は、学校給食で使用及び提供した特産品及び郷土料理、児童生徒への教育方法並びに教育内容、今後取り入れていきたい活動の4項目とした。その結果、学校給食で使用した特産品は、島根県オリジナル野菜の「あすっこ」、郷土料理は「しじみ汁」が多く、教育方法はどちらも「給食時の放送」が多かった。また教育内容について多かった項目は、特産品は「旬」、郷土料理は「使われている材料」であった。今後さらに取り入れていきたい活動では、体験的な活動(調理実習や栽培など)が約半数を占めた。以上の結果から、教育方法・内容については島根県食育推進計画をほぼ網羅するものであったが、両市の栄養教諭はさらに多様な活動を取り入れたいとする様子がうかがえた。今後教育活動を充実させていくためには、栄養教諭と学校・家庭・地域がこれまで以上に連携して教育を行っていくことが重要である。
著者
岩本 テルヨ 山田 美幸 加瀬田暢子
出版者
山口県立大学学術情報編集委員会
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
no.2, pp.8-14, 2009-03

特別養護老人ホーム在所者の最期の場に関する意思決定とターミナルケアの現状を明らかにすることを目的として、2002,2003年に特別養護老人ホームの看護職を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。 2002年は433施設(回収率43.3%)、2003年は233施設(回収率29.1%)から回答を得た。特別養護老人ホームにおける年間死亡者数(2001年)は10.3±5.9(うち特養内死亡4.3±5.2)人であった。ターミナルケアへの対応は約7割が「希望があれば最期まで看取る」と回答した。最期の場の決定(複数回答)については、「家族・後見人」(38.3%)、「医師」(16.8%)、「状態が悪化した時の本人の希望」(14.9%)、「入所時の本人の希望」(13.3%)、「ホームの方針」(8.3%)、「看護職」(5.0%)、「介護職員、生活相談員」(2.7%)、[その他](0.9%)の順で行われていた。在所者の希望が優先されない理由に、「認知症があり本人の希望がよくわからない」(27.2%)、「本人からの意思表示が特にない」(20.8%)、「家族・後見人が本人は高齢でもありこの事態に対処することは難しいと考えている」(13.8%)、「家族・後見人が本人の希望というより自分たちの希望を優先することを求める」(12.1%)などがあった。 特別養護老人ホーム在所者の最期の場への意思尊重に向けて、認知症問題への方策とともに、特別養護老人ホームのターミナルケアへの体制整備が示唆された。
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.13, pp.41-91, 2020-03-31

ともに「慢性伝染病」に分類される「癩」と「結核」は、1904年の省令「結核豫防ニ關スル件」および1907年公布の「癩豫防ニ關スル法律(件)」を端緒に、明治後期、それらの豫防関連法規が整備されていった。更に、両疾病の特効薬となった抗生物質は1950年代前後から実用化され、化学療法の途により、治癒に至る消長の過程も、重なる。沖繩縣においても、「本土」と同様の過程を辿った。本稿は、戦前期の「癩」および結核予防関連法規およびそれらの各條文から、沖繩縣の関連地方制度も踏まえ、相互のネクサス(nexus)を、引き出す。そして、それらのネクサスから、これら予防法の前提をなす「論理」を照射する。以上の考察を踏まえ、「癩」および結核の豫防法関連法規には、病者・患家を取り締まる「淸潔方法及消毒方法」に象徴される国家利害を前提とした感染予防対策・病者所と在宅療養とを抱きあわせにした論理、「療養ノ途ナキモノ」への救恤の論理、療養所構築による入所療養の論理が混在・共在する法理が示され、患者の医療に関する規定が希薄であること、そしてそれらの混在ないし共在が、〈豫防法〉といわれる法規の特性であることを、論示したい。
著者
水谷 由美子 田村 奈美 山本 成美
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.14, pp.105-113, 2021-03-31

古来より生活の知恵あるいは風習として着物や洋服の古着や残された生地を活用して、新しい衣服や生活小物が作られてきたが、現代のアパレル産業においてもアップサイクルが課題となっている。本論でテーマにしているアップサイクルは、リユースのように、そのままを再利用することやリサイクルのように原料に戻す、つまり布から糸へそしてまた新たな布や別のものを作ることとは異なる。古くなって不要なものを捨てずにもともとの形状や特徴などを活かしつつ、新たなアイデアを加え、デザインすることで別のものを作ることを意味している。その結果作られた衣服にはより高いデザイン性があり、商品としての価値が高まっているというように、アップサイクルは、新たな価値創造をすることを意味している。ファッション領域では、マルタン・マルジェラが自身のブランドを立ち上げた1988年頃から脱構築主義や1980年代のバブル経済を背景とした使い捨て文化への対抗として、古着や鬘、エコバックや壊れた陶器など使い捨てられる前のあらゆるものを活かしたコレクションを発表している。彼のコレクションは芸術性が高く、マルジェラの固有のコンセプトとして評価されていたが、ハイファッションにおいて本格的な追随者は多くなかった。2015年に国連で持続可能な開発目標が採択され、地球温暖化や海洋プラスティックゴミの問題が喫緊の問題となってきた現在、服飾に関する廃棄物はファストファッションや大量生産服のみならず、プレタポルテやオートクチュールにおいても、解決すべき重要課題となっている。ファッション雑誌などのメディアでは「サステナブルファッション」という用語は頻繁に表紙を飾り、特集が組まれている。本論は、こうした時代背景を考慮しつつ、アップサイクルの1つの開発の手法として、回収された服ではなく、所有者が特定の1人であり、その人の服を使って3つのグループが一定のテーマのもとで、それぞれが1セットの服を作るというワークショップを実施した。マルジェラのようなイノベイティブな服飾デザインではなく、服飾におけるデザインペルソナの多様な活用の1つとして実践したワークショップで、服飾デザインのプロセスやその結果について検証し、アップサイクルなデザインの可能性について明らかにした。
著者
大野 正博 松本 智保
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.13, pp.23-28, 2020-03-31

大豆加工品の中でも豆麹は蒸煮大豆に麹菌を繁殖させ製造したものであり、味噌や醤油の原料として使用されている。大豆加工品には血圧抑制活性の指標とされるアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)阻害活性や抗酸化作用の指標とされる DPPH ラジカル消去活性があると報告されている。そこで本報では、タンパク質含有率が中程度の品種であるタチナガハおよびタンパク質含有率が高い品種であるサチユタカの2 種類の大豆を用いて豆麹を作製し、大豆の品種差異が豆麹のACE 阻害活性、およびDPPH ラジカル消去活性に与える影響について比較検討した。その結果、予想に反してサチユタカ由来の豆麹よりタチナガハから作製した豆麹のACE 阻害活性が高かった。また、タチナガハから作製した豆麹の DPPH ラジカル消去活性よりもサチユタカ豆麹の活性のほうがより高かった。Among processed soybeans, soybean koji is produced by breeding koji mold on steamed soybeans and used as raw materials for miso and soy sauce. It has been reported that processed soybeans have angiotensin Ⅰ conversion enzyme (ACE) inhibitory activity, an indicator of blood pressure suppressing activity, and DPPH radical scavenging activity, an indicator of antioxidant activity. Therefore, in this report, we produced soybean koji using two kinds of soybeans, Tachinagaha, a cultivar with a medium protein content, and Sachiyutaka, a cultivar with a high protein content. And we compared the effects of soybean varieties on ACE inhibitory activity and DPPH radical scavenging activity of soybean koji were compared. As a result, unexpectedly, the ACE inhibitory activity of soybean koji prepared from Tachinagaha was higher than that of soybean from Sachiyutaka. In addition, the activity of scavenging DPPH radicals of soybean koji made from Sachiyutaka was higher than that of soybean koji from Tachinagaha.
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.12, pp.51-87, 2019-03-29

本稿の主題は、1907年に公布された「癩豫防ニ關スル法律」(1907年法)と、それを1931年に改正した「癩豫防法」(1931年法)との比較を通して、両者の各條文間の異同を明らかにし、1907年法および1931年法との不連続性と連続性を明らかにする。更に1907年法および1931年法のそれぞれの「施行規則」の條文間の異同を追う。これらの法律・規則には、対応関係がみられるので、1907年法から1931年法に継承された点と、大きく改正された点を明らかにすることができる。更に1931年法「施行規則」の各條項に示された規定が、「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」という地方制度の各條項と、如何なる連関のもとに、盛り込まれていったのかを、それらの各條項から類推することを通して、当時の沖繩縣下のハンセン病問題の輪郭を、示したい。但し、本稿は、1931年法改正点の、大きな焦点となる<從業禁止>関連規定と<生活費補給>関連規定をめぐる地方制度の検討は、紙幅の都合上、別稿を用意する。本稿を端緒とする一連の考察の最終的な目的は、「癩豫防法」と沖縄社会との関連を、同法の関連地方制度である「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」の條文を踏まえて、捉え返すことにより、何が観えてくるのかを、示すことにある。その際の問題の所在は、ハンセン病療養所を前提とする「癩豫防法」は、その前提となる療養所なしに、如何に機能し、ハンセン病者たちに、どの様な現実を帰結せしめたのかを、明らかにすることである。
著者
佐々木 直美
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-7, 2019-03-29

本研究は、配偶子提供を受けて生まれた子どもに対して、親が出自を伝えるか否かの意思決定に関連する心理的要因について大学生を対象として調査したものである。データは自由記述によって収集し、内容分析を行った。その結果、積極的に伝えようとする理由には、「真実を子どもが知ることによる親子関係の崩れに対する懸念」があり、伝えるつもりがない、あるいは子どもが知りたいと願った場合にのみ伝えるという人々は、「真実を知りたいという子ども自身の意思にゆだねたい思い」があった。本結果と先行研究から、子どもへのテリングに関して親が先送りしたい、あるいはためらいがあるかもしれないことを支援者は理解しておくことが必要である。また、提供を考える段階から子育ての全期にわたって、支援者が受容的な態度で、ニーズに応じた相談をいつでも受けられるようなシステムを作ることが望まれる。
著者
渡辺 滋
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.12, pp.25-40, 2019-03-29

1933~34年にかけて、海軍部内で当時の大臣の名前に由来する「大おおすみ角人事」と称される大規模な更迭人事が行われた。この人事の最後に位置したのが、堀悌ていきち吉中将の退役人事(国際協調派)と艦隊派(対外強硬派)のせめぎ合いのなか、前者の中心人物で海軍きっての逸材といわれた堀が、最終的に退役に追い込まれるまでの過程を、学界未紹介の史料なども使いながら、検討していく。
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.33-58, 2017-02-28

ミーニシ(冬期の南西諸島に吹く北西の季節風)が吹き出す候の1935年11月25日、星塚敬愛園園長・林文雄他四名のスタッフは、沖縄・奄美のハンセン病罹患者を収容するため、鹿児島を発った。この収容により、沖縄から129名、奄美から116名の病者たちは、時化で荒れる海に打ち克ち、開園間もない敬愛園に収容された。本稿は、この収容準備の過程を追うことにより、船による、僻地の離島からの、遠距離病者移送の問題点と危険性について考察する。この考察から引き出される見解は、以下の通りである。第一に、今回の収容方は、日本MTLを介した沖繩MTLと敬愛園の連携により、それまで療養所構築の件で失策が続いた沖繩縣の協力を引き出したこと、第二に、僻地の離島収容は、病者と療養所の直接的関係だけでなく、病者・地域社会・療養所から成る三者関係の構築が必要なこと、第三に、船による遠距離の病者移送、しかも僻地の離島からの病者移送は、それまで放置され、社会的孤立を余儀なくされた病者たちのニーズに応える機会を創出した点で、新たな病者救恤の可能性を開いたこと、以上のことが明らかにされる。At 25 November 1935, Fumio Hayashi who was the first president of national leprosarium "Hoshizuka-Kei'aien" departed for Amami-Ohshima and Okinawa Islands with his four stuffs. Their purpose of departure was planed to accommodate the peoples with Hansen's disease at these islands for Kei'aien at Kagoshima Prefectural. To actualize their accommodation, there is the danger that go across the route for Amami-Oshima at stomy season. And at all seasons, there is a danger-path for any ships going across to Tohshima(the Sea of Shicitoh) between Amami-Ohshima and Yakushima Islands. They accommodated the poor and serious patients with Hansen's disease. In all of them, 129 patients went across to the Sea of Shichitoh from Okinawa and 116 from Amami, overtaking by the very hard storm. In this paper, as tracing some preparatory processes of accommodation, we consider on some risks to the serious patients with Hansen's disease from the detached islands in the out-of-the-way place and the far-off-sea by small ship. Our conclusion is follow; first, to accommodate the peoples with Hansen's disease from the detached islands is possible to actualize the construction of social networks between not only patients with Hansen's disease and stuffs of leprosarium but also local community(center); second though the accommodation at remote place through far-way transfer by small ship had some difficulties and risks, it is possible to accommodate a patient who is helpless and social isolation.
著者
人見 英里 高木 麻理子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.53-61, 2009-03-31
被引用文献数
1

本学学生食堂について、平成19年の前期、後期それぞれ2週間について利用者数を調査した。その結果、利用者数は曜日によって変動はあるものの1日230人程度、そのうち約半数はメニューを利用しない持ち込み利用者であった。講義の開講数と食堂利用者数は必ずしも連動していなかった。最も多く利用されているメニューは上位から日替わりランチ、カツ丼、豚玉丼、から揚げ丼であり、これらが全食数に占める割合は約50%であった。提供されているメニューについて食事バランスガイドを利用したサービング数を調べたところ、多くのメニューで副菜のサービング数がないか、または少なかった。バランスのよいメニューとしては日替わりランチがあり、食堂業者との協議の結果、これをさらに充実させ「野菜たっぷりメニュー」として提供してもらうことができた。また、食堂改善のための取組みとして、山口農政事務所との共催で食事バランスガイドキャンペーンの実施、食事バランスガイドを利用したメニュー表示の更新、女子学生向けランチメニューの開発と提案を行なった。