著者
當摩 哲也 辛川 誠 髙橋 光信
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.673-677, 2019

<p>金沢大学の有機系太陽電池を研究するグループは,電極材料を工夫することによって,大気中で塗って作製できる高耐久の逆型有機薄膜太陽電池(逆型OPV)の開発に世界に先駆けて成功した.ここでは,その先駆けとなった化学浴析出法により作製したアモルファス酸化チタン(CBD-TiO<sub><i>x</i></sub>)薄膜を電子捕集層とした逆型OPVについて概説し,現在世界のさまざまな企業から発売され始めたOPVモジュールの基礎となる技術を紹介する.また,さらなる高耐久性や高性能化を導き出す可能性のある金沢大学でのOPV分析技術と分子レベルからの高性能化技術を紹介し,OPVの将来像について議論を行う.</p>
著者
山本 格治
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.377-382, 1962-05-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
4
著者
菊池 誠
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.913-918, 2000-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

1940年代の米国ではレーダーの開発が国家的な課題となり,その関連で鉱石検波器の特性改良に努力が集中した.一方ベル研究所では,将来の米国社会のために高性能の電話網を作るという課題に挑戦する.そのために真空管を乗り越えて新しい増幅器の発明が必要となった.失敗の連続の後,トランジスタが生まれる.そしてそれは,半導体という未知の材料を物理学的に理解する研究に新しい時代を開いた.電子デバイスの開発と基礎研究,そこから集積回路が生まれる歴史の経緯を述べる.
著者
原 築志 石井 英雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.401-405, 1996-04-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
23
被引用文献数
1

高温超伝導体を用いて地中管路に敷設できるようなコンパクトで大容量の地中送電ケーブルが実現できれば,設備形成のコストダウンとともに,稠密化した地下空間の有効利用が期待できる. (Bi, Pb)2Sr2Ca2Cu3O10の銀シース線材を中心に,フレキシブルな高温超伝導線材の長尺化が進み,臨界電流密度も104A/cm2以上の値が安定して得られるようになった.このような線材を使用してケーブル.応用を目指したモデル導体の試作が進められ,メートルオーダーの長さで液体窒素中最大で12kA程度の容量が達成されている.さらに,最近,導体に電気絶縁層,磁気シールド層などを装備し,断熱管に引き込んだケーブルのプロトタイプが試作され,課通電試験の成功例が報告されている.本稿では,高温超伝導ケーブルのニーズと,重要技術である交流損失を含めたケーブルの研究開発の進捗を概観する.
著者
荒川 泰彦 野澤 朋宏 田辺 克明
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.585-588, 2012-07-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1

量子ドットは,単接合型半導体太陽電池に対して新たな設計自由度を与え,高効率化をもたらす可能性を有している.本稿では,多中間バンドの導入により,理論変換効率が80%近くまで達しえることを示すとともに,開放電圧の劣化のない量子ドット太陽電池やフレキシブル量子ドット太陽電池の実現などについて論じる.さらに,太陽電池の超高効率がもたらすコスト競争からの脱却に向けたパラダイムシフトや,今後取り組むべき課題についても言及する.
著者
折原 良平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.488-494, 2021

<p>ディープラーニングをはじめとする人工知能技術の新たな適用先として芸術の創作が注目されており,絵画,音楽,文学などの分野で研究例がある.研究成果である計算機の「作品」の中には,オークションハウスにて高額で取り引きされたり,著名な美術館に展示されるような作品もあらわれている.こうした流れの中の1つの方向性として,すでにこの世に亡い芸術家の作風を機械学習し,その芸術家をほうふつとさせる作品の生成を試みるものがある.話題になったプロジェクトとしては,レンブラントや美空ひばりの例がある.現代日本を代表する芸術であるマンガにおいても,先ごろ手塚治虫の「新作」を生成しようとするプロジェクト「TEZUKA2020」が実施され,話題を呼んだ.本稿では,TEZUKA2020の概要と技術的背景を解説するとともに,人工知能技術を用いた発想支援の実践としての文脈からプロジェクトを評価する.</p>
著者
田口 幹朗
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.37-43, 2015

<p>シリコンヘテロ接合太陽電池は非常に高い変換効率が得られるとともに,低温で形成可能,表裏対称構造で薄型化が可能,両面発電型モジュールへの応用が容易など,多くの優れた特長を有する太陽電池である.当社が世界に先駆けて商品化したこの太陽電池の開発の歴史,特長について解説し,変換効率の世界記録更新など最近の高効率化への取り組みや,応用商品である両面発電型モジュールについて紹介するとともに,今後の展望について述べる.</p>
著者
小林 伸聖
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.21-24, 2018

<p>光が透ける磁石があれば,専門家でなくてもさまざまな新しい用途に期待が膨らむだろう.ことさら磁性材料研究者にとって透明な強磁性体の開発は,その応用のみならず物性面において,魅力ある研究テーマの1つであろうと想像する.本稿では,我々が開発した透明かつ強磁性を示すナノグラニュラー材料について紹介する.ナノグラニュラー材料は,フッ化物などの絶縁体から成るマトリクスにナノメータサイズのFeCo合金などの磁性金属から成るグラニュールがほぼ均一に分散した微細構造を有し,フッ化物マトリクスに起因する良好な光透過性と同時に,FeCo合金グラニュールに起因する強磁性を併せもつ.</p>
著者
井上 英一 小門 宏 伊沢 晃
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.54-55, 1974

A new type of electrochromism was found on titanium oxide prepared from the hydroly-sis of titanium tetrachroride with dilute hydro-chloric acid. To prepare the electrochromic panel, the titanium oxide powder with or without resin binder was sandwitched between two NESA glass electrodes. By applying a DC voltage (10_??_200V) to the electrodes, the color of the layer near the cathode changed rapidly from white to dark blue or black, and the dark color disappeared quickly to the original white by cutting off the voltage. The optical density of the dark color was 0.5_??_0.6 and the half life time of the colored state was about 2 seconds at room temperature.
著者
内田 裕之
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.366-370, 2021-06-05 (Released:2021-06-05)
参考文献数
9

燃料電池は,外部から供給する燃料がもつ化学エネルギーを電気化学反応により電気エネルギーに直接変換するクリーンで高効率な発電装置です.本稿では,各種燃料電池の作動原理,構成材料,応用例とともに,変換効率の計算法について概説します.また,燃料電池自動車(FCV)や家庭用燃料電池として市販され始めている固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極触媒開発のトピックスも紹介します.最近では,固体高分子形水電解や固体酸化物形電解セルに再生可能電力を供給して高効率に製造・貯蔵した水素を工業的に利用したり,燃料電池で高効率に電力に変換する社会の実現を目指す研究が続けられています.
著者
高井 裕司 伊藤 糾次
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.723-726, 1984-08-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
9

透過電子顕微鏡法による断面構造の観察は,薄膜積層構造のみでなく,エピタキシャル成長層やイオン注入層の結晶構造の観察にも有力な手段である.本稿では,断面観察に必要な断面試料の作製手順,ならびに観察例として,多結晶Si/SiO2構造,Siイオンを注入したSi結晶に発生した欠陥の分布等を示した.
著者
竹内 延夫 馬場 浩司 桜井 捷海 上野 敏行
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1630-1636, 1987
被引用文献数
2

擬似ランダム変調CWライダー (RM-CWライダー) はcwレ-ザー光を擬似ランダムコードで変調することによって散乱体の空間分布を得る新方式のライダーである.半導体レーザーはピーク出力は大きくないが平均パワーは比較的大きく, RM-CWライダーの光源として適している. RM-CWライダーの原理と半導体レーザーを光源とした装置,特徴,大気汚染・気象計測への応用,とくに視程や粉塵拡散の測定例を紹介する.