著者
川野 秀一 村田 右富実
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.45-57, 2019 (Released:2020-04-21)
参考文献数
36

万葉歌の研究において,歌の音の使用傾向から歌人の特徴を捉える場合がある.それぞれの歌人の使用している音の癖を読み取ろうとするものである.しかし,これまでは歌内で多く使用されている,もしくはほとんど使用されていない単一の音のみに着目した単変量的な解析や主観的な判断がほとんどであった.本論文では,複数の音を考慮に入れた統計解析を実行し,歌人の分類ならびにその音に基づいた特徴付けについて考察する.具体的には,まず,柿本人麻呂,山上憶良,大伴旅人の3歌人の短歌に着目し,各短歌内で使用されている音節から特徴量を作成する.その後,得られたデータに対してスパース正準判別分析を適用することにより,歌人の分類と各歌人に特徴的な音節の選択を行う.
著者
南 美穂子
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.73-78, 1996-11-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2
著者
白石 高章
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1-3, pp.1-22, 2014 (Released:2015-05-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

多群比率モデルにおいて,片側の順序制約がある場合での母比率の間の相違に関しての多重比較検定について論じる.分散が同一で平均に片側の順序制約がある場合に,多群正規モデルでの平均相違に関するシングルステップの多重比較法がHayter (1990)とLee and Spurrier (1995)によって提案されている.彼らの手法と類似の比率の相違に関するシングルステップの多重比較法を,逆正弦変換により提案することができる.さらに,このシングルステップの多重比較法を超える閉検定手順を論述する.順序制約のない場合の比率モデルの多重比較検定法は,白石 (2011a)によって論述されているが,本論文で提案する多重比較法は,順序制約がある場合には,白石(2011a)の手法よりも一様に良い.
著者
三輪 哲久
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.45-48, 2021 (Released:2021-08-03)
参考文献数
10
著者
中村 永友 上野 玄太 樋口 知之 小西 貞則
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.57-73, 2005-12-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

データ観測領域において何らかの事情により,ある領域でデータが観測できない状況がある.本論文は,まずデータの欠損数が未知と既知の2つの状況を2種類の統計モデルで提示し,これらが同値なモデルであることを示す.また複数の母集団分布が仮定される欠損領域を含む観測データがあり,意味のある成分分布に分ける必要がある.この目的のために,欠損状況を考慮した欠損混合分布モデルを提案し,パラメータの推定方法や欠損領域で観測されたと思われるデータ数を推定する方法を提案する.提案する統計モデルの有効性を数値実験を通して検証するとともに,プラズマ速度データへの適用を行う.
著者
原 純輔 安田 三郎
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.119-136, 1973-10-20 (Released:2009-12-02)
参考文献数
58

社会学の学問的性格と,社会学的データの諸特徴のゆえに,一方において社会学における統計的方法の応用には自ら限界があるとともに,他方において社会学独自の諸方法も開発されるようになった.社会学データの源泉が主として社会調査に限定されるため,非実験データからの因果推論法としてパス・アナリシスが発達した.計量困難という特徴からは,一方で社会測定の諸方法が案出されるとともに,他方で属性の多変量解析法が考案された.データが個人と社会の2水準にまたがる点,からは,エコロジカル相関や構造効果の問題が出てくる.それらの諸展開のうち,本稿の後半ではパス・アナリシスをやや詳しく紹介する.それは重回帰分析の一種とみなしうる統計解析の一手法であるが,標準化された変数による連立方程式の逐次的システムを考えることにより,諸要因間の因果関係の強さを解明することができる.序数型データやパネル調査データへの適用も紹介する.3,4節は原が,残りを安田が執筆し,全体の調整は共同して行なった.
著者
吉井 めぐみ 清水 邦夫 古津 年章
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.75-87, 2002-07-31
参考文献数
16

熱帯降雨観測衛星(TRMM)では,緯度約±37゜の範囲内において,緯経度5゜×5゜領域内の1ヵ月平均降雨強度が最終的なプロダクトとして求められる.TRMM搭載降雨レーダなどの降水レーダで直接に測定される量はZ因子(単位体積あたりの後方散乱断面積に比例する量で,一般に使われるレーダ周波数では雨滴粒径分布の6次モーメントに等しくなる)である.一方,気候や防災などの分野で重要な量は降雨循環であり,何らかの方法でZから降雨強度を推定する必要がある.降雨強度を算出するさいに,いくつかの仮定の下で,レーダ反射因子Z(mm<SUP>6</SUP>/m<SUP>3</SUP>) と降雨強度R (mm/h) との間にべき乗関係(Z-R関係) Z=AR<SUP>B</SUP> (A>0) の成り立つことが知られている.ここで,A と Bは定数である.<BR>本稿はZ-R関係のパラメータ推定を問題とした.気象レーダ観測で得られるレーダ反射因子Zと雨量計によって地上で計測される降雨強度Rとの関係を与えるパラメータの値を知ることは,TRMMにおいてよりよい降雨マップを得るための研究として重要である.Z-R関係の決定のために,これまで,回帰もしくは逆回帰法,分布関数マッチング法,モーメント分布関数比マッチング法,ローレンツ曲線を利用する方法が知られている.本稿では,logZ と logRについて正規線形構造モデルを仮定し,識別可能な場合としてlogRの分散を既知とした場合を採用した.TRMMが目標とする熱帯から中緯度にかけての降雨のうち,熱帯降雨に関しては対数正規分布の降雨強度分布への適合の良さが観察されていることと,降雨の種類や観測領域等によって適切に層別を行えば,対数正規分布の型パラメータはほぼ一定値をとる傾向があるという経験的事実が知られていることによる.ランダムな欠測が起こるかも知れない状況を想定したデータ構造の下に,モデルパラメータの最尤推定を論じた.
著者
宮川 雅巳
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-21, 1987-07-20 (Released:2009-06-12)
参考文献数
28
被引用文献数
8 6

1977年DempsterらによってまとめられたEMアルゴリズムは,不完全データに基づく最尤推定に際し比較的簡単な手順で尤度最大化を図る数値計算上の技法である.本報告では欠測値等に対するEMアルゴリズムの様々な適用例を中心に,EMアルゴリズムの歴史的経緯,性質および問願点について概観するとともに,EMアルゴリズムの意義について考察した.また欠測値等の解析においてまず問題となる欠測値の発生メカニズムについても併せて言及した.
著者
光森 達博
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.41-51, 1998-06-24 (Released:2009-06-12)
参考文献数
11

インターネットは,個人でも容易に利用できる環境が整ってきたが,応用統計に関わるものにとってインターネットはどのように活用できるだろうか.情報を受ける立場と情報を発信する立場に分けて,インターネットを応用統計に活用する場合の課題と問題点を考察した.情報を受ける立場からは,どのような考え方で情報収集活動を行うべきかについて議論し,そのためにはどのような方法があるかをわれわれの事例に基づいて紹介した.情報を発信する立場からは,何をどのようにして発信していくかという問題を,公開されているWebページを紹介しながら議論した.最近では,例数設計や簡単な統計解析ができるWebページもいくつか出てきており,応用統計に特有のインターネットの活用方法も考えられるようになってきた.そのひとつとして,Java Scriptを用いて簡単な統計計算を含むWebページを作成する方法を紹介し,応用統計への活用について議論した.
著者
佐藤 俊哉
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.21-34, 1994-09-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
24
被引用文献数
9 9

Intent-to-treat解析に関してはさまざまな議論がある.多くの生物統計家がランダム化臨床試験では必須の解析であるとしているものの,ランダムに割り付けられた治療の効果が正しく評価可能であった対象だけを解析すべき,または両者を併用すべき,などの方針も容認されている.これは,intent-to-treat解析は治療が臨床に導入された後に起こり得る状況をも考慮した実践的な解析で,プロトコルを遵守した治療効果評価可能例のみの解析は生物学的な効果を調べるための研究的な解析である,という認識にもとづいている.本論文では,intent-to-treat解析による治療効果の検定と治療効果の推定について因果推論の立場から議論し,治療効果の検定に関してはintent-to-treat解析は正しく因果帰無仮説の検定を行っていること,一般に「実践的」と考えられているのはintent-to-treat解析による治療効果の推定であることを明らかにする.さらに,プロトコルを遵守した治療効果評価可能例のみの解析でも因果パラメータを正しく推定できないことを示し,ランダム化にもとづいたintent-to-treat解析で因果パラメータを推定する方法を提案する.この方法は因果パラメータに強い生物学的な仮定を必要とするが,ランダム化にもとづいたノンパラメトリックな治療効果の推定を実施できるという利点を持っている.
著者
石岡 恒憲
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.193-209, 2011-12-30
被引用文献数
2

Breimanによって提案された分類や非線形回帰のための集団学習の方法の一つであるRandom Forest(RF)が,欠測を多く含む大量データに対して安定してかつ精度のよいデータ補完(imputation)を実施することを示す.本報告では,RFによるデータ補完の方法について解説し,ある年度のセンター試験の理科および社会の科目間難易比較についての応用例を示す.説明変数が全て同等もしくは同列ではなく,幾つかの説明変数がグループにまとめられ,またそのグループの中から一つが排他的に選択されるような場合には本報告の手順は有効であろう.
著者
杉浦 成昭
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.95-116, 1980
被引用文献数
3

昭和55年度共通1次試験の得点分布は正規分布が適合しないことが今年2月上旬新聞に報じられた.そこで正規分布の不適合はどの位か,よりよく適合する分布は何か調べたところ分布は負に歪んでいて,Johnson systemのS<SUB>B</SUB>分布が割によく適合することがわかった.S<SUB>B</SUB>分布により2つの母数を与えれば得点の順位と偏差値のわかる表を与えた.
著者
崎濱 栄治 川崎 泰一 本橋 永至
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.59-70, 2019 (Released:2020-04-21)
参考文献数
26
被引用文献数
1

インターネット広告配信においてクリック率(CTR: Click-Through-Rate)の予測は最も重要な問題の一つであり,広告配信に関わる企業にとって収益に直結するテーマであることから,膨大な研究が行われている.既存研究では,CTRの予測精度向上に主眼が置かれ,特徴量の追加や加工方法,深層学習の活用など様々な取り組みが行われている.一方,広告画像の構成要素そのものの制作については,デザイナーの経験に依存する部分が大きい.クリエイティブを制作する際にどのような要素が重要であるか,指針となるエビデンスがあれば,より効率的に制作作業に取り組める可能性がある.本研究では,モバイル広告を対象としたCTR予測問題の枠組みで,広告画像における構成要素の貢献度を測定する実証分析を行った.広告画像の構成要素の抽出には,コンピュータービジョン技術を活用し,人が解釈可能なキーワードや色彩情報を得た.CTR予測の学習器として,弱識別器に決定木を用いたGBDT(Gradient Boosted Decision Trees)の結果から各特徴量の重要度と交互作用を推定し,広告画像の中でクリックに対して有効な要素を特定した.交互作用の推定は,Deng (2019)によるInterpretable Trees(inTrees)を利用した.コンピュータービジョン技術と,特徴量の重要度と交互作用が推定可能な機械学習手法を組み合わせることで,広告画像の構成要素の抽出とその貢献度測定が可能となり,幅広い応用範囲が期待できる.
著者
竹澤 邦夫
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.31-42, 2003-07-31 (Released:2009-06-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

クロスバリデーションを用いて重回帰式の予測変数の選択を行うと,最適とは見なされない回帰式が選択されてしまうことがある.この問題に対処する手段として,クロスバリデーションの値に予測変数の数に比例する補正項を加える方法を提案する.回帰式を最適化するための基準をデータに基づいて最適化する方法の一種である.この方法は,ラグランジェの未定常数法を媒介にすることによって,クロスモデルバリデーションと関連づけることができる,また,二重クロスバリデーションを発展させたものと見なせる.
著者
富田 裕章 藤澤 洋徳 逸見 昌之
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-16, 2018 (Released:2018-06-15)
参考文献数
22

多重代入法(Multiple Imputation; MI)は多分野の研究で欠測データを解析する手法として使われている.多重代入法は非常に使いやすい反面,欠測値に代入する補完値を生成する際に条件付き分布の同定を誤ると偏りのある推定量を導き得るという欠点がある.本研究では条件付き密度推定から導かれる重みを利用した重み付き最尤推定法(Bias-corrected MI; BCMI)に基づく推定量が,目的変数が欠測する場合の回帰分析においても一定の条件下で一致性があることを確認した.さらに,本手法を予測に適用することを検討し,予測精度を向上させるために密度推定によって求めた重みと補完したデータに対する重み付けパラメータを導入し,交差検証によって値を定めるという改良法(BCMI-CV)を提案した.数値実験によって,BCMI-CVは補完の誤り度合いによらず,安定的に予測誤差を小さくするという挙動を示すことを確認した.
著者
黒田 健成 宮川 雅巳 田中 研太郎
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.79-91, 2006-12-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

変数間の因果関係が因果ダイアグラムと構造方程式モデルで表現される状況で,ダイアグラムの矢線へ介入する行為を考え,その効果を定式化する.この定式化は条件付き介入の枠組みにおいて記述される.矢線への介入効果に対する識別可能条件についても考察した。線形構造方程式モデルのもとで,興味ある特性変数の分散が,これへの有向道上の矢線を介入することで,どのように変化するかを具体的に求めた.矢線への介入は,直接介入しにくい変数である中間特性を制御するうえで有用である.適用例を通して,これらの定式化の有用性を主張した.
著者
黒木 学 宮川 雅巳 川田 亮平
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.89-100, 2003-12-15 (Released:2009-06-12)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

線形回帰モデルにおいて,説明変数と誤差に相関があるとき,偏回帰係数の一致推定量を得る方法のひとつとして操作変数法がある.この操作変数法は,最近発展している因果ダイアグラムを用いた統計的因果推論において,その意義が再認識されている.しかし,一般に操作変数の条件を満たす変数が存在しない状況は少なくなく,適用範囲は限定されていた.これに対してBrito and Pearl (2002)が提案した条件付き操作変数法は,ある共変量を観測することで,操作変数の条件を緩和したものである.本論文では,線形構造方程式モデルのもとで,条件付き操作変数法を用いた総合効果の推定精度について調べた.その結果を利用して,条件付き操作変数の条件を満たす変数が複数あるときに,興味ある総合効果の推定精度という観点からの操作変数選択基準を与えた.
著者
松嶋 優貴 白旗 慎吾 坂本 亘
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.201-219, 2004-12-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

ウェーブレットは不規則,不連続な関数(または信号や画像)を効率的に表現するための道具であり,スケーリング関数,ウェーブレット関数と呼ばれる2種類の関数から作られる基底関数の線形結合によって関数などを表現する.スケーリング関数,ウェーブレット関数の組(この組もウェーブレットと呼ばれる)については,すでに数種類が開発されており適宜選択することができる.しきい値法(Thresholding)は,ウェーブレットによるノイズ除去のための代表的な手法であり,観測値にもとづく関数の推定を基底関数の線形結合で表現するための係数を「しきい値」と比較し,しきい値よりも絶対値が小さな係数の値を0で置き換える.この置き換えによって小さな変動を無視することによりノイズを取り除く.しかし,しきい値法によって得られるノイズ除去の結果はウェーブレットの種類に依存するので,しきい値法で用いるウェーブレットの種類によってしきい値法の結果も異なる.それゆえに観測値に応じてウェーブレットを選択する必要がある.本論文では種々のウェーブレットから観測値に適するものを数値的に選択するための基準を示す.選択基準としてはAIC(赤池情報量基準)を用い,選択の対象となるウェーブレットの中で最小のAICをとるものを最良として選択する.小さなAICに対応するウェーブレットほどしきい値法における考えをよく満たすことが,AICを選択基準として採用した根拠である.AICによるウェーブレットの選択法について,その適用結果を図によって例示し,シミュレーションを行うことにより,AICが適切なウェーブレットを選択することを示す,また,ウェーブレットを選択するための他の方法(最小自乗法,MDL法)との比較を行う。
著者
田栗 正章 番場 弘 浅井 晃
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.95-112, 1973-06-20 (Released:2009-06-12)
参考文献数
4

時系列データが与えられたとき,その傾向変動を表わす曲線としてさまざまな曲線が考えられているが,ここではそれらの曲線のうち需要予測などによく用いられるゴンペルツ曲線,ロジスティック曲線および指数曲線を,与えられた時系列データに当てはめる場合の改良方法を提案する.従来行なわれてきた曲線の未知パラメーターの推定方法は,次のようにまとめることができよう.すなわち,まず曲線の形を線形にするために適当な変数変換を行ない,その後変換されたデータに対して最小2乗法を適用する.ところで,ゴンペルツ曲線,ロジスティック曲線及び指数曲線に対して施される上記の変換は非線形変換であるために,元の変数のスケールと変換後の変数のスケールとの間に部分的な歪みができる.この歪みのために,将来時点での予測値と実現値との間には,かなりの差が生じてしまう.さらに,この差は先に行くほど増大することがわかる.本報告はこれを是正する1つの方法を提案し,多少の数値例によってこのことを検討する.