著者
細川 聖二 平田 義郎 齊藤 泰雄 内藤 裕美子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.442-447, 2008-09-01

国立情報学研究所では,目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)の今後の在り方について,中長期的な視点で検討することを使命として,「学術コンテンツ運営・連携本部図書館連携作業部会」の下に「次世代目録ワーキンググループ」を設置した。ワーキンググループでの検討結果を「次世代目録所在情報サービスの在り方について(中間報告)」として取りまとめ,2008年3月末に公開した。本稿では,「中間報告」に至る検討の経緯および「中間報告」についてその概要を紹介する。
著者
佐藤 高廣
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.466-471, 2002-09-01

インターネット上の情報資源へアクセスするため,ポータルサイトが活用される。最近では,図書館Webページのポータル化も顕著である。紀伊國屋書店では1999年10月より,学術情報に特化したポータルサイトK-Portを運営している。K-Portは,利用機関別にカスタマイズが可能なポータルサイトであり,自館専用のデータべースリストや電子ジャーナルのリンクリストを構築することができる。図書館では自舘のWebページの代替的サイトとして,K-Portを活用することができるだろう。本稿は,ポータルサイトの一般的動向を踏まえたうえで,K-Portの基本的特徴や電子ジャーナルへのアクセス支援機能について,解説するものである。
著者
ナイジェル オクスブロウ
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.383-387, 2002-07-01

米国の図書館情報学教育の多くが,時代の変化とともに急速で革新的な発展を遂げたのと対照的に,イギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国の教育現場では,どちらかといえば変革は隠微な形でしか進まなかった。それは同時に,実業としての図書館情報学が,時代やビジネスの現場におけるニーズとの乖離を深めていくことを意味していた。その溝を埋めるために産まれ,そして驚くべき成功を遂げたのが,ここで紹介するTFPLというイギリスの会社である。彼らはどのようにして時代の変化を読み取り,インフォプロたちを支援し,かつ養成する一大組織へと転身していったのか。代表・ナイジェル・オクスブロウ氏に,その歴史と活動を語ってもらい,成功の秘訣を探った。
著者
山本 浩幾
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.567-574, 2007-12-01

早稲田大学演劇博物館に所蔵する資料群「九州地区劇団占領期GHQ検閲台本」は,戦後期の地方演劇文化を知る上で有用な資料である。「ダイザー・コレクション」とも呼ばれるこの資料群は,プランゲ・コレクションと同様,研究資料としてアメリカへ移送されたものである。歴史的背景を確認した上で,関連資料にもとづきコレクション成立の経緯をたどる。再整理作業では目録データと原物資料と突合しつつ,新たな情報の採取を行い,さらに電子撮影を行った。本資料群の資料性を,原物資料の特長や,目録データによる資料構成から考える。配架状況や運用方法についても触れる。
著者
北澤 京子 石井 保志
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.406-411, 2006-09-01

『健康情報棚プロジェクト』はそのユニークな活動を通じて,これまで「ありそうでなかった」健康・医療情報提供の一分野を切り開きつつある。公共図書館や患者図書室等に「闘病記文庫」というモデルケースを設置し,健康・医療情報コーナーに発展させようとする構想は,図書館員・医療者・患者当時者・古書店主など多くの職種のノウハウが集結されている。患者・家族へのわかりやすい情報提供をミッションに,情報ニーズの把握からデータベース開発を実現するため,メンバーでアイディアと労力を出し合い,外部諸団体との共同研究を積極的に推進してきた。健康情報棚プロジェクトのこれまでの歩みと,協力者との交流についてまとめる。
著者
細野 公男
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.606-612, 1996-11-01

文献電子化への流れ, テキスト処理技術の進歩, 情報提供における利用者志向は, 従来の索引作業の役割やあり方に大きな影響を及ぼしている。本論文ではこのような背景を踏まえて, まず付与索引・抽出索引, 主題検索の特徴を述べると共に, 各種のアバウトネスの概念および索引作業との関連を紹介した。続いて, 付与索引・抽出索引および主題検索が現在抱えている問題点を明らかにした。前者では主題概念の表現力の不備と利用者アバウトネスの欠落が, 後者では主題概念の表現力の不備が大きな問題である。さらに, 索引作業が効果的に機能するために今後考慮すべき要件として, 利用者アバウトネスの取り込みと自動索引手法の高度化の必要性を示した。
著者
大場 利康 川鍋 道子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.341-347, 2004-07-01

国立国会図書館蔵書目録データベースNDL-OPACには,複数の主題検索方法が用意されているが,その使い勝手には問題もある。国立国会図書館件名標目表(NDLSH)については,「参照指示の不足」「特定性の不足」が問題であったが,国立国会図書館はこれらの解消に着手した。米国の「ベイツ・レポート」,IFLAによるOPAC表示のガイドライン草稿では,利用者本位のOPACのあり方が提唱されており,今後は利用者の観点からOPACを構築することが求められる。
著者
呑海 沙織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.272-277, 2002-05-01

1978年の改革開放政策以来,中国における学術図書館を取り巻く環境は,大きく変化している。1990年以降は,情報基盤の整備や図書館資料費の不足を背景に,資源共有を目的とした図書館コンソーシアムの形成が推進されている。CALIS(China Academic Library and Information System)は,1998年に立ち上げられた重点大学構想211プロジェクト下の図書館コンソーシアムである。学術情報ネットワークCERNETを基盤とした全国規模の情報資源共有システムの構築をその目的とする。本稿は,CALISを中心に,中国における学術図書館コンソーシアムについて考察する。
著者
福島 三喜子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.285-288, 2001-05-01

オンラインコマンド検索からサービスを開始したSTNは, 化学構造検索の画期的なツールSTN Expressを提供するとともに, インターネットおよび情報技術の進展に伴う状況の変化に即して, Webの検索ツールSTN Easy及びSTN on the Webを提供してきた。今後, 世界的な情報インフラストラクチャの整備により, インターネット及びイントラネット上でSTNの情報をより効率的に利用できるよう, STNでは既存システム及び新製品の開発を行うとともに, フルテキストサービスの充実を図り, STNから二次情報データベースおよび一次情報の提供をすべてSTN製品の中から提供することを目指している。
著者
安藤 一博
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.581-586, 2003-12-01

1990年代中頃より中国の図書館は電子図書館の研究開発をすすめてきた。そして,研究,実験の段階を経て,本格的なデジタル図書館建設を目的とした中国電子図書館プロジェクトが,2000年に立ち上げられた。本稿では,背景となる図書館資料費の不足と情報基盤の普及を概観し,中国電子図書館プロジェクトを中心に中国における電子図書館に対する取り組みについて考察した。
著者
川崎 道雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.15-20, 2005-01-01

全世界的に学術雑誌の電子ジャーナル化が進むなか,中国では,その量の膨大さにおいて世界に類例を見ない雑誌,新聞,学位・学全論文の総合的データベースであるCNKI (China National Knowledge Infrastructure)の構築が国家事業として立ち上がり,中国国内では順調な運営が続いている。2000年からは海外での利用も可能となり,中国との経済・文化の交流が深化する日本でも,中国の情報を得るためのツールとしてCNKIは無視できない存在となっている。本橋では,その概要を紹介する。
著者
河瀬 和重 久保 紀重 明野 和彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.418-423, 2001-08-01
被引用文献数
1

地理情報についてのメタデータの整備及びクリアリングハウスの構築は,地理情報の相互利用を促進し,地理情報の重複投資を回避するために必要不可欠である。クリアリングハウスの構築を実現するためには,メタデータ標準の策定や,分散検索を行うためのシステム開発を行う必要がある。本稿では,国土地理院における地理情報メタデータの記述のための標準策定に関する取組,及び情報検索プロトコルの国際標準であるISO23950のメタデータ検索システムへの応用について述べるとともに,こうした標準を基にして国土地理院で構築したクリアリングハウスについて紹介する。
著者
林 和弘 門條 司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.441-447, 2003-09-01
被引用文献数
3

日本化学会の学術情報発信の近況を紹介するとともに,電子ジャーナルにおける取り組みを解説する。特に2002年よりJ-STAGEを本格的に利用することで広く読者に情報を提供することができ,他雑誌,2次データベースとのリンクを含む電子ジャーナルの標準的なサービスを実現しつつ,健全な事業形態を構築することもできた。また,日本のジャーナルにおける電子ジャーナル課金の難しさについても考察する。
著者
武田 英明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.509-513, 2006-11-01

本稿ではWebの普及以来変化した情報流通のあり方について概観する。Webによって情報流通は従来のマスメディアによる集中かつトップダウン型情報流通から分散かつボトムアップ型へ変化した。この結果,一方でロングテールと呼ばれるかつてない多種多様な情報の流通を可能とし,一方でボトムアップな集約型情報流通も可能としている。このような情報流通を理解するには単に情報の収集,生成,公開といった情報利用活動だけでなく,人々の関係性に基づくコミュニケーションの活動も視野に入れて見ていく必要がある。
著者
木下 聡
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.60-64, 2005-02-01

大学改革の流れのなかで,大学はその存在意義を社会に対してアピールする必要から,ホームページによる広報活動を充実させている。大学図書館でもその一翼を担うように,サービスや学術情報コンテンツを,インターネットを通して大学の内外に広く公開するようになってきた。そのような活動の一例として,三重大学附属図書館でのポータルサイト構築の試みを紹介する。図書館のホームページにおける3つのポータルデスク(学生ポータルデスク,教官ポータルデスク,地域貢献ポータル)について,基本的な考え方や構成を解説するとともに,今後の課題についても考察する。
著者
酒井 清彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.183-189, 1994-04-01

学術情報センター目録システム(NACSIS-CAT)の総合目録データベースにおけるデータの作成方法及び同定方法について紹介した後,センターで実施している品質管理である重複レコード処理について,主に重複候補リストの出力,オンラインでの統合処理準備,重複統合処理の3点を紹介する。
著者
伊藤 真理
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.312-316, 2006-07-01

情報が多様な形態や媒体で分散して流通するようになり,情報への効率的なアクセスおよび入手のために,標準化に則った書誌情報(メタデータ)の提供がさらに必要とされている。また,利用者の情報の利用方法の変化への対応も求められている。より適切なメタデータ作成のために,目録の概念レベルのモデリングの検討が必要となった。本稿では,主要な目録概念モデルであるIFLAのFRBR, FRBRに基づいて検討された目録原則やオンライン目録のあり方,および書誌記述フォーマットや情報資源識別子について概観し,それらの利用について考察する。
著者
杉山 健
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.248-252, 2003-05-01

プロジェクト管理を単なるシステム開発上の手法,技術であると考えていないであろうか。プロジェクト管理という言い方は正しくないかもしれない。本当に必要なのは「プログラム管理」である。今多くの組織で陥っている課題にスポットをあて,最新の考え方に従って「あるべき姿」を想像してみることで,プロジェクトを成功に導くためのヒントを見つけていただきたい。また,筆者の現職での経験をもとに,多くの読者には謎の深い開発ベンダー側の舞台裏についても紹介してみる。