著者
池内 有為
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.241-249, 2016-06-01 (Released:2016-07-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

2016年3月,分野や地域を超えた研究データの共有を目指すResearch Data Alliance(RDA)の第7回総会が東京で開催された。本稿は,総会と関連イベントを時系列に沿って紹介する。RDA総会を通じて,欧州オープンサイエンスクラウド(EOSC)などの国際的な政策や課題が共有された。課題ごとに設置されるRDA分科会については,(1)全分野の研究者を対象としたデータサイエンス教育の構想,(2)研究データの相互運用のための法的枠組みの策定,(3)永続的なデータリポジトリ運営のための収益モデルに関する議論を取り上げた。RDA総会前後のイベントでは,日本のステークホルダーや多分野の研究者による活発な意見交換が行われ,アジアや国内のコミュニティーも発足した。RDAと同様に,分野や組織を超えてベストプラクティスや課題を共有することによって,日本のオープンサイエンスの取り組みが加速するだろう。
著者
飯田 建
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.243-253, 2011 (Released:2011-08-01)
被引用文献数
2 3

小中学校の「調べ学習」や「総合的な学習の時間」において,子ども用百科事典は重要な役割を果たす。『総合百科事典ポプラディア』全12巻は,9年前に刊行され,このたび改訂された日本で唯一の子ども用百科事典である。『ポプラディア』刊行は,子どもたちの「生きる力」,問題解決力を育てる教育のなかで百科事典を望む声が大きくなっていったことを背景としている。『ポプラディア』は五十音順の百科事典である。項目の選定や編集方針をはじめとする製作の過程について解説し,学校図書館における利用について紹介する。さらにデジタル化およびインターネット版「ポプラディアネット」の開発,9年ぶりの改訂について記す。あわせて図書館とインターネットが教育の中で果たしている役割と課題についても触れる。
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
安部 耕造 矢口 学 嶋瀬 俊太郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.400-405, 2011 (Released:2011-10-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1 3

科学技術振興機構(JST)は,2008年12月に行った調査に引き続き,企業における電子ジャーナルの導入等に関するアンケート調査を2011年2月から3月にかけて実施し,企業等に所属するJDreamII利用者507名から回答を得た。その結果,企業での電子ジャーナル導入状況は前回の調査から若干の進展が見られるものの,いまだ低い水準にとどまっていることが明らかになった。
著者
久古 聡美 吉田 曉 中山 正樹
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.313-323, 2006 (Released:2006-09-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

国立国会図書館が目指している「国立国会図書館デジタルアーカイブポータル」は,広く国のデジタルコンテンツ全体へのナビゲーションを行うことを目指すものである。平成19年度以降の稼働に先立ち,プロトタイプを構築し「統合検索」のために必要な機能の検証を行ってきた。本稿ではプロトタイプの概要を示し,さらに今後の方向性について述べる。デジタルアーカイブを保有する各機関にWebサービスによるサービス提供機能の実装を呼びかけるとともに,Web2.0時代にふさわしいポータルの構築を目指し,機械的な連携とデジタル情報の一層の利活用を図る。
著者
酒井 美里
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.569-577, 2007 (Released:2007-12-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

従来よりサーチャーの間では,「特許検索には,経験とノウハウがものをいう」「技術は人に属するもの」とされることが多かった。また「マニュアル化できない部分が本当のノウハウ」であるとも言われてきた。ところが近年,エンドユーザー検索の普及を契機に,検索ノウハウは「サーチャー間で“わざ”として伝達されるもの」から「多くのエンドユーザーに,“型”として伝達するもの」への変革期にさしかかっているものと思われる。本稿では,サーチャーのノウハウを伝達可能な形に変換する試み,ならびに,実際にエンドユーザー教育を行う際のコミュニケーションのとり方について報告する。
著者
長谷川 敦士
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.441-448, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
5
被引用文献数
3

サービスデザインとは,生活者の価値観の変化に伴って,ビジネスの本質がモノから体験にシフトしたことによって生まれた,新しい事業開発の手法である。従来のモノを主体にした考え方(グッズドミナントロジック)に対して,サービスを中心にした事業の考え方はサービスドミナントロジックと呼ばれている。サービスデザインはユーザー中心,共創,体験の連続性,物的証拠,全体的な視点,といった「サービスデザイン思考」を基に構成される。Airbnbなどの新しい事業体は,事業の企画だけでなく,組織運営にまでサービスデザイン思考を導入している。これからの事業開発において,サービスデザインアプローチは重要性を増していくと考えられる。