1 0 0 0 OA 3.HIV感染症

著者
今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.2816-2822, 2013-11-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
12

HIV感染症の予後は,抗HIV薬による治療(ART)によって劇的に改善した.その一方で,近年は様々な長期合併症が問題となってきている.長期合併症の回避,ARTによる感染予防効果などによって,より早期の治療開始も推奨されるようになった.今後は,さらなる早期診断への努力や,長期療養へ向けた医療体制の整備なども求められている.
著者
味澤 篤
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.11, pp.2767-2773, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
1 12

HIV感染症は,抗体+抗原による第4世代のスクリーニングキットが使用されるようになって,感染後2~3週間で陽性が判明するようになった.しかしスクリーニング検査では必ず偽陽性が生じるので,確認検査としては,WB法+RT-PCR法が用いられている.WB法は急性感染期には陰性となってしまうために,RT-PCR法でのHIV-RNA量測定が必要となる.一方AIDSは,HIV感染者が,エイズ動向委員会で定められた23の疾患もしくは状態と判定された場合に診断される.
著者
日比野 進
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.60, no.13, pp.14-15, 1971-12-31 (Released:2011-02-22)
被引用文献数
7
著者
石川 裕一 宮城 匡彦 松本 知子 渡邊 奈津子 東條 靖 廣井 直樹 久保木 幸司 芳野 原 坪田 貴也 吉原 克則
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.2552-2554, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1

34歳,女性,7月に起立困難で入院.心エコーにて著明な右心不全を認め,急激に呼吸状態の増悪を来たした.スワンガンツカテーテルにて全身血管抵抗低下を伴った高心拍出性心不全の所見を呈し衝心脚気と診断.フルスルチアミン投与したところ24時間以内に循環動態の改善が認められた.衝心脚気の原因として本人が2月から始めた健康食品ダイエットが原因と考えられた.現在では稀な疾患ではあるが,短期間で重症化し致命的な経過を辿る事がある為,注意が必要であると考える.
著者
鈴木 秀和 西澤 俊宏 日比 紀文
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.63-69, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
33

機能性ディスペプシア(FD)では,器質的疾患がないにもかかわらず,食後の胃もたれ,早期飽満感,心窩部痛,心窩部灼熱感などの症状を呈する.FDの原因には,胃の運動機能異常・内臓知覚過敏・心理社会的因子などが想定されている.Rome III基準では,FDはさらに,食後の胃もたれや早期飽満感を呈する食後愁訴症候群(PDS)と心窩部痛や心窩部灼熱感を呈する心窩部痛症候群(EPS)の2つの症候群に亜分類される.なお,H. pylori陽性例に対しては,特にアジア諸国では,H. pylori感染症として除菌療法をファーストチョイスとすべきであるというコンセンサスが優勢である.
著者
寺沢 秀一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.2191-2197, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
長谷部 浩平 金城 紀与史 大西 富文 岸田 直樹 金城 光代 芹澤 良幹 松井 和生 西垂水 和隆
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.1075-1077, 2008-05-10

16歳,男性.モルディブから帰国後7日目に高熱と下痢を生じた.肝機能異常と血小板減少を認め,渡航歴から旅行者感染症を考えた.末梢血スメアでマラリア原虫を認めず,腸チフスとデング熱の可能性を考え抗菌薬を使用の上,国立感染症研究所に依頼しデングウイルス3型遺伝子を検出した.その後皮膚点状出血や凝固時間延長が出現し,デング出血熱の診断基準を満たした.支持療法で改善し入院7日目で退院した.渡航歴の確認が重要と考えた.<br>
著者
鹿間 幸弘 片桐 忠
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.6, pp.1311-1314, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

難治性疼痛を訴える多発性硬化症(Multiple sclerosis:MS)の2症例に対し,塩酸モルヒネ錠を投与した.症例1は三叉神経痛,症例2は帯状疱疹による神経痛と腰痛を訴えた.通常の薬剤は無効,もしくは副作用のため投与できなかった.そこで塩酸モルヒネ錠を60~80mg/日(数時間おきに1錠ずつ内服,疼痛に応じて自己管理で追加)を投与した.同時に制吐薬,便秘薬を併用した.2症例ともすぐれた鎮痛効果が得られ,副作用もなかった.疼痛は多発性硬化症でよくみられ,難治性の場合,塩酸モルヒネの積極的な投与も考慮すべきである.
著者
中村 潤 菅原 斉 石井 彰 塚原 理恵子 出光 俊郎 眞山 英徳 渡辺 珠美 野首 光弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2053-2056, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は53歳,女性.入院5カ月前から掌蹠膿疱症に対しミノサイクリン(MINO)とビオチンの投与開始.1カ月前に発熱と筋痛を自覚.階段昇降が困難となり,両側下腿に隆起性紅斑が出現し入院.両薬剤を中止後,発熱,筋痛,紅斑は速やかに消失.紅斑の皮膚生検病理は壊死性血管炎の所見.ビオチン再開後も発熱と筋痛の再燃なく,MINO誘発性結節性多発動脈炎(MIPN)と診断.MIPNの報告は24例に過ぎないが,MINO内服中の新たな発熱,筋痛,紅斑などの血管炎様症状出現時には,薬剤性血管炎,特にMIPNも考慮すべきである.
著者
押味 和夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.958-961, 1994-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
4

末梢血中の顆粒リンパ球が2000/μl以上に増えている疾患を顆粒リンパ球増多症(GLPD)と呼ぶ.ただしウイルス感染による一過性の増加を除く, GLPDは, T細胞が増えるT-GLPDと, NK細胞が増えるNK-GLPDに分けられる. T-GLPDが多い. T-GLPDでは赤芽球癆による強い貧血が合併することがあるが,シクロホスファミドが著効を示す. NK-GLPDには,急性に経過し腫瘍死する予後不良の亜型もある.
著者
猿田 享男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.285-291, 1996-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

ある一定濃度のインスリンの存在下で,正常に発揮されるインスリン効果がみられない状態がインスリン抵抗性である.当初は,肥満者やインスリン非依存性糖尿病患者等,ある特殊な病態にみられる変化と考えられていたが,最近になって,想像された以上に多くの疾患がこの病態に関与していることが明らかとなった.さらにインスリン抵抗性を基礎病変として,糖代謝異常のほか,高脂血症,高血圧,血液凝固系の異常等の諸変化をきたし,動脈硬化の進展から,脳・心血管系疾患の発症に密接に関与する病態として注目されるようになった.このような諸病態を総括する名称としてsyndrome X, deadly quartet,あるいは本稿のテーマとなっているインスリン抵抗性症侯群等が提唱されている.さらにこのような病態を呈するものでは,内臓に過剰な脂肪蓄積を呈することが多いことから,内臓脂肪症侯群なる概念も提唱されてきている.