著者
浅岡 聡 青野 求
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.33-39, 2006-02-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
31
被引用文献数
3

The purpose of this study is to investigate utilization of Akadama soil and evaluate its ion removal efficiency for seawater desalination. The chemical composition of the Akadama soil was Al_2O_3 0.334kg kg^<-1>, SiO_2 0.470kg kg^<-1>, Fe_2O_3 15.7kg kg^<-1> by weight. X-ray powder diffraction pattern, electron diffraction pattern and IR spectrum of Akadama soil showed that allophane was the main phase and low crystallinity kaolin was generated from the allophane. The column method was carried out to evaluate seawater desalination efficiency, the best mixture ratio of the Akadama soil (particle size was less than 250μm), aluminum silicate adsorbent, aluminium magnesium adsorbent, and magnesium oxide adsorbent was 3:1:1:1. Removal percentages of Na^+, Mg^<2+>, Ca^<2+>, K^+ and Cl^- from artificial seawater were 87.7, 84.4, 91.1, 97.3 and 90.7%, respectively. In the batch method, where the mixed adsorbent was used for removal of heavy metals from 20mg L^<-1> solution, the removal percentages of Cu^<2+>, Ni^<2+>, Mn^<2+>, Zn^<2+>, Cd^<2+> and Pb^<2+> were higher than 98%. The removal percentage of PO_4, from river water was 100%.
著者
市村 三郎
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.20-24, 1955

Sphagnum, carex middendorffii, Eriophorum and phrogmites peat, found widely in Hokkaido, had moisture 85-95%, while solid part 5-15%. Peat solid contains organic matter 88-92%, and mineral matter 8-12%. Organic components of peat were fractionated as follows; torfbitumina, watersoluble substance, hemicellulose, cellulose, and humic acid, the main component peing humic scid. It was considered that the humic acid was a complex substance from the decomposed substance of plant lignin; the compound included nitrogenous substance (main component is protein). This included nitrogenous substance was the decomposed compound of bacteria carcass produced, in the decomposition of peat. Inorganic components of peat were made of substances from the residue of plant, accompanied with soils and volcanic ash. Potassium content in the peat was specially less than that of the original plants. Main component of peat was the compound of humic acid and mineral base, with which water-soluble substance, cellulose and hemicellulose were mixed or compounded. It was found that peat was a substance coated with torfbitumina and this coating lowered its absorbed capacity for potassium. This lawering induced the author to recognized that the some parts of mineral bases, from soil and ash, were combined chemically with the peat. Peat had very strong acidity, because the main component was humic acid of low base status. pH of peat was 3.05-3.69.
著者
長坂 克彦
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.239-240, 2005
参考文献数
5
著者
後藤 忍 江口 洋
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.640-644, 1997-12-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
5

The release rates of Ca, Mg and K from six green manure (clotararia, pigeon pea, sesbania, guinia grass, sorghum and oats) and three composts prepared from poultry manure, cattle feces and sugar-cane leaves were measured. Green manure and composts wrapped in glass-fiber filter paper were placed in Ap horizon of a Dark Red soil and analyzed for Ca, Mg and K after 1, 3, 6 and 12 months. In addition, the chemical forms of Ca, Mg and K in the original organic materials were characterized by successive extraction with water, 1 tool L^<-1> NaCl, 2% acetic acid and 0.6 mol L^<-1>HCl. For all the materials, more than 90% of K and Mg was water soluble and water plus 1 mol L^<-1> NaCl soluble, respectively, whereas the water-soluble fraction was variable for Ca, ranging from 4 to 68%. The release rate followed the order of K>Mg>Ca for all the materials, reflecting the proportion of water-soluble fraction. For three bases, the release rate was higher for the green manure than for the composts. The amount of K released from the materials in the first 1 month was highly correlated with the water-soluble K, giving the regression of y=1.04χ-0.04 (r=0.99^<**>), where χ and y stand for the amounts of water-soluble K and released K, respectively. Similar relations with lower correlation coefficients were found for Mg, y=1.02χ+0.03 (r=0.84^<**>), and Ca, y-0.67χ+0.08 (r=0.78^*).
著者
宮丸 直子 儀間 靖 與那嶺 介功 亀谷 茂
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.496-499, 2008
参考文献数
12
被引用文献数
3

沖縄県では台風や大雨時に赤土等の土砂が河川や沿岸海域に流出し、海洋生態系への悪影響が懸念され、大きな問題となっている。平成13年度の調査では、1年間で約30万tの赤土等が流出しており、そのうち74.4%は農地からのものであったと報告されている。これまで、耕種部門では減耕起栽培やグリーンベルト等の対策技術が開発されてきたが、コストや労力の増大から農家による実施は十分に進んでいない現状にある。沖縄県ではサトウキビや冬春期野菜の収穫後、春から夏にかけて休閑期間となるが、この期間は梅雨や台風の時期にあたり、畑面が裸地状態のままでは赤土流出が発生しやすい。そこで、沖縄で古くから土づくりのために利用されてきた緑肥を用いて、赤土流出防止を目的にカバークロップとしての評価をおこなった。供試作物としては、栽培面積が多いクロタラリア、近年導入されたピジョンピーとヒマワリ、一部離島で栽培されているフウキマメを選択し、生育特性および赤土流出防止効果について調査した。
著者
石黒 宗秀 大島 広行 小林 幹佳 森崎 久雄 田中 俊逸
出版者
日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.274-278, 2014

土壌は,多量の電荷を持っており,多い場合は, 1m3あたり1 億クーロンに達する.これは, 1kW の電気ストーブを120 目問つけっぱなしにして流れる電気量に相当する.これに起因する特性は,土壌に様々な現象を引き起こす.アロフェン質火山灰土下層土にイオン溶液を種々pH で浸透させると,pH が高くなるほどカチオンは流出が遅れ,アニオンは流出が速くなる.これは,pH が高くなるほどアロフェン質火山灰土の負電荷量が増え,正電荷量が減ることにより,静電吸着量が変化するためである.アロフェン質火山灰土(B 層)をカラムに均一に充填し,種々のpH の1mM 塩化ナトリウム溶液を飽和浸透させて,その飽和透水係数を測定した.図1 に示すようにpHが高くなったり,低くなったりすると,飽和透水係数が小さくなる.これらの原因を検討するため,土壌の分散凝集実験を行った.1mM 塩化ナトリウム溶液中に土壌を加え,種々pH に平衡させて良く振とうし,振とう直後の濁りと,振とう静置12 時間後の濁りを濁度計で測定したところ,pH4 以下およびpH 10 以上で良く分散し,その間のpHでは凝集した.土壌が分散するのは,電気的反発力が発生するためである.分散しやすい条件では,土粒子表面近傍に形成される拡散電気二重層が厚くなり,そのため,土粒子同士が接近した状態では,拡散電気二重層が重なる.その状態においては,粒子間の濃度が外液中の濃度より高まるため,浸透圧差により土粒子間に反発力が働く.この電気的反発力の大きさを評価するため,ゼータ電位(土粒子近傍の電位)を用いて電気的反発ポテンシャルエネルギーを計算した.分散条件では,大きな値となり,凝集条件では小さな値を示し,飽和透水係数の変化と良く対応した.飽和透水係数が低下するのは,その溶液条件で電気的反発力が大きくなり土粒子が分散して,粗間隙を目づまりさせたためである.土壌の電荷特性とイオンの吸着状態は,イオン移動の遅速,土壌構造の変化,透水性の変化をもたらすため,養分移動,汚染物質移動,土壌侵食,農地の水利用,流域の水・物質循環等の農業や環境問題と密接に関係する.また,有機物で覆われた土粒子や微生物は,柔らかいコロイド粒子として,その界面電気特性を捉える重要性が指摘されるようになり,関連する現象の理解と応用が進展している.2013 年名古屋大会でのシンポジウムでは,界面電気現象の基礎理論を平易に解説した.そして,測定法と現状における課題,微生物の固体表面への付着,汚染土壌の修復技術についての研究の講演へと繋げた.難解なイメージがあり敬遠されがちな界面電気現象の基礎を理解し,今後の基礎及び応用研究の展開をもたらす機会となればと考える.
著者
北村 八祥 松田 智子 原 正之 矢野 竹男
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.114-119, 2015

厚生労働省は健康の維持・増進,生活習慣病予防を目的に,各栄養素の摂取量について基準を策定している(厚生労働省,2010)。多量ミネラルとしては,カルシウム(Ca),リン(P),マグネシウム(Mg),カリウム(K)およびナトリウム(Na)の5要素が取り上げられており,農産物はNaを除く4要素の重要な供給源となっている(厚生労働省,2010)。農産物に含まれるミネラル含量は,日本食品標準成分表2010(文部科学省,2010)に品目毎の代表値が示されているが,利用部位による違いは考慮されていない。今後,農産物の加工・業務用需要が増加する中,用途に合わせた部位の活用が進むことが考えられ,部位別のミネラル含量を明らかにすることには意義がある。特に健康増進を目的としたメニューや農産加工品の開発への利用価値は非常に高い。そこで,摂取量が最も多いコメ(Oryza sativa L. ),代表的な加工・業務用野菜であるキャベツ(Brassica oleracea L. var. capitata),タマネギ(Allium cepa L. )およびニンジン(Daucus carota L. )について,部位別のミネラル含量を調査し,ミネラルに着目した農産物提供の可能性を検討した。
著者
山田 和義 上原 敬義 内津 政直
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.108-111, 2013

きのこの人工栽培には大きく分けて原木栽培と菌床栽培があるが,特に菌床栽培では,年聞を通して多量に発生する使用済み培地の有効利用が課題となっている。きのこ栽培が盛んな長野県の場合,いずれもビン栽培(菌床栽培)されるエノキタケとエリンギでの使用済み培地の年開発生量は,その生産量(林野庁,2010)から合計約200Ggと推計される。エノキタケとエリンギの培地は,主要原料としてコーンコブミール(トウモロコシ穂軸破砕物)30~50%,米ぬか20~40%を含むため,良質な堆肥原料となり得る。これまでに,堆肥化した使用済み培地(以下,コーンコブ堆肥)中の窒素については,肥効率(ここでは,化学肥料の肥効に対する堆肥成分の肥料的効果の割合)を20%として施用すると,レタスやハクサイでは基肥窒素の50%程度を代替できた(山田ら,2009)。一方,コーンコブ堆肥には主に培地原料の米ぬか由来のリン酸が窒素の1.5倍程度含まれている。水稲に対して使用済みきのこ培地(主原料がコーンコブおよびオガクズの培地)の化学肥料代替利用を検討した結果ではリン酸肥効率は60~70%であった(長野県,2011)。こうしたことから,コーンコブ堆肥の利用は有機物施用による団粒形成促進等の土壌改良効果とともに,単価の高いリン酸肥料の代替資材としてコスト低減も期待できる。そこで,本県での野菜作におけるコーンコブ堆肥施用時のリン酸肥効率を設定するために,根菜類等を対象に検討した。
著者
佐藤 邦明 増永 二之 稲田 郷 田中 利幸 新井 剛典 海野 修司 若月 利之
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.449-458, 2005
参考文献数
25
被引用文献数
1

多段土壌層法を用いて,汚濁負荷の大きい河川浄化システムの開発を目的とし,福岡県を流れる一級河川遠賀川の支流,熊添川のBOD除去を対象に基礎試験を行い,資材および構造の検討を行った。H144×W80×D56cmの装置を10基作成し,通水層および混合土壌層資材を検討し,構造については資材が同じで土壌層の幅を変えたものを作成した。流入原水は対象河川と同程度のBOD値(約40mg L^<-1>)である農業集落排水処理施設の処理水を用いて4,000Lm^<-2> day^<-1>の負荷で実験を行った。混合土壌層において対象河川の河川敷における現地土割合が高い装置で初期に目詰まりが起こった。この現地土は旧炭坑由来の微粉炭を含み,易分散性のシルト・粘土含量が高く,孔隙の閉塞を起こし易いためだと考えられた。今回のような特殊な現地土を使用する場合には,他資材の添加によってその透水性を上げること,そして分散性を抑制することが重要であると示唆された。また現地土に黒ボク土を混合した装置よりマサ土を混合した装置で目詰まりが起こりにくかったことから現地土へは大きな粒径の割合が多いマサ土の添加が好ましいと推察された。BOD値においても,現地土のみより(平均8.0〜12.4mg L^<-1>),特にマサ土を混合した装置(平均3.3,5.4mg L^<-1>)で高い処理能力を示した。本実験条件では,土壌資材の粒径はシルト以下の粒径が20%程度まで,0.450mm以下が50%程度までであることが,混合土壌層の混合割合は,現地土:マサ土:木炭:腐葉土=4:4:1:1の容積比が最適であると示唆された。また,通水層資材の違いについてはBOD処理には大きな差は出なかった。構造については,土壌層幅が15cmの装置で最も優れた性能を示した。土壌層幅の大きな装置で先に目詰まりを起こしたため,土壌層幅が狭いほうが有利であると示唆された。T-P除去能も土壌層幅の狭い装置で良い結果を示し,土壌との接触効率が高かったためと考えられた。