著者
濱野 千尋
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.161, 2018 (Released:2018-05-22)

2016年の秋および2017年の夏の合計4か月間、ドイツにて行った動物性愛者たちへの調査から得られた事例を通して、人間と動物の恋愛とセックス、および動物性愛というセクシュアリティの文化的広がりについて考察する。異種間恋愛に見られる人間と動物の関係をダナ・ハラウェイの伴侶種概念を基盤に説明するとともに、動物性愛者のセックスが抑圧から脱する可能性を検討したい。

9 0 0 0 OA 東北の関西人

著者
川口 幸大
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.93, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表では、日本の内なるエスニシティへの他者化、および、それを内面化した自己他者化のプロセスに作用する文化認識と実態の所在について、「東北地方で暮らす関西人」である発表者のオートエスノグラフィーをもとに考察する。それをもとに、文化人類学における文化の捉え方を今ひとたび考え直してみたい。
著者
片岡 樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.23, 2018 (Released:2018-05-22)

近代以降の神仏分離、神社合祀、政教分離といった一連の政策が、我が国の宗教的景観を一変させてきたという認識は大筋では正しいとしても、一部に過大評価を含んでいるのではないか。本報告では、愛媛県今治市菊間町の神社・仏堂の現状に関する悉皆調査の結果から、そうした国家主導の宗教再編をかいくぐるうえで未公認の小社や小堂が果たしてきた役割について再検討する。
著者
沼崎 一郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.90, 2018 (Released:2018-05-22)

本分科会の目的は、研究技法としてだけではなく、生活技法として、特に「多文化」を生きる技法としてのオートエスノグラフィーの可能性を探ることである。オートエスノグラフィーは、語る主体としての自己を顕在化させつつ、主観と客観、自己と他者、パーソナルなものとポリティカルなものの交差する民族誌的状況を描き出すことによって、再帰的/反省的に人類学的な考察をを展開しようとする試みである。それは、いわゆる「『文化を書く』ショック」以後の人類学における「再帰的/反省的転回」の提起する諸問題を、最もラディカルかつパーソナルに受け止めようとする試みの一つである。本分科会では、各発表者が、それぞれの人生と人類学的営為とを往復しつつ、研究技法としてのみならず、生活技法として、とりわけ「多文化」を生きる技法としてのオートエスノグラフィーの可能性を探る。
著者
久保 裕子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.62, 2018 (Released:2018-05-22)

現在のフィリピンにおいて、一部の医療機関に生殖技術が導入され、先進国での先例に基づき、ある一定の年齢層に対して出生前診断が推奨されている。他方、中絶行為自体は違法であるが、一部の避妊法の保証と(中絶後の)母体の保護を認めるリプロダクトヘルス法が2012年に制定された。これは社会問題となっている10代の妊娠や貧困女性の中絶の実情を考慮してのことといわれている。フィリピンではネオリベラリズムを背景に、「胎児」をめぐる社会的規範と実態とが多層的に矛盾している状況だ。本発表の目的は、「胎児」をめぐる問題の背景にある、錯綜したいくつかの言説、すなわち「権利」や「倫理」といった言説の歴史的変遷を確認し、そうした言説を辿っていくなかで、フィリピンにおいて「胎児」そのものは不在であったという発表者の仮説について検証するものである。
著者
足立 賢二
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.154, 2018 (Released:2018-05-22)

日本古武道にとって「文化財であること」は自明視された前提の一つである。近年、日本古武道の文化財指定を目指すロビー活動が盛んになっているが、古武道を「文化財」とする見方の政治性に関する批判的検討は不足する印象を受ける。本発表では「文化財」としての古武道像の成立過程を検討した。検討結果からは、「文化財」としての古武道像が、敗戦後の武道の再出発とその後の武道振興に関係して出現したことを明確化できる。
著者
小田 博志
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.151, 2018 (Released:2018-05-22)

19世紀後半から20世紀前半にかけて、人種主義を背景とする形質人類学的研究のため、世界各地で植民地化された人々の遺骨が持ち去られ、大学や博物館に収蔵された。この植民地主義の負の遺産に対して、遺骨が発掘されたコミュニティーからrepatriation(返還/帰還)を求める声が上がっている。アイヌ民族の遺骨も例外ではない。ここではアイヌ遺骨のrepatriationを巡る状況を報告し、それを通して脱植民地化に向けた人類学者の公共的役割を論じたい。
著者
黄 潔
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.172, 2018 (Released:2018-05-22)

本報告は、「av jiuc」という橋架け習俗を通じ、こうした習俗と関わるトン族の霊魂観から、住民における「橋」の象徴的な意味を論じる。公共建築としての橋ではなく、出生礼や病気の治療に際して、生活者が行う橋をめぐる儀礼の世界を対象とする。使用する資料は、主に広西三江県と湖南省通道県におけるトン族集落での聞き取り調査から得られたものである。
著者
岡本 圭史
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.111, 2018 (Released:2018-05-22)

文化人類学と心理学の架橋は、容易に成功し難い課題である。その原因の1つは、人類学者による心理学の参照が、しばしばデータから切り離された概念の領有に陥っていたという点であろう。本発表では、いわゆる「宗教の認知科学」における霊的存在のエイジェンシーをめぐる議論について検討する。そのことを通じて、人類学者による認知心理学の正確な理解が、生活世界の中の霊の位置を新たな視点から描く助けとなることを示す。
著者
矢島 妙子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.116, 2018 (Released:2018-05-22)

高知の「よさこい祭り」が、1992年に札幌に伝播して「YOSAKOIソーラン祭り」となり、その後、全国に同様な「よさこい系」祭りが誕生した。グローバリゼーションの時代であるが、各地の「よさこい系」祭りが、祭りとしてその土地で確固たるものとなったとき、それが、自分たちの文化となる。伝播型の祭りは、本家も影響を受けながら、また、本家性が曖昧となり、正確さを欠きながらも展開し、各地の文化となり、継承される。
著者
大戸 朋子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.180, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表では、アカデミックな人類学的フィールド調査の訓練を受けた後、企業が運営している「研究所」(企業研究所)に雇用されているエスノグラファである発表者(大戸)を通して、日本国内の研究所で行われているビジネスエスノグラフィの実践が、企業組織文化との絶えざる交渉の結果として、また、文化人類学的エスノグラフィを企業組織に導入・適合させようとする諸実践の産物として流動的に形成され続けていることを明らかにする。さらに、ビジネスエスノグラフィが、伝統的なエスノグラフィの型をなぞるだけではなく、新技術(360度カメラやVRゴーグルなど)の導入や使用検討を行うなど、新たなエスノグラフィの試みを積極的・実験的に行っていることをなどについて、具体的な事例を提示する。
著者
黄 蘊
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.141, 2018 (Released:2018-05-22)

本報告は、マレーシアとシンガポールの上座仏教徒たちのインド仏教聖地巡礼について、その背景、意義、その行為に隠されている意味について分析することを目的とする。本報告は、マレーシアとシンガポールの上座仏教徒はどういう目的、何をめざしてインドの仏教聖地に赴いているのかを考察し、またそこからこの両国における上座仏教はどのような過程を経て自己完成に向かっているもしくは向かおうとしているのかを明らかにしていきたい。
著者
二文字屋 脩
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.46, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表は、タイ北部で唯一の遊動狩猟採集民と知られるムラブリ(the Mlabri)を事例に、脱狩猟採集民化を経験したポスト狩猟採集民に対する原始豊潤社会論の妥当性を検証するとともに、生産様式から議論されてきた原始豊潤社会論を、思考様式や交換様式といった視点から再考するものである。
著者
登 久希子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.78, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表は2000年代初頭から現代美術の文脈で注目をあつめてきた「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」や「ソーシャル・プラクティス」と呼ばれるような「社会性」を指向する芸術実践を事例に、芸術と非芸術としての日常生活(life)のあいだにいかなる《境界的領域》が生起し得るのかを人類学的に考察するものである。
著者
中生 勝美
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.97, 2018 (Released:2018-05-22)

新しい人類学史の構築を目指して、研究組織を立ち上げて共同研究を始めている。今回は、その紹介とともに、人類学の実践を歴史的観点から批判的に検討することで、現在的な問題を考えるヒントになることを提示したい。その実例として、アメリカミシガン大学の日本研究が、戦時中に対日本戦略として始まり、戦後は人類学という方法論を用いながら、大きな枠組みで戦後の国際環境と関連して進展したことを報告する。
著者
春日 直樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.98, 2018 (Released:2018-05-22)

近年の人類学では、身体と精神、自然と文化、人間と非人間などの西洋近代的な二分法を批判する代替的なアプローチがいくつも提起されてきた。本発表ではメラネシアの主にパプアニューギニアの民族誌に依拠して、ローカル・ノレッジをつうじたあたらしい二分法を提起する。「みえるもの」「みえないもの」というそれによって、(1)「私」という意識と物理世界との関係を呈示し直し、(2)人間の記号活動と対称性の論理とを関連づけ、(3)「呪術」についての新解釈を提起する。
著者
荒木 亮
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.20, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表は、インドネシアの地方都市・西ジャワ州バンドゥンの周辺に位置するスンダ人・ムスリムの村落(K村)にて行われている憑依儀礼(クダ・ルンピン〔kuda lumping〕)について報告する。そのうえで、かかる儀礼的慣習に対する、人々のイスラームという視点に基づいた語りを手掛かりに、村落社会の発展(近代化)とイスラーム化、さらには伝統復興といった現地の生活世界を素描する民族誌的な試みである。
著者
村津 蘭
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.21, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表は、西アフリカのベナン共和国南部の新教会の悪魔祓いを受けた女性の事例を基に、「妖術師」が悪魔祓いの中で対処されることを通して、どのように「妖術師」として具現化するのかということを言説・身体・物質の観点から描きだす。さらに、不幸の原因を判じるための卜占と比較し、悪魔祓いが相談者側の力の増大につながっている点について議論する。
著者
吉野 晃
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.22, 2018 (Released:2018-05-22)

タイ北部の山地に居住するミエン(ヤオ)は、男性中心的な道教・法教的儀礼体系を保持してきたが、〈廟〉を作り、女性シャマンが儀礼を行う新しい宗教現象が起きている。この宗教現象における女性シャマンの活動履歴と、シャマン集団を統合する師弟関係・結縁儀礼について報告する。
著者
斎藤 俊介
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.174, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表は、北部タイのコン・ムアン社会において行われる、母系親族を基調とした出自原理にしたがい形成される祖霊祭祀集団について報告するものである。それが理念的なクランであり、実際に系譜として辿れるリネージとは乖離しているという点に留意しつつも、同じ祖霊を祀る集団、すなわち同一の母系クランに帰属する集団単位の可変性と祖霊祭祀にまつわる実践のありようについて、北部タイの社会変容との相関から考察を加える。