著者
増田 育司 酒匂 貴文 松下 剛 白石 哲朗 切通 淳一郎 神村 祐司 小澤 貴和
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.709-716, 852, 2003-09-15
被引用文献数
5

鹿児島湾産アカカマス1631尾の耳石横断薄層切片をもとに,本種の年齢と成長を検討した結果,縁辺成長率の経月変化および優勢ないし劣勢年級群の経年出現状況から,用いた耳石輪紋(不透明帯内縁)は年輪であることが立証された。6月1日を誕生日と仮定して,輪紋数に応じて個体毎に年齢を割り振り,Bertalanffyの成長式を当てはめた結果,雄はL_t=304.6{1-exp[-0.433(t+3.385)]},雌はL_t=337.5{1-exp[-0.421(t+2.972)]}で表された。両式は有意に異なり,いずれの年齢においても雌は雄より大きい体サイズを示した。最高年齢は雄で11歳,雌で8歳であった。
著者
西川 哲也 堀 豊 長井 敏 宮原 一隆 吉田 陽一 小玉 一哉 酒井 康彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.388-394, 2000-05-15
被引用文献数
5 1

播磨灘においてノリ養殖に有害な大型珪藻Coscinodiscus wailesiiについて, 1995,1996,および1997年の3年間における同種の発生と水質, 気象要因等との関係を調べた。C.wailesiiは, 11月から翌年2月頃の比較的低温で日射量が低く, また海水の鉛直安定度の低い時期(鉛直混合期)に出現し, また, DIN(溶存無機態窒素), DIP(溶存無機態リン), DSi(ケイ酸態ケイ素), およびDIN×DIPが高く, DIN : DIP比やTN(全窒素)×TP(全リン) : DIN×DIP比(栄養塩利用強度)の低い水域(年または月)にやや高密度(20-200 cells/l程度)で出現する傾向が強かった。
著者
山羽 悦郎 水野 寿朗 松下 健 長谷部 優
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.709-717, 1999-07-15
被引用文献数
5 17

キンギョの胚操作の指標となる嚢胚期以前の発生段階を, 組織学的, 細胞学的, 発生遺伝学的な視点から検討を加えた。20℃の培養下で同調卵割から非同調卵割への移行(中期胞胚期遷移)は, 9回の同調卵割の後の受精約6時間に起こり, この時期以降を中期胞胚期と定めた。中胚葉分化の指標となるgoosecoidとno tailの発現は受精後8時間に観察され, この時期以降を後期細胚期と定めた。胚盤周囲の卵黄多核層の形成と深層細胞の運動は中期胞胚期に, 胚盤中央部の卵黄多核層の形成と深層細胞の自律的な混合は, 被いかぶせ運動以前の後期胞胚期に観察された。
著者
宮嶋 俊明 岩尾 敦志 柳下 直己 山崎 淳
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.8-17, 2007 (Released:2007-02-06)
参考文献数
24
被引用文献数
4 4

京都府沖合海域において,駆け廻し式底曳網に仕切網と選別網(目合 600 mm)を取り付け,ズワイガニを網外に排出し,カレイ類を漁獲するための漁具の開発を行った。漁獲物とズワイガニの分離は選別網で行い,効率的な分離を行うためには,底網から選別網までの高さを維持することが重要であった。本漁具を用いた試験操業では,ズワイガニの 74~98% を網外に排出し,アカガレイの 67~88%,ヒレグロの 57~70% を漁獲することができた。本網は甲幅 100 mm 以下のズワイガニの分離に対して有効であった。
著者
今 攸 安達 辰典
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.673-680, 2006 (Released:2006-07-27)
参考文献数
42
被引用文献数
4 3

若狭湾沖に生息する最終未成体齢と若い成体(最終脱皮後<4 年)のズワイガニが持つ卵巣卵数は,共に甲幅と正の相関にあり,前者の卵数は後者の 62.8% と少なかった。これは卵巣発達時における体サイズの違いが原因しているとみられる。初産ガニと若い経産ガニ(1.5~<4 年)が持つ腹肢付着卵数も,共に甲幅と正の相関にあったが,前者の付着卵が未成体の卵巣に,後者の付着卵が若い成体の卵巣に由来していることから,前者は後者の 66.3% であった。高齢の経産ガニ(>4 年)が持つ両卵数は,甲幅との間に有意な関係が認められないうえ少なかった。
著者
小金 隆之 浜崎 活幸 野上 欣也
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.161-164, 2005 (Released:2005-07-15)
参考文献数
12
被引用文献数
12 14

ズワイガニ幼生の適正飼育水温を明らかにする目的で,ふ化幼生を 1L ビーカーに収容し,水温 10, 12, 14, 16℃ で飼育した。第 2 齢ゾエアまでの生残率は各水温区とも 90% 程度の値を示したが,16℃ 区ではそれ以降に大量減耗がみられた。第 1 齢稚ガニまでの生残率は 14℃ で最も高い値を示した。各齢期までの発育日数は水温の上昇にともない指数関数的に減少し,発育日数の変動係数は 14℃ 区で小さい傾向があった。以上のことから,ズワイガニ幼生の適正飼育水温を 14℃ 程度と結論付けた。
著者
朴 容石 飯田 浩二 向井 徹 桜井 泰憲
出版者
日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.159-163, 1995-03-25
被引用文献数
3

The auditory threshold levels of walleye pollock Theragra chalcogramma (Pallas) were measured in order to determine the optimum conditions for marine ranching utilizing underwater sound. The auditory characteristics of walleye pollock were determined by heart beat conditioning using 8 frequencies of pure tone stimuli from 60 to 1, 000Hz coupled with an electric shock. Pure tone conditioning stimuli were presented to the fish for 5 seconds with a 0.1 second 12V DC electric shock applied 3 seconds after the start of the sound projection. The positive response to the pure tone stimulus of the conditioned fish consisted of an inhibition of one or more heartbeats. Results show that tested walleye pollock are sensitive to pure tones in the frequency range from 60 to 1kHz, with greatest sensitivity in the range from 120 to 200Hz. At the most sensitive frequencies, the mean thresholds were between 97.7 and 100.2dB (re 1μPa) under a background noise level between 55 and 75dB (re 1μPa/√Hz). Hearing ability declined gradually with increasing frequency above 400Hz. The upper limit of audible frequency is believed to be about 1kHz.
著者
飯田 貴次
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.632-635, 2005 (Released:2005-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
5 5
著者
北川 えみ 北川 忠生 能宗 斉正 吉谷 圭介 細谷 和海
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.146-150, 2005 (Released:2005-07-15)
参考文献数
15
被引用文献数
5 2

1988 年にオオクチバスフロリダ半島産亜種が放流された池原貯水池では,1996, 1997 年の遺伝学的調査においてフロリダ半島産亜種由来のミトコンドリア DNA(mtDNA)をもつ個体の割合は 56.8% であった。今回(2003 年)再調査を行った結果,本亜種由来の mtDNA をもつ個体は全体の 86.7% となり,前回調査より有意な増加がみとめられた。また,近畿地方の池原貯水池とは別水系の湖沼(津風呂湖,宝ヶ池,深泥池)からも本亜種由来の mtDNA をもつ個体が検出された。