著者
大関 真之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.123, 2022-02-05 (Released:2022-02-05)

学界ニュース2021年ノーベル物理学賞:Giorgio Parisi氏「原子スケールから天体スケールまでの物理系における無秩序と揺らぎの関連の発見」
著者
高木 仁三郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.818-821, 1995-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
2
被引用文献数
1

14 0 0 0 OA 格子ゲージ理論

著者
川合 光
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.10-15, 1983-01-05 (Released:2020-05-21)

原子核の構成要素は陽子と中性子であり, それをπ-中間子が媒介して結びつけている事は周知である. これら以外にも強い相互作用をする粒子は多く知られており, ハドロンと呼ばれる. ハドロンの構造は長い間謎であったが, ここ数年の格子ゲージ理論の発達によってほぼ解決されたようである. 格子ゲージ理論はゲージ場の理論を構成的に定義する今のところ唯一の方法であり, このおかげで場の理論が数値的に計算できるようになった. ここでは, 格子ゲージ理論の基礎を中心に解説しようと思う.
著者
神原 陽一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.798-799, 2019-11-05 (Released:2020-05-15)

新著紹介磁性と超伝導の物理;重い電子系の理解のために
著者
益川 敏英
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.730-732, 1975-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
6
著者
板垣 直之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.350-351, 2016-06-05 (Released:2016-08-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3
著者
中村 泰信
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.762-769, 2011-10-05 (Released:2019-06-14)
参考文献数
70
被引用文献数
2

巨視的量子効果としての超伝導に関わる実験の歴史と最近の進展を概観する.特に超伝導秩序パラメータの位相がどのようにして理解され,制御されてきたかということに注目する.巨視的量子コヒーレンスや量子計算といった新しい概念が大きな動機付けとなって研究が進み,電気回路上で人工的な量子力学系を設計しその量子状態を自在に操ることができるようになってきている.
著者
大野 克嗣
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.501-507, 1997-07-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
11
被引用文献数
1

我々の世界に満ち満ちている非線形性は, 我々が知りたい(時空)スケールをそれから懸け離れた我々には知り得ないスケールと結合してしまう(1節). だが, それにしては我々の世界はそんなに無法則的には見えない. ある現象が「よく変わる部分」と「そうでない部分」からなるなら, 後者に目をつけることで現象がわかった気になれるようだ(2節). 「くりこみ」は「そうでない部分」を浮き彫りにしてくれる. そこでまず, 簡単な例でくりこみの処方を説明しよう(3節). 「くりこみ」で世界の細部によらない構造を抽出できるなら, それは系の長時間挙動の理解にも使えるだろう. より一般に, くりこみは(非線形系の)「漸近解析」の指針たりうるであろう(4節). くりこみはこのような技術的問題に有効なだけでなく, もっと大きな文脈の中でも意味を持っているのではないだろうか(5節).
著者
宇田川 将文
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.788-795, 2022-12-05 (Released:2022-12-05)
参考文献数
35

物質を構成するマクロな個数の電子状態が膨大な重ね合わせを起こしたらどのような物性が生じるだろうか? この問に答を与えるのが量子スピン液体の研究である.20世紀の終わりに発見された磁性体であるスピンアイスは,それ自体魅力的な性質を備えた物質であるとともに,量子スピン液体の魅力をも垣間見せる.スピンアイスは,その磁気構造が氷(H2O)における水素原子配置と同等のルールで記述されるために,「アイス」の名で呼ばれる.氷は見かけ上,熱力学第三法則を破って絶対零度近傍でも有限のエントロピーを保持することは有名であるが,スピンアイスはほぼ同量の残留エントロピーを示し,その基底状態は系を構成するスピンの数に対して指数関数的に増大する莫大な個数の縮退をもつ.量子スピン液体の典型例――量子スピンアイス――はこのマクロに縮退したスピンアイスの量子力学的な重ね合わせ,すなわちシュレディンガーの猫ならぬ,「シュレディンガーの氷」である.逆にスピンアイスは,量子スピン液体が完成する前の前触れ,重ね合わせが生じる前の,高温のスピン液体と位置づけることができる(奇妙に聞こえるが「アイス」が「液体」よりも温度が高いのだ).量子スピン液体の示す著しい特徴として,分数化という現象が挙げられる.分数化とは電荷やスピンなど,系を構成する基本的な量子数がより小さい単位に分裂して独立した粒子として振る舞う現象を指す.分数化は量子力学の本質である重ね合わせの原理の裏返しとも言えるだろう.スピンはそれ自体ひとつの実体に見えるけれども,別の環境下では,もっと基本的な何者かの重ね合わせとしてより自然に振る舞う.分数化して生じる粒子の振る舞いは強結合のゲージ理論によって記述される.量子スピンアイスを記述するゲージ理論は驚くべきことに,我々の世界の基本法則に現れる量子電磁気学(QED)である.しかしながら我々の知るQEDとはやや異なる.光は遅い.スピンが分裂して生じる磁気モノポールは,我々のQEDには(今のところ)存在しない.大きい微細構造定数,同符号の電荷に引力が働く電磁気学など,量子スピンアイスは「あり得たかもしれないこの世界」の様々な可能性を物質中に実現して我々に提示する.量子スピンアイスを含む,量子スピン液体相が現実の物質で実際に実現しているかどうかは,長年の研究にもかかわらず,まだ定かとは言えない.量子スピン液体の探索には高温のスピンアイスがよい道標となるだろう.まだ存在が不確かな量子スピン液体とは異なり,スピンアイスは残留エントロピーをはじめとする確固とした実験結果により,Dy2Ti2O7やHo2Ti2O7などの物質で実現していることが知られている.量子スピン液体の兆候を捉えるために鍵となるのが,高温のスピンアイスから出発して,降温とともにいち早く量子性を獲得する磁気モノポールの探索である.強結合のゲージ理論に従う磁気モノポールの振る舞いを捉えることは容易ではないが,物理特性を鋭く見抜く理論手法の開発によりそのダイナミクスが精度よく記述され,量子スピン液体の探索という長年の問題が解決に向けて大きく前進することが期待される.
著者
綿引 芳之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.251-255, 2010-04-05 (Released:2020-01-18)
参考文献数
19

最近提案された因果力学的単体分割を紹介する.これは従来の力学的単体分割を改良した新しい量子重力理論で,従来の力学的単体分割で曖昧に扱われていた因果性の問題を真面目に受け止め,過去と未来の定義可能な時空,つまり,因果性を持つ時空だけを扱った点に大きな特徴がある.特に,宇宙の分離と融合を認めた2次元時空の因果力学的単体分割は,弦の場の理論や行列模型によって表現することができ,それゆえ,数学的解析が可能な理論となる.
著者
初貝 安弘
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.19-28, 2013-01-05 (Released:2017-04-29)
参考文献数
65
被引用文献数
2

近年多くの興味を集めている量子液体相とは,量子効果によりすべての秩序が融解し,対称性の破れを伴わない物質相である.量子ホール効果における2次元電子系,整数スピン鎖,トポロジカル絶縁体がその典型例であり,その多くがバルクな系での励起に有限のエネルギーを必要とし,低エネルギーに特徴的な構造を持たない.一方で,これらの相では系の境界や不純物近傍にエッジ状態とよばれる局在状態が特徴的かつ必然的に現れ,このエッジ状態がバルクの非自明な性質を反映する.この相互関係はバルク-エッジ対応とよばれ,量子液体相の特徴付けにおけるその有効性が広く認識されつつある.また,バルクな系でも古典論を離れ,量子干渉効果であるベリー接続を用いてチャーン数,量子化ベリー位相等の「トポロジカルな秩序変数」を定義すれば,これらは励起にエネルギーギャップを持つ系の断熱不変量となり,相分類において有効である.これらに関する我々の試みに関して平易な解説を試みたい.
著者
永田 賢二 杉田 靖司 佐々木 岳彦 岡田 真人
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.876-880, 2014-12-05 (Released:2018-09-30)

あらゆる物理学の分野において,実験データから必要な情報を抜き出す作業は日常的に行われることである.特にデータの中から複数のピークを探し出し,その位置や広がりを評価することは,実に多くの場面で重要となる.実験データからピーク位置の情報をフィッティングなどで取り出すこと自体は,グラフソフトなどを使えばそれほど難しいことではない.ところが「いったい何個のピークがあるのか」ということを判断することは難しい.ほとんどの場合,何個のピークがあるかを判断するのは解析者の直感に委ねられる.しかし,時に何個のピークがあるか迷うデータに遭遇することもあるだろう.例えば,右下の図は複数のガウス関数の和にノイズを加えて生成した,人工的な実験データである.果たして何個のピーク(ガウス関数)があるのか,判断できるであろうか.データのみからピークの個数を決定することは,理論的にも難しい問題である.例えば,データとフィッティング関数の差(誤差関数)を最小化してピークの個数を決定しようとすると,ピークの数を増やすことでいくらでも誤差を下げることができてしまう.このようなノイズまでフィットしてしまう「オーバーフィッティング」の問題を避けるためには,誤差関数だけでなく,モデルの複雑さとのトレードオフを兼ね備えた関数を考える必要がある.また同様の問題として,実験データを多項式でフィットする問題を挙げることができる.n点のデータに対して,n-1次の多項式でフィットさせると,誤差なくすべてのデータをフィットさせることができるが,意味のないデータ解析であることは明らかであろう.このような,ピークの個数の決定や多項式の次数の決定の問題は,統計学の分野において「モデル選択」と呼ばれている.モデル選択の問題に対しては,赤池情報量規準やベイズ情報量規準といった情報科学の分野で開発されたモデル選択規準が広く使われており,多項式フィッティングの問題をはじめとして,様々なモデル選択で一定の成功を収めている.しかし,ピーク個数の決定については,モデルに内在する数理的な構造の複雑さにより,これらのモデル選択基準の適用により決定することが困難である.最近になって,ベイズ推定とモンテカルロ法を組み合わせた新しい手法が開発され,ピーク個数の決定に応用されるようになった.この手法は,ベイズ推定で記述される評価関数に現れる量を「分配関数」「自由エネルギー」などに読みかえることで,モンテカルロ法を適用するといった特徴を持っている.本稿では,なるべく専門性の高い内容は避け,ベイズ推定によるモデル選択の枠組みを概説し,実際に「右図は3つのピークが合成されている」と考えるのが最も自然であることを示す.
著者
井元 信之 小芦 雅斗
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.17-24, 2001-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
53

物理における位置づけを主な視点として量子暗号(あるいは広く量子情報処理)を解説する.これまで扱われてこなかった基礎的な問題が解明されつつあることや,一つの量子系が客観的存在でなく複数主体から相対的に見えるという量子力学本来の側面が重要となるところに,量子暗号研究の面白さがある.
著者
有賀 暢迪
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.322-325, 2018-05-05 (Released:2019-02-05)

歴史の小径誌上展示・理化学研究所の歩み1917~48年