著者
中沢 陽
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.29-30, 1990
被引用文献数
1

1989年は,太陽の黒点活動の活発化やボイジャー2号による海王星探査など天文学上の話題が豊富であるが,それを「物理」の授業に役立たせたいというのが筆者の考えである。本論はその一つの試みである。
著者
福山 豊
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.75-79, 1984

教育学部の学生は高等学校で物理学を学んでいなかったり,学んでいても苦手意識をもっていることが多い.そのために多くの学生が物理学の講義を敬遠してしまう.このような学生たちに大学で従来から広く行なわれている教師中心の講義を受講させても,とうてい物理学に興味をもたせることはできない.そこで物理学を敬遠しているこの学生たちが電磁現象をもう一度自分とのかかわりのなかで見直したり,我々の身近な電気機器の原理や構造を少ない基本法則で理解できるようになるために次のような工夫を行なった.まず学生全員に即席めんのカップによる簡単なダイナミックスピーカーを作製させ,ラジオのイヤホンジャックから出ている音声信号をつかって鳴らさせてみた.さらに目に見えないためにイメージが描きにくい電滋現象を計測メータ一類をもちいず,スピーカーや麦球をつかってその効果を読み取るような演示実験を開発し実践を試みた.
著者
矢野 淳滋
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.61-64, 1976-05-20 (Released:2017-02-10)

羽根車がガラス棒上を転がって動く型の羽根車入りクルックス管の放電中に,それを傾けることにより羽根が回らないように釣り合わせる.このときの管の傾きから羽根が受けている力の大きさを計算したところ,電子の衝撃力として計算した値の40〜300倍も大きいことがわかった.一力で羽根車がうける力は消費電力によってほぼ決まることがわかり,軸が鉛直になったクルックス管を用いて電子線による回転力と電球の光による回転力をつり合わせ,そのときの光の仕事率が電子線の仕事率に近いことを確かめることができた.これは羽根車の回転力の大部分がラジオメーター効果によることを示すが,消費電力と回転力の関係の検討からラジオメター効果の他に静電気力のようなものが働いているかもしれないという結論になった.
著者
那波 信男
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-4, 1990-02-20 (Released:2017-02-10)

共通一次試験を引きがねとする大学入試の混乱について分析を試み,問題の難易レベルと出題技術の観点から筆者の所見を述べた。あわせて教科課程の再編について言及した。
著者
安藤 潔
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.209-212, 1997-08-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6

U字管内の液体の減衰する自由振動の周期の実験値は従来知られている理論値とは一致しない。そこで,流れを層流にするため液柱の長さを大きくして実験するとともに,理論に補正を加えた結果,実験値と理論値はよく一致した。実験結果を示すとともに,補正方法および実験に最適な管径や長さについて述べた。また,実験装置は安価であり,実験は短時間に容易にできるので,流体力学や振動現象の講義の際の演示実験として活用できることを述べた。
著者
飯田 修一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.87-92, 1981-05-30 (Released:2017-02-10)

現在教育に使用されているMKSA系は,電気工学的には便利であるが,物理学の研究と教育には極めて不便であることから,MKS有理化対称単位系,略してMKSP系(PはPhysical)の併用が提起される,MKSA系とMKSP系の併用による教育を実行に移す場合,どのような手順で,MKSA系とMKSP系の導入を行うかが問題になる.小中学校段階ではMKSA系で記述して宜しいが,高等学校レベルになり,クーロン則の導入が行われる段階になると,MKSP系の記述を主体とし,MKSA系は単に併記する方式に切り換える.教育の体系化はMKSP系で行い,唯実際の数値と合せる際に,換算表によってMKSA系の量とつなぐことにするとよい.両者ともMKS系なので,式の換算も,数値の換算も極めて容易である.MKSP系の単位はMKSA系の単位にスーパーを左肩に附してそのように呼ぶ.たとえばB=H+M,D=E+Pなので,これらはすべて同一の単位・スーパー・テスラ,^sTで統一される.MKSP系,MKSA系,CGSG系の基本物理定数表と,電磁気量の数値換算表が与えられる.
著者
深谷 晃次
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.52-55, 1980

縦波はわかりにくいという生徒が多い.これは縦波の変位の方向が波の伝播方向と平行であるために,疎密の様子が図示しにくいためである.縦波の説明には,変位を一たん横波の表示に変換したものを利用することが多い.これは便利な反面,この両者の関係をよく理解できないままに終ってしまう生徒もいる.そこで縦波を即座に横波の形に変換でき,両者の関係を生徒の視覚に訴えることのできる何らかの方法が必要になる.その一つの方法としてモアレを利用してみた.それはバネを格子とみなし,バネの前面に,バネの平衡時と同間隔の格子を置き,この2つの格子によるモアレを作る方法である.この時生ずるモアレは縦波の変位を横波表示したものと一致する.このモアレを利用することにより,生徒の縦波への理解を深めることができる.
著者
深谷 晃次
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.132-135, 1980

指導法改善の試みとして,物理工「電界と電子」の単元で個人学習法による授業を試みた.その結果はおおむね好評であり,テストにおいても満足できる結果が得られた.それまで受身的であった生徒の授業態度に自主性がみられ,また実験に積極的に取り組む生徒の数が増加した.生徒の個性,能力,興味のもち方などを考えた場合,個人学習法は有効な授業形態であることがわかった.
著者
柿元 醇 園田 教智
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.14-17, 1986

小球が壁や床に衝突したときの反発係数と力積について,簡単に演示できる実験器を製作した.糸をつけて振り子にした小球を,板ばねにつけた堅いおもりに衝突させる.質量の十分大きなおもりを用いれば,小球の状態は壁に対する衝突に近くなり,振り子を放す高さと跳ね返って上がる高さから,簡単に反発係数が求められる.衝突における力積の大きさは,衝突後の板ばねのひずみの最大値に比例する.ひずみの最大値は板ばねに貼り付けたストレインゲージで電気的に検出し,投影用電圧計で表示する.小球としては良く弾むもの,ほとんど弾まないもの,質量の異なるもの等を用意した.実験はそれぞれについて意外に良い結果が得られた.授業で行なう演示実験に適していると思われる.
著者
五十嵐 靖則
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.173-178, 1979

向心力の大きさの測定を従来のように回転運動を行なっている間に測定するのではなく,静止させた状態で測定する方法を工夫(ばね秤を製作)した。これは錘に働いた向心力の大きさをばね秤に「置き去り指標」を付けて記憶させておくという素朴で単純な方法である。そして所定の回転速度が再現でき,また負荷の変動に依らず回転速度を一定に保つようにするためにサイリスタを用いて,半波位相制御をする無段変速装置を製作した。この装置の特徴は低速回転中も起動トルクの特性が降下しないことである。さらにまた,錘の位置(ばね秤の零点の位置及び,回転半径)の測定を容易にし,視差等に依る誤差を少なくするために「指標位置読取りゲージ」を製作した。これらの装置は原理も取扱いも簡単なので,高校生にも容易にりまた安全に実験することができ,得られたデーターから向心力の性質((力の大きさは回転半径に比例し,質量に比例すること及び角速度の2乗(周期の逆2乗)に比例すること))が導き出せ,等速円運動の学習指導に役立ち,また生徒の理解を深めるうえで効果的であると思われる。
著者
鶴岡 森昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.307-312, 2005
参考文献数
3
被引用文献数
1

高校物理教科書に掲載されている物理学者60名について,高校物理の課程修了時における知名度を3段階の尺度で,異なる3校の普通科高校の生徒218名を対象に調査した。知名度の学校差の要因として,中学校理科や高校他科目での既習や,授業の進行における配列位置や,教師の解説が生徒に与える印象などが考えられる。本調査のような生徒の物理学者に対する知名度の知見は,物理に対する生徒の関心度・理解度を測る一手段として重要であり,教科指導改善の焦点を絞る上で有益であると思われる。
著者
福住 靖治
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.353-357, 2001-09-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12

地球がうける起潮力とそれによる潮汐運動との関係は,多くの教科書において事実と合わない記述がされている。それは静力学的な平衡理論が採用されているからである。この問題は本来動力学的に議論すべきであり,その立場から流体力学を用いた潮汐運河理論がある。ここではこの理論に基づいて,潮汐運動は起潮力によって海水に起こされる強制波であり,それが潮汐に関する事実をよく説明することを示す。
著者
矢島 裕介 岡部 佑機
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.276-281, 2006
参考文献数
2

惑星が太陽の周りで描く軌道の主要な特徴を,作図によって調べる方法を検討した。この方法によれば,面積速度や力学的エネルギーなどの変更に応じて軌道の形状や位置がどのように変わるか,またその軌道上で惑星がどのような速度で運動するかを,簡単な作図で確認できる。