著者
齋藤 孝
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.44-45, 2011
参考文献数
3

科学の祭典の実践の中から,子供たちの興味関心の一つに,野球の変化球やサッカーのループシュートがあることを知った。なぜ曲がるかを,19世紀に砲弾の研究から発見されたというマグナスの効果(H.G.MAGNAS 1852年ドイツ)で説明することにした。そのために従来の実験に加え新しく回転できる風船を作り,その場で曲がることを実演し,子供たちの理解増進を図ろうとするものである。
著者
龍渓 信行
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.247-250, 1991-12-05 (Released:2017-02-10)

線密度の異なる2本の弦を接続し一定の張力を与え,一端を単振動させるとき,この弦に生じる安定な定常波は,結び目が節,または腹となる振動数の場合である。節になる場合の振動数は各弦の基本振動数の整数倍であり,腹になる場合のそれは,基本振動数の半分の奇数倍である。また,各弦の最大振幅の比は,結び目が節の場合には各弦の波長の比に等しく,腹の場合には1である。
著者
田中 昭夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.185-188, 1983

力学実験で,物体の運動の解析に用いられる打点式記録タイマーは,次のような難点をもっている.すなわち,打点にばらつきがある.テープとタイマー間の摩擦が無視できない,さらに直流式のものは,電源電圧によって打点周期が異なる.使用中に調整すると特性が変わる等である.そこで,16mmネガティブ白黒フィルムと光検出器を利用してメモリータイマーを試作した.すなわち16mmフィルムに透明線を入れて真黒に現像処理したものをテープとし,これを光検出器に通してパルスを発生させる.このパルスをメモリー付デジタルストップウォッチ又はメモリー付デジタル周波数計で計測すると,物体のいろいろな運動を解析できるメモリータイマーになる.実験の結果,メモリータイマーは,打点式記録タイマーのもっている難点を補い.しかも,測定精度が高く,取扱いも簡単であることが分かった.
著者
八巻 俊憲
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.201-206, 2012-09-03 (Released:2017-02-10)
参考文献数
20

2011年3月に起こった東北地方太平洋沖地震と津波,それに伴う福島第一原発事故とその影響下において,理科教育と自然災害および原子力技術との関連性について考察した。自然災害と理科教育の役割,原子力安全神話の崩壊と社会における科学技術を見る目の重要性,科学的懐疑主義や民主主義によって安全神話や体制科学そして「リスク社会」に対処する視点を提示し,理科教育の社会的機能と理科教師の社会的責任について提言する。
著者
阿部 邦昭 村田 浩
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.281-284, 1989-11-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

空気中の物体の運動は放物線軌道からかなりずれるので,空気抵抗を無視して考えるわけにはいかない。ここではその例として,バトミントンのシャトルコック(羽根,シャトル)の運動をとりあげ,抵抗の大きさと軌跡について調べた。送風器を使った実験から,シャトルの受ける空気抵抗は速さの2乗に比例し,その無次元抗力係数は0.56となることがわかった。次にはね上げたシャトルの軌道をストロボ撮影し,その軌跡が,先に求めた抵抗値を運動方程式に導入して解いたものと一致することを示した。またこの抵抗値は自由落下するシャトルの終端速度から求めたそれとも一致する。
著者
石原 諭 佐藤 光 三宅 明 松川 敦子
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.188-192, 2008
参考文献数
6

密閉したダンボール箱の一つの面に穴をあけ,箱の側面をたたくと,空気のかたまりが打ち出される。箱の中に煙を入れてたたくと,空気のかたまりは渦輪であることがわかる。本研究では穴の形を変えたときの渦輪の運動を観察し,渦輪の変形の周期と並進速度との間に一定の規則性のあることを見出した。科学のイベントなどでよく取り上げられるこの興味深い現象は,物理の探究活動や課題研究のテーマとしての教材化が可能である。
著者
浮田 裕
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.333-338, 2008
参考文献数
2

「数学・理科甲子園」は,兵庫県教育委員会主催で行われ,県内の高校生3人1チーム構成で数学・理科の問題に取り組んで競技する大会である。大会の目的は,数学,理科の問題を科学的に解決する競技を通じて,互いに協力し合いながら,高校生の科学技術等に対する興味・関心及び意欲・能力を高めることである。今回は,特に大会役員として取り組んだ2006年度本選(Bブロック)の物理実験(自作紙製工作による強度の競技)と2007年度の決勝戦(天井の高さの測定)について報告する。
著者
下條 隆嗣 小田切 淳一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-35, 1985-03-30 (Released:2017-02-10)

振動系のパラメーターを,その周期に比較して十分ゆっくり変化させるとき,近似的ではあるが時間的に不変に保たれる量がある.これは断熱不変量と呼ばれ,物理学においては重要な概念である.本論文では振動系として,滑車を支点として振動しながらゆっくり引き上げられる単振子を取り上げ,マイコンによるシミュレーションの結果について報告する.この例では,振子のエネルギーと振動数の比が断熱不変量となるが,シミュレーションによって,断熱不変量の存在や断熱的変化と非断熱的変化の差異などを明瞭に示すことができる.
著者
霜田 光一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.18-20, 2013
参考文献数
3

導体を流れる高周波電流の表皮効果は通常,マクスウェルの方程式を用いて説明されている。しかし,マクスウェル以前の電磁気学,すなわち直線電流がつくる磁場と電磁誘導の法則から完全に表皮効果を導くことができる。表皮効果は,電磁波や相対論を含まない物理学で論じることができるのである。
著者
高田 誠二
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.137-141, 2003
参考文献数
20

作用量子定数hは1900年末にプランクによって提唱され,有効3桁の数値を与えられたが,この業績にノーベル賞が与えられるまでには18年の歳月が必要であった。この時間差を学術と社会の両面から分析し,供せて,プランクの諸活動が日本の物理教育に及ぼした影響を総括する。
著者
平井 司寸
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.4-6, 1982-02-25 (Released:2017-02-10)

ホログラフィーの実験は装置がかなり高価であり,またホログラムを製作する過程においても,振動の除去,温度変化による影響の除去,空気の流れによる光路差,屈折による影響の除去など面倒な事柄を伴う.従って物理実験として一般的に取り入れられてないのが現状である,本実験ではホログラムを前もって自作しホログラフィーの再生実験を学生実験の一部にとり入れて行なった.実験はレーザーの実験の一部として行なった.比較的費用も安上りでできたホログラムの製作過程を報告する.