著者
小林 龍生
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-6, 2011-11-11

システムやソフトウェアの構築に当たっては,利用者側が要求する事項とそれを実現するために開発者側が提供する成果物との間に,程度の差こそあれ必ず差異が生じる.その多くは要求者側と開発者側の間の意思疎通の齟齬に起因する.また,要求者側が要求事項と混同して,自らの知見の範囲内でいわば場当たり的な解決策を提示した結果,開発者側が潜在的に提供しうる高い機能性が実現できないことや,開発者側が要求事項を字義通り鵜呑みにして実装を行った結果,要求者側の本来の意図が実現されないことが多発する.本稿では,主としてEPUBの最新仕様に日本語組み版に必要とされる縦組み機能やルビ機能を盛り込む過程を通して,要求事項の言語化とその要求事項に基づく実現方法のモデル化を試みると同時に,要求する側とそれを実現する側それぞれの留意点を手案する.In IT system development scene, gaps between requirements and solutions are frequently happens. The reasons are usually dis/mis-communication between requirement side and solution side. Especially, confusion between requirements and arbitrary solution in requirement side, and ad Hoc solution for requirements with "word by word solutions" in solution side, are very common and difficult issue. In this paper, a case study from the standardization of EPUB Japanese text layout functionality is reported and a hypothetical model for communication between requirement side and solution side is duscussed. With this duscussion model, some recommendations will be proposed.
著者
白井 涼子 波多野 賢治
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.2, pp.1-6, 2012-03-19

現在,和歌研究では計算機による和歌データの分析がなされており,和歌研究者の一部では新しい知識発見に寄与するシステム開発を望む声もある.和歌の原本は一冊しか存在せず,多くの人によって書き写されて普及していくことが一般的であるが,その書写過程において,誤字や表現の違いが発生し,同一和歌であっても異なる表記になっていることがある.和歌研究を進めていく上ではそれらの和歌を同一の和歌として扱う必要があるため,同一の和歌の一元的な管理を可能にすることが望まれる.そこで,本稿では RDF による和歌データ管理手法を提案する.RDF による和歌データ管理を行うことで,和歌に関連するあらゆるデータを紐づけることが可能となり,同一の和歌を同一として扱うだけではなく,和歌単体を眺めるだけでは気づかない新たな知識発見に役立たせることが可能となる.Recently, researchers tend to analyze character strings of Japanese poems using computers, and a part of them require someone to develop a system that contributes to find their new knowledge. There is just one original copy of their anthology in the world, so that it becomes widespread thanks to transcription by a lot of people. In their transcription process, however, a literal error and a difference in their spellings may be occurred. As a result, transcriptional Japanese poem is different from its original one. If the researchers want to proceed with their research, original and transcriptional ones should be consolidated. In this paper, we propose an approach for managing Japanese poems using RDF. It can help to bind all data related to a Japanese poem. As a result, we can turn new knowledge into a solution in the research field of Japanese poem.
著者
布目 光生 鈴木 優 森田 眞弘
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-7, 2011-03-21

電子書籍を音声合成で読み上げる場合に,文書の書式特徴を活用してより聞きやすい朗読を実現するテキスト前処理手段を提案する.文を処理の基本単位とする従来の発話手法では困難な,タイトルや箇条書きと本文を区別したような読み方や,文書全体の構成や流れを考慮したような,自然な読み上げの実現を目指す.今回,具体的なアプローチとして,入力文書テキストの特徴量として論理構造をはじめとする抽出手段と,特にポーズ情報に関連したメタデータの推定手段,そして,音声合成エンジンへ提供するための XML 化,という一連のテキスト処理機能の試作と,ポーズ情報の付与精度評価を行った.本報告では,これらの手法と評価実験結果について述べる.We conduct feasibility studies for the development of a text preprocessing technique that uses document formatting features for improved natural speech synthesis with the aim of targeting e-book readers. In traditional text-to-speech (TTS) systems, it is difficult to implement a feature by which the different document elements such as the document body, title, and itemized forms are read in a suitable tone. We implement certain functionalities, namely a sentence characteristics extractor that determines the logical nature of a document element, a metadata estimator that generates pause information, and a transformer that converts these results to speech synthesis markup language, which a TTS system can process. Details about these processes and experimental results of a simple implementation of pause estimation are described in this report.
著者
吉田 将人 福原 知宏 増田 英孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.35, pp.37-44, 2009-03-18

ブログ記事と Web ページを利用したイベント情報抽出手法を提案する.提案手法は,ブログ記事からイベント名抽出パターンを構築し, Web ページからイベント名を抽出する.本研究では,ブログ記事と Web ページを利用したイベント情報抽出手法を提案する.ブログ記事を用いることにより,記事の書かれた日付が分かり,イベント名抽出パターンとイベント開催日の関係を把握できる.Web ページを用いることにより,イベント名検索の網羅性を広げることができる.提案手法では,まず,いくつかのイベント名に対してブログ記事を収集し,そこからイベント名の前後に連接しやすいパターンを抽出する.次に,抽出したパターンを用いて Web 全体からイベント名を収集する.提案手法のイベント名収集適合率と将来構想について報告する.An extraction method of event names appeared on the Web using blog and Web articles is described. Proposed method extracts event names from Web pages by finding extraction patterns of event names from blog articles. The method finds extraction patterns from blog articles that contain event names given by a user. Because different names for the same event can be appeared on the Web, the method identifies the same event using a string kernel that can measure similarities of event names. Then, the method finds event names by using extracted patterns. Preliminary results of an experiment are described.
著者
近藤 浩志 金子 邦彦
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-81, no.3, pp.1-7, 2011-07-14

九州大学病院の診療経過等報告システムのインシデントレポートのフォームを参考に,Web フォームを構成する要素をフォーム記述データとして YAML 形式で記述した.そのデータから表形式の Web フォームを生成するシステムを作成し,インシデントレポートの内容を再現した.また,params ハッシュテーブルから送信されたフォームデータだけを取り出し,JSON 文字列に変換することで,TEXT 型データとしてデータベースのテーブルに保存した.その際,送信した内容をブラウザに表示し,それとテーブルの内容を比較して正しく保存されているかどうかを見た.
著者
大野 邦夫
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2014-DD-93, no.1, pp.1-8, 2014-03-22

欧米の文書管理は、組織における管理責任に基づく文書の分類とアクセス管理を支援する厳格なファイリングシステムにより特徴付けられ、結果的に文書の執筆者、編集者、発行者などの個人的役割と責任が明確化される点に特徴を有する。それに対し、日本の文書管理は、発端が単に綴じ紐で分類されるだけの文化であったことから、個人の関わりや責任はあいまいであり、組織やグループの便宜的なルールに支配されることが多い。その結果、重要な文書が廃棄されたり隠蔽・改ざんされる事態が発生し、日本の社会制度の一つの欠陥となっている。欧米の文書管理の伝統は真理の探究を標榜する西欧キリスト教文化における組織の正統性の確保のための情報管理に端を発する。科学技術の発展に伴う脱宗教の時代においても事実と論理を重視しするために、組織における記録文書の役割や位置づけは明確に規定され、それがアクセス管理と厳格なワークフロー管理に継承されている。本報告では以上の問題を技術文書の管理について具体的な分析を試み考察すると共に、欧米流文書管理と日本的文書管理をフィードバック・モデルで考察する手法を提案し、今後の文書管理のあり方や専門家の育成への展望を試みる。
著者
西野 竜太郎
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2014-DD-95, no.4, pp.1, 2014-09-26

インターネットの普及により,ソフトウェアを世界に向けて容易に提供できるようになりつつある.そのため,ソフトウェア UI およびドキュメントに特有の英語表現とグローバリゼーション・プロセスに関する調査が必要である.また,それらの知見を獲得できるプロジェクト型の教育方法の研究も求められている.
著者
鈴木 俊哉
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2012-DD-86, no.3, pp.1-10, 2012-07-12

広く使われる漢字の分類方式として部首・画数分類方式がある。現在普及している部首体系は康煕字典の部首分類、および、康煕字典部首を常用漢字字体に基いて縮約したものである。しかし、康煕字典以前の字書の部首分類は必ずしも康煕字典の体系と一致しておらず、また、特定の部首体系が支配的だったわけでもない。そのため、ある漢字がどの部首に配置されるかは必ずしも一定しておらず、しかも配置された部首の字形が似せられてしまうため、字書ごとに字形が異なるという状況があった。近年、漢字字典の収録字数を増やすために、それらの古字書から漢字を採集したため、実際には使い分けが不能であるにも関わらず、字書ごとに異なる部首に配置され、あたかも別字のように考えられて国際標準符号にとりいれられる問題が発生している。本稿では説文解字に存在したが、その後消滅した部首について、そこに含まれていた漢字がどのように分散し、漢字分類方式によって字形がどのように変化したかの調査結果を報告する。あわせて、国際標準における漢字統合規則の改訂の必要性について考察する。
著者
鈴木 俊哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-8, 2013-07-19

近年、モバイルデバイスでのセキュリティ配慮のためにアプリケーションの実行環境も仮想環境や Web ブラウザ内部に閉じられ、様々な周辺機器への利用が難しくなってきている。本稿では JavaScript インタプリタが対応していないキャラクタデバイスの制御信号を WebSocket によって受信し、Web アプリケーションのインタフェースを改善する可能性について試験実装と評価を行った。Recent mobile devices restrict the distribution and the installation of the software, and the applications are permitted to be executed under some virtualized machines or in the web browser. Thus it is difficult for the software developers to extend the user interfaces of their applications with special human interface devices (HID). Although there is a movement of a migration from all physical HID into "virtualized" HID using trackpad with multitouch features, it is not easy to realize many devices onto single trackpad, because the touch events on the web application are tightly bound to the document object models. In this report, the direct injection of the control packet from the character devices to web applications is discussed, and preliminary implementation based on WebSocket technology is evaluated.
著者
栗山 和子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.8, pp.1-8, 2015-03-23

本研究では,2013 年の読売新聞の 「人生案内」 欄と Q&A サイト 「OKWave」 の 「恋愛・人生相談」 カテゴリに投稿されたの質問・回答について分析を行い,その投稿者と質問・回答の特徴について比較を行った.その結果,共通点としては,配偶者か恋人かという違いはあるものの,自分のパートナーに関連する質問が多く,質問文には評価や感情を表す形容詞がよく用いられていることがわかった.相違点としては,新聞の相談者は女性の割合は高く年齢層があまり偏っていないのに対し,Q&A サイトの質問者はほぼ男女半々で 10~20 代の若年層に偏っており,回答者はそれよりも上の 20~30 代が多いことがわかった.新聞と Q&A サイトの人生相談は利用者や相談内容が完全に異なるわけではなく,10~30 代の若い世代については重複しているため,相補的に利用することで有用な回答を広く探すことが可能性であると考えられる.
著者
木村修三
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2014-DD-96, no.4, pp.1-1, 2014-11-14

BPIA (ビジネスプラットフォーム革新協議会) の EPUB マニュアル研究会では,2012 年 12 月より業務マニュアルの EPUB 化を推進してきた.電子書籍のフォーマットである EPUB で業務マニュアルをデジタル化する.これによりスマートフォンやタブレットを利用した 「どこでもマニュアル」 「マイマニュアル」 を実現できる.これは,業務現場での業務品質の向上,効率化に大いに役立つと考えている.今回は技術的な検証が終了し現場での適用事例を報告する.また,普及への課題について触れたい.
著者
高橋 慈子
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2014-DD-95, no.3, pp.1-2, 2014-09-26

小規模でボランタリーにメンバーが運営を分担している研究コミュニティでは,活動のノウハウが属人化されていることが多い.そのため,運営メンバーの交代や新規メンバーに運営のノウハウや過去の蓄積が充分に伝わらないこともある.本研究では,業務マニュアルの作成ノウハウを活かし,研究コミュニティのひとつ,情報処理学会デジタル・ドキュメント研究会 (DD 研) の運営マニュアル作成,自ら更新,運営を通して評価することを目指す.また,業務マニュアルの研究コミュニティある EPUB マニュアル研究会とも連携し,作成した運営マニュアルの出力形式として PDF のほか,EPUB 形式での使い勝手についても評価したい.
著者
児玉 公信
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2010-11-19

複数の人間活動システムが,それぞれの仕事を独立に実行しながら,一方で連携する状況は,ビジネスのシステムではよく見られる.しかし,独立したシステムはそれぞれ微妙に異なる意味論を持っており,システム間のコミュニケーションにおいて誤解やムダを発生させる原因となっている.また,こうしたシステム間連携が,互いのビジネスプロセスにコミットすればするほど,意味論,プロトコル,媒体の多様化が必然となり,コミュニケーション形態の多様性は爆発する.これは,EDI (Electronic Data Interchange) の決定版がいまだ存在しないことを見ても分かる.本報告では,こうしたビジネスシステム間のコミュニケーションが本来,共約不可能性を含意することを前提としつつ,その多様性をどのように制御できるかについて,概念モデリングを援用して試論する.The situation in which several Human Activity Systems cooperate while executing a work by themselves is frequently seen in business systems. However, each system has slightly different semantics, and it causes the misunderstanding and uselessness in the communications among the systems. Further, as such systems commit more tightly with each business processes, the diversification of semantics, protocols, and medium becomes more inevitable, and the diversity in the communications explodes. The fact that the definitive edition of EDI (Electronic Data Interchange) has not been present proves it.In this report, assuming that the communication among such business systems implies the incommensurability, we discuss tentatively how the diversity can be controlled from the viewpoint of the conceptual modeling.
著者
吉野 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-6, 2013-09-20

紀伊半島は,自然信仰の歴史的な価値を持つだけでなく,その特有の地形および気候,植生などの自然環境にも大きな特徴を持つ地域である.和歌山大学は,様々な紀伊半島に関する知的資産を有しており,情報通信技術とこれらの知的資産を有機的に結びつけた積極的な活用が求められている.そこで,本研究ではこれらの知的資産を最大限活用することを目指し,デジタル和歌山プロジェクトを立ち上げた.我々は,デジタルアーカイブの (1) 構築,(2) 収集支援,(3) 利用促進の 3 つの課題を設定し,それぞれの視点から紀伊半島における文化的,歴史的,地理的なデジタルアーカイブの構築および整理,収集を進め,地域の特徴に適した観光利用,教育利用の可能なシステムおよびサービスの実現を目指す.Kii Peninsula has historical worth of natural faith. Furthermore, it is an area with the large features, such as the characteristic geographical feature and climate, vegetation, and natural environment. Wakayama University has an intellectual asset about various Kii Peninsula. We will connect these intellectual assets using information and communication technology organically. We launched a new research project, named Digital Wakayama Project. Our research aims at utilizing these intellectual assets to the utmost. We focus attention on three challenges: (1) construction of digital archives, (2) collection support of digital archives, and (3) promotion of utilization of digital archives. We will perform the cultural, historical, and geographical construction of digital archives and arrangement in Kii Peninsula, and collection from each viewpoint. Furthermore, we aim at realization of the system and service suitable for the feature of the area in that sightseeing use and educational use.
著者
天野 真志
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.4, pp.1-6, 2012-07-12

2011年3月11日に発生した東日本大震災は,東北地方から北関東一帯にかけて甚大な被害をもたらした.それとともに,各地に遺されていた歴史資料も被害をうけることになった.これらの歴史資料は,震災によって様々な被害をうけ,消滅の危機に瀕している.NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークは,これらの歴史資料を消滅の危機から救済するために,宮城県を中心として活動をおこなっている.本報告では,東日本大震災にともなう歴史資料保全活動の経過について,宮城歴史資料保全ネットワークの活動を中心に紹介する.さらに,活動の現状と課題について検証し,今後の活動についての展望を示す.The 2011 Great East japan Earthquake and Tsunami Disaster brought about serious damage all over East Japan.Simultaneously, the Historical Materials left behind to every place also received damage. These Historical Materials are on the verge of the disappearance. Nonprofit organization Network for Preserving Historical Materials in Miyagi is carrying out activity which relieves the historical materials by which it was hit by Miyagi Prefecture. This report introduces the relief activities of the historical materials after the 2011 Great East Japan (Tohoku) Earthquake and Tsunami Disaster. Furthermore, it verifiers about the present condition and the subject of activity.
著者
雨宮 拓
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.1, pp.1-3, 2010-09-17

テクニカルライティング技術は、取扱説明書などの使用説明に限らず、正確でわかりやすい文章による伝達が必要なあらゆる実用文に応用できるものだ。この考えに基づき、テクニカルライティング技術の中で有効性が実証されてきた日本語の作文技法や、執筆の指針をまとめたものが 2009 年 7 月に発行された 『日本語スタイルガイド』 である。一方、近年の読み手は文章 (テキスト) を主体とする情報伝達になじむことができず、より視覚的で直感的に理解できる情報を求めるようになってきた。このような読み手の変化に対応する表現手法として、「コンテクストライティング」 という考え方が登場しつつある。Technical writing is applicable not only to instructions for use such as manuals but also to any practical documents which need accurate and understandable texts. Based on this idea, 'Japanese Style Guide' was published as of July 2009, as a collection of writing skills and guidelines which had been tested in the field of technical writing. On the other hand, recent readers of technical information tend to back away from text based information and prefer more visual and intuitive display of information. Reflecting this trend among the readers, a new expression method called 'context writing' is emerging.
著者
大野 邦夫 角山 正樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.1, pp.1-8, 2010-11-19

UML により得られるクラス図を XML 文書として実装する手法は、XMI、MDA などが知られているが、特定業界の特定分野に特化された形式でしか使用されていない。より単純で汎用的な手法を CLOS と LISP の S 式を用いて実現したので紹介する。属性を用いない場合、XML と S 式は共に木構造情報を管理するので対応付けることが可能である。CLOS のインスタンスに S 式のリストを用いこの手法を用いて XML に変換することにより、クラス図に対応する XML 文書を生成する方法を考案した。具体的な事例として、ジョブカードの各種様式をクラス図としてモデル化し、XML に変換し、さらに XSLT を用いて Web に表として出力させた場合を取り上げ、その有効性について述べる。Though UML Class Diagrams can be implemented to XML data or document through XMI and MDA, they are introduced to limited fields within certain industries. This paper describes a more general and simplermethod of crating and managing XML information from the UML class diagram. XML data without attribute can be expressed by symbolic equation of LISP language, because they both express the tree datamodel. Based on this analogy, object instance data created from hierarchical classes can be converted to XML data through the list data as CLOS instance variables. As an example, governmental Job Card formats are converted to XML from the UML class diagrams, and finally displayed as Web table data of HTML through XSLT.
著者
大野 邦夫 蘇我 貴俊
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-8, 2011-11-11

本報告は小規模事業に関する文書管理システムを経営支援の観点から構築する手法について提案するものである。深刻な不況の克服が望まれているが、成長力のあるビジネスモデルの構築は、大手企業よりは柔軟で適応力に富む中小企業に期待される。ビジネスモデル構築のための技術開発と市場把握を的確に行うには、企業資源を有効に生かすことが鍵である。そのためには小規模事業向けの ERP システムを有効に活用する手法が考えられる。しかし複雑な ERP システムの結果をビジネスモデルに直接反映させるのは、常時システムを使いこなす必要があり、経営幹部にとって現実的とは言えない。そこで、UML をベースに CommonLisp で実装されるマクロなモデルを検討しそれを企業文書環境に融合させることを試みた。This paper describes and proposes to organize a business document support system for small business management. Though economical recovery may be expected under recent severe long term recession, business model with high grow rate has been expected. The expectation is stronger to flexible and adaptable small businesses than big businesses. The key to realize effective technical development and market acquisition which are both very important for the business is to activate enterprise resources. Thus the application of ERP system for small businesses may be an effective method to the key. However, organizing a business model to apply the result of the complex ERP system will need daily work for the ERP, which will be difficult for top managers. Then a macro model based on UML and implemented by Common Lisp related to the enterprise document of the model has been introduced and prototyped.
著者
玉本 英夫
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.16, pp.1-6, 2009-07-23
被引用文献数
1

民俗芸能には,祖先の生活風景,心象風景,知恵や知識などが深く反映されている.私たちには,このような貴重な民俗芸能を後世に伝承して行く責務がある.しかしながら,急速な高齢化や地方の過疎化に伴って後継者不足が深刻な問題になっており,失伝が避けらない状況にある。そこで,この 10 年間,秋田大学を中心にして産学官で連携しながら,とりわけ民俗芸能の舞踊の伝承に資するために記録・保存技術の開発を行ってきた.本文では,これらの技術の開発の経緯と成果を紹介する.In folkloric performing arts, we can deeply feel the scenery of life, scenery of mental images, wisdom and knowledge of our ancestors. We have the duty to bequeath such valuable folkloric performing arts to the future generations. However, since there is the serious problem that the inheritors are rapidly vanishing due to the rapid aging and the depopulation of regional communities, we cannot escape from losing the folkloric performing arts. In order to deal with this problem, for more than 10 years, we have developed the archiving techniques for bequeathing the folkloric performing arts, especially for folkloric dances in cooperation with industry and local government. In this paper, I will introduce our developed techniques and their fruitful results.