著者
柳 五郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.31-36, 1983

公園営造においては植栽工事が重要な役割を果している. 植栽工事の設計費用は樹木費, 植付材料費, 人件費から構成される. 明治初期, 横浜彼我公園では樹木費を中心とした設計に始まった. 公園営造では植栽工事一式における樹木費, さらに植木職人による請負見積方式では植付材料費を, そして震災復興事業以後, 東京市の直営積算方式では人件費をもってその取扱の変遷を見た. これは植木職の役割を高く評価することにあった.
著者
三田 育雄
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.42-47, 1984-08-10

摘要:山村は,人的ならびに経済的ストックにも乏しく,かつ,マクロな社会・経済体制の中では疎外されがちで,一時は例外なしに過疎化の進行と経済基盤の低下に苦しんだ。群馬県利根郡川場村は,そうした中にあって,東京都世田谷区との縁組を結び,都市との交流活動をてこに村の振興を目指し,その試行を始めており,慎重な計画と十分な準備を重ねている。
著者
金井 格
出版者
日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.263-269, 1982

造園工学の体系化のための考察を行った。 造園工学の成立過程における問題についての考察を行い, それにもとついて体系化の視点と基本問題についての検討を試みた。
著者
木村 三郎
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.73-78, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1

最近我国造園界も中国造園界と接触を深め, 古い中国造園の実体を把握するようになってきている。しかし何分にも中国3000年という古い歴史を知る上で大変な労苦を覚悟しなければならない。更に中国語の如きも, その時代時代に就いて, 十分理解することも亦甚だ重要なことにちがいない。ところが幸いにも我国は遣唐 (隋) 使の派遣などを通じて, 古い時代の多くの文献や実像も既に知り得た筈である。従つてその間における中国造園事情も何かと知り得たにちがいない。その代表例として白楽天の白氏文集をあげることができる。その歴史的な影響を特に振りかえって見たい。
著者
岡崎 文彬
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.10-15, 1970

Wie Kronfeld sagt, scheint der Park von Schonbrunn ein Torso zu sein, aber ein grosser, der jedoch selbst von vielen kleinen vollendeten Parks nie ubertroffen werden kann. Der Park von Schonbrunn ist tatsachlich das grosste Denkmal fur das Haus Habsburg, genau wie die Parkanlagen von Versailles fur Bourbon. Fischer von Erlach's erster Plan musste wegen der okonomischen Verhaltnisse geandert werden, erst sein zweiter Plan wurde unter Maria Theresia durch den hollandischen Garten-kunstler Stockhoven ausgefuhrt. Trotzdem ein grosser Kanal nach diesem Plan nicht verwirklicht worden ist, kann man sagen, dass der Park von Schonbrunn nach echt franzosischem Stil entworfen wurde. Das ist erkennbar an der klaren Uedersicht und den Bosketten zu beiden Seiten des Hauptparterres. Der Kammergarten neben dem Schloss, allein betrachtet, deutet auf die Art und Weise eines "giardino secreto" im italienischen Renaissancegarten hin.
著者
金 炳哲 杉本 正美 包清 博之 藤本 一寿 中村 洋
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.263-268, 1990-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
4
被引用文献数
2

本研究は, サウンドスケープの視点から都市空間の諸特徴を把握し, 究極的には音を配慮した都市環境整備の在り方に関する計画的示唆を得ることを目的とした。スタディーエリアとしては, 長い歴史のある都市空間であり, 福岡市の中心部に位置する博多部を取り上げた。調査・研究の結果, 音を配慮した都市空間整備の在り方を考える場合, 騒音規制という側面からのアプローチだけでなく, その地域の特有な文化, 伝統そして自然を基調とした音を保存することと共に, 音とフィジカルな都市空間との係わりを基調にした音の演出 (活用) に関する研究プログラムの樹立の必要性が認識できた。
著者
養父 志乃夫 内田 均 萩原 信弘 石川 格
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.208-214, 1990-01-25 (Released:2011-07-19)
参考文献数
1

ニワゼキショウの群生地の形成手法を確立するため, 種子の発芽と生育習性, および刈取り抵抗性を調べた。その結果, 種子の発芽には光の照射が要求され, 発芽適温が15~20℃ にあった。花期は5~11月で, 葉は常緑に近い性質を持ち, 主に, 4~9月は地下部の養分と地上での生産養分によって, 地上部の栄養と繁殖成長を行い, 9~11月に生産養分を地下部に蓄積した。2週毎刈取りでは枯死し, 群生地形成における最適下刈り頻度は4週毎であった。
著者
永嶋 正信
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.25-30, 1985-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1

国立公園の指定後、県立公園の指定にとりかかれるよう1933年内務省は県に指令を発し国立公園の体系化を目標にしていたか果せず1957年になって達成された。1931~50年の20年間には風景の保護に関して、問題の期間が2回あった。1つは1931年国立公園法かできてから指定される1934年までと他の1つはi937~45年までの間である。前者は法律かできたが適用されず計画のみ発表されている。日光地城で関心をもち初めたのはさかのぼって1911年「日光山ヲ帝国公園ト為スノ請願」か提出されたときからと考えられる。外国からの観光団も増加し当時、わが国の観光収入もそれまでの最高となり、観光開発に関心が高まり、中禅寺湖遊覧飛行が行われ、金精峠に道路建設の計画、実地調査か行われている。各種交通機関によって浅草から日光湯元まで直通という画期的な到達性の改善がなされたが引続き開発の制限は厳しい上に自主的な保護の様子がみられた。後者は指定を受けた日光地域が国立公園として軌道にのらないうちに、利用は進んでいたか、戦時下で自然公園行政の空白化が景観保護には障害となっている。到達性の改善か風景利用の大衆化を進めるとともに、冬季スポ-ツの促進ともなり、地元は収入を意識した観光事業の開発に力点をおくようになった。
著者
永松 義博
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.341-346, 1990-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
2
被引用文献数
5

社会福祉に対する関心が高まり, 街路空間, 歩行空間等の改善にもみられるように地域環境も整備されつつある。しかし視覚障害者にとっての配慮はまだ完全とはいえない。本研究では彼らの生活行動圏を拡大し, 単独歩行を可能とする都市環境形成の計画指針を得ることを目的とし, 盲人施設を対象に日常生活での利用施設, 視覚障害者対策設備の利用, 点字ブロック, 音響信号機に関する意識調査を実施した。日常生活では商業施設への利用が高く, 次いで文化教育施設である。公共施設では市役所, 福祉事務所等の訪問度が高い。視覚障害者が横断歩道を見つけるための手段として, 音響信号機点字ブロックといった設備が重要な役割を果たしている。
著者
中島 卯三郎
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.9-16, 1950-09-30 (Released:2011-04-13)
被引用文献数
1 1
著者
福田 明人 青木 司光
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.32-44, 1977-01-15 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1
著者
鈴木 誠
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.13-18, 1992-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
3

長崎出島オランダ商館の庭園は実態記録の残るわが国初の西洋式庭園と考えられる。長崎出島オランダ商館の庭園は実態記録の残るわが国初の西洋式庭園と考えられる。この庭園の時代毎の形態について, 出島の図絵類70余点を基に調査研究した。その結果, 庭園の成立から終焉までは6つの時代に分けられた。その時代と特徴はそれぞれ,(1) 出島庭園成立初期 (17世紀中頃),(2) 西洋式整形庭園前期 (17世紀末~18世紀中頃),(3) 西洋式整形庭園後期 (18世紀中頃~19世紀初頭),(4) 整形式から自然風景式への移行期 (1829~1847年頃),(5) 自然風景式庭園期 (19世紀中頃),(6) 出島庭園終焉期 (1854~1858年) と呼ぶことができた。なおこの変遷は, 西洋造園史の潮流である, 整形式から自然風景式への流れとも時代的に少し遅れて対応していた。
著者
西村 公宏
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.19-24, 1988-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
22

大正後期から昭和初期にかけての, 中流階級を対象とした郊外住宅の競技設計に提出された住宅平面図には, 庭園が描かれてあるものがあり, その庭園は実用本位の庭園であった。この傾向はほぼ一貫しており, その根拠としては, 当初, 生活改善運動の一環として注目された実用庭園が, 不況から戦時下へと進む当時の日本の状況を許容するものであったことがあげられるであろう。
著者
永松 義博
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.346-352, 1993-03-26 (Released:2011-07-19)
参考文献数
3

九州地方に残つている古庭園 (上古~江戸時代までの226庭園) の現地調査を実施して, 造園手法の特徴について調査した。多くの庭園は江戸時代の中, 末期に造られており, 上級武士, 藩主所有の庭園が極めて多く存在している。その背景には産業交通の発達, 参勤交代の制による文化の興隆があったと考えられる。九州地方には庭園が集団として残る13地区があり, その庭園群区にそれぞれの特徴をみることができた。庭園様式では, 池泉回遊, 池泉定視の様式をもつた池庭が多い。池泉への導水は (1) 山畔を利用 (2) クリークを利用 (3) 河川を利用 (4) 伏流水を利用 (5) 湧水利用の手法が採られている。枯山水式の庭園は, 特に沖縄と鹿児島地方にみられ, この様式は江戸時代に出現している。
著者
小椋 純一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.37-42, 1988
被引用文献数
2 1

古い時代の植生景観を考える上で, 絵画は参考になるものであるが, それがどの程度の資料性をもっかを述べることはなかなか容易ではない。ここでは, 文化年間の京都一円の景観を描いた「帝都雅景一覧」をとりあげ, その景観を分析, 検討することにより, 当時の京都周辺山地の植生を考察した。その結果, その頃の京都周辺山地には, かなり低い植生の部分が広がっていた一方, 小さな孤立林がしばしば見られたものと考えられる。