著者
外村 中
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-14, 1992-08-10 (Released:2011-07-19)
参考文献数
66
被引用文献数
3 3

『作庭記』にいう枯山水は, はたして, 日本独自のものだろうか。本論は, 日本, 韓国, 並びに, 中国の古代庭園に関する文献や, 考古発掘資料の代表例を比較検討することにより, 『作庭記』にいう枯山水の源流は, 中国の古代庭園に見出し得るのではなかろうかと考える理由を明らかにしたものである。
著者
内山 正雄
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.215-220, 1982-02-18 (Released:2011-07-19)
参考文献数
23
被引用文献数
3

都市公園法が成立するまでの学会, 官界, 社会等の情勢, 並びに成立要件を跡付けながら法律制定の基本的背景を分析する。
著者
小野 良平
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.73-78, 1989
被引用文献数
1

市区改正に始まる近代都市公園整備が, 帝都復興事業を経て一つの結実を見るまで, その間の公園設計の史的展開は不明な点が多い。主に東京の都市公園を対象に新設公園の現れた明治中期から復興事業の完了した昭和初期に亘る公園設計の源流を辿ることにより, 近代化の中で公共造園設計が, 西欧から何を学び如何なる系譜の下に展開してきたのかを明らかにすることを試みた。
著者
小野 佐和子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.93-103, 1984-10-15 (Released:2011-07-19)
参考文献数
38
被引用文献数
1

近世都市における住民のレクリェーション研究のひとつとして幕末の江戸で行われた花見のあり方を考察した。その結果, 下層町人を主体とする行列・仮装・滑稽劇をその特徴に認め, 当時の花見が, 演劇的装いのもとに笑いを通じて民衆の想像力を解放する働きを有しており, 花見の場が民衆の笑いと変身の空間であるとする知見を得た。
著者
渡辺 達三
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.193-208, 1992-12-25 (Released:2011-07-19)
参考文献数
13

松平定信は致仕後, 自らを楽翁と号し浴恩園の整備を進め, そこにハスの品種を多数集め, それを観賞し, 蓮譜『清香譜』を完成させている。それまでは, ハスの品種観念も曖昧で, 品種数も数種とり上げられているたすぎなかったが, 『清香譜』では九十余種記載されていたといわれ。蓮譜史上, 画期的な意義を有する。しかし, その『清香譜』は戦後, 散逸し, その実像は明らかでない。また, 翁のハスの観賞についても, その実態についてはほとんど知られていない。そこで, 本稿では, 楽翁のハスの観賞の態度・あり様について, また, その大きな事績である『清香譜』について考察するものである。
著者
渡辺 達三
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.27-34, 1972
被引用文献数
1

In these studies series, the author tries to inquire into the formative and developmental process of the <I>Hiyokechi-Hiroba</I> (the <I>Square</I> mediated by the open space for the fire prevention) of the city <I>Edo</I> as the public <I>Square</I> in the feudal age of Edo in order to know the same process of the <I>Square</I> in the feudal age in Japan.<BR>In this report (2), the latter half age of the <I>Edojidai</I> is dealted with, and the followings are studied.<BR>1. The third stage (from the age <I>Enkyo</I> 4 to the age of the <I>H&ocirc;reki</I>)<BR>The populace's overheated recreational uses on the <I>Hiyokechi</I> asks the feudal lord sides to reconsider the original character of it.<BR>And they try to define it as the open space for the fire prevention.<BR>2. The fourth stage (from the age <I>Meiwa</I> to the last days of the shogunate)<BR>Nevertheless, the populace's deep-rooted recreational uses on it puts into disorder their intention by degrees. And then the <I>Hiyokechi</I> is charged with the character of the receational open space again.
著者
北村 文雄
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, 1963-03-30
著者
宮城 俊作
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.97-102, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
18
被引用文献数
1

アメリカ合衆国の環境芸術のなかで, 特にランドスケープ・スカルプチュアと称されるカテゴリーの作品を対象に, 技法的な側面におけるランドスケトプデザインへの影響を考察した。敷地の特性を読み取り, それを観察者と同一の観点から知覚させる操作や機能を要求されることによって生じる諸条件を止揚しつつ, より次元の高い作品として完成度をたかめてゆくプロセスは, そのままランドスケープデザインのアナロジーとして理解される。これらは, 敷地状況の読み取り方と表現媒体の幅を拡張することによって, 近代ランドスケープデザインの枠組の中に取り込むことができるものである。
著者
岡崎 文彬
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.32-39, 1972-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
6

The Taj Mahal is surely one of the most beautiful pieces of architecture in the world, but we should not overlook the garden that was once beautifully created by Shah Jahan for the memory of his beloved queen Mumtaz Mahal.Compared with the original plan, the garden has changed through the ages, but if we observe the garden carefully, we can still recognize the original spacial design of the garden. The marble tank which is placed in the center of the garden especially breaks the simplicity of the large plain garden.
著者
河原 武敏
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.89-107, 1986-12-15
被引用文献数
2 2

平安時代中期における庭園の様相を知るため,源氏物語を対象として皇室から庶民に至る30庭園135項目を,抽出,修景・供用・管理の面から考察した。そこには水景施設を多用し,春秋の花香を重視した植栽,船遊びや草木観賞による宴遊と雪月花や風・鳥・虫の音を楽しむ雅やかな庭園生活,庭の手入れ方法などが描写されており,後世わが国の庭園に大きな影響を与えたことがわかる。
著者
進士 五十八 吉田 恵子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.155-165, 1989-02-15
被引用文献数
5 8

本論は、小学校隣接配置による地域密着型小公園として、或いはリバーサイドパーク・勤労者対応型公園として評価される震災復興公園について、既往記録などを整理し、その全体像を明らかした上で、東京日日新聞(大正12年9月1日〜昭和10年8月31日の12年間)の公園関連記事(191)を抽出し、公園がどのようにして市民社会に定着してゆくか、行政の動きを市民や専門家はどのように受けとり、反応してゆくか、現在からふりかえったとき震災復興公園はどのように評価されるか等について考察した。その結果、計画に対する地元の反対や「不良とルンペンの巣云々」等の生活史を明らかにした。また公園意匠などの特徴を2類7型に整理した。
著者
野口 学 田畑 貞寿
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.271-276, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1

夜間利用を考慮した公園や緑道の設計計画の諸要因を導き出すためには, 夜間における公園利用者の行動, 意識等の適切な評価が必要である. 本研究では調査対象地として日比谷公園 (東京都), 山下公園 (横浜市), グリーンパーク遊歩道 (武蔵野市) を取り上げて, 直接面接法によるアンケート調査と公園平面図等による図上計測を行い考察した. その結果, 夜間利用を考慮した公園や緑道の設計計画の諸要因において重要な位置を占める要因は, 「樹木被覆地率」と「照明計画」等であることが明らかになった.
著者
白幡 洋三郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.37-42, 1982
被引用文献数
1

エルヴィン・バルトの活躍した時期はおおよそ1910・20年代である。その間リユベック市, シャルロッテンブルク市 (1920年ベルリン市と合併) ベルリン市の造園局長を歴任し, 29年にはベルリン農科大学の正教授となった。両大戦間のドイツ造園界に彼の仕事は重要な位置を占める。装飾緑地より保健緑地を尊重し, フォルクスパルクの設計を数多く手がけたが, そこから時代思潮を反映した彼の造園観をうかがうことができよう。
著者
野島 義照 沖中 健 小林 達明 坊垣 和明 瀬戸 裕直 倉山 千春
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.115-120, 1992-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
8 9

建築物の壁面につる植物を被覆させることによる夏期の壁面温度の上昇抑止効果を把握するための測定実験を行った。簡易建築物の南側につる植物で覆われた壁面とつる植物のない壁面とを設け, 壁面温度, 壁面での熱流の経時変化を, 晴れた日, 曇りの日, 晴れた日で室内は冷房, という3種類の異なった条件の日に計測した。そのうち1日の計測では, つる植物の葉からの水分の蒸散量, 地際の幹での樹液流速の計測, 熱赤外線ビデオカメラを用いた南側壁面全体の表面の温度分布の画像撮影をも行った。壁面の緑化により壁面の最高温度を約10℃低下させることができること等が確かめられた。また, 日中, 壁面緑化による壁面温度の低減量が大きくなるにつれて, 葉からの蒸散量も大きくなる傾向が見られた。
著者
高橋 理喜男
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.2-8, 1974-03-20 (Released:2011-07-19)
参考文献数
28
被引用文献数
5

The development of municipal parks in Japan commenced in 1873, when the Decree of DajOkan (the Central Government) for establishing parks as recreational place was published. It can be easily imaged that the new government was terribly rushed with a great many difficulties both in domestic and diplomatic fields and could not afford to be deeply concerned in such a “trivial” matter as recreaton for people. Consequently, it is natural to recognize some alien influences, direct or indirect, upon the preparation of the said Decree.The Decree called forth echoes all over the country and numerous parks were born in a mere ten years. Most of them, however, were based on traditional recreation places having scenic deauty and on grounds of shrines and temples or changed from castle sites. And there were some cases that could not obtain wide favor among people owing to being far from the urban area.
著者
小野 佐和子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.93-103, 1984-10-15
被引用文献数
1

摘要:近世都市における住民のレクリエーション研究のひとつとして幕末の江戸で行われた花見のあり方を考察した。その結果,下層町人を主体とする行列・仮装・滑稽劇をその特徴に認め,当時の花見が,演劇的装いのもとに笑いを通じて民衆の想像力を解放する働きを有しており,花見の揚が民衆の笑いと変身の空間であるとする知見を得た。
著者
宮城 俊作
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.96-101, 1990-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1

1980年代にはいって新たな展開を模索しはじめたアメリカ合衆国のランドスケープデザインに関して, その背景をなすものとして, 環境芸術, 特にアースワークの作品群と作家の主張を位置づける。広大な風景の中での空間とスケールの表現, 人間の知覚と行動を媒体とした作品の完結性, 生態学的倫理と制作を通じて土地改良を目指す態度のあいだに生起する葛藤, さらには制作のプロセスそのものを作品化する試み, 以上4つの側面からその潜在的影響を考察することができる。ランドスケープアーキテクトによる試行的なデザインには, こうした潜在的影響のもとで, 芸術家の制作に社会性を付与してゆこうという意識が内包されている。
著者
濱野 周泰 古賀 正 青木 司光 北沢 清
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.155-160, 1987-03-31
被引用文献数
1 2

ハマヒサカキ、サツキを供試植物として無給水日数と生存率ならびに土壌水分との関連について実験を行った。両種とも土壌水分の推移を修正指数曲線によるモデルにより予測した。生存率は折れ線回帰によるモデルにより解析を行い、ハマヒサカキは第1折曲点19日、第2折曲点37日、サツキは同41日、同44 75日という値を得た。さらに両極の生存率の折曲点の値を修正指数曲線によるモデルに代入し、その時点の土壌水分を推測した。
著者
藤井 英二郎 清田 秀雄 安蒜 俊比古 浅野 二郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.199-204, 1985-03-30
被引用文献数
2 4

摘要 緑葉,紅葉,落葉期のケヤキとマロニエに対する注視特性を比較した。ケヤキては3期ともマロニエに比へて幹とその周辺に庄視点がより集中した。また,ケヤキの注視点移動は幹に洽った垂直的移動か多く,マロニエては幹と樹冠,枝を結ふ斜めの移動か多かった。これらの違いは,細かな枝ぶりと多くの小さな葉による密て均質な樹冠のケヤキと,疎らな枝ぶりで大きな葉をもち変化の多い樹冠をもつマロニエとの違いか原因と考えられた。