著者
河原 武敏
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1-6, 1986
被引用文献数
2

華やかな王朝時代に開花した文学の中でも、特にlI記之学は作者の内外面の生活を忠実に記録したものとして高く評価されている, 本研究は、これらの蜻蛉日記・和泉式部日記・紫式部日記・更級日記・讃岐典侍口記を対象に15庭園85項目の庭園描写を抽出して、平安時代に於ける寝殿造り庭園様式研究の主流であった皇家・上流貴族庭園のほか、中・下流貴族等の植栽を中心とした庭園の実態を明らかにした。
著者
沢田 天瑞
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.2-12, 1973-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
16

The Ryoanji Garden is composed of a pond, a fountain and various stones; all of them are characteristic of the Rinzai Zen Buddhism. This garden did Gensho Giten, the founder of this Ryoanji temple, build in order to enhance the essence of the Myoshinji school.The subject of this garden means the Buddha himself who originates in Zen texts, such as the Soeishu, Hekiganroku, and Gokeshoshiisan.The conception of it is the “realization of our inner Buddha-nature” originating in the 7th Kean of the Hekiganroku-the Meaning of the Buddha Asked by Echo.Its formation means the “freedom from literal attachment “and the” transmission of the Buddhamind beyond his teachings” coming from the 18th Koan of the Hekiganrokuthe Stupa of No-form by Echu-kokushi-and the Answers of National Teacher Echu in the Soeishic, and Mitsuan Kantetsu in the Gokeshushrsan.
著者
山田 宏之 丸田 頼一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.127-132, 1988
被引用文献数
9 14

都市内に存在する緑地が, 夏期における気温の緩和に関して, どの程度の作用を有するかを測定し, 今後の緑地配置計画に対する基礎的な資料を得ることを目的として, 以下のような研究を行った。1. 対象地の東京都杉並区内に最高最低温度計を設置し, 区レベルでの気温分布を把握し, それを緑被率等と関連づけ, 解析を行った。2. 杉並区の緑地を対象に, 個々の緑地レベルでの気象緩和作用と, その影響範囲等の解析を行った
著者
猪爪 範子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.97-102, 1993
被引用文献数
1 2

大分県湯布院町は1960年代の九州横断道路開設を契機に, ひなびた寒村から著名な温泉リゾートへと劇的に発展したが, 際立った魅力の中心は, その優れた農村らしい景観にある。この景観は, その時々の景観をめぐる争点に対する対処を通して次第に形成されるものであり, 人為的な行為の結果である。本研究は, 60年代から現在に至る間, 当町で発生した景観をめぐる出来事を各種資料を収集分析することを通して, その争点が自然景観から産業景観へ, そして生活景観へと移行してきたプロセスを実証するとともに, それから生み出された施策や活動が時代の価値観や社会的状況を如実に反映したものであることを明らかにする。
著者
鈴木 昌道
出版者
日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.p49-53, 1981-08
著者
斉藤 庸平 田畑 貞寿
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.355-360, 1991
被引用文献数
2 4

本研究は, 江戸時代の古地図の実測, 江戸時代の資料および火除地等に関する関連調査研究の文献調査および延焼遮断帯効果算定法を用いて火災想定による効果計算をおこない, 火除地等について都市防火対策上の機能について実証的な解明を試みたものである。その結果, 火除地等は大火の延焼を防ぐもの, 大火に成長することを防ぐもの, 橋や門を防衛し, 避難誘導に活用するもの等, その目的に応じて合理的な形態と防火性能を持って配置されていることが明らかになった。
著者
吉岡 太郎 熊谷 洋一 斎藤 馨
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.265-270, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
1

コンピューターテクノロジーの進歩によって, 豊富な情報を可視化することが可能になり, 現在では, 非常に美しいフォトリアリスティックな森林風景を再現することもできる。しかしそれらは, 「そこにあるもの」を基本とし「そこに見えるもの」について考えられているものではない。最近の脳生理学の研究によって, 視覚情報は脳の中で (ニューロンレベルでも) 再構成され, それによって変化しているということが明らかにされている。したがつて, これからのCGは, 豊富な情報を分かりやすい形に再構成するという点も考慮する必要がある。本研究は, 日本画の手法を応用し, 我々が「見ている」形に視覚情報を再構成するという新たな試みである
著者
森 忠文
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.14-23, 1977-02-15 (Released:2011-07-19)
参考文献数
20
被引用文献数
3

京都御所周辺は, 明治維新のころまでは多くの公家の住む屋敷町であったが, 明治2年の東京遷都ののちは, 公家は東京に移りあるいは他に転出して, 一部の建物は取りこわされて空地となり, やがて土地建物の所有も一般民間人の手に移っていった. 一方その邸宅跡には学校や裁判所が設けられ, 御所で博覧会が開かれるなど御所周辺は変貌した.明治10年 (1877) 2月, その対策として, 明治天皇の御沙汰書が出され, 大内保存事業が始まった. これは, 御所をながく保存するための前提として, 周辺の民有地を買収するとともに建物を撤去し, 御所への火災延焼のおそれをなくしようとするものであって, そのために明治10年から21年まで毎年4000円を支出すること, またその事業を京都府に委任するというものであった.京都府は大内保存掛を置いて鋭意事業を推進し, 幾多の曲折を経て, 明治13年 (1880) に当初予定された構想にさらに追加工事を加えたもののほとんどすべてを実現した. このようにして初期の御苑は成立したのである. すなわち, 民有地を買収し, 建物を撤去し, 周囲に石積土塁を設けて境界とし, 奥まったところにあった門を土塁の線に移設し, 道路を設け, 御所周囲, 主要道路, 石積土塁上等の植樹その他雑工事を行なったのである. 予定では21年までとなっていたが, 保存費の繰上げ交付によって促進され, 期間は短縮された. またそれに要した経費は少くも45000円であった.御所そのものの維持管理は, この事業とは別に宮内省において京都府が協力して行なわれていたので, 大内保存事業はもっぱら間接に御所を保存するために行なわれたものである. これを今日的に言えば, 御所を文化財としてながく守るための環境整傭事業であった.この事業の着想が正しかったということは, その後, 100年の御苑の歴史が実証している. この大内保存事業すなわち御苑造成事業は, 明治初期において, 御所を文化財として保存するために行なわれ, しかも成功した大規模な造園事業として評価されるべきものと考える.
著者
西田 正憲
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.91-96, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12
被引用文献数
2

瀬戸内海国立公園には明治大正時代に築かれた近代の要塞が数ケ所に渡って残っている。紀淡海峡, 芸予諸島, 広島湾口, 関門海峡, 豊予海峡と国立公園の優れた風景地に, 同じような構造をもつ堅牢な砲台跡や煉瓦造りの兵舎跡を見ることができる。要塞遺跡はそれ自体自然と一体となった明治の洋風建築として情趣あるものであるが, さらに一帯は, 瀬戸内海の典型的な瀬戸景観などを眺める優れた展望地として, 国立公園の重要な利用拠点になっている。瀬戸内海国立公園の近代要塞遺跡とはそもそも何かその概要を体系的に明らかにするとともに, この要塞跡地が瀬戸内海国立公園の利用拠点をいかに形成してきたかその経緯を明らかにするものである。
著者
中村 隆治 藤井 英二郎
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.139-144, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
2
被引用文献数
18 24

緑地の視覚心理的効果を明らかにするために, 本実験では生垣, ブロック塀, さらに緑量的にそれらの中間的な段階の視覚対象として樹木とブロックの比が2:5, 4:3, 5:2となる場合の5つの対象物をみたときの脳波, 特にα波β波について分析を行った。 その結果, α波とβ波の合計値に占めるα波の割合が, ブロックに対する樹木の割合が半分以上になると高くなる傾向を示した。 一般に, 安静時にはα波が増え, 緊張時にはβ波が増えると言われていることから, この傾向はブロックが緊張感をもたらし, 樹木はそれを和らげる効果があることを示唆するものであることが明らかになった。
著者
龍居 竹之介 小野 一成
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-8, 1958-08-10

Mr. Kinsaku Nakane published a thesis titled "The Ruins of the Pond-Garden that once existed in the Ryoanji Temple and the Age when its Rock-Garden was built" on the Journal of the Japanese Institute of Lanpscape Architects (March, 1958, Vol.21, No.4), and wherein he presumed, based on an on-the-spot survey of the ruins and study of the literatures concerned, that the Rock-Garden was built during the Kan-ei Era (1624-1644) and named Kotaro and Seijiro as the builders thereof. However, in the said thesis, many defects have been found in the dealing of the historical materials and remarkable leap in the logic as well has been noticed on the determination of the age in which the Rock-Garden was built and the names of the builders thereof. Therefore, desiring that the future study by Mr. Nakane on the subject matter may be continued on the basis of justifiable historical materials as well as reasonable logic, we have hereinbefore pointed out the faults in the method of study noticed in his thesis.
著者
田中 正大
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.24-31, 1963-10-30
被引用文献数
2
著者
西村 公宏
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.37-42, 1993
被引用文献数
1

千葉県立園芸専門学校では, 創立当初から「庭園実習」による校庭整備が進められると共に, 第3学年を対象に「庭園論」が講じられている。この「庭園論」を, 初代担当の鏡保之助は美学の立場から論じ, その後を受けた本郷高徳はさらに国土修飾の視点も加え充実させるが, いずれも (洋風) 庭園を近代化にふさわしい開放的な空間と捉えていた。<BR>実際の校庭整備は, 明治期の上流邸宅の庭園整備を手掛けた林修巳の経験に負うところが大きく, 実習見本園的性格を有していたが, 地方に対して開かれた「楽園」としても位置付けられており, その公園的性格の背景に「庭園論」を指摘することは可能であろう。
著者
堀 繁
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.281-286, 1987-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
13
被引用文献数
3 6

視覚心理試験をとおして森林風景を意味的に捉えようとした。「聖」と「清」を評価軸として提案し, 聖・俗・清・汚という4方向の評定空間のなかで, 多様な森林タイプの分類を試みた。その結果,「聖」と「清」は森林風景の評価においては違う意味内容を持つものであることが判った。また, 天然林が聖, 針葉樹人L林が俗, 落葉樹林が清, 照葉樹林が汚などの特徴が抽出され, この評定空間で森林の説明が可能であることが示された。
著者
三沢 彰 高倉 博史
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.127-132, 1989-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
3 5

街路灯付近の落葉樹の葉は, 光の影響により秋遅くまで落葉しない傾向が見られる。しかし, その影響がどの程度のものかについて科学的に研究された例はない。そこで, 著者らは東京都内の代表的な7種の街路樹を対象に観測路線を設け調査を行った。また, 実験的にもその裏ずけを行った。その結果, 照明の落葉に及ぼす影響は樹種によって異なること, 照明の強く当たるところだけが落葉しない, などのことが明らかとなった。
著者
渡部 一二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.85-94, 1989-11-10

本研究は,東京・武蔵野台地部へ,江戸時代に付設された玉川上水系水路,この台地部を源流とする河川の最上流部で水路の水が容易に自然流下により通水できる地形的配置構造となっていることを,フィルドワークを実施してその特性を明らかにしたものである。また,これらの水路を利用した場合には,結合可能な想定河川にどのくらいの水量が自然流下によって通水できる要件を具備しているかを究明したものである。
著者
田畑 貞寿
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.21-28, 1966-03-25 (Released:2011-07-19)
被引用文献数
1

This study of purpose, which clear up for planning unit on open space, by dint of analysis in relation to open space and occupancy rate.The contents of a Report No.1, analyzel with effective ration of open space, by district and housing type in group of occupancy.Acording to this survey and analisis ratio of open space, with involved in each relaton to land of building and circulation, dencity of popuration and number of houses, plot ratio.
著者
本中 真
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.223-231, 1991

前報では, 橘俊綱が白河上皇との会話の中で「地形」「眺望」を指標として選定した4庭園をとりあげ, 4者の相互の形態的な比較検討を試みた。そして彼の選抜に合格した庭園と選に漏れた庭園との差を明らかにし, 同時に彼の挙げた2つの選考指標の意味についても明らかにした。本報告は, さらに考察を進めて2人の間に交わされた会話の政治的背景を探り, 選考基準のいま一つの性格について明らかにしようとするものである。