著者
大山 陽生
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.221-226, 1987-03-31

わが国の演能空間は近代以後において、建物の中におさめられる傾向が現れたか、かつては屋外でおこなわれた。舞台、橋掛り、楽屋が完備したものでも観客は屋外で観賞した。一方、ヨーロッパでは今世紀に入って演劇、オペラの屋外上演志向が強まってきた。日本の代表的な演能空間6つを選び詳細な調査を行って、ヨーロッパの野外劇場や野外劇が行われる広場と比較しながら、新しい空間創造のための資料つくりを行った。
著者
井手 久登
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.18-24, 1965-08-30

(1) 初年度においては樹種別にみて生育状況のよかつたものは、改良ポプラ、クロマツ、スズカケノキであつたが、2年目に入りスズカケノキの成績が悪くなり生長のよかつたものは改良ポプラ、クロマツのみであつた。3年日になると各樹種とも樹勢を盛り返し、ハルニレを除いて生長率は急界しはじめた。<BR>(2) 改良ボブラ、ハルニレを除いて客土効果が認められるが、客土量による差は3年日の段階ではまだ明らかでない。<BR>(3) 施肥効果は各樹種、各区ともにおいて認められない<BR>(4) ヘドロ区では最も枯損率が高い。<BR>(5) ヘドロ区で生育のよいものは改良ポプラ、クロマツニセアカシアの順である。<BR>(6) 総台的にみて、干拓上壌で生育状況のよかつたのは改良ボブラ、クロマツであるが、ウロマツはまだ試験樹が小きいので今後検討の余地がある。ケヤキ、スズカケノキ、ニセアカシア、スギも30cm以上の客土を行えば生育は良好である。
著者
杉山 義命
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.14-18, 1968-08-29

The origin of garden space in Japan -A case study at Kasori shell mounds- 1. The approach to this problem 2. Constitution of settlement and common field (1) On Kasori shell mounds and Pattern of settement (2) Their life and something needed by theirgroup (3) Origin of landownship and enclosure 3. Conclusion Regarding the garden and common field in settlement constitution as parts of social vesseles to put in their behaviores, this report tries to understand following problemes which are how consciously site-planning of settlement was carried out and the origin of Garden space in Japan, during physical pattern of settlement.
著者
河原 武敏
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.89-107, 1986-12-15 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

平安時代中期における庭園の様相を知るため, 源氏物語を対象として皇室から庶民に至る3庭園135項目を抽出, 修景・供用・管理の面から考察した・そこには水景施設を多用し, 春秋の花香を重視した植栽船遊びや草木観賞による宴遊と雪月花や風・鳥・虫の音を楽しむ雅やかな庭園生活, 庭の手入れ方法などが描写されており, 後世わが国の庭園に大きな影響を与えたことがわかる。
著者
下村 彰男
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.241-246, 1993-03-24
被引用文献数
2 4

明治以降の近代観光の展開の中で,温泉地の滞在空間としての魅力低下の原因の一つとして,温泉地空間の構造性の弱化があげられる。本報では,近世において形成された温泉地空間の構造性が,交通機関や土木・建築技術の進展,観光の大衆化(大量化)などの影響を受けて,徐々に損なわれてゆくプロセスを明らかにすることを目的とする。対象地として,空間構造の変容程度に差異のある熱海(大),伊香保・草津(中),城崎(小)を取り上げ,空間構成(要素+構造)の変遷を調査し,分析を行った。その結果,温泉地が近世の湯治場から明治・大正の保養温泉地,そして昭和の温泉観光地へと展関する過程で,その空間構成は,開放系化,集合体化,均質空間化か徐々に進み,これら各ベクトルが複合して,構造性の弱化が進んだことが明らかとなった。
著者
金 恩一 藤井 英二郎 安藤 敏夫
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.139-144, 1994-03-31
被引用文献数
3 6

緑地の視覚心理的効果を明らかにするため,植物の視覚的要素の一つである色彩に着目し,それと眼球運動,脳波との関係について検討した。視覚対象としては,ペチュニアの6品種(紫,赤,ピンク,サーモンピンク,黄,白)と花のないペチュニアそれぞれを面的に広がる形で被験者の前に提示し,そのときの眼球運動をトークアイで,脳波を脳波計によって測定した。その結果,眼球運動と脳波の間にある種の関連性をみることができた。また,既報の色布を用いた実験と比較した結果,男女差については緑色を除いて他の色では類似した傾向を得ることができた。
著者
前中 久行
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.205-210, 1985-03-30

摘要 草地に加わるレクリエーション利用圧は延へ滞在時間・人て表現するのか最も良いか,これは最大滞在者数と「平均利用時間」の積として求めることもでき,この関係を用いると調査の能率を上けることかてきる。各地の公園利用調査をもとに検討した結果,平均利用時間は近郊地の園地ては42〜50時間,都市基幹公園内ては54〜64時間,住区基幹公園内では70〜89時間の値か得られた。
著者
金子 九郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.6-10, 1959-12-31

1 0 0 0 OA 中世の広場

著者
渡辺 達三
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.15-24, 1970-08-29 (Released:2011-07-19)
参考文献数
17

This is a study on the spaces as the Squares in the Middle ages.In part 2, the relations of the Spaces as the Squares and the formative process of the socioeconomic conditions which the Squares are able to exist on are studied.In part 3, the examples of such spaces such as the courtyard places, the riding grounds, the precincts of the shrines and the temples and the market places are tried to be studied.
著者
小野 佐和子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1-6, 1983-03-31
被引用文献数
1

藩主により造成され領民に解放された園地は,領国の再生と統合をはかる場であったと考えられる。領国の再生と統合は,両義的なシンボリズムを有する花のもとで,集団の歌舞飲食を通じてなされた。その時花は,領主の威光と善政を印象づける都市的華やかさと豊さを表現するとともに,宇宙の死と再生を象徴していた。
著者
西田 政善
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.52-55, 1961-03-31

Bei den Betrachtungen iiber die Verbesserung des Schulgartens habe ich zuerst die Bedeutung, den Charakter und den Zweck des Schulgartens wiedergepriift. 1. Weil der Ausdruck "Schulgarten" in der weiteren und in der engeren, also in zweierlei Bedeutungen aufgefasst wird und es dafur keine bestimmte Bedeutung gibt, muss er unter eine weitere Auffassung, die das ganze Schulgrundstiick fiir den Schulgarte halt, vereinigt werden. 2. Die Auffassung sowie die Behandlungsweise des Lehrstof fgartens, des Schulklassengartens, in dem eigentlicd der Hauptteil des Schulgartens besteht, sind auch nicht einheitlich, aber die Ansicht des Verfassers ist wie folgt : (1) Der Lehrstof fgarten ist das Grundstiick, das die ganzen Schuljahre sowie die ganzen Schulklassen gemeinsam verwalten, und sein Hauptzweck besteht darin, dass man bei jedem Lehrfach auf Grund der Erziehungsplane jeder Schule fiir ihn die notigen Sachen als Lehrstoff arrangiert und ihn nutzbar macht. (2) Der Klassengarten ist das Grundstiick, dsssen bestimmte Platze man auf jede Klasse verteilt, dessen Teil man jede Klssse iibernehmen lasst, und auf solche Weise verwaltet.Sein Hauptzweck ist,dass alle Mitg-lieder der Schulklassen auf Grund dea Plane der Pflanzung und Aiifzucht nach den Schljahr-Bildungs-plan die Proben und die Ubungen der folgerichtigen Pflanzung, von der Bodenbearbeiting und vom Saen bis zum Fruchttragen und zur-Ernte, ausuben und auch die Tiere ziichten. Es ist je nach der Volksschule oder der Mittelschule verschieden, wo oder vieviel man auf den Wert Gewicht legen soil. (3) Die Einrichtungen des Schulgartens konnen in viele eingeteilt werden, aber sie miissen im ganzen die Vereinigung haben, indem sie jede fiir sich ihre Eigenschsft deweisen. (4) Die-Einrichtungen des Schulgartens miissen sich den geistigen sowie den Korperlichen Entwickelungs-stufen der Schulkinder sowie der Schuler anpassen uridihrem Interesse und Anspruch nachkommen. (5) Allgemeine Zwecke des Schulgartens sinb von manchen Vorgangern schon fast restlos offentlich erortert worden, infolgedessen ware es nicht mehr nbtwending, noch viele Worter dariiber zu verlieren.
著者
中村 雅彦 進士 五十八
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 1991-10-31

代々木公園,砧公園,駒沢オリンピック公園,神代植物公園の4公園内に設置された計12売店における売上げ高と(1)公園人口からの距離(2)周辺空間特性(3)売店の見える範囲の大小(4)設備の質(5)新旧感(6)建物の広さの6因子との相関関係を分析した。売上げ高は「売上げ日報」,分析は数量化I類等によった。その結果次の点が明らかになった。売上げへの影響因子は大きいものから(1),(2),(3),(4),(5),(6)の順となっており,売店の売上げは売店そのものの形態よりもその立地に大きく影響されることがわかる。なお休,平日それぞれの平均売上げ高比較は凡そ休日:平日=5:1であり,天候による平均売上げ高比較は凡そ晴天:曇天:雨天=5:2:1である。
著者
篠沢 健太 武内 和彦
出版者
日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.403-408, 1994

Development process of large-scale urban parks since the establishment of the Urban Park Law in 1956 is outlined in Greater Tokyo and Osaka, wherein greenbelt zoning was unsuccessfully applied. Urban parks with the area of 10ha or more are investigated regarding methods of park construction, geomorpholic location and the contents of park development. For each category, trends of park developments are studied. Through this study, the following findings are obtained: 1) There are two types of park construction, park construction only for the park and that associated with the other development plan. 2) In both areas, the parks on hilly lands have been increasing and that on lowlands decreasing. 3) The conservational ways of park developments increase, particularly on hilly lands and the transforming way increased in riverside area.
著者
青木 陽二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.108-111, 1986-12-15
被引用文献数
8 2

公園緑地の快適な利用密度を利用者の心理的反応から明らかにするために,小石川後楽園の同時在園者数と来園者の混雑感の関連を分析した。混雑感が同時在園者数と関連することを明らかにし,また混雑感が在園者の増加にともなってゆっくり上昇するのに対し,在園者の減少は急激に下がることを明らかにした。
著者
山田 宏之 丸田 頼一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.84-94, 1987-11-15
被引用文献数
5 10

樹木による日射軽減効果を明らかにするために、ケヤキとキンモクセイの単木の緑陰を対象に、樹影内外の日射量分布の測定を行い、次のような結果を得た。1)快晴の場合、樹影内の日射量分布の日変化は比較的少い。2)樹影内の日射量は、天気の相違により大きく変化し、快晴時に最小、晴、曇の順に、より大きい値を示した。3)樹形の相違によっても日射の軽減率は異なり、樹冠が広く低い樹木ほど、その率が大きい。
著者
下村 泰彦 増田 昇 山本 聡 安部 大就 田村 省二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.289-294, 1992-03-31
被引用文献数
4 7

本研究は,公共空間と接道部空間とを相互に関係づけながら,フォトモンタージュ法を用いて景観シミュレーションモデルを作成し,景観モデルの評価を通じて今後の街路修景・緑化手法に関する有効な知見を得ることを目的とした。その結果,公共緑化に関しては,壁面状況の良悪に係らず,高木の樹冠を大きくすることによって景観の向上が認められ,修景・緑化効果を明らかにすることができた。特に,歩道中央植栽は,修景・緑化効果を十分に発揮することが明らかとなった。接道部緑化に関しては,壁面状況,植栽形式に係らず,接道部を緑化することによって景観が向上することを明らかにし,接道部緑化の修景・緑化効果を確認することができた。
著者
大石 道義
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.69-74, 1985-12-19

本報はその地域特有の郷土景観を保護・育成しようとする場合,どのような条件が必要かについて,福岡県八女地方の郷土景観の主要構成要素である竹林の保全を事例として調へてみたものである。本事例では,特に筍の缶詰加工の導入や間代打の資源としての活用による農家経済や地域経済の安定が,保全の大きな要因となっている。結論的には竹や竹林の価値を十分に認識して,その有効な活用をすすめていくことが竹林の保全につながる。
著者
山田 宏之
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.157-162, 1994-03-31
被引用文献数
6 12

埼玉県幸手市を対象に,1989年,1990年の2年間,盛夏の14時,4時における気温分布の移動観測を行った。測定結果から気温分布図を作成し,緑地分布との関連についての考察を加え,緑地分布と良く対応した形の都市高温化が発現していることを把握した。次に,測定範囲内から抽出した30地点を中心にした直径500m,250mの範囲内の緑被率,緑地率を航空写真から計測した。それらの値と測定された気温との関連を各種回帰分析により解析した結果,緑被率10%あたりの気温低減率として,14時において0.21℃という値を得た。これらの値を過去の調査事例と比較,考察するとともに,1989年,1990年の結果について,回帰係数の比較を行った。