著者
清田 陽司 椎橋 怜史 二宮 健 横山 貴央 塙 拓朗 衛藤 剛史 横山 明子 菊地 慧 小林 武蔵 亀田 朱音 瀧川 和樹 齋藤 裕介 花多山 和志
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表では、人工知能(AI)技術によって不動産分野のユーザーエクスペリエンス(UX)を革新する試みについて述べる.(1) 不動産物件写真にディープラーニングを適用することにより,物件写真への自動アノテーションの実装と、「街頭にスマートフォンのカメラをかざすだけで物件を検索する」という新しいUX創出を実現した.(2) 適正な価格の推定が難しいという不動産売買取引におけるUXの問題に対して、機械学習による参考価格算出アルゴリズムにより、日本全国のマンションの参考価格を地図上に提示するサービスを開発した.
著者
成田 穂 木村 大毅
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

AlphaZeroに代表されるようなモンテカルロ木探索と深層強化学習の組み合わせにより、素晴らしい高い性能が達成されているが、その計算コストは高く、また長い計算時間がかかるという問題点がある。本研究では、MCTSをベースとして、「失敗度」の概念を取り入れたアルゴリズムを提案する。失敗度は効率的な探索を可能にし、学習時間を削減する。これにより、エージェントは勝敗を分ける重要な局面を重点的に探索することが可能になる。我々の手法は最初の数イテレーションでAlphaZeroを超える性能を示した。
著者
水田 孝信
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ETF(Exchange Traded Funds, 上場投資信託)は手軽な分散投資を提供する商品として,近年,投資家に普及してきている.しかし,一部のETFは注文量が少なく取引したいときに適切な価格で取引しづらい状況になっていた.そのため取引所によっては,裁定取引の手数料を引き下げるなどの売買を増やそうとする制度を導入する場合がある.しかし,裁定取引にかかるコスト(必要な利益も含む総合的なコスト)によってETFや株式の流動性がどのように変化するのか,そのメカニズムはどのようなものなのかといったことは分かっていない.そこで本研究では,2つの株式とそれら合計と同じ価値のある1つのETFという3つの証券があり,これらの証券間の裁定取引を行うエージェントを実装した人工市場モデルを構築した.そして,株式とETFの裁定取引にかかるコストによって流動性がどのように変化するかを調べた.その結果,ボラティリティよりコストが小さければ裁定の機会が訪れやすく,裁定エージェントの売買が増え,ETFと株式の価格の乖離が小さくなることが分かった.
著者
片桐 智志
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

クリック率 (CTR) 予測はweb広告プラットフォームを持つ企業にとって最も重要なタスクの一つである. しかしながら, CTR予測は非標準的な機械学習のタスクであるため, 例えば ROC 曲線の area under the curve (AUC), 対数損失 (別名: 交差エントロピー) などの従来の評価指標は不適切になりうる. 我々の目的は, CTR予測のための新たな指標を開発することにある. 本稿では, これら従来の評価指標の欠点と, カリブレーションプロット的なアプローチに基づく指標の展望について述べる.
著者
榊 剛史 鳥海 不二夫 大知 正直
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.しかし,近年のソーシャルメディア上の情報拡散は大規模かつ複雑な現象となっており,人間が全体像を直観的に理解することが難しい.そこで本稿では,ソーシャルメディア上の情報拡散を直観的に理解可能な形で可視化する手法を提案する.具体的には、ソーシャルメディア上の社会ネットワークにクラスタリングを再帰的に適用し,コミュニティの階層構造を構築する.これらの階層構造を用いて,情報拡散を可視化する.階層構造を用いることで,複雑な現象をより単純な構造へ変換し,それにより人間の直観的な理解を促す.提案手法を実際のTwtiter上の大規模情報拡散事例に適用し,妥当な可視化結果が得られることを確認した.
著者
池田 伸
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表の目的は,精神医学におけるAI活用の現状を俯瞰することである。医学論文サイトであるPubMedでの検索によれば,精神科領域におけるAI関連の論文数は年々大きく増加しており,この分野でもAIの活用が徐々に浸透しつつあることが窺われる。研究対象は多彩であるが,「抑うつ」「統合失調症」「アルツハイマー病」など,精神科の主要な障害が順当に多数を占めている。一方,用いられているAI技術はほとんどが機械学習で,サポートベクターマシン,ランダムフォレスト,ロジスティック回帰などが頻用されており,ディープラーニングを活用した研究はいまだ少数にとどまっている。AI技術は,精神科の診療の質を向上させるだけでなく,これまで客観性の面で不十分であるとの批判を免れなかった精神医学の理論的基盤そのものを新たなパラダイムへと導く可能性を有している。精神科におけるAI活用を推進するためには,臨床医とエンジニアとの協働,および個人情報保護にも配慮した社会環境の整備が必須である。
著者
吉兼 隆生 芳村 圭
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

今いる場所の天気がどうなるのか。天気の変化が自然災害や経済活動に直結するため、古くから局地気象予報の実現が期待されてきた。しかし,局地気象予報については多くの問題があり、未だに実現できていない。本研究では、大規模スケールでの気象現象(季節風や低気圧など)に伴う天気パターンに領域での気温や地上風分布が対応しており、領域内のシミュレーションと観測のそれぞれの気象分布パターンがお互いに強く関係することを利用して、機械学習を用いた局地気象予測法を開発し推定値の評価を行った。その結果、降水だけでなく、気温や地上風についても本手法によりモデルバイアスを低減し高い精度で予測できることを示した。機械学習と数値シミュレーションを組み合わせた本手法は、お互いの長所を活かすことにより局地気象予測の実現に大きく貢献するだろう。
著者
西口 真央 鳥海 不二夫
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究では,様々なソーシャルネットワーク構造を利用して,ソーシャルネットワークサービスにおけるcyber-predatorの検知を行うことで,各ネットワーク構造の説明力を比較分析する.我々はまず,プロフィールの閲覧やコメントに対する反応などから、8つのソーシャルネットワークを定義する.次に,Large-scale Information Network Embedding (LINE)と呼ばれる手法を適用し,これらのネットワーク構造の潜在表現を獲得する.得られた潜在表現を用いて、cyber-predatorを予測するための分類モデルをネットワークごとに作成する.実験の結果,多くのネットワーク構造がcyber-predatorの予測に有用であることが確認できた.また,最も説明力の強いネットワーク構造は,プロフィール情報の閲覧であるといった,いくつかの興味深い知見を得ることに成功した.本研究で得られた知見は,未成年者のサイバー犯罪被害を抑えるために利用される.
著者
大野 裕幸 遠藤 涼 中埜 貴元 篠田 昌子
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

筆者らは、日本における測量としての地図作成に導入可能な高精度な地物抽出を実現するべく研究に取り組んでいる。セマンティックセグメンテーションによる地物抽出の評価用データセットとしていくつかのデータセットが知られているが、それらは日本国外を対象としたものであるほか、数都市程度のデータセットであり地域多様性が高くはない。そのため、日本での測量としての地図作成における地物抽出性能評価用のデータセットとしてそれらを用いるのは適切でないと考えている。そこで、日本における地図作成で実際に使われている空中写真を対象として、高い地域多様性を持った地物抽出性能評価用データセットを構築することを目的として、1967年以降に日本で空中写真撮影が実施された1328地区から均等に評価範囲を抽出して評価用データセットを構築した。さらに、pix2pix及びU-Netを使用し、道路と建物について我々が構築した評価用データセットと既存の評価用データセットによる評価結果とを比較して考察することで、我々が構築した評価用データセットで十分に信頼できる地物抽出の性能評価を実施することができるとの結論を得た。
著者
高木 志郎 吉田 雄紀 岡田 真人
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

Batch Normalizationはニューラルネットワークの学習を高速化,安定化させ,汎化性能を向上させる方法として知られている.しかし,その知名度に比してBatch Normalizationがニューラルネットワークの学習ダイナミクスに与える影響についての理解は依然として不十分である.近年この問題に取り組むいくつかの研究が出てきているが,Batch Normalizationつきニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した研究はほとんどない.学習ダイナミクスを導出することはBatch Normalizationが学習にどのような影響を与えているかについて理解する上で重要であるため,我々は統計力学的な手法を用いた先行研究を頼りに,Batch Normalizationつき3層ニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した.具体的には,Batch Normalizationありのニューラルネットワークについて,系の大域的な挙動を表すオーダーパラメータの微分方程式を導出した.
著者
和泉 潔 坂地 泰紀
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究では、経済・金融に関わる事象の因果関係を、経済テキストデータから抽出したデータベースから連鎖的に検索するシステムの紹介をする。本システムにより、ユーザが入力したイベントからの経済的な波及効果を推論したり、ニュース記事からの因果チェーンをたどった関連銘柄の提示などのサービス応用のアイデアも紹介する。
著者
高橋 諒 蓑田 和麻 舛田 明寛 石川 信行
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

カスタマーとクライアントのマッチングビジネスを展開するリクルートでは、クライアントの情報をカスタマーに伝達するために日々大量の原稿が作成されている。本論文では、機械学習を用いてそれらの原稿の誤字脱字を検出する方法を提案する。このシステムは主に2つのパートで成り立っている。1つは複数のBidirectional LSTMを用いて各文字に対して誤りがないかの確率を算出するパート。もう一つはそれらの出力値を入力として、文全体で誤りがあるかないかを判定するランダムフォレストアルゴリズムである。この方法の有効性を示すために人工で作成した文と我々のサービスで持つ実データを用いて検証を行った。
著者
佐竹 哉太 山田 誠 松井 孝太 松井 茂之 鹿島 久嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

生存時間分析はイベントが発生するまでの時間を分析するための手法であり、多くの分野で使用されている。 この生存時間分析の中で最も良く用いられるモデルとして、Cox比例ハザードモデルがある。Cox比例ハザードモデルはイベントの詳細な分布が分からない場合でも利用でき、また線形式の係数により特徴の重要性を解釈することができる。しかし一方で特徴の線形な関係性しか利用できないという問題がある。非線形なCoxモデルも研究されているが、それらのモデルでは解釈ができない欠点がある。本研究では、CoxハザードモデルにFactorization Machines (FM)を導入したモデルを提案する。このモデルでは共変量間の相互作用を利用でき、また解釈も可能である。提案手法の性能を評価するため、実際の遺伝子データから特徴選択を行い、それによって選択された特徴を用いて実験を行った。その結果、提案手法が既存手法に比べ良い性能を示すことを確認した。
著者
高橋 佑典
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

住宅価格の分析を行った従来の研究では,モデルの推計価格に対して明確な説明が可能なことから,多くが線形モデルとして推計している.しかし,専有面積や築年数などでは,住宅価格に与える影響が区間で異なり,非線形性を持つことが知られている.また,線形モデルの課題として,築年数と建築年代といった多重共線性を持つ説明変数を同時に投入すると,モデルの推計値が不安定になることが挙げられる.一方,線形モデルの課題に対処するため,非線形性を考慮した推計が行われている.しかし,非線形モデルを扱う課題として,モデルが複雑になり説明性や再現性が低下することが考えられる.本研究では,これらの線形モデルと非線形モデルの課題に対処し,住宅価格推計時の説明性と推計精度の向上を目的として,モデルを2段階に分けた場合の戸建住宅における取引価格の推計を行った.結果として以下のことがわかった.1つ目は非線形性をうまく表現できる手法として,決定木と勾配ブースティングを組み合わせた手法が有効であること.2つ目は戸建住宅の価格を決める主要な要因の非線形性を考慮し,推計精度の向上が見込めることである.
著者
紺野 剛史 金月 寛彰 福田 大輔 園田 俊浩
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,日本の高齢者人口は増加している. 介護期間を短縮する方法として,高齢者の転倒リスク検出を検討した. 本論文の目的は,非接触センサーで転倒リスクを検出することである.40人の被験者による5メートルの歩行テストのビデオを撮影し,次に,OpenPoseを使ってそれらを処理した.最後に,リハビリ運動指導員は転倒リスクを3段階で評価した.本稿では,3つの機械学習モデルについて転倒予測の精度評価を報告する.その結果,非接触センサーを使用してもすべてのアルゴリズムで約80%の精度が得られることがわかった.
著者
瀬戸 卓弥 竹内 優志 橋本 正弘 伊藤 惟 市原 直昭 川久保 博文 北川 雄光 宮田 裕章 陣崎 雅弘 榊原 康文
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

食道癌は10年生存率が20%前後の癌であり、膵臓癌や肝細胞癌と並んで致死率の高い癌である。また、食物を運ぶ蠕動運動による狭窄と癌による狭窄の判別が難しく診断の難しい癌であることも知られている。そこで本研究では、過去に食道癌と診断された患者のCT画像を用いて畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と 再帰型ニューラルネットワークの学習を行うことにより、新規のCT画像に食道癌が存在するか否かを判別するシステムの構築を目的とした。結果として、CNNとLSTMを用いた診断支援システムの構築に成功し、80%を超える精度で分類を行うことができた。
著者
上野 未貴
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

創作者は表現したいものをいかに伝えるかに想いを巡らせ,創作物を創っている.その過程には,対象とするテーマだけではなく,創作者個人の感性や体験,表現材料や技法の工夫など,多くの要素が存在する.創作現場には情報技術の進化が関わっているが,分野が発展したことで生まれる新たな研究が人が創る過程にどう関わるのか,未来の表現がどう変容するのか,本稿では表題のセッションに関わる研究とその展望について述べる.
著者
谷田 泰郎 高椋 琴美 齋藤 有紀子
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

人間の理解に基づくコミュニケーションは非常に重要である。然しながら、そのメカニズムを理解することは必ずしも重要ではない。本稿では、膨大な情報から情緒的価値(感覚的な感性価値)のみを抽出する「心のモデル」を提示する。
著者
森 直樹 藤野 紗耶
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,機械学習の飛躍的な発展を背景として,人工知能(Artificial Intelligence: AI)が社会における重要な基盤技術として注目されている.しかしながら,創作に関する分野への AI の適用は現在でも極めて困難であると考えられている.本研究では AI 技術を用いた人間の心に響く絵本の自動生成について検討し,現在提案中である"ユーザ内のとある感性観測に基づく対話型デジタル絵本'' (Interactive digital picture book with Observing ∃ Kansei ∈ User: IO∃K)において重要な絵本オブジェクトの自動配置手法を提案する.IO∃K はユーザに内在しているある感性に着目し,その感性に基づいて作られた画像とストーリーを融合してデジタル絵本を作成するシステムである.なお,IO∃K という名称は,著者たちにとって深い思い入れがある国鉄 103 系電車に着想を得ている.今回は IO∃K の持つモジュールの中で,オブジェクト自動配置モジュールについて提案する.
著者
大知 正直 城 真範 森 純一郎 浅谷 公威 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

研究への投資戦略策定のために,早い段階で有望な研究や研究分野を特定することは重要である.また,近年の論文出版数の急増及び専門知識の細分化のため,将来の技術動向を自動で予測する技術の開発が必要である.一方で技術の現状を表す指標には様々なものがあり,どの指標による未来予測を示すかは分析の目的に依存する.つまり,様々な指標による技術動向の自動予測を行うための基盤技術の開発が課題である.そこで,本稿では,出版社の論文データの様々な異種ネットワーク情報を用いて,未来の様々な技術指標を自動で予測するための分散表現を抽出する手法を提案する.実験の結果,論文間の参照関係の予測のF値は95.6%で,出版後3年後のh-indexは一定の条件下で64.4%だった. この結果は,論文間の参照関係を十分に写像できていることを示している.一方で,将来のh-indexの予測精度は比較手法と同等であり,さらに研究を深める必要がある.本論文の成果は,論文データ向けの異種ネットワーク分散表現が技術動向の自動予測を行うための基盤となる可能性が示唆している.