著者
坂井 創一 竹中 要一
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

Convolutional Neural Network(CNN)は、ディープニューラルネットワークを用いた画像分類器である.しかし,CNNは分類したクラスに対する判断根拠を提示することができないという欠点をもつ.この問題を解決するため,判断根拠となる画像の一部を提示する可視化手法が提案されている. 分類に対する判断根拠の可視化と同様に,学習過程の視覚化も重要だと考えている. CNNのクラス判別性能はパラメータの影響が大きい事が知られている.そのため,学習過程の視覚化が可能となる事によりパラメータ調整を効率的に行うことができる. そこで我々は学習過程を視覚化する方法を提案する.提案手法はCNNの学習過程におけるエポック毎に,任意のクラスの分類判断根拠画像を生成する.提案手法の有効性を検証するため,MNISTデータセットを用いた。その結果、提案手法が,従来手法では不可能であった任意のクラスに対する学習過程を視覚化できることを示した.
著者
松井 壮太 松村 真宏
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

In this study, we consider an shikake, an embodied trigger for behavior change, to prevent umbrellas theft. We put a poster with a questionnare asking “Have you ever had a sad feeling from umbrella stolen?” on an umbrella stand to appeal to the feeling of guilty. People was able to vote for the questionnaire using build-in stickers. We conducted experiments at University campus for 111 days in total and revealed that the number of umbrella theft was reduced if the poster was set up. We concluded that a poster with a questionnaire seemed to be effective for umbrella theft prevention.
著者
江間 有沙 長倉 克枝 藤田 卓仙
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

現在、様々な現場で人工知能(AI)利用に関する議論と同時に、プライバシーやセキュリティ、アカウンタビリティなどに関する原則作りが国内外行われている。いかに「信頼できるAIシステム」を構築できるかに関しては期待も多いが課題も多い。保健医療分野において活用されるAIを、技術的な観点ではなく医療の診療プロセスの観点から整理するため、本研究では医師による診療のワークフロー図を作成し、セミナーに参加する医療従事者に対して、AIの診断補助ツールに対してどのような課題があるかの自由記述の調査を行った。その結果、技術の有用性(精度)、安全性、利便性、セキュリティ、コストの他、いくつかのジレンマ状況に対する課題が指摘された。今後はこの質的なデータをさらに大人数を対象としたアンケート調査などによって深堀をしていく予定である。
著者
五十嵐 光秋 坂地 泰紀 和泉 潔 島田 尚 須田 真太郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

決算短信の因果関係ネットワークを構築する実験を行った.因果関係を決算短信から抽出し,表現の類似度を算出してネットワークを構築した.類似度の計算には日本語版ウィキペディアのコーパスから作成したword2vecモデルを使用し,単語の重要度を表すidf値の組み合わせることで,単語ベクトルから因果関係表現のベクトルを獲得した.また、極性辞書を用いて因果表現の極性の反転を捉えることで,word2vecモデルにより同一視される対義語と類義語による違いを検出した.実験によってネットワークから,因果関係どうしを結ぶ100個のエッジを無作為に選択し、目視により評価した。 その結果、妥当な接続と考えられる割合は84%であり、さらにその中で極性の反転が正しく捉えられたエッジの割合は86%であった。
著者
全 珠美 水野 貴之
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究は匿名性を持つサイバー空間でのユーザーの地域情報を推定しそれを実空間に可視化することを目的としている.我々は人間の活動が一日中パターン化されることに着目し,そのパターンから地域情報を分類する分類器を構築する.分析の対象として代表的な仮想通貨であるビットコイ ンに注目する.ビットコインにおける各ユーザーの取引の日中パターンを機械学習により分類することで,ユーザーの活動地域を推定し,サイバー空間でおこわれている仮想通貨の流れを実空間に可視化する.
著者
丸山 宏
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

「人工知能学会」と言ったときの「人工知能」は学問領域を指すが、この言葉はしばしば、学問領域から派生した技術を応用したシステムを指すのに使われる。これが多くの混乱のもとになり、精度の低い議論を呼び起こしている。本講演では、人工知能研究を振り返り、現在注目されている統計的機械学習と数理最適化の可能性と限界を指摘し、今後の社会におけるインパクトについて議論する。
著者
川野 陽慈 佐藤 季久恵 高屋 英知 須賀 聖 山内 和樹 栗原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

場の雰囲気は,人と人との間に流れる「空気」や視覚情報,聴覚情報などが複雑に絡み合うことによって形成されている.これを人為的にデザインする場合,特に視覚情報と聴覚情報(BGM)をコントロールすることが重要である.BGMには感情誘導効果やイメージ誘導効果があるとされており,小さな労力で場の雰囲気に合わせることができる.本研究では,店舗の雰囲気に適したBGMを推薦するシステムの構築を目指す.従来研究では,場の雰囲気から想起する人間の喜びや悲しみ,怒り (ストレス),落ち着きなどの感性評価はアンケートやインタビューなどの測定方法が用いられていた.しかし,この評価方法では被験者の顕在意識に影響を受ける可能性がある.また,従来研究では,没入感のない画像を見て評価を行っており,現場にいる感覚での推薦に至らない可能性がある.そこで,本研究では人手による音楽の印象抽出ではなく,脳波を読み取ることで人が潜在的に抱く印象を抽出した.また,Virtual Reality(VR) を用いることで,あたかも現実空間にいるような環境で,あらゆる空間での実験を行った.
著者
西田 知史 西本 伸志
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年、深層学習は物体識別のようなパターン認識課題において非常に優れた成績を示している。しかし、最新の深層学習ネットワークを用いても、感覚入力パターンから、それと結びついた人間の主観的判断(例:嗜好、印象)を推定することは未だ難しい。そこで本研究では、深層学習の特徴表現に脳の情報表現を統合することで、そのような推定問題における深層学習ネットワークの性能を向上させられるか検証を行う。まず、深層学習ネットワークにおける視覚入力の特徴表現と、同じ入力対する脳内の情報表現の間の対応関係を、計測脳応答を用いて事前に学習する。次に、その対応関係を用いて、新たな視覚入力に対する深層学習特徴表現を脳内情報表現に変換する。そして、変換された情報表現を用いて、その視覚入力が誘発する人間の認知内容を推定する。その結果、脳内情報表現を統合したときのほうが、推定性能が向上することを、2つの推定課題を用いて例示する。本研究で採用する深層学習と脳情報の統合手法は、人間の主観的判断の推定において、深層学習の性能を向上させる、効果的な方法論を提供するといえる。
著者
石川 隆一 和泉 興 林 秀和 福田 宏幸
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

人間の美的感性に基づく研究は何度も行われてきましたが、感性のモデル化がこの研究のテーマです。本研究では、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)と勾配ブースト決定木(GBDT)を用いて、デザイナーの持つ美的感性をモデル化する実験を行った。また、提案手法ではCNN以外から抽出した色や文字データを新たな特徴として追加することで精度を向上させた。提案手法を複数のパターンで検証し有効性の確認ができた。
著者
坪田 亘記 相澤 清晴
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

トーン貼りは漫画制作における工程の一つであり,トーン貼りの自動化には需要がある.本研究では,漫画のキャラクターの自動でのトーン貼りに取り組む.トーンには特有のパターンがあるため,トーン貼りは難しい.L1 lossや perceptual lossと組み合わせるような通常のconditonal generative adversarial network (cGAN) では,トーンのパターンの学習は難しい.トーンのパターンを考慮したトーン貼りを実現するため,我々はcGANにトーン特徴量を用いた損失関数を導入する.トーン特徴量を用いた損失関数は,目標の画像と生成画像のトーン特徴量間の距離を計算したものである.Manga109に登場する2人のキャラクターについて実験を行い,提案手法がベースラインの手法よりも同等以上に見た目が良い結果になることを示した.
著者
岩崎 凌 森 直樹 上野 未貴
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,人工知能による小説や漫画,アニメ,漫画といった創作物を対象とした研究が大きな関心を集めている.創作物理解や自動生成といった試みは非常におもしろいものではある反面,そもそも人の創作物理解は高次の知的活動であり,どういったタスクであれば計算機が創作物を理解したといえるのかを定義することさえ難しい.人の創作物の中で,特に漫画を工学的に扱う分野をコミック工学という.この分野では,日々様々な研究が報告されているが,多くはコミックの持つ画像を対象としており,ストーリーといったコミックの意味を自然言語から解析しようとする研究は少ないのが現状である.その一因としては,上で述べたような意味理解のためにどのようなタスクを設定すればよいか非常に難しいということが挙げられる.更にデータセットが十分にデータを持っていないこともコミック工学の実験を制限する要因となっているため,Data Augmentation による解決を試み,今後の人工知能による創作物理解の可能性を示すという立場で結果を解析する.
著者
森 直樹
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究では,計算機はストーリーを創作することが可能なのか? という問い基づき,4コマ漫画に焦点を当てて,人工知能用データセットの構築を視野に入れたストーリー分類手法を提案する.4 コマ漫画はしっかりとしたストーリー構造を持ち,各ストーリーの長さが決まっているため,定量的な解析に向いている.近年,人工知能研究を対象とした世界初の独自 4 コマ漫画データセットも提案されており,今後データセットの独自構築が活発化していく可能性が高い.既存の漫画ではなく独自にデータセットを構築する場合,商用の漫画では困難である表現も可能であるという利点がある反面,自由度が高いためデータの何に着眼しているかが見えにくくなるという問題点も顕在化している.そこで本稿では,機械学習を前提とした 4 コマ漫画データセットの表現方法および着眼すべき特徴について可能な限り定量的にまとめ,同時に創作視点に基づく具体例を示すことで創作と人工知能に関する分野の発展に寄与することを目的とする.
著者
加藤 旺樹 穴田 一
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が多く行われている.テクニカル分析を用いた投資では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し売買を行う.しかし,そのためには専門的な知識を必要とする上,利益を上げにくいという問題がある.そこで本研究では,松村らの研究で用いられた戦略木を用いて,テクニカル指標を用いたより利益を生み出す投資戦略の構築を目的とする.
著者
吉村 拓馬
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本稿では,農作物の生育状況計測をドローンより上空から捉えた鳥瞰視点で行うことを目的とし,今後ドローンに搭載されるFPGAボードに物体検出モデルの1つであるSSDを導入した事例について報告する.FPGAの限られた計算資源で農作物の物体検出を実現するため,我々はSeparable Convolutionを採用し,さらに円形を検出枠とするCircle SSDを提案する.この結果,畳み込みニューラルネットワークのパラメータ数14770でF値0.67を記録し,非常に限られた計算資源でも畳み込みニューラルネットワークベースの物体検出モデルを採用した農作物の生育状況計測が実現できることを示す.
著者
堀江 幸生
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

強い人工知能と,神の想いで創造された魂の起源・人の価値・人を人たらしめるものとの間には,キリスト者に,聖書的な教えとは何かと言う神学的な葛藤を問い続ける.それは,キリスト者として信仰が試される場でもある.技術の進歩が遅い時,キリスト者は人工知能の領域における技術的成果の可能性が,神によって本質的に制限されているという主張には関係しないことが可能であったが,強い人工知能の誕生可能性が大きくなるに連れて無視できる事柄ではなくなった.本稿では,キリスト者の聖書的な理解が,強い人工知能と対峙すべきか否か,またそれを強い人工知能にどのように作用すべきかを考察した.結果は,強い人工知能の出現を神は妨げるものではないが,強い人工知能の倫理的な影響は慎重に考慮する必要があることを提示した.
著者
真鍋 友則 中川 慧 吉田 健一
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ブランド価値や顧客満足度が B2C 企業のキャッシュ・フローや株主価値に影響することはこれまで示されてきた. 我々は本研究において, 同様の関係が B2B 企業においても成り立つかどうかを調べた. そのために, B2B 企業のブランド指標として, 名刺交換ネットワークを利用して作成された大規模アンケート調査を利用した. この新たな企業ブランド指標は, その企業の従業員と人的ネットワークを有する人々に限定した調査に基づいて作成されており, 一般的な認知の低い B2B 企業に対するブランド評価を可能にしたものである. 我々は, この企業ブランド指標が株主価値と正の関連性があることを示した. この結果は, この新規 B2B 企業ブランド指標が無形資産を反映していること, また, B2B 企業においてもブランド価値が株主価値と関連することを新たに示すものである.
著者
早川 敦士 北内 啓
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

新しいB2Bマーケティング手法ABM(Account-based marketing)のために,成約済みの企業データを分析して成約確度の高いターゲット企業を推薦するシステムを構築した.ターゲット企業を推薦する際,特徴量の重要度が予測スコアの増減に与える影響を解釈しやすいこと,推定時に各特徴量が相互に影響を与えないことの2点が課題となる.ナイーブベイズを拡張し,特徴量の重要度をスムージングによって修正することでこれらの課題を解決した.実験の結果,提案手法がロジスティック回帰,GBDTと同等以上のAUCを達成することを確認した.
著者
有坂 壮平 玉川 悠貴 武居 幸次郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

杭施工時には杭底に構造物の沈下や傾斜に繋がるスライムが無いことを確実に検知する必要がある.従来のスライム検知方法は人の感覚に頼る部分が大きく,再現性,定量化に課題があった.これを解決するため,張力計測データをもとにした新たなスライム検知方法の開発を進めている.本論文では,この張力計測データからスライムの有無を判定する方法として機械学習の適用性を検証した.比較した6種のアルゴリズムでは1次元畳み込みニューラルネットワークが最も性能が良く,その正解率は約93%であった.これにより,スライム検知における機械学習の有効性が確認できた.
著者
佐々木 健 北村 美穂 倉田 啓一 渡邊 克巳
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

今日,情報システムには少なからずユーザとの音声対話機能が実装化されている.音声エージェントに対するユーザの愛着は,情報システムの利用を求める際に重要な役割を果たすと考えられる.本研究では,会話の丁寧さに着目し,丁寧さの異なる数種類の呼びかけ語が音声エージェントへの愛着形成にどのような影響をもたらすか検討した.実験参加者は,バーチャル運転システムを通して,丁寧な呼びかけ語 (『すみません』)と丁寧でない呼びかけ語 (『あのー』)を話す音声エージェントと会話し,それぞれのエージェントに対する印象を評価した.その結果,丁寧な呼びかけ語の『すみません』は「打ち解け感」と「控えめさ」の評価を高めたが,エージェントへの愛着を直接示す「好ましさ」にはほとんど影響がなかった.しかし一方で,「好ましさ」と「打ち解け感」,「控えめさ」の間に強い相関が見られたことから,呼びかけ語は「打ち解け感」,「控えめさ」を通じてエージェントへの「好ましさ」を変化させる可能性があると考えられる.本結果は,呼びかけ語の丁寧さを適切に選択して使用することによって,ユーザと音声エージェント間の愛着形成が促進される可能性を示唆する.
著者
鈴木 慶昭 加納 学 曽我 朗 柳町 武志 村尾 了 髙木 雅哉
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

多工程生産設備の生産性向上を目指して,装置組合せに依存する良品率の推定方法と良品率を考慮した生産スケジューリング方法を開発した.良品率推定にはField-aware Factorization Machines (FFM)が極めて有効であり,良品率を高 精度で推定できることに加えて,良品率に影響する特別な装置組合せを正確に特定できた.さらに,メイクスパン最小化と最終製品良品率最大化を同時に考慮した多目的生産スケジューリング問題をMILP問題として定式化し,NSGA-II と新しいディスパッチングルールを組み合わせることで,優れたパレート最適解を導出できた. ディスパッチングルールとしてFIFOを用いる場合,メイクスパンのみを目的関数とする従来法に比べて,単位時間あたりの良品数を12%向上できた.