著者
瀬戸 寿一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.226-231, 2019-06-01 (Released:2019-06-01)

1990年代後半から日本でも本格的に導入された地理情報システム(GIS)は,社会においてさまざまな場面で活用され,わたしたちの日常生活やサービスにとって欠かせない情報インフラとなっている。本稿では,GISに関わる技術的側面とデータとしての地理空間情報について基本的な解説を行ったあと,日本における導入や制度的な位置づけについて紹介する。さらに,今日のデータ社会におけるGISの活用として参加というキーワードを取り上げ,将来に渡って膨大に蓄積される地理空間情報の使われ方について展望する。
著者
山内 啓之 小口 高 早川 裕弌 瀬戸 寿一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.288-295, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
13

筆者らは,大学の学部や大学院のGISの実習授業を充実させるための教材を開発し,オープンな活用ができるコンテンツとして広く公開するためのプロジェクトを実施している.教材は,既存プロジェクトの成果である書籍『地理情報科学GISスタンダード』と対応するように構成した.GISを用いたデータの処理には,フリーかつオープンソースのソフトウェアを利用した.これらの教材は,GIS実習の課題や使用するソフトウェアの特性を考慮し,二次利用しやすいようにオープンライセンスのパッケージとして整備し,GitHubを用いて試験公開を行っている.本稿では,開発中の教材の設計と初期の構築の経緯をまとめ,既存のGIS教材との比較を行い,本教材の有用性について評価した結果を解説する.
著者
瀬戸 寿一 矢野 桂司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.259-274, 2012-05-01 (Released:2017-10-07)
参考文献数
47

本稿は京都の景観計画への活用を目的とした調査において,市民調査員に良好と判断された通り景観の特徴を考察するものである.その際に(1)京町家GISデータを用いて「良好な通り景観」の選定に関わる景観要素を定量分析した.また(2)市民調査員や居住者が「良好な通り景観」をどのような意識に基づき選定したかについて,発話などの資料を用いて定性的に検討した.その結果,(1)定量分析では,「良好な通り景観」が既存の景観保全地区以外にも,日常生活を印象づける長屋建ての多い通りなどで選定された.(2)定性分析では,当該地域の居住者にとって,伝統的な外観意匠を残す京町家を中心とする,過去と現在とであまり変化の見られない景観に高い関心を持つことが明らかとなった.以上の結果から,市民参加型調査で選定された「良好な通り景観」の情報を景観計画に活用するには,定量分析のみならず,市民の景観に対する意識に関する定性分析も必要であることが示唆された.
著者
山内 啓之 小口 高 早川 裕弌 瀬戸 寿一
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

We have been conducting a project to develop GIS exercise materials for Japanese university students. In this project, we distribute the materials on the Internet via GitHub. The learning contents in the materials are divided into four sections according to the target of learning: 1) basic operations of GIS software, 2) equipment usage for field data collection, 3) utilization of Web GIS, and 4) GIS programming with Python. Explanation of GIS analyses in the materials consists of short text descriptions and screen-captured images showing data processing using free GIS software packages such as QGIS. We also provided sample data compiled from open data for the exercises. Users can learn GIS using the materials with free of charge. The online materials have been utilized in not only universities but also industries, governments, and groups of citizens in Japan. In this presentation, we introduce the construction and operation of the materials, and demonstrate how they worked in the community.
著者
西村 雄一郎 瀬戸 寿一 金杉 洋 吉田 大介
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-07-18

本研究は,近年活発化しているクラウドソーシングと呼ばれる一般市民からの情報によって,インターネット上の地図を編集するプロジェクトに着目し,そのようなクラウドソース型地理情報のトラストに関して,多角的な視点による研究を行う.研究実施計画に設定した5つの研究フェイズのうち、主に以下の2つを中心に研究を実施した.・クラウドソース型地理情報の理論的位置づけに関する研究(西村・瀬戸):クラウドソース型地理情報に関する先行研究・論文は,主に英語圏におけるGISと社会に関する地理学的な研究を中心に存在するが,クラウドソース型地理情報に関する理論的な位置づけ・学術的な議論に関するレビューを行い,従来の研究を包括的に整理した.また,クラウドソース型地理情報の実践的な取り組みにも着目し,作成方法やデータの編集方法の進展について調査を行うとともに,それらを整理した.・日本におけるクラウドソース型地理情報の正確性や網羅性に関する分析(西村・瀬戸・吉田):クラウドソース型地理情報は、地理情報に関する専門的な知識や技能を必ずしも持っていない一般の市民によって作成されている.日本におけるクラウドソース型地理情報に対して,公的な組織が測量によって作成した地理情報や,商用の地理情報とその正確性や網羅性を比較した.また,クラウドソース型の地理情報の編集の特徴の一つである,コミュニティによる正確性や網羅性を実現するための試みや,データの相互チェックなど実態に関しての分析を行った.
著者
村中 亮夫 瀬戸 寿一 谷端 郷 中谷 友樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.492-507, 2012-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
26

本稿では,地域の防災・安全情報が記載されたWebマップをベースとした安全安心マップ(Web版安全安心マップ)について,利用者の活用意思とそれを規定する心理的な要因を分析した.分析資料としては,京都府亀岡市篠町のWeb版安全安心マップについて,紙地図ベースの安全安心マップ(紙地図版安全安心マップ)との対比から得られた利用者評価のデータを利用した.分析の結果,Web版安全安心マップでは紙地図版安全安心マップと比較して高い活用意思が表明され,Web版マップを積極的に活用する意義が示された.また,Web版マップを活用する意思の心理的な要因を検討する構造方程式モデリングの結果,Web版マップの利便性やそれを通して得られる地域の危険/安全箇所に関する認識の深まりの度合い,マップに掲載されている情報の充足性が,Web版マップの活用意思に正の影響を与えていることが示された.
著者
矢野 桂司 中谷 友樹 磯田 弦 高瀬 裕 河角 龍典 松岡 恵悟 瀬戸 寿一 河原 大 塚本 章宏 井上 学 桐村 喬
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.464-478, 2008-04-25
被引用文献数
2 16

バーチャル京都は,歴史都市京都の過去,現在,未来を探求することを目的に,コンピュータ上に構築されたバーチャル時・空間である。本研究では,最先端のGISとVR技術を用いて,複数の時間スライスの3次元GISからなる4次元GISとしてのバーチャル京都を構築する。本研究は,まず,現在の京都の都市景観を構築し,過去にさかのぼる形で,昭和期,明治・大正期,江戸期,そして,京都に都ができた平安期までの都市景観を復原する。<br> バーチャル京都を構築するためには以下のようなプロジェクトが行われた。a)京都にかかわる,現在のデジタル地図,旧版地形図,地籍図,空中写真,絵図,景観写真,絵画,考古学資料,歴史資料など位置参照可能な史・資料のGIS データの作成,b)京町家,近代建築,文化遺産を含む社寺など,現存するすべての建築物のデータベースおよびGISデータの作成,c)上記建築物の3次元VRモデルの構築,d)上記GISデータを用いた対象期間を通しての土地利用や都市景観の復原やシミュレーション。<br> バーチャル京都は,京都に関連する様々なデジタル・アーカイブされたデータを配置したり,京都の繊細で洗練された文化・芸術を世界に発信したりするためのインフラストラクチャーである。そして,Webでのバーチャル京都は,歴史的な景観をもつ京都の地理学的文脈の中で,文化・芸術の歴史的データを探求するためのインターフェイスを提供する。さらに,バーチャル京都は,京都の景観計画を支援し,インターネットを介して世界に向けての京都の豊富な情報を配信するといった重要な役割を担うことになる。
著者
前田 翠 関本 義秀 瀬戸 寿一 樫山 武浩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1499-1506, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

東京都市圏,地方部いずれにおいても民間企業や地方自治体主導の開発プロジェクトが近年増加している.そういった背景から,開発地域選定ならびに開発計画策定の際に,開発物件の賃料を推定し,居住地域の特徴を多角的に捉える為のシステムが必要とされていると考えられる.賃料推定ならびに賃料に影響を与える要因の分析の為の手法として,本研究ではDeep Neural Network,ヘドニックアプローチとRandom Forest Regressionの3つを用いた.そして,この3手法の比較を行うことで各々の優位点や限界を明らかにした.その結果,特にDeep Neural Networkは外れ値に大きな影響を受ける可能性があることからデータクリーニングを行う必要があることが示唆された.また,賃料推定のために構築したモデルを応用し,緯度・経度を説明変数に加えることで地域のポテンシャルマップが作成可能であること,デフレーターや物件登録年度を説明変数に加えることでポテンシャルマップの時系列変化や経済動向のポテンシャルマップへの影響を表すことができるということが示された.
著者
瀬戸 寿一 関本 義秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1515-1522, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
15

本研究の目的は、日本における様々なシビックテック活動の実態を明らかにし、特にシビックテック活動とアプリケーション制作課程の背景を明らかにするために「アーバンデータチャレンジ(UDC)」における取り組みに着目し分析することである。日本のアプリケーション開発コンテスト等で行われてきたアイデアソンやハッカソンと行った一過性のイベントに限らず、地域の取り組み状況や体制に応じた幅広い活動が行われていることが明らかとなり,同時に幾つかの地域では活動の持続可能性に向けた工夫もされていることが明らかになった。さらに、活動の最終成果としてコンテストにおいて高い評価を受けた作品は、継続的な横断的発展と翌年の賞につながる特徴や側面を持っていることが明らかとなった.
著者
前田 紘弥 関本 義秀 瀬戸 寿一 樫山 武浩 小俣 博司
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.A_1-A_8, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
参考文献数
15

課題先進国と言われる日本のインフラ維持管理は、財源・専門家不足が深刻な問題となっている。一方で、ここ数年の深層学習等の技術発展により高度な画像認識が可能になっており、さらに世界中広く普及しているスマートフォンのカメラ機能は高精細化している。そこで本研究では、7 つの自治体の道路管理者と連携し、深層学習により路面損傷のリアルタイム検出を行うとともに、ランダムフォレスト法により自治体ごとの修繕対応決定における各特徴量の重要度比較を試みた。その結果、一般的なスマートフォンのみを用い、路面損傷を検出率(真陽性率)87%で検出することができ、自治体ごとの維持対応基準の違いを定量化することができた。この成果により、安価で簡易なインフラ点検が可能となり、財源・専門家不足に悩む諸地域においてブレークスルーとなる可能性がある。
著者
瀬戸 寿一 村中 亮夫 谷端 郷 中谷 友樹
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.6, pp.946-961, 2012-12-25 (Released:2013-01-07)
参考文献数
27

This study explores how to use geospatial information for residential safety and security activities, such as patrolling a community, from the perspective of PPGIS. The study takes Shino-town, Kameoka City as a case study, where a neighborhood community association held a workshop in 2009 for residents to collect geospatial information for use in disaster prevention and daily security. Because they made a hard-copy “Safety-security Map,” we first converted it into a web-based map with functions that help a user prepare a walking route using Google Maps API. Using the web-based map, some Kameoka residents developed routes for patrolling the community. Then, we walked through the routes with them, conducting interviews on how they felt about risks and attractive features along the routes. Analyzing the results of the field research and interviews, we identified substantial differences in risk perception and interest in the possibility of using web-based safety-security maps by local community residents. Compared to the male representative group of the residents' association, female members of the welfare commission and the PTA representative group were more interested in community safety and disaster prevention information, and the web-based map containing information. They hope to use the web-based map to exchange information among residents. Besides, they showed a keen interest in using the web-based map for walking exercise to raise their awareness of community-safety and disaster-prevention information on a daily basis. It is vital to integrate different interests and needs for safety-security geospatial information of local resident groups to carry out effective residential safety and security activities.