著者
坪井 優樹 阪井 優太 鈴木 佐俊 後藤 正幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.3G2GS2h04, 2021 (Released:2021-06-14)

企業が施策を講じる際,適切な効果検証を行い,正しい意思決定につなげることは重要な課題である.観測データから施策効果を正しく評価するために,因果推論という考え方がある.近年の因果推論では,ユーザを施策を打つ群と打たない群に分割した後,条件付き平均処置効果(以下,CATE)と呼ばれる,同じ特徴を持つユーザ群における群間の結果の平均値の差を施策効果とする.CATEにより,施策を講じることが有効であるユーザ群の特定が可能になる.ここで,CATE推定手法としてCausal Treeが提案されている.この手法は解釈性が高く,施策効果に影響を与える要因についての分析に有用である.しかし,この手法は施策対象者をランダムに選択する場合のみを対象とする.そのため,ユーザを人為的に選択し系統的な誤差(以下,選択バイアス)が生じる場合は対応できないという問題点がある. そこで本研究では,Causal Treeをベースとし,選択バイアスが存在する状況に対応したCATE推定手法を提案する.また,人工データセットを用いて実験を行い,提案手法の有効性を示す.さらに,実データセットを提案手法に適用し,実際に分析を行う.
著者
井上 昂治 ラーラー ディベッシュ 山本 賢太 中村 静 高梨 克也 河原 達也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.H-L51_1-12, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1

An attentive listening system for autonomous android ERICA is presented. Our goal is to realize a humanlike natural attentive listener for elderly people. The proposed system generates listener responses: backchannels, repeats, elaborating questions, assessments, and generic responses. The system incorporates speech processing using a microphone array and real-time dialogue processing including continuous backchannel prediction and turn-taking prediction. In this study, we conducted a dialogue experiment with elderly people. The system was compared with a WOZ system where a human operator played the listener role behind the robot. As a result, the system showed comparable scores in basic skills of attentive listening, such as easy to talk, seriously listening, focused on the talk, and actively listening. It was also found that there is still a gap between the system and the human (WOZ) for high-level attentive listening skills such as dialogue understanding, showing interest, and empathy towards the user.
著者
冨永 登夢 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.3M44in, 2014 (Released:2018-07-30)

Twitterはマイクロブログサービスとして世界中の人々に利用されるため,非常に大規模なデータを持つ.これを対象とした研究は多く,ユーザプロフィールや投稿テキスト,ユーザ間のリンクなどが主な素性とされてきた.しかし,アイコン画像に注目した研究はこれまでに存在しない.そこで本研究は,アイコン画像がユーザの内面的特徴を示唆するという仮説のもと,アイコン画像を分類しそれぞれのユーザの使用傾向を調査した.
著者
稲葉 通将 神園 彩香 高橋 健一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.21-31, 2014-01-05 (Released:2014-01-07)
参考文献数
25
被引用文献数
5 9

Recently, computerized dialogue systems are studied actively. Non-task-oriented dialogue systems that handle domain-free dialogues like chats are expected be applied in various fields, but many challenges still exist in developing them. This paper addresses the problem of utterance generation for non-task-oriented dialogue systems. We search twitter data by topic words and acquire sentences. The sentences are filtered by rules and scored on the basis of training data. We acquire the sentences which have a high score as utterances. The results of an experiment demonstrate that the proposed method can generate appropriate utterances with a high degree of accuracy.
著者
フロインド ヨアブ シャピリ ロバート 安倍 直樹 Yoav Freund Robert Schapire Naoki Abe
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.771-780, 1999-09-01
参考文献数
47
被引用文献数
51

以下のような状況を考えよう. ある競馬ファンが, なるべく多くの配当を得ようと, 各馬の過去の成績やオッズ等の情報に基づいて勝ち馬を予測するプログラムを作ろうとした. このようなプログラムを作るために, 彼はまず熟練ギャンブラー(以下, エキスパート)にどのような戦略を用いているのかを説明してくれるように頼むことにした. ところが, 彼は競馬は勘であって, 説明できるような戦略などないと言う. しかし, 具体的にいくつかのレース情報のリストを与えられると, このエキスパートは「最近の勝率の最も高い馬に賭けろ」とか「オッズの最も高い馬に賭けろ」などの経験則を問題なく見つけることができたという. 確かにこのような経験則はおおざっぱであまり高い精度のルールとは言えないが, ただランダムに賭けているよりは少しはましな予測ができると思われる. また, エキスパートの意見をいくつもの異なるレース情報リストについて聞くことにより, 競馬ファンは数多くの経験則を習得できる. さて, こうして得られた経験則を上手に利用するには, 競馬ファンは以下の二つの問題を解決しなくてはならない. 一つめは, エキスパートに提示すべきレース情報リストの集合をどのように定めるかという問題であり, 二つめは獲得された数多くの経験則をどのようにまとめて一つの精度の高いルールを得るかという問題である. 「ブースティング」とは, このような設定の下, 数多くの精度の低いルールを組み合わせて非常に精度の高い予測ルールを得るための, 汎用的かつ理論的な性能保証のある方式である. この解説文では, ブースティングに関する最近の研究成果の中から, 特にこれまで多くの理論的な検証と実験的実証がなされてきた AdaBoost というアルゴリズムを取り上げる. まず3章で AdaBoost アルゴリズムを紹介し, 4~7章でブースティングの理論的な基盤について説明する. ここでは, 特にブースティングがなぜ「過学習」を避けられるかについても議論する. そして, 8章ではブースティングを用いた実験と応用について述べる.
著者
竹下 昌志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1K5OS11b03, 2023 (Released:2023-07-10)

人間とAIやロボットなどの人工物との親密な関係の価値について様々な仕方で議論されており、一部の人々は、そのような親密な関係には人間同士の場合と同等の価値があると主張する。だがそのような主張は正当化されるだろうか。本発表では人間とAI・ロボットの親密な関係の価値を擁護する上で次のようなジレンマがあると主張する。一方で(1)人間同士の親密な関係の価値の典型的な説明を前提とすると、人間と現状のAI・ロボットは価値ある親密な関係を築けると言うのが困難になる。仮に高度なAI・ロボットとの価値ある親密な関係が築けるとしても、その関係がここで擁護したい人間とAI・ロボットの親密な関係としてみなされるかどうかは疑わしい。他方で(2)人間同士の親密な関係の価値の説明を前提としなければ人間とAI・ロボットの親密な関係の価値を認めることができるが、親密な関係一般の価値を十分に捉えることが困難になる。本発表ではこのジレンマを説明した後、ジレンマから抜け出す方法を整理する。次に既存研究を検討し、それらはジレンマから抜け出せていないと主張する。最後に、筆者が望ましいと考える方法を提示する。
著者
田中 直樹 清水 昌平 鷲尾 隆
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回 (2013)
巻号頁・発行日
pp.3D15, 2013 (Released:2018-07-30)

近年様々な分野で大量の観測データが蓄積されており,因果分析法に対するニーズは高まっている。最近の研究により,データの非ガウス性を利用することで変数間の因果的順序を同定できる場合があることがわかっている。本研究では未観測交絡変数がある場合にその値を離散化してベイズ推定を行い,二変数間の因果順序を同定する手法を提案する。これにより,潜在交絡変数が存在しても頑健な推定することが可能となる。
著者
田村 吉宏 鶴崎 泰斗 高瀬 裕 中野 有紀子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.1N22, 2015 (Released:2018-07-30)

独習型の教育システムでは,学習者の興味や進度に合わせた個人適応型学習コンテンツの生成が重要な問題の1つである.本研究では,Wikipediaを用いた歴史上の人物に関する質問応答システムを作成し,学習者が興味のある事項をこのシステムに聞くことにより,学習できる環境と,システムとのやり取りの中で話題になった事柄について,同じくWikipediaを用いて多肢選択問題を生成する機構を提案する.
著者
山本 修身 佐藤根 寛
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.419-426, 2011 (Released:2011-02-22)
参考文献数
8
被引用文献数
2

The fifteen puzzle is a sliding puzzle which has fifteen pieces on which numbers from 1 to 15 are printed. Using the IDA* algorithm with an admissible evaluation function, we can obtain an optimal solution of the puzzle. The performance of the algorithm depends on the evaluation function. The most simple evaluation function is the Manhattan evaluation function, whose value is the sum of the Manhattan distances from the positions of the corresponding pieces in the goal configuration. In this paper, we propose an evaluation function whose values are greater than or equal to that of the Manhattan evaluation function. Our evaluation function refers an approximated database of the gap-2n set. The database is computed beforehand like pattern databases, but it is completely different from pattern databases. The belongingness of a configuration of pieces to the set has to be checked by the database. Using an evaluation function based on the gap-8 set, we were able to reduce the number of search nodes to about 2.5×10-4 times in average with the IDA* algorithm compared with the Manhattan evaluation function. We also show that combining an evaluation function by gap-8 set and an evaluation function by additive pattern databases of disjoint seven and eight pieces, we were able to reduce the number of search nodes by about 53 compared with the evaluation function only by the additive pattern databases.
著者
金川 絵利子 岡留 剛
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.F-G94_1-14, 2017-05-01 (Released:2017-05-01)
参考文献数
27

The subtree kernel and the information tree kernel defined here permit us to measure the syntactic characteristics and similarity of sentences. The subtree kernel is the total number of the common subtrees in two trees and the information tree kernel is defined as the total Shannon information contents contained in the common subtrees. The information tree kernel enables us to capture such structural characteristics peculiar to the styles of writers. The analyses using by these kernels reveal some syntactic characteristics and similarities of the Japanese 31 authors’ writing styles. In particular, the results of the analyses for the great five authors, Soseki Natume, Ryunosuke Akutagawa, Osamu Dazai, Nankiti Niimi, and Kenzi Miyazawa, show that, for example, (1) Natume more often writes a sentence of the dependency structure in which the same subtree structure occurs multiple times in the sentence. (2) Akutagawa more often uses the dependency structures for extra or detailed expressions that modifies a noun phrase than the others do. (3) Dazai often uses the dependency structures that consist of many shallow subtrees arranged in parallel, but the others seldom write sentences of the parallel subtree structures. (4) Niimi uses simpler dependency structures than Miyazawa does and Miyazawa writes short sentences in more various dependency structures.
著者
久田 祥平 村山 太一 矢田 竣太郎 若宮 翔子 荒牧 英治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.1D2OS3a04, 2021 (Released:2021-06-14)

ソーシャルメディアの時代、私たちはフィルターバブルによって意図せずとも偏った情報にさらされることが多い。 このような偏った情報は、意見の細分化や政治的な二極化を増幅させる。 この問題に対処するために、ニュースメディアのバイアスを分析し、人々がニュースを正しく理解できるようにする。 既存のバイアスに関する調査は、専門家による分析やクラウドソーシングによるメディアへの評価が行われている。 本研究では、ニュースに対するTwitterのコメントに対してトピックモデルを用いることで、階層的クラスタリングによるトピックの推定確率からニュースメディア間の距離を算出している。 基本的な考え方は、トピックの内容とニュースメディアの類似性を分析することでバイアスを測定することである。 この方法を「日本学術会議」問題に関するツイートに適用したところ、朝日新聞などの主流メディアの結果は、政治的バイアスに関する他の研究とほぼ一致していることがわかりました。これまで調査されていなかったメディアのバイアスを捉えることが可能であることがわかりました。
著者
山川 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.AGI-024, pp.05, 2023-08-08 (Released:2023-08-08)

本研究では、物理世界で生存可能な自立型人工知能(AI)システムの開発における技術的ハードルを明らかにする。まず、AIが長期生存を目指す2つの生存シナリオを想定した。まず、2つの生存シナリオを想定した: 長期生存を目標に人間が設計したAIと、自ら生存を目指すAIである。次に、6つの領域にわたる技術的課題の重要なカテゴリーを特定した。そして、それらのカテゴリーに含まれる21の具体的な課題をリストアップし、ChatGPTを用いてその技術的難易度を推定した。その結果、ハードウェア関連の課題では、自律型AIが生存するまでに100年以上かかる可能性があるが、人間の支援により、その時間を大幅に短縮できることが示唆された。ChatGPTの共通知識によるこの評価は示唆的であるが、参照した知識の範囲が2021年9月までと限定されていることも含め、暫定的なものとして扱うべきである。