著者
末吉 行雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.408-414, 2008-08-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1970年代から1990年代の30年間の日本経済新聞社の電子メディア事業を振り返る。70年代はNEEDSと呼ばれる専門家向け商品の開発が中心だったが,そのなかで,新聞記事のデータベース化は日本語というハンデも含め,前例のない取り組みだった。労多くして報いの少ない仕事でもあった。 80年代にはいると,ネットワーク,パソコンの普及で,日経テレコンという一般向け商品が登場する。専門家から大衆向け商品への転換が起こり,料金の低額化とあいまって,記事情報は脚光を浴び始める。90年代はインターネット,WWWブラウザの登場で,ビジュアルな画面・映像を含む文字情報が主役の時代となった。
著者
藤井 保夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.318-324, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)

企業活動が技術革新により特許権に大きく依存していることから,企業が意思決定を行うに際して,特許権の個別的な実情を知ることが必要である。そのために,訴訟情報は欠かすことができない。日本の特許/知財訴訟情報の本体は,紙媒体上に存在する。その情報は,判決言渡しがない訴訟であっても,裁判の公開性の原則にしたがって,国民に公開されている。この訴訟情報を得るために訴訟番号と当事者名と管轄裁判所の担当部とを知る必要があるが,これらは,開廷された訴訟の情報を電子化してインターネット上にある「知財提訴データベース」から知ることができる。米国の特許訴訟に関する情報は,全てが,電子化されて公開されている。「米国訴訟日報」では,特許訴訟の管轄裁判所90カ所以上から,ほとんどの場合,提訴の翌日には,訴状など訴訟の内容を知る手がかりが得られ,裁判記録も,電子ファイルとしてインターネット上のデータベースから得られる。
著者
末廣 恒夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.457-460, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

神奈川県資料室研究会の活動の中心は,8月を除く毎月開催している月例会である。月例会では,講演会,見学会,グループディスカッション等を行っている。理事会が月例会の企画・運営を行っており,年間計画を立てて総会に提案している。講演会では,電子ジャーナル・学術雑誌関連,実務関連,著作権関連などのテーマを中心に取り上げている。毎回詳細な記録を作成し,「神資研ニュース」と年報「神資研」に掲載している。小規模やワンパーソンで運営しているところが多い会員に対して,「泥臭さ」と「半歩先を行く」というモットーの元に月例会を開催しているところに,神資研が月例会を開催する意義がある。
著者
田中 康子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.338-344, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)

近年,裁判所がウエブサイト上で判決文を公開するようになり,誰でも気軽に判例情報にアクセスできるようになった。またここ数年,食品や飲料等なじみのある製品や,後発医薬品に関する特許侵害訴訟のニュースを目にする機会が増えている。判例情報は,学術文献や特許文献とは異なる特殊な文書であるため,法律や訴訟制度になじみのない特許情報利用者にとっては扱いにくい側面があるかもしれない。本稿では,企業・大学等の図書・情報部門で情報を扱う業務に携わる方々,並びに製薬・化学企業で特許情報を扱う業務に携わる方々に向けて,判例情報の種類や判決文の構成を簡単に説明し,判例情報の入手方法と活用方法について解説する。
著者
米澤 誠
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.305-309, 2005
参考文献数
6

図書館で行う展示会は, 図書館資料の利用を促進する活動の一環であり, 図書館の存在を社会に示す広報活動としても意義づけ, 図書館展示の持つ積極的意義を見直す。また, 東北大学で実施した「企画展」を事例として, 展示・解説の効果的実践方法を示す。
著者
佐々木 利和
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.166-169, 2016-04-01 (Released:2016-04-01)

著者の博物館勤務の経験から,現在の博物館・文書館・図書館に通じる問題を指摘する。博物館においては館蔵品のモノとしての特性を熟知している専門職員が重要であるが,取り扱い方法や保存方法など,口伝や見て覚えることによる知識を獲得するには長期間の現場経験が必要であり,大学教育では不十分であるし指定管理者制度にも馴染まない。文書資料も装幀・紙質などモノとしての特性を持つから,図書館・文書館でも事情は同様である。専門知識を持つ学芸員・司書・アーキビストの養成とその知識の総合化の適切な方法を確立することが,記憶を担ったモノを後世に伝えるために急務である。
著者
平川 雅彦 安藤 俊幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第12回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.79-84, 2015 (Released:2015-12-04)
参考文献数
10

最近、自動ブレーキが軽自動車にも搭載されるようになってきた。そこで、自動ブレーキに関して日本国内での主要技術を調べ、中国国内と技術動向を比較するため、特許情報を活用し、テキストマイニングを用いて解析を実施した。自動ブレーキに用いられる特徴語の全体像をKHCoderの多次元尺度法で解析し、レーダなどによる障害物認知手段と速度関連のKWに特徴があることが分った。これらのKWと出願人の対応分析を特定のKWが指定できるMiningAssistantを用いて実施した。その結果、富士重工業とトヨタでは自動ブレーキに対する姿勢が異なることが判明した。富士重工業はアイサイトで象徴される前方障害物に対する制動制御を実施しピタリと止める技術を志向している。一方、トヨタでは自動運転の一部として制動制御を目指していた。中国国内では駐車場のパーキング用自動ブレーキ、坂道発進でのすべり下り防止用ブレーキなどが多く、これらを除き衝突防止の自動ブレーキに関する特許を抽出し解析した。一般的な特許が多く、特徴的な特許は少なかった。
著者
小山 孝一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.17-22, 2010
参考文献数
3

放送番組はその時代で最新の媒体を使ってきており,テレビ番組のアーカイブも放送された媒体に合わせて保存されてきた。テレビにおけるアーカイブの歴史は短いが,番組媒体の種類はフイルムから磁気のビデオテープ,ディスク等,いろいろな媒体で保存されてきた。放送形態の変更があると,古い素材を新しい媒体へ変換しなければならず,この作業は繰り返されている。2000年からは徐々にデジタル化が進み,デジタルアーカイブの導入により,保存される番組もファイル化され,社内のLocal Area Network(LAN)を利用して保存された番組の検索,閲覧ができるようになった。
著者
長谷川 豊祐
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.28-33, 1999
参考文献数
19
被引用文献数
3

Digital Object Identifier(デジタルオブジェクト識別子:DOI)は, URLの一過性を克服し, どのような微細なレベルでもデジタル媒体を識別し, 提供することを意図している.DOIシステムは, 情報仲介業者を経由せず顧客と出版社を直結し, 電子商取引を促進し, 著作権管理システムを実現する。DOIシステムは, ILLからオンラインカタログまで, 図書館サービスへの大きな効果を約束する。
著者
中村 聡史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.15-20, 2013
参考文献数
23

本稿では,現在のGoogle型のWeb検索サービスを利用して検索することが困難な理由を「検索ユーザとWeb検索サービス間のギャップ」「検索ユーザと情報発信者間のギャップ」「目的とする情報が単一Webページ上に存在しない」という3つの問題で整理する。また,そのそれぞれの問題を解決するために取り組まれている検索意図を考慮したインタラクティブな検索手法や,ソーシャルアノテーションを利用した検索手法,Web上の情報を集約,分析および可視化することによって目的とする情報を作り出す手法などの様々な情報検索支援技術に関する研究について紹介を行う。
著者
岡本 真
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.52-57, 2011
参考文献数
10

本特集の総論として, 主に日本における図書館・情報センター, 博物館・美術館, 文書館等におけるソーシャルサービス活用の歴史の回顧と展望を行う。同時にこれからのソーシャルサービス活用において超えるべき課題について, 1.ソーシャルサービス, ひいてはウェブのサービスを活用する意義の理解不足, 2.希薄な費用対効果の意識, 3.職員のスキル不足と組織の理解不足の3点を指摘し, 最後に今後のさらなる活用が望まれるソーシャルサービスを10点紹介している。
著者
佐藤 郁哉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.164-170, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)

本稿では,公的研究資金の選択的配分の前提としておこなわれる研究評価事業によってもたらされる意図せざる結果について検討する。英国の研究評価事業を事例として取り上げ,同事業が研究活動テーマや方法論の均質化に結びついていく可能性について見ていく。焦点をあてて検討するのは,商学・経営学の領域における論文化の傾向である。この領域では,研究評価事業に際して提出される研究成果においてジャーナル論文の占める比率が急速に増加していった。これは,同領域が偏狭な業績主義によって席捲され,「ジャーナル駆動型リサーチ」が優勢になってしまう可能性を示唆するものである。
著者
藤井 秀道
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.65-69, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)

本論文では,近年の環境保全技術に関する学術的研究動向を踏まえながら,環境保全技術の開発を評価する際に特許情報がどのように活用されているかを紹介する。特に,経済協力開発機構において用いられている環境保全技術の評価方法について取り上げるとともに,環境保全技術の開発と普及のそれぞれの段階について代表的な論文に加えて最新の研究を紹介することで,特許情報の有用性を説明する。最後に,読者が自ら手を動かして学ぶ際に有用な事例研究について,データや計算過程を詳細に記載しながら解説するとともに,得られた分析結果からどのような情報を得ることが出来るかについて紹介する。