著者
高梨 章
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.155-159, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)

大学図書館において,レファレンス・サービスを利用する大学教員の減少は顕著である。もともとさしては多くなかったものの,これでよいのか? 教員の利用を開拓する手立てはないのか? どこを糸口に開拓したらよいだろう? ということで,まずは最初にILL,文献複写依頼を取り上げる。事例をあげながら,仕掛けるレファレンス,複写依頼(所在調査)から主題調査依頼(事項調査)への道を提示する。複写依頼以外にも,糸口はある。わたしたちが彼らの同僚として受け入れられるなら,実りはもっと多いはずである。このほかに,自己研鑽の事例として,種々のデータベース遊びを紹介する。盛んになってきている文献探索ガイダンスを,もっと面白いものとするために。
著者
橋本 佐由理
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.98-103, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

人には,性格のコアと言われる気質があり,それは遺伝子レベルで規定されているため,一生変わらないものである。メンタルヘルス不調を予防するには,自分の気質の良さを理解し,その気質の弱点を補うためのセルフケア法を知ることが有効である。また,労働者の強いストレスとなっている人間関係の問題は,気質の違いによるものが大きい。人間関係の改善や対人ストレスの軽減のためには,自分とは異なる気質を持つ他者を理解し,他者との関わり方を知ることが必要である。そこで本稿では,気質理解によるメンタルヘルス不調の予防法と人間関係ストレスの軽減法を紹介する。
著者
林 正治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.159-164, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)

機関リポジトリとは「機関の構成員が作成した学術資料についてのオープンなウェブベースのアーカイブ」である。情報システムとしてみると,ウェブサーバとデータベースから構成される所謂ウェブアプリケーションであるが,そこには機関リポジトリならではの技術が存在する。本稿では,機関リポジトリに関係する標準化された技術について,メタデータ流通,アイテム登録,ユーザ認証という視点から説明する。また,その技術が登場した背景,特徴,課題について解説する。
著者
植松 貞夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.52-57, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)

単なる建築空間を図書館として性格付ける要素であることから,図書館家具は図書館建築の主役の一つである。書架や閲覧机等の形状とその配置は利用者と職員の使いやすさ,働きやすさを左右する。本論では,図書館職員に家具についての理解が深まることを目的に,はじめににおいて,家具について分類や備えるべき性能等の基本的な事項をまとめるとともに,本体工事と家具工事の違い等について概説した。続いて,主要な家具である書架と閲覧用の机と椅子,カウンターについて,寸法や素材等,既製品から選択する際や特別設計の注文に際して注意すべき点を整理した。
著者
赤池 伸一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.358-363, 2019-08-01 (Released:2019-08-01)

科学技術基本計画は,科学技術基本法に基づき5年毎に策定される政府全体の科学技術政策の基本文書であり,現在,第5期科学技術基本計画の計画期間の中途にある。次期科学技術基本計画の策定に向け,政府内外での検討が始まりつつある。本稿では,科学技術政策の枠組みとして,その対象と政策領域及び組織の構造を示すとともに,戦前からの科学技術行政体制の歴史を概観する。また,科学技術を巡る歴史的背景を踏まえ,科学技術会議の基本答申,科学技術政策大綱,各期の科学技術基本計画等の特徴を示す。さらに,次期基本計画の策定に向けて,科学技術政策における今後の課題を展望する。
著者
古崎 晃司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.406-412, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)

Webで公開したデータを相互につなげる(リンクする)ことにより,データのWebを形成しようとするLinked Dataの取り組みは,2010年ごろから盛んに進められている。中でもオープンなLinked DataであるLinked Open Data(LOD)は,さまざまな分野で構築されており,その有効活用が期待される。本稿では外部のLODとつながったデータを作成することで,複数のデータを統合して活用する方法について解説する。特にLinked Data用のクエリ言語SPARQLを用いて,複数のデータセットを横断して検索する統合クエリ(Federated Query)の基本的な使い方を紹介する。
著者
緑川 信之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.238-243, 2007-05-01 (Released:2017-05-09)
参考文献数
9

フォークソノミーという用語はフォーク(folkまたはfolks)とタクソノミー(taxonomy)の合成語である。Wikipediaによれば,フォークソノミーは,インターネット上での情報検索の方法論であり,協同的かつ自由に付与されるタブで構成されている。このダグによって,ウェブページやオンライン上の写真,ウェブリンクなどのコンテンツがカテゴリ分けされる。本稿では,フォークソノミーに関するいくつかの論文・記事を分析し,フォークソノミーの新奇性がどこにあるのかを明らかにした。
著者
鈴木 みどり
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.388-395, 1998-07-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
15

メディア・リテラシーとは何かについて, 理論と実践の両面から概観する。多様な領域で行われてきたメディア研究を3つの流れに整理して振り返ると, それらの流れの接近と交差が顕著になる1980年代に, メディア・リテラシー研究という独自の研究領域が形成されてきたことがわかる。本稿では, このような理論的位置づけを行う一方で, メディア・リテラシー研究の基本的枠組みについて述べる。さらに, メディア・リテラシーの実践として, 学校教育, 市民講座, メディアによる取り組み, パブリック・アクセス活動, の4側面からその展開を概観する。
著者
ハント ゲ-リ-・A 松林 正己
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.584-594, 1997
参考文献数
36
被引用文献数
2

多くの興味深い資源共有ネットワークがアメリカ合衆国では興っている。なかでも最も先進的なネットワークはオハイオリンク・プロジェクトである。本稿ではオハイオリンクの特筆すべき特徴を述べた。このプロジェクトはオハイオ州の単科大学と総合大学54校の図書館が, 2000万冊以上の書誌所蔵オンライン目録に接続し, 直接利用者主導の貸し出し, 拡大しつつある参考調査用フルテキスト・データベース, 電子論文供給, 州規模コンソーシアム・ライセンスによる電子雑誌へのアクセスが含まれている。組織問題 (システム・アーキテクチャー, スタッフ配置, 管理と財務) については, オハイオリンク強化計画にもとずいて, すなわち利用者インターフェース・ソフトウエアの次世代開発と音声, 映像及び数値データをもつデジタル・ファイル調整のためのシステム拡張を含めた議論をした。合衆国内にあるそのほかの州及び地域資源共有の状況に論及した。本稿ではこの分散システムの長所と短所を評価し要約し, これは合衆国内の公高等教育の分散構造を写し出している。州規模ネットワークは特定地域の学生と教員の実際的な需要に対して良質の情報源を提供する効果的な応答である。しかしながら全米情報インフラストラクチャーにおけるいくつかの主要問題には取り組めていない。北米図書館界の海外資料調達の凋落はその最たるものである。
著者
北川 道成
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.296-301, 2015-07-01 (Released:2017-04-13)

化学分野の出願では重要な技術用語である化学物質はキーワード検索可能な化学物質名や分子式だけでなく分子構造を図で表した構造式で表現される事がある。また化学物質名の表記は揺れがみられる。化学分野の特許調査では他の分野で行う同義語・上位概念・特許分類使用による網羅性確保の他に,化学物質が索引されたデータベースと全文系データベースを併用することで網羅性を上げる事が可能である。一方でこれらデータベースへの収録基準,索引基準を理解し適切な検索を行わないと十分な網羅性を確保できない。本稿では特に侵害予防調査についてプレサーチインタビュー・データベース選択・予備検索・検索式作成・結果出力までのプロセス毎に現状と課題を記載した。
著者
米陀 正英 井脇 俊 小泉 真理 今野 奈津子 高野 奈菜子 原田 雅子 山根 深一 宮城島 匡章
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.282-288, 2016-06-01 (Released:2016-06-01)

企業の経営課題解決において,企業内部で解決が困難な場合に外部の第三者が依頼を受けて問題を解決するケースがある。その場合,社外の立場ならではの既存概念に縛られない提案力が求められる。そこで我々は,社外コンサルタントとしてドラッグストアA社から依頼を受けた想定で,データベースと分析ツール等を利用して情報収集および課題整理を行い,課題解決を支援することを試みた。実施範囲は,①調査・情報収集,②課題の明確化,③仮説構築,④仮説検証,⑤解決策提案までとした。現状分析のための情報をデータベースから収集することで,業界,自社,競合の状況が整理される。次に分析ツールにより財務や経営戦略の観点から企業課題を明確化し,公開情報のみに基づくシナリオ分析で課題解決策を提案した。
著者
高橋 昭治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.398-403, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)

エルゼビアは140年以上の歴史を持つ世界最大の学術出版社であるが,近年は情報分析企業の性格を強めてきている。その変化のきっかけは,2004年の抄録・引用文献データベースScopusの発表であった。当初Scopusは研究者と図書館員のための文献検索ツールとして設計されたが,高精度の著者・所属機関プロファイルの実装により,研究力分析のためにも使用されるようになった。本稿では,研究力分析ツールSciValをはじめとする製品・技術面での進展,研究評価者などへの利用者の拡大,そして今後期待される研究支援のデジタル・トランスフォーメーションへの貢献の展望について解説する。
著者
長谷川 豊祐
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.28-33, 1999-01-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Digital Object Identifier(デジタルオブジェクト識別子:DOI)は, URLの一過性を克服し, どのような微細なレベルでもデジタル媒体を識別し, 提供することを意図している.DOIシステムは, 情報仲介業者を経由せず顧客と出版社を直結し, 電子商取引を促進し, 著作権管理システムを実現する。DOIシステムは, ILLからオンラインカタログまで, 図書館サービスへの大きな効果を約束する。