著者
千 錫烈
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.113-120, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

図書館は不特定多数が利用する施設であり安心安全でなければならない。しかし,近年の図書館では迷惑行為や犯罪行為を行う「問題利用者」が問題となっている。本稿では①リスクマネジメントやリスクアセスメントの策定によるリスク対応の可視化,②利用規則による抑止,③図書館職員のホスピタリティを向上させるサービスコードの3つの方策を示して問題利用者の抑止策について検討していく。さらには実際に問題行動が起きた際の対応策として,遭遇する確率が高い怒った利用者を事例として挙げ,6つの対応スキルについて紹介する。
著者
熊崎 由衣 南山 泰之 池内 有為 上島 邦彦 岡山 将也 山田 一作
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.59-64, 2020 (Released:2020-06-19)

研究データの流通・利用の促進に当たっては、データに明確な利用条件が付与されることが重要である。研究データ利活用協議会・研究データライセンス小委員会では、研究データの利用条件を分かりやすく表示、または確認することを目的として「研究データの公開・利用条件指定ガイドライン」を策定し公開した。ここでは策定の背景や検討内容、ガイドラインの概要について紹介する。
著者
小林 眞代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.506-510, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

シュプリンガー・ネイチャーは,オープンアクセス出版のパイオニアとして,ジャーナルや書籍でのオープンアクセス出版の促進,また研究データ共有を促進する新たな出版サービスの開発を進めているほか,オープンサイエンスの動向を把握するための研究調査を継続的に行っている。2016年には,データ・シェアリングのための共通指針である「標準データポリシー」を作成したほか,2017年にはデータ・シェアリングに関する研究者の意識調査に基づいたホワイトペーパーを公開した。本稿では,これらの活動を行う「オープンリサーチ部門」の最近の取り組みと,日本での活動について紹介する。
著者
島田 たかし
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.167-170, 1999-04-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
4

利用者から質問があった時, その利用者(と情報要求)を知るために行うのがレファレンス・インタビューである。レファレンス・インタビューの技術とは, 広義な意味では資料を探し出す能力のことである。この部分は「経験」が大きな比重を占める。一方, 実際に行う「インタビューの方法」の部分はマニュアル化しやすい。これが狭義の意味でのレファレンス・インタビューの「技術」である。本稿では, どこまでが「技術」であり, どこからが「経験」であるかを, 事例を参考に考察する。
著者
吉武 博通
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.400-404, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)

大学は改革を求められ続け,近年その圧力はさらに高まる傾向にあるが,それによって大学はより良い方向に向かっているのだろうか。このような問題意識に基づき,改革の実効性を高めるために,組織設計と人事管理の2つの要素が重要であることを指摘した上で,大学職員の育成の在り方を考える上での視点を提起する。さらに,大学において専門性の高い職員がより一層求められるようになりつつある中で,専門的職員の先駆けともいえる図書館職員の育成はどうあるべきか,その課題について検討する。
著者
中西 秀彦 多賀 敏 山本 剛 服部 直
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
5

現在、学術誌の XML オンラインジャーナル化は急速に進展している。その展開は Scientific, Technical, and Medical、いわゆる STM が中心であり、和文人文系学術誌のオンラインジャーナル公開に際しては紙の誌面をそのまま画像もしくは PDF で公開するという方法が主流であった。しかし長く日本のオンラインジャーナルの一翼であった NII-ELS が事業を終了したことにより、多くの NII-ELS 掲載誌が J-STAGE へ移行した。J-STAGE は PDF 掲載も可能とは言え、書誌事項については HTML 公開されており XML 作成が重要である。 本発表では「印度學佛教學研究」という純粋な人文系の学術誌を J-STAGE に掲載した経緯及び技術的諸課題とその克服について報告する。現段階では全文 HTML 公開ではなく、PDF および、書誌 XML のみであるが、注と縦書きにおいて従来のその STM ジャーナルと異なる技術的課題があった。今後の人文系誌の全文 XML に向けてさらに記述規則などを整備する必要がある。
著者
田中 政司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.296-300, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)

日本語の電子資料の少なさについてはすでに様々な場所で議論がなされている。著者は「ジャパンナレッジ」の運営に携わって今年で18年を迎えるが,その間,海外の図書館,日本資料に関わる方々から,資料の充実について切実な要望を受けてきた。一方で,国内の出版社とのやり取りを通じ,ビジネス的な側面から電子化が思うように進まない実態も目の当たりにしてきた。ちょうど両者の間で,妥協点を見出すような仕事をしてきたのではないかと感じている。そうした立場から,海外における日本語電子資料の課題と展望を述べさせていただきたい。
著者
植村 八潮
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.2-7, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)

電子書籍の登場と普及が,印刷技術と物流,物販を基本構造とした産業構造に変革を迫っていることは疑いもない。同時に出版物が担ってきた重要な役割である学術情報の流通や文化的蓄積にも影響を与え,ひいては図書館のあり方や制度設計も変わらざるを得ない。本稿の目的は,普及が進まないと指摘される電子書籍の現状について解説し,さらに図書館サービスに及ぼす影響や求められる対応について検討することにある。電子書籍がビジネス競争の単なる道具として利用されるのではなく,学術と文化の発展に寄与するためにどのような方策をとるべきか。現状分析により課題を明らかにし,その上で目指すべきあり方を検討する。
著者
古崎 晃司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.633-638, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

LOD(Linked Open Data)はWeb上のオープンデータを相互に“つなげる”仕組みとして広く普及し,多くのLODが公開されている。LODの普及には様々なコミュニティ活動が関わっており,国内ではデータを公開する研究分野ごとのコミュニティに加え,分野によらないLOD技術普及のための活動も行われている。本解説ではその一例として,筆者が携わってきたLODハッカソン関西を中心として,コミュニティ活動を通して生まれたLODの活用事例を,アイデア・データ・技術の“つながり”という観点から紹介する。
著者
安藤 俊幸 桐山 勉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.83-88, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
6

ニューラルネットワークを利用した機械学習を用いて効率的な特許調査方法を検討した。特に先行技術調査を念頭に特許検索競技大会2016の化学・医薬分野の問2(ガスバリア性包装用フィルム)を例題として選択しデータセットを作成して前半ではスクリーニング過程の再現率曲線に影響を与える要因を実験的に検討した。 後半はニューラルネットワークの機械学習を用いて単語の分散表現で文書の固定長ベクトルが得られるdoc2vecの学習モデルを使用して公報の類似度を計算する手法を検討した。その結果単語の出現頻度と出現順序を考慮したモデルPV-DMを使用すると非常によい類似度計算ができることがわかった。公報の類似度計算精度が向上すると特許調査において効率的なスクリーニングが可能となる。 本報で検討した分散表現ベクトル(doc2vecの出力ベクトル)を使用して各特許公報間の関係の可視化もできるので精度の高い動向調査に応用可能である。特許調査の精度を上げるには前処理の形態素解析による「分かち書き」が重要になる。
著者
大向 一輝
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.495-500, 2010
参考文献数
11
被引用文献数
1

本論文では,学術情報サービスのメタデータ活用事例として,国立情報学研究所が運営する論文情報ナビゲータCiNiiにおいて,メタデータがどのように設計・提供されているかについて述べる。CiNiiのメタデータはウェブAPIとしての側面を重視し,OpenSearchやRDFなどのウェブ標準に基づいて設計されている。また,論文情報における著者名典拠が存在しない問題については,機械処理とユーザ参加による著者IDの自動生成を行っている。これらのメタデータは外部サービスとの連携や書誌情報の再利用のために用いられており,メタデータへのアクセスはCiNiiの総アクセス数の30%〜40%を記録するに至っている。
著者
藤田 壮介
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.434-439, 2012
参考文献数
17

国立国会図書館憲政資科室は,「憲政資料」「日本占領関係資料」「日系移民関係資料」という三つのコレクションを有している。それらの資料の収集を始めた時期,きっかけはそれぞれ異なるが,現在まで継続的に収集・整理を進めてきている。所蔵資料の中身を一括して検索する手段は整っていないが,徐々に目録のweb公開数を増やすなど,憲政資料室外からの検索手段の充実にもつとめている。検索のための目録だけでなく,それぞれの資料群の概要もできる限り公開し,直接当室に来なくとも参考情報を得られるようにもしている。今後は,検索手段のさらなる充実と,資料のデジタル公開が課題となっている。
著者
松崎 裕子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.422-427, 2012
参考文献数
31

組織アーカイブズとしてのビジネス(企業)アーカイブズは「多様な価値を持つ経営資産」である。現在国内外では,組織内アーカイブズの価値を高め,それを通じた親組織の経営の質の向上に寄与するアーカイブズの活用が進められつつある。一方,記録管理(レコードマネジメント)とアーカイブズを結び付けるレコードキーピングの未確立,組織内アーカイブズへのアクセスに関する相反する考え方の存在,アーカイブズ理念とそれに連動する評価選別に関する考え方の未整理,アーカイブズ担当者(アーキビスト)が業務に精通し付加価値を生み出すための教育研修のあり方,海外現地法人のアーカイブズ管理の困難さ,といった課題が存在している。
著者
木村 弘志
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.28-33, 2024-01-01 (Released:2024-01-01)

本稿では,特に研究支援の分野において,大学経営人材が担うことが期待されている業務と,そのキャリア・育成について考察した。大学経営人材が担う研究支援業務の範囲は,URAの中核業務以外にもわたり,より幅広くなっている。そのような業務を遂行するうえでは,「多様な専門性が必要となる業務を遂行する能力」「研究そのものや,研究に関連する諸活動の理解」が必要となる。そして,そのような能力を身につけるためのキャリア・育成について,事務職員出身者と教育職員出身者という出自の異なる2つのルートに分けて考察し,それぞれがキャリア内で身につけうる能力と,各種教育プログラムで補うべき能力について論じた。