著者
藤本 大介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.142-150, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)
参考文献数
40

近年,外界の情報を取得し,自身の制御を行う自動運転車などの開発・普及が進んでいる.このような機器においては,外界の情報を取得するセンサを用いる.その際,機器はセンサからの情報を信頼し動作するため,攻撃者によりセンサの情報が改ざんや妨害されるとその動作を不正に制御される可能性がある.このように外界の情報を取得し制御するような機器においてはセンサからのデータのセキュリティを考える必要がある.本稿ではセンサが外界から情報を取得する過程におけるセキュリティについて概観する.
著者
土屋 利雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.181-193, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
16

現在,我が国で深海探査といえば海洋研究開発機構(JAMSTEC)のほぼ独壇場である.1971年に発足したJAMSTECは,80年代に入るまで所有船舶もなく政府からの深海探査のための予算も多くは望めなかった.そのような状況で我々は,日本で初めて米国製の深海探査ソーナーシステムを導入し,それらの技術を習得しながら運用を行ってきた.更に本稿では,国産化された様々なソーナーを使って成功した第二次大戦中の沈没船や墜落したロケットエンジンを発見した手法についても解説する.
著者
杉山 昭彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.51-60, 2012-07-01 (Released:2012-07-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

最近25 年にわたるオーディオ符号化技術の発展,特にMPEG オーディオ標準化の過程を概観し,筆者が開発や標準化に関与した技術を紹介する.最初に,MPEG オーディオ標準化の歴史をたどり,オーディオ符号化の発展を概観する.次に,MPEG-2 AAC の標準化以降,情報圧縮の基本フレームワークとして確立されたMPEG-2/-4 AAC の符号化処理を説明する.続いて,筆者が技術開発や標準化に深く関与した技術について,その内容を紹介する.最後に,冗長性削減の観点から,オーディオ符号化技術発展の流れを概観し,今後の展望を述べる.
著者
芳賀 高洋
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.205-216, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
20

本稿は,2020年度,COVID-19パンデミックの対応として,教育関係者だけではなく,世間一般からもかつてない大きな注目を集めた「教育の情報化」,特に「オンライン教育」における著作権取扱いに関して詳しく解説し,今後の課題を述べる.なお,著作権取扱いに関しては2020年1月に「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」が発表した「改正著作権法第35条 運用指針策定に関する論点整理」に基づき解説する.
著者
不破 泰 北辻 佳憲 酒井 清一郎 松永 彰 大河 亮介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.200-209, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
10

山岳登山ブームの中,遭難者の増加が問題になっている.このことを背景に,我々は登山者見守りシステムを開発している.このシステムは,登山者の位置ログを作成し,このログから遭難の発生を自動的に判定し,安全・迅速に救助することを目的としている.そして,通信システムとして山全体をカバーするLPWA と,特定の遭難者の状況を高精細映像等で把握する5G を組み合わせて採用している.実際に中央アルプスにおいて,2018 年7 月からLPWA の実証実験を行い,更に2019 年10 月には5G 総合実証(評価実験)を行った.本稿では,主にこの5G の評価実験について述べ,5G の有用性とカバレージについて論じる.
著者
阪井 和男
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.266-287, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
参考文献数
81

多重知能理論の登場と現在までの普及の現状を振り返り,教育への応用の事例を紹介する.特に,大学教育への適用を念頭に,最近話題になっているポートフォリオ評価やアクティブラーニングへの適用について論じる.そして,大学の正課外教育の活動として実践され始めたエクスターンシップにおけるアンケート分析から,事前・事後の回答の変化に焦点を当てた多重知能理論に基づく分析が有効であることを示し,この変化を説明する場のモデルを提案し場のパラメータを推定する.なお,場のパラメータの妥当性についても論じる.最後に,エクスターンシップの参加学生は集団全体としてはチクセントミハイ(M. Csikszentmihályi)のフロー状態へ向かっていることを定量的に示す.
著者
香田 徹
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_16-4_36, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
101

CDMA は信号の時間・周波数の2軸に加えて+1,−1 の2値の拡散符号という第3の独立軸を設けることでTDMA, FDMA に代わり多重化を達成する第3の多元接続方式である.“ディジタル通信”でアナログ量が関与するのは,雑音の混入が不可避な,ヒトとかかわる入出力部分と通信路の前後に限定され,これらの部分で信号処理は重要な役割を果たす.本論文ではHeisenberg の不確定原理,シャノンの標本化定理,2WT 定理等の通信の基本原理に立ち戻り, 拡散符号の代数的対確率的生成法,i.i.d. 対マルコフ符号, ナイキスト条件の要否, 直交波形対擬似直交波形,Gabor 空間の方形排反分割対重畳分割等の対比の観点からガウス振幅の搬送波及びカオスで生成された拡散符号によるCDMA の有用性を論じる.
著者
KIM ChangKyun JUNG Eun-Gu LEE Dong Hoon JUNG Chang-Ho HAN Daewan
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.35-41, 2013-01-01
参考文献数
13

The cryptographic algorithm called INCrypt32 is a MAC algorithm to authenticate participants, RFID cards and readers, in HID Global's iCLASS systems. HID's iCLASS cards are widely used contactless smart cards for physical access control. Although INCrypt32 is a heart of the security of HID's iCLASS systems, its security has not been evaluated yet since the specification has not been open to public. In this paper, we reveal the specification of INCrypt32 by reverse-engineering iCLASS cards and investigate the security of INCrypt32 with respect to the cryptographic sense. This result is the first work to describe the details of INCrypt32 and the possibility of a secret key (64-bit) recovery in our attack environments. 2<sup>42</sup> MAC queries are required in the real environment using secure communication protocols. But the required number of MAC queries decreases to 2<sup>18</sup> if MAC quires for chosen messages with arbitrary length can be requested.
著者
Serizawa Koichi Tomimoto Kazuma Miyashita Masayuki Yamaguchi Ryo
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE Communications Express
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.184-189, 2019
被引用文献数
6

<p>5th generation mobile communications system (5G) is being actively researched and developed. We focus on "Ultra-Reliable and Low-Latency Communications", with the goal of V2V communications in platooning; a highly anticipated function for autonomous driving. V2V direct communications play a very important role in realizing platooning. Studies of V2V direct communications in platooning have found spectrum spreading in excess of the maximum Doppler frequency which depends on frequency and moving speed. This studies the characteristics and phenomena unique to platooning; we find that the direct wave basically has no Doppler shift. However, we show that Doppler shift of up of twice the maximum Doppler frequency is observed although at a weak level, and we clarify the communication environment by various experiments.</p>
著者
高橋 応明
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.7, pp.7_51-7_58, 2008-11-25 (Released:2011-06-03)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

近年のRFID(Radio Frequency Identification)システムの急速な普及には目覚ましいものがある.使用されているアンテナは,システム全体の中で最も設計が難しいといっても過言ではない.これはアンテナの設計パラメータが,形状,材質,ICとのインピーダンス整合,通信エリアや各種規制等の遵守等々と非常に多岐にわたるためである.RFIDシステム(以下RFID)には使用する周波数帯がいくつか用意されており,13.56MHz帯とUHF帯(860~960MHz),2.45GHz帯等では,動作原理が異なるため,使用するアンテナの種類が異なる.また,RFIDタグを貼り付ける物質(金属や高誘電体等)によっても,アンテナ特性が大きく変化する.本論文では,RFIDタグ用アンテナの設計について述べる.
著者
坊農 真弓 吉川 雄一郎 石黒 浩 平田 オリザ
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.326-335, 2014

人間の「社会性」とは何か.この問いに対し,ロボット・アンドロイド演劇プロジェクトは一つの答えを示してくれる可能性がある.本解説記事では,まず本プロジェクトの経緯と背景を説明する(2.).次に,ロボット・アンドロイド演劇をエスノグラフィ及び会話分析することの意味を,演出場面に実際の起こったやりとりの事例分析に基づいて明らかにする(3.).続いて,ロボット・アンドロイド演劇のロボット工学・認知科学における意味を,制作の実態と世界公演に対する評価などから議論する(4.).最後に,ロボット・アンドロイド演劇の演劇としての意味を,社会におけるこの試みの位置付けを明らかにすることから考察する(5.).
著者
酒井 五雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.2, pp.2_55-2_61, 2007-08-25 (Released:2011-06-03)
参考文献数
5

Bluetoothは2.4GHz帯域を使用する「パーソナルエリアネットワーク」(後述)のための近距離無線規格で,1998年4月に1Mbit/sの伝送速度をもつ基本仕様が発表された.本論文ではBluetoothのハードウェア,ソフトウェアの基本構成及び動作を説明し,「だれでも手軽に使うことを目指した無線規格」としての観点から,無線LANとの競合回避,接続時間の短縮及び伝送速度高速化というこれまでの仕様更新の要点に関して述べた後,将来に向けたBluetoothの動向を紹介する.