著者
上田 良二
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.345-349, 1961-05-05
著者
長島 順清
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.171-179, 2005-03-05
参考文献数
10
被引用文献数
1

素粒子物理学の100年を日本の著名な科学者の業績と思考に重点を置いて述べる.1935年からの最初の四半世紀は, 先駆者仁科および理論の3巨頭湯川・朝永・坂田が日本を先導した.標準理論が形成される1960-70年代には, 随所に南部のアイデアが光る.次に日本が高エネルギー実験分野で世界の3極になるまでの経過を追い, 最後に, KEKB/Belleグループによる小林・益川理論の検証と, 小柴に始まるニュートリノ物理学の興隆で締めくくる.
著者
高見 頴郎 桑原 邦郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.899-904, 1976-11-05

差分法-もっと一般に数値解法-というと, 解析的な方法ではがたのつかない場合の切札としての実用面だけがともすれば強調されがちである. しかし, 差分法を使って考えることは, 単なる実用とは別に, 偏微分方程式あるいはそれが記述している物理現象の本質を理解する上で大きな助けになる. また, 差分法は, 素朴なるがゆえに "人見知りしない" 性格によって, 線形問題, 非線形問題を問わずきわめて広い活躍の舞台をもっている. このような点に注意しながら, 差分法の手順, 適用する際の問題点とその処理法, 理論的な裏づけなどについて, 簡単な数値実験の例を挙げて説明していく.
著者
山口 哲
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.822-826, 2006-11-05

AdS/CFT対応は重力理論と場の量子論の対応である.これを1/2BPSセクターに限った場合,非常に深い解析が可能である.この場合,場の理論はフェルミ粒子の系に帰着され,その状態は相平面上の「液滴」で表される.これに対し,AdS側の重力理論の解として,この液滴と1対1に対応する解がLin,Lunin,Maldacenaにより構成された.これにより,超重力理論の1/2BPSセクターがフェルミ粒子の系で記述されることが非常に確からしくなってきた.
著者
堀内 昶 池田 清美
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.836-844, 1983-11-05

原子核のクラスター模型は, はじめは殻模型を補完するものとして, 最近では広い質量数及びエネルギー領域に適用しうるものとして用いられ, 軽い核の構造とその動的性質を記述するに不可欠な模型の一つとなっている. クラスター模型は"原子核内で核子が局所的に強く相関しあう部分的小集団"であるクラスターを単位とし, そのクラスターの集合体で取扱う模型である. それ故クラスター相関が強く現れる際には, クラスター間相対運動が原子核の運動様式の基本となるとする立場の模型である. この意味で, 殻模型とは立脚点が質的に異なる模型である. この解説は, 原子核の分子的 (クラスター) 構造の我国を中心とする研究について概説し, 近年活発となって来ている周辺研究分野との結びつきについて紹介するものである.
著者
村井 忠之 祖父江 義明
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.886-895, 1980-11-05

銀河系の回りを大・小マジェラン雲という双子の小銀河が公転している. 公転しながら二つのマジェラン雲は中性水素ガスの長い尾(マジェラニック・ストリーム)を引きずっている. 銀河系の強い重力摂動に耐えて, この双子銀河がはなればなれにならず生きのてきたのはなぜだろうか. 観測される両雲の運動データをもとに, 銀河系と大・小マジェラン雲の三体問題とダイナミックスを考慮し, さらにマジェラニック・ストリームを再現するような数値シミュレーションを通して, 過去100億年にわたるマジェラン雲の軌道を推定する. このダイナミックスは, 銀河系をとりまく巨大質量ハロー(光学的に見える銀河のまわりを球状にとりまく暗黒の物質で, 普通に考えられている銀河の質量より一桁大きい)の存否, 宇宙のミッシング・マス(missing mass; 観測にどうしてもかからないが, 確かにある筈の謎の質量)の問題に鍵を与えてくれるかも知れない.