著者
松下 修門
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2009-03-23

新制・課程博士
著者
堀江 真行
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度は (1) 南極コケ坊主および (2) 国内の淡水湖におけるウイルス叢の解析、さらに (3) 得られたウイルス配列を用いた内在性ウイルス様配列の検出を行った。(1) 昨年度に加え、新たに1つのコケ坊主よりDNAを抽出し、ショットガンメタゲノムによるウイルス探索を行った。その結果、少なくとも40の新規のDNAウイルス様配列を検出した。一方コケ坊主からのRNAの核酸抽出では十分な核酸量が得られず、RNAウイルスの探索を行うことはできなかった。(2) 国内の淡水湖におけるRNAウイルスの探索も行った。ウイルスに特徴的な2本鎖RNAを特異的に検出するFLDS法を用いて、国内淡水湖のRNAウイルスの探索を行ったところ、少なくとも9つの新規のRNAウイルス様配列を検出した。検出されたウイルスはビルナウイルスなど、すべて二本鎖RNAウイルスであった。(3)これまでに得られたウイルスの配列および、近年に他の研究グループから報告された新規のウイルスの配列を用いて、真核生物ゲノムに存在するウイルス様配列(内在性ウイルス様配列:EVE)の探索を行った。その結果、様々な生物のゲノムからこれまでに報告されていない多数の新規のEVEを発見した。例えばヒトゲノムにおけるボルナウイルス様EVEだけでも既知のEVEの3倍の内在性ボルナウイルス様配列を検出した。これらの結果から「新規ウイルスの発見は新規内在性ウイルス様配列の発見につながる」という本研究の仮説を実証することができた。本研究によって得られた知見は現代および過去のウイルスの多様性の理解に有用である。
著者
山口 典子
出版者
京都大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03897508)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.28-56, 1982-03-30
著者
家森 俊彦 MORI James Jiro 大志方 直人 神田 径
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

下層大気の気圧変動が重力音波モートで上空に伝搬し、電離層高度で反射され発生する約3分-4分周期の共鳴振動の存在が推測されている。当研究では、日食時の総合的観測から、重力音波共鳴の特性とそれが電離層や固体地球におよぼす効果を定量的に解明することを目的とした。微気圧観測システムをトカラ列島(諏訪瀬島、中之島)、桜島、および屋久島の京都大学防災研究所の関係施設4ケ所、沖縄・琉球大学瀬底実験所、および奄美大島北高等学校、上海近郊2ケ所の計8ケ所に皆既日食前に設置、観測を開始した。諏訪瀬島、中之島、および沖縄にはフラックスゲート磁力計、諏訪瀬島および中之島にはGPS受信機も設置した。また、沖縄および阿蘇火山研究センターにはHFドップラー観測用アンテナおよび受信装置を設置した。上海近郊で得られた微気圧観測データおよびHF-Doppler観測データには、明瞭な音波共鳴周期に対応するスヘクトルビークが検出された。また、上海近郊の地磁気観測所で得られた磁場観測データにも音波共鳴に対応する周期にピークが見られた。ただし、地上の微気圧データに見られたピークは基本共鳴周期(fundamental made=約265秒)であるのに対し、電離層高度の震動を見ていると考えられるHF-Doppler観測データや地磁気観測データには、第一高調波(first overtone=約225秒)にピークが現れた。これは、微気圧震動が、電離層高度での電磁気的震動と比較して、局在化しているためか、あるいは振幅の高度変化と電離周電気伝導度の高度変化との位置関係によるものではないかと推測される。トカラ諸島や沖縄、屋久島等で行った観測では、上記共鳴周期付近にスヘクトルピークが現れる傾向が見られたが、必ずしも明瞭ではなかった。また、広帯域地震計のデータには、皆既口食に対応すると考えられる振動は検出できなかった。
著者
豊原 治彦 前川 真吾
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、ディスカスの親魚の粘液に含まれる仔魚期の生残を優位にする哺育因子を探索する目的で、RNA-seqによるディスカス粘液中遺伝子の網羅的発現解析を行った。また、哺育因子と思われる物質についてディスカス粘液中のウエスタンブロット解析及び仔魚の消化管の免疫染色を行った。その結果、哺育期のディスカス粘液中で免疫系の遺伝子群、特に免疫グロブリンを構成する遺伝子が誘導されていることが分かった。また、仔魚が親魚の粘液由来の免疫グロブリンを摂餌していることが示唆された。RNA-seqにより哺育期と非哺育期のそれぞれの粘液で発現している遺伝子を比較した結果、非哺育期に比べ哺育期に発現が抑制される遺伝子数は12であるのに対し、誘導される遺伝子数は160と多く、ディスカスの親魚は仔魚の育成のため複数のタンパク質の合成を促進していることが示唆された。また各遺伝子の発現パターンをもとに行ったクラスター解析では、Breed 4個体、Non-Breed2個体がそれぞれ同グループになることを期待したが、結果としてNon-Breed1とNon-Breed2及びBreed3とBreed4が同グループに、Breed1とBreed2が他4個体の外縁のグループに分類された。Breed1,2とBreed3,4が異なるグループに分類された原因として、粘液採取時の仔魚の孵化後日数の違いが考えられる。Breed3,4がともに仔魚の孵化後5日目の時期に採取しているのに対し、Breed1,2はそれぞれ仔魚の孵化後8,13日目の時期に採取したものである。哺育期のディスカスは仔魚の孵化後の経過日数にあわせ粘液中のイオン含量等を変化させるという報告があり、Rディスカスは仔魚の成長段階にあわせ異なる遺伝子の発現を誘導させることで粘液中のタンパク質組成等を変化させていると考えられる。
著者
山田 淳平
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2018

文博第764号
著者
長谷川 光一 ペラ F マーチン カーン マイケル ウー ジュン
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ヒト多能性幹細胞(ES細胞やiPS細胞)は、特定の培養条件下で、多能性を保ったまま無限に増殖させること(自己複製)や、人体の全ての細胞種を作り出すことが可能である。このため、細胞移植治療や創薬、疾患研究への利用が期待されている。本研究では、大量の細胞が必要となるこれらの応用利用を安全に安価で行うために、自己複製のメカニズムを解明し、化合物で制御することで合成培養システムの開発を行った。その結果、3種類の化合物を用いることで、従来より安価で安定した合成培地を開発し、この培地を用いた培養システムの開発に成功した。本システムによって多能性幹細胞を利用した再生医療が加速されるものと期待される。
著者
西本 希呼
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、言語研究の立場から、無文字社会における地域社会固有の"数学的概念"を、オーストロネシア語圏を中心に現地調査を行い、記述・分析することである。現時点では、マダガスカル、インドネシア、仏領ポリネシア、イースター島が提案者の主な現地調査の対象としている。2012年8月より約5ヶ月間、米国ハワイ大学マノア校言語学科に客員研究員として滞在し、当該専門分野の研究者との議論を通じて研鑽を積んだ。昨年度の仏領ポリネシアで行った現地調査で得た資料を整理し、成果の一部を、2012年6月インドネシアで開催された国際オーストロネシア言語学会で発表した。国際オーストロネシア言語学会では、当該分野で世界最先端を行く研究者が世界各国から集結し、学術的ネットワークの構築や情報交換の面でも大変有意義であった。マダガスカル語Tandroy方言の植物利用、色彩語彙、昔のお金の数え方等をまとめ、論文としてまとめた。また、ルルツ語(仏領ポリネシア・オーストラル諸島)に関しては、数の範疇の諸相について、研究ノートをまとめた。2013年3月に京都大学にて、海外から2名の研究者を招聘し、国際研究集会(International Meeting on Austronesian Languages and Cultures : Communication Between Linguists and Ecologists)を企画し、盛況に終わった。主催者として、予稿集の作成、パンフレットの作成、当日の司会進行、口頭発表を行った。本国際研究集会の主催経験は、若手研究者として大変学ぶところの多い良い体験であった。