著者
辻井 和一郎
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1960

博士論文
著者
玉田 芳史 相沢 伸広 上田 知亮 河原 祐馬 木村 幹 鈴木 絢女 滝田 豪 中西 嘉宏 日下 渉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)が世界を席巻している。SDGsが掲げる目標は首肯できるものばかりである。しかし、SDGsの目標群を冷静に眺めると、開発にとって重要な目標の欠落が分かる。その1つが政治の民主化である。途上国の非民主的な指導者が、国際社会に向かって、SDGs推進を謳う例が少なくない。SDGsを錦の御旗とすれば、民主化への外圧を和らげることができるからではないのか。SDGsは権威主義体制の温存に寄与するという副作用があるのではないか。本研究はこの問いに実証的に答えようとする。
著者
大日向 耕作
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

食欲調節におけるプロスタグランジン(PG)類の役割を明らかにするため、飢餓状態における視床下部PG合成酵素の発現量の変化を測定し、リポカリン型PGD2合成酵素の発現量が上昇することを見出した。PGD2がDP1受容体を介して摂食促進作用を示すとともに、DP1受容体を阻害することにより摂食量、体重、脂肪量が著しく低下することから、PGD2はエネルギー不足状態で活性化される新しい摂食促進因子であり、食欲調節に重要な役割を演じていることがわかった。一方、PGD2の構造異性体であるPGE2はEP4受容体を介して摂食抑制作用を示すが、angiotensin AT2アゴニストのnovokininが、本経路を活性化する経口投与で有効な摂食抑制ペプチドであることを明らかにした。また、中枢神経系にも存在するangiotensin IIがAT2受容体の下流でPGE2-EP4経路を活性化し、摂食抑制作用を示すことも明らかにした。菜種タンパク質由来の摂食抑制ペプチドArg-Ile-TyrがCCK分泌能を有することをSTC-1細胞を用いて明らかにした。また、本ペプチドは動脈弛緩作用ならびに血圧降下作用を有するが、動脈弛緩作用がコレシストキニン(CCK)放出を介することを明らかにした。これはCCK自身が動脈弛緩・血圧降下作用を有することを示唆する重要な実験結果である。なお、大豆タンパク質由来のグレリンアゴニストペプチドを探索したが、新規ペプチドの同定には至っていない。現在検討中である。
著者
南 一成
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

睡眠・覚醒の調節にはアセチルコリンが重要である。アセチルコリンを放出するコリン作動性ニューロンはREM(Rapid Eye Movement)睡眠時に強く活動することから、アセチルコリンはREM睡眠の調節に関わっていると考えられている。また、パーキンソン病やアルツハイマー病においてはREM睡眠の減少が見られ、同時にコリン作動性ニューロンの病変も見られることが知られている。したがって、これらの病気について、アセチルコリン活性の低下によるREM睡眠の減少が重要である可能性が考えられる。そこで本研究では、睡眠調節に関わると考えられるmAchRのうち、mAchR1〜5それぞれのサブタイプの遺伝子欠損マウスについて、睡眠の各ステージ、特にREM睡眠をモニターしながら障害させる実験系を開発した。マウスの脳波と筋電図を計測しながらリアルタイムでコンピュータにより解析し、吸気中の二酸化炭素濃度を自由にコントロールすることで睡眠の各ステージを障害させることに成功した。この実験系を用いて、mAchRの遺伝子欠損マウスの睡眠、特にREM睡眠の変化を解析する。また、アセチルコリンは睡眠だけでなく、概日リズムにも関わっている。概日リズムは光刺激とそれに伴う視交差上核の活動によってコントロールされているが、そこでアセチルコリンが重要な役割を担っていると言われている。したがって、アセチルコリン受容体の概日リズムの影響を調べるため、マウスの概日リズムを解析するための行動実験系、体温測定の実験系を作製した。この実験系を用いてこれまでに、プロスタグランジンE2(PDE2)が末梢の概日リズムを変化させる作用があることを見出している。これからさらに、アセチルコリン受容体の遺伝子欠損マウスについて解析する予定である。
著者
蓬茨 霊運
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1968

博士論文
著者
大野 徹
出版者
京都大学
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.534-565, 1971-03

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
本庶 佑
出版者
京都大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
1982

リンパ球分化過程において、抗原認識物質である抗体とT細胞抗原受容体(TCR)とは遺伝子の再構成によって著しく多様性を増巾する。我々は、抗体遺伝子の多様性発現機構を解析するために、【◯!1】マウスおよびヒトの抗体遺伝子のコスミッドクローンを単離し、その解析を行なった。この結果、マウス、ヒトおよび類人猿の【C_H】遺伝子群のほぼ全貌を明らかにした。さらに、ヒト【C_H】遺伝子の主要なものを単離し、その一部については全構造を明らかにした。次に【◯!2】抗体遺伝子の再構成にかかわる酵素系の解析を行ない、マウスおよびニワトリ組織よりJ領域を特異的に切断するendonuclease-Jを単離し、その性質を調べた。【◯!3】クラススイッチ組換えに関して、遺伝子の欠失を伴なう前の中間段階として、多数の【C_H】遺伝子を含んだ長い転写産物のできるモデルを提唱し、これを支持する結果を多数のヒト白血病細胞のDNA解析から得た、【◯!4】TCR遺伝子の再構成に関して、抗体遺伝子と基本的に同じでありながら、体細胞突然変異が非常にまれであるという興味ある知見を得た。また、ヒトTCRのJ遺伝子が逆位による再構成を行なうことを見出した。TおよびB細胞間の情報伝達に関与する免疫系制御物質として、リンフォカインとその受容体が重要な役割をする。【◯!5】我々は、T細胞増殖因子受容体(IL-2)のcDNAとその遺伝子の構造を明らかにした。IL-2RcDNAは、Tリンパ球に導入した場合にのみ活性ある受容体を発現した。このことから、T細胞にはIL-2Rの機能に不可欠な別の因子(corverterと命名)が存在することを推測した。【◯!6】さらに初めて、B細胞増殖因子(IL-4)のcDNAの単離とその構造決定を行なった。IL-4はT細胞や肥満細胞にも増殖因子活性を持つことが明らかとなった。
著者
古澤 拓郎 石田 貴文 塚原 高広 ピタカカ フリーダ ガブリエル スペンサー
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

海面上昇は各地で生活や生業に影響を及ぼしていた。ソロモン諸島の技術的・財政的事情により、調査期間内に移住計画が実行に移されることはなかったために、移住された後にどのような影響がでるかまでを明らかにすることはできなかった。一方、移住計画がなく、隔絶された地域で、人口過密、海面上昇、資源不足などを抱える社会ではメンタルヘルスの問題を抱えていることが明らかになった。都市部での生活習慣病リスクを抑えるととももに、このような地域でのメンタルヘルスを解消することも今後の公衆衛生上の課題である。そして海面上昇対策においては、これらの健康問題を解消する適応策が立案される必要がある。
著者
坂田 完三 CHO Jeong-Yong CHO Jeong-Young
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

台湾烏龍茶(東方美人)は、他の烏龍茶と異なりウンカに吸汁されたチャ葉を摘採して作られ、独特な香気を生み出す。こでまでに東方美人茶の独特な香気成分として2,6-dimethylocta-3,7-diene-2,6-diol(diol)とhotrienolが検出された。本研究では、東方美人茶の原料であるウンカ加害チャ葉でdiolとhotrienolの生合成に関与する酵素遺伝子を明らかにすることを目指した。ウンカ加害チャ葉でモノテルペン酸化酵素活性を有するシトクロムP450がlinaloolを酸化してdiolやhotrienolを生成すると考えられ、様々なP450遺伝子の探索を行った。昨年度、烏龍茶製造工程中のチャ葉についてdifferential screening分析の結果から得られた P450ホモログ(TOBA)はモノテルペン水酸化に関与するP450と比較的高い相同性を示し、diol及びhotrienolの生合成に関与する可能性が高いと考えられた。そこで、ウンカ加害チャ葉で3_-RACEおよび5_-RACEを行い、TOBAの全長cDNAを単離した。RT-PCRによりウンカ無加害チャ葉に比べてウンカ加害チャ葉でTOBAの転写量は増加していた。一方、他の植物でモノテルペン水酸化に関与することが知られているP450遺伝子から作成したプライマーを用いて、RT-PCRに行い、ウンカ加害新鮮チャ葉からTOBAと異なる8種のP450ホモログ遺伝子を見出した。これらのP450ホモログについてRT-PCRを行った結果、3種のP450(候補P450)の発現が無加害チャ葉に比べてウンカ加害チャ葉で増加していた。また、見出した8種のうち3種の候補P450はモノテルペン水酸化に関与するP450と比較的高い相同性を示し、diolおよびhotrienolの生合成に関与する可能性が高いと考えられた。現在、候補P450遺伝子の全長cDNAを取得するため、ウンカ加害チャ葉を用いて、cDNA libraryを構築し、候補P450の全長cDNAの単離を行っている。さらに、TOBAと候補P450遺伝子を昆虫細胞あるいは大腸菌を用いて大量発現し、得られた酵素のlinaloolに対する酸化反応を検討する。
著者
岡本 卓
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本列島には,3種4系統のトカゲ属(Plestiodon,トカゲ科,爬虫綱)が側所的に分布し,4箇所に接触帯を持つ.これらのうち未記載種だったものを新種として記載し,八丈島における外来・在来個体群の分布と交雑の状況を明らかにした.また,分子系統解析により各系統が約600~200万年前に分岐したと推定された.そして,新たに開発したマイクロサテライトマーカーと既知の遺伝子マーカーを使用した集団遺伝学的解析により,交雑帯によって遺伝構造が異なることが示された.これは,交雑帯の形成に関わる歴史の違いを反映した生殖隔離機構・強度の違いによるものと推測される.
著者
芦名 定道
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、拡張された自然神学を、科学技術と東アジアという二つの文脈で具体化するという研究目的にむけて進められてきた。まず、科学技術の文脈。特に、原子力、脳科学、AI、遺伝子工学といった現代において問題化しつつある諸問題について、宗教思想(特にキリスト教思想)との接点が人間理解(人格概念)にある点が明らかになった。科学技術の神学においては倫理学から文明論までがその射程に入れられねばならない。次に、東アジアの文脈。その成果は、『東アジア・キリスト教研究とその射程』としてまとめられた。無教会キリスト教、特に矢内原忠雄の原子力論において、科学技術と東アジアの二つの文脈を結びつける可能性が示された。
著者
芦名 定道 TRONU MONTANE CARLA
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-11-07

トロヌ・カルラ外国人特別研究員との共同研究では、2018年度も外国人特別研究員によって日本国内と海外において活発な研究発表がなされたが、受入研究者の側の研究を含めるならば、次の4点に、研究成果をまとめることができる。(1)キリシタン時代のキリスト教を担ったイエズス会について、その宣教方針である「適応主義」を、キリスト教思想における「適応の原理」として取り出すことができ、また諸修道会における日本人殉教者の顕彰の在り方についてもその実態の比較検討がなされた。(2)キリシタン研究を東アジアのキリスト教研究へと方法論的に関連付けること、また、その中に東アジアにおけるカトリック諸修道会の動向を結びつけることが試みられた。これは重要な成果である。(3)キリシタン殉教を、江戸幕府の宗教政策を経て、明治から現代までのキリスト教思想史につなぐことがなされた。これは、以下に述べるパネル発表で論じられ、論文化された。(4)現代の記憶論・証言論を参照しつつ、現代キリスト教思想における殉教論の可能性を考察した。これについても、次に述べるパネル発表で論じられ、論文化された。共同研究はさまざまな成果を生みだしたが、最大の成果は、次のパネル発表とその論文化である。パネル発表は、日本宗教学会・第77回学術大会(大谷大学、9月9日)において、「日本におけるキリシタン殉教者の歴史的記憶」として実施された。このパネルは、外国人特別研究員と受入研究者のほかに、淺野淳博氏(新約聖書学者)と狭間芳樹氏(キリシタン研究者)を加え、4名の発表者によって、構成された。このパネルでは、新約聖書研究者を加えることによって、日本のキリシタン殉教がキリスト教史(特に古代の殉教史)に実証的に関連付けられることができたが、今後の研究では、こうした時代を越えた比較研究の実施が重要であることが明らかになった。
著者
直木 孝次郎
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1969

論文博第43号
著者
金子 周司
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、危険ドラッグとして我が国で蔓延した合成カンナビノイドの一種5F-ADBはカンナビノイドCB1受容体に対する強い親和性を示す一方、パニックなどの精神神経症状、頻脈などの心血管系症状を起こす。本研究では5F-ADB がドパミン・セロトニン神経機構に与える影響について検討した。急性単離中脳冠状切片において5F-ADB(1μM) はドパミン神経の自発発火頻度を有意に増加させCB1受容体遮断薬の存在下ではその増加作用は消失した。一方で縫線核セロトニン神経の自発発火頻度に関しては5F-ADBは影響を与えなかった。以上より5F-ADBはセロトニン神経活動に対して直接的な影響を示さないことが示唆された。
著者
上久保 靖彦 足立 壯一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本申請では下記A・Bプロジェクトを連動させて ○p53非依存性細胞死・細胞周期停止誘導を可能とする抗腫瘍コンセンサス配列の探索とそのターゲッティング法の提唱 ○MTp53難治性造血器悪性腫瘍及び固形腫瘍(膵臓癌・食道癌・トリプルネガティブ乳癌(TNBC)等制圧を目指す新規スーパーエンハンサー制御システムの確立を目的とした。A:人工転写因子ライブラリーを用いた抗腫瘍コンセンサスの同定 B:スーパーコンピュータシミュレーションによる創薬計算・スーパーエンハンサー制御低分子(FactorZ制御低分子)の同定とp53非依存性細胞増殖抑制メカニズムの解明A:ライブラリーより、MTp53難治性造血器悪性腫瘍(AML)と固形腫瘍(膵癌、大腸癌、MRT、Her2胃癌(Sci Rep. 2018)、悪性グリオブラストーマ、髄芽腫、神経芽細胞腫、CRPC-DNPC:外科的治療不応性AR-・NE-DN 前立腺癌)を効果的に抑制するいくつかのHIT-PI-Pを抽出し、そのバリデーションを行った。各種癌腫HIT-PI-P投与下でのアポトーシスアレイの施行し、各種癌腫で新規の腫瘍アキシスを同定した(Cancer Sci. 2018)。AMLのMRD(微少残存病変)を消失させるために、骨髄環境を制御可能なPI-Pを同定し、さらにそのメカニズムを解明した(Blood Adv. 2018)。B: 膵臓癌・大腸癌・トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、Complex karyotype AML、骨肉腫、MRTにてスーパーエンハンサー制御低分子HITをそれぞれ複数個抽出した。またHIT低分子がターゲットする遺伝子を各々の癌腫より同定した。A,Bで対象とした癌腫におけるTCGC症例GSE解析を行い、悪性化のメカニズムに重要なOncogenic Profilingを完成した。
著者
元 ナミ
出版者
京都大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、国の公文書管理の乱れが社会問題として浮上している中、共同体の根幹をなす地方自治体においても行政の公文書及び地域のアーカイブズ資料の管理が諸外国に比べて遅れている。本研究では、主に地方自治体におけるアーカイブズの管理と保存、公開体制の整備を促進するために活用できる国内外の類似な外部資金制度を分析・検討し、アーカイブズの保存と利用事業に適用可能な外部資金制度のモデルを提示する。
著者
西嶋 一欽 丸山 敬 林 泰一 高橋 徹 友清 衣利子 伊藤 耕介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、台風に先回りして容易に設置可能な風圧計測デバイスを開発することで、台風通過時に建築物が密集した都市部に位置する低層建築物に作用する風圧を実測する。さらに、実測した建築物に対して、その周辺の遮蔽物の有無を段階的に変化させた風洞実験を実施し、実測値と比較することで、都市部に位置する低層建築物に作用する風圧特性を決定づける要因を類型化し、周辺環境の何をどこまで再現すれば十分な精度で風圧を評価できるかを明らかにする。得られた知見を用いれば、都市のどこに大きな風圧が作用し得るかを明らかにすることが可能になり、都市型強風災害リスク分析の高度化や耐風補強に関する意思決定に貢献できる。