著者
渡邊 慎一 石井 仁
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.65-68, 2015-11-16

本研究は、被験者実験により掛け布団のないテーブル炬燵の温熱的快適性を明らかにすることを目的とする。被験者は12名の男子大学生とした。室温を5℃・10℃・15℃・20℃の4段階に設定した。テーブル炬燵の設定は「強」とした。実験の結果、従来の炬燵の方がテーブル炬燵よりも暖かい環境を提供し、快適感も高いことが示された。室温15℃程度以上で、掛け布団のないテーブル炬燵により温熱的に受け入れられる環境となることが示された。これよりも低温環境ではエアコン等とテーブル炬燵の併用が望ましい。
著者
都築 和代 佐古井 智紀 水野 一枝
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.225-228, 2006-12-01

季節における温熱環境が日常生活での睡眠や体温調節反応に及ぼす影響を調べる目的で研究を行った。それに先立ち,睡眠実験で睡眠ポリグラフ計測により得られた睡眠段階データと同時に測定したアクチグラフデータを比較した。被験者は8人の高齢男性であった。アクチグラフとポリグラフ測定には高い相関関係が得られたが,アクチグラフによる睡眠効率はポリグラフよりも高い値になった。冬期,夏期,秋期の3季節について睡眠と体温調節反応を13人の被験者について調べた。その結果,夜間の寝室の温度は夏期で有意に高く,湿度は冬期で有意に低かった。就寝中の掛け布団の枚数と寝衣のクロー値は夏期で冬期・秋期に比べて有意に少なかった。睡眠に関しては,就寝時刻に差はみられなかったが,起床時刻は夏期で冬期よりも早かった。その結果,夏期の就床時間は冬期や秋期よりも短い傾向にあった。夏期では冬期,秋期よりも有意に入眠潜時,覚醒時間が延長し,睡眠効率が低下していた。
著者
石坂 悟 堀 雅宏
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.307-310, 2006-12-01

生活環境中で化学物質を用いないで有害昆虫を捕獲できる装置を開発した。27W誘引ランプを用い、実験によって最適な温熱トラップの構造と加熱温度(12.5W、内壁温度80℃)を決定した。この装置を種々の環壌での捕獲実験に適用して、捕獲昆虫の同定および従来の捕獲装置との捕獲数の比較を行い、有効性を確認した。
著者
福永 聖子 清 竣喜 冨永 美穂子 庄山 茂子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.137-138, 2014-11-20

中華の料理番組のテロップの文字色を変えた8動画について、女子学生を対象に印象や味覚にどのような違いがみられるか調査した。テロップの背景色は白に統一し、文字色は刺激純度100%の7種の有彩色(赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青、青紫)と無彩色(黒)を用いた。8動画の印象について因子分析を行った結果、「雰囲気」、「可読性」、「自然志向」、「料理との調和」の4因子が抽出された。「雰囲気」は、黄赤、赤の暖色系の評価が高く、「可読性」は、背景色と文字色の輝度差の大きい緑、黒、青の評価が高かった。「自然志向」は、緑の評価が高く、「料理との調和」は、赤の評価が高かった。赤は日本人が中国を連想する色であり、材料の緑に調和する色でもある。
著者
栞原 浩平 谷 地誠 窪田 英樹 濱田 靖弘 中村 真人 長野 克則
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.229-232, 2012-11-21

100%綿Tシャツ,100%ポリエステルTシャツ,40%ポリエステル/60%綿混紡ズボンの近赤外光および可視光の透過率と反射率を屋外日射環境下にて実測した。近赤外光域(800~2800nm)の透過率・反射率はIRフィルターで日射計を覆うことにより測定した。3つの生地の平均近赤外光反射率は0.61,平均近赤外光透過率は0.28,平均近赤外光吸収率は0.11であり,近赤外光の透過率,反射率,吸収率は色に依存せず素材によりほぼ一定値を取ることが示された。衣服,皮膚表面の正味の近赤外光,可視光吸収率を考慮した日射作用温度の式を提案した。
著者
長田 泰公
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.19-24, 1998-12

女子短大生6名を対象に,日常生活24時間での騒音暴露を10分ごとに測定させた。平均の騒音レべル(等価騒音レべル,L_<Aeq>)は68dBであった。また行動別の騒音レべルを330名の学生での生活時間調査データに応用したところ,1日平均レべルは67dBであった。このレべルはUSEPAによる騒音性難聴防止基準の70dBに近い。毎日の暴露レべルのうち最も高かったのは通学,それも電車による通学時間に得られ,75dBを越えていた。地下鉄や乗換え駅での騒音レべルは地上線のそれより高く,また反響やアナウンスによって前者のほうが喧しいことがわかった。電車の中でへッドホンで音楽を聴いているときのレべルは90-100dBであった。労働基準からみると,このレべルの許容時間は1日2時間以下である。
著者
渡邊 慎一 石井 仁 長野 和雄
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.107-110, 2014-11-20

本研究は、日傘使用時の温熱環境に総合有効温度ETUを適用し、その算出法を示した。実測データを用いて日向および3種の日傘使用時のETUを算出した。その結果、日向のETUは49.9℃であることを示した。ラミネート加工(黒)日傘のETUが最も低く44.9℃であり、日向のETUとの差は-5.0℃であった。また、通常加工(黒)日傘の日向との温度差は-3.7℃、通常加工(白)が-2.6℃であった。
著者
後藤 泰則 飯野 由香利 八坂 剛史
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.233-236, 2014-11-20

JFA公認ロングパイル人工芝ピッチが160箇所、公認以外を含めると全国に相当数ある。人工芝では、夏期における表面温度上昇による熱中症の問題が懸念される。熱中症対策として体温の上昇を抑える方法が研究されているが、サッカーの公式戦におけるハーフタイムは10〜15分間とされており、短時間で効果的に身体冷却を行う必要がある。本研究では、人工芝上の暑熱環境における試合中の屋外環境と生理的負担度、およびハーフタイムにおける16人の選手の脇の下・股関節・下腿部・足裏冷却前後の体重・心拍数・乳酸値等を測定した。その結果、人工芝の表面温度が高いことによる足裏への伝熱の影響や、脚部への輻射熱による負担度が大きいことが分かった。冷却方法の中でアイスパックによる身体冷却が血中乳酸値の低下においては最も効果的であることを示した。また、水道水による下腿部冷却も新たな簡易的な冷却方法として活用できる可能性を示唆した。
著者
輿水 ヒカル 栃原 裕士 東 賢一 池田 耕一
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.283-286, 2006-12-01

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境およびその勤務者による評価を明らかにするために、実測調査およびアンケート調査を行った。調査は2005年9月中旬に行われ、調査対象は、東京都千代田区にあるオフィスビルであった。建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い、併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった。その結果は、今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下で、湿度や平均放射温度等も比較的良好であった。勤務者の着衣状況は、ほぼ全員が軽装で、男性はジャケット着用者はおらず、ネクタイ着用率は1害1幅渡であった。勤務者による温熱環境の評価は、女性はおおむね満足度が高いが、男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった。着衣や代謝量、冷房に対する体質の違い等に起因すると考えられる。
著者
中村 泰人
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.25-30, 1999-12
参考文献数
5

COP3の議定書に定められた二酸化炭素排出削減を達成するためには抜本的なライフスタイルの変更が不可欠である。しかし,それを待たずして,地球環境問題に遠因のある産業構造の変革に伴って,強制的なライフスタイルの変更が始まったとみられる。ライフスタイルの変更は強制されるのでなく,自律的で創造的であるべきだ。そのためには 』 ひの改革が必要である。自然との接触を取り戻し,生活の中に風土性を復活させることによって,みずからのライフスタイルの創出が可能となる。その具体化として,新しいサマータイムを提案した。これは従来のそれとは異なって,昼休み時間が2時間に倍増されている。昼休みの間に身体が日中の暑い外気に触れることを1〜2週間も続けると季節順化が形成され,室内の空調設定温度をこれまでより高く設定できる。労働時間が1時間延長するが,総合すると空調の消費エネルギーが減少し,二酸化炭素排出の削減につながる。
著者
近藤 恵美 藏澄 美仁 堀越 哲美
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.75-84, 2014-11

本研究は、暑熱環境における温度変化による体温調節負荷を与える顕著な温度差のある温熱環境を移動させる実験を通して、更年期女性と青年女性を比較検討し、更年期女性の生理的心理的反応の特性を明らかとすることを目的とした。実験は屋外と空調された室内を出入りすることを想定し、屋外想定気温35.0℃の前室から18.0、22.0、26.0、30.0℃の実験室へ移動させ、生理的心理的反応を測定した。結果として、更年期女性は青年女性に比べ、末梢部皮膚温の低下が小さいことが観察された。全身温冷感についても、更年期女性の感覚の鈍さが観察された。末梢部の温冷感は、末梢部皮膚温の変化量の大小に対応しており、更年期女性は末梢部皮膚温が青年女性に比べて変化量が小さいことから、末梢部温冷感の鈍さに影響していると考えられる。
著者
棚澤 一郎
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.2-8, 1996-06

本稿は,『伝熱学つまみ喰い』と題して本誌Vol.2, NO.1に掲載された基礎講座の第2回目である。第1回目の目次は,1. 温度・熱・伝熱,2. 伝熱の三つのモード,3. 熱伝導,4. 対流伝熱,5. 結び,であった。第2回目の本稿では,物質移動を伴う伝熱について解説している。物質移動は,高温環境下でのヒトの体温調節のメカニズムである発汗と関連して重要である。主な内容は,序論,濃度の定義,分圧と湿度,フイックの法則,対流物質伝達,物質伝達と熱伝達のアナロジーなどである。