著者
飯野 由香利 倉渕 隆 鶴田 久美子 野田 圭弘
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.53, pp.275-278, 2010-07-18

本研究では、都内の1小学校普通教室で冷房設備の設置前と設置後の温熱・空気環境と環境調節行為および児童の温冷感の相違を明らかにすることを目的として調査を行い、以下の知見を得た。1)冷房設備の設置により、暑熱期の室温28℃以上になると冷房と扇風機の併用が多くなり、窓扉開放率が約10%以下になることが多くなりCO_2濃度が1500ppmを超えることがある。2)室温が26℃以下までは設備を使用しなくても暑さをしのげ、27℃までは扇風機により耐えられるが、28℃以上では冷房が必要になり、室温が高くても冷房による相対湿度の低下や暑熱順応などにより耐えられる。
著者
野池 知枝美 飯野 由香利
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, 2016

1.研究の背景と目的<br><br> 住生活は生徒にとって身近なものであるが、日常生活において住環境を整えるのは主に家族であり、生徒は日頃あまり意識せずに生活を送っているのが現状である。そこで生徒の住生活への関心を高めさせ、家族との生活の中でも生徒が住環境を整えることができるように指導計画や指導方法の工夫を図りながら授業を進めた。具体的には、生徒間での「協働学習」や専門的な立場から科学的な視点に基づいた「講座」を実践し、家庭での追究活動を行った。<br><br>2.授業の内容<br><br>(1)住生活の学習における導入段階で、住まいの役割や働きを考える際に住生活への興味・関心を高め学習が進められるように、生徒間でのファシリテーションを実施した。グループ毎に住まいの役割や働きについて各自が付箋に記入した事項を分類した。さらに「健康に必要な物」、「過ごしやすさ」、「安全性」などの生活における快適な住まいの条件を考案し、ポスターを用いて発表した。<br><br>(2)考案した快適な住まいの条件の学習を基に、住まいの構造についてワークシートにまとめた。自分の家の見取り図を描き、自分の家にある空間や構造について見直し、快適な住生活を送る上で住まいに必要な基本的な構造や空間及び設備等を考えた。<br><br>(3)快適な住生活を送るために必要な基礎的な室内環境の整え方や家庭内の安全や災害への備えについて調べ学習を行い、ワークシートにまとめた。<br><br>(4)住生活における「涼しく・暖かく住まう」について、専門的な立場から科学的な視点に立ち、原理・原則を学ぶための体感型実験等を取り入れた「講座」を行った。生徒達は身体と周辺環境との科学的なかかわりを理解し、快適に住生活を送るための工夫の仕方を学んだ。「講座」の前後にアンケート調査を実施した。<br><br>(5)上記学習を通して、自分の家庭で快適に安全に住まうために実践できる「我が家の快適・安全プラン」の課題を2~3種類挙げて、ワークシート(計画表)を作成した。<br><br>(6)追究活動として、夏休みに家庭でワークシートに基づいて「我が家の快適・安全プラン」を実践した。実践後プランを評価し、家族からも実践の評価を得た。<br><br>(7)夏休み終了後の授業で、「我が家の快適・安全プラン」で実践したことを発表し合い、互いの実践内容を共有する「協働学習」を行った。なお、(4)と(6)以外の授業において、毎時間家庭科学習カードを用いて授業の振り返りと自己評価を行った。<br><br>3.結果<br><br>(1)家庭科学習カードにおける自己評価<br><br> 毎授業後に振り返りを記述することで、自身の学習の成果や次の学習に向けての課題を考えることができた。積極的に学習に取り組み、授業を通して知識や技術を習得でき、学習活動で創意・工夫することができた。生徒と家族の今後の生活での課題を見出し、生かそうとする傾向が見られた。<br><br>(2)「協働学習」における効果<br><br> 生徒間での「協働学習」を実施することで新たな視点を見出し、住生活に対し徐々に関心を持ちながら学習を進めていくことができた。実践内容を共有することで、生徒や家族の今後の生活の新たな課題や実践方法を見つけることができた。「協働学習」の有効性が示された。<br><br>(3)アンケート調査の結果<br><br>①住生活に関する情報源と興味及び住まい方の工夫<br><br> 約半数の生徒はテレビと家庭科の授業により住生活の知識を得ており、自身の生活と住生活との関連性を約83%の生徒が認めている。住生活への興味は約58%に留まっているものの、83%の生徒は「講座」前の学習からより快適な住まい方への関心を持っていた。<br><br>②「講座」の理解度と意識の変化<br><br>伝熱や気化熱の原理を学習して、人体と周辺環境との熱や水分のやりとりの仕組みについて70%以上の生徒が理解した。「講座」後に、住生活の学習が生活の向上にとても役に立つと思う生徒の割合が高くなった。住生活の学びは学習している現在や将来の快適な生活に生かすことができると74%以上の生徒が回答した。「講座」の実践を通して、生活を科学的にとらえることにより家庭実践に繋がることを確認できた。
著者
吉野 博 飯野 由香利 瀧澤 のりえ 岩下 剛 熊谷 一清 倉渕 隆 長澤 悟 永田 明寛 長谷川 麻子 村松 學
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.639, pp.643-650, 2009-05-30 (Released:2009-11-30)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

This study aims to clarify the actual installing conditions of heating, ventilating, and air-conditioning (HVAC) systems and their operations in public elementary schools based on 568 school data obtained from a nation wide investigation. Some results are shown as follows: 1) Insufficient thermal insulation and air tightness were provided in many school buildings in warm climate areas, 2) Heating systems were provided in almost all rooms but their installing conditions varied with respective areas, 3) Air-conditioning systems for cooling are on the increase in many areas, especially urban areas, and 4) Ventilating systems are not operated under optimum conditions because of inadequate management. We suggest that the building envelope systems should be improved and it is necessary to make guidelines and inform teachers of the essentials of maintenance for HVAC systems for efficient operation.
著者
後藤 泰則 飯野 由香利 八坂 剛史
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.233-236, 2014-11-20

JFA公認ロングパイル人工芝ピッチが160箇所、公認以外を含めると全国に相当数ある。人工芝では、夏期における表面温度上昇による熱中症の問題が懸念される。熱中症対策として体温の上昇を抑える方法が研究されているが、サッカーの公式戦におけるハーフタイムは10〜15分間とされており、短時間で効果的に身体冷却を行う必要がある。本研究では、人工芝上の暑熱環境における試合中の屋外環境と生理的負担度、およびハーフタイムにおける16人の選手の脇の下・股関節・下腿部・足裏冷却前後の体重・心拍数・乳酸値等を測定した。その結果、人工芝の表面温度が高いことによる足裏への伝熱の影響や、脚部への輻射熱による負担度が大きいことが分かった。冷却方法の中でアイスパックによる身体冷却が血中乳酸値の低下においては最も効果的であることを示した。また、水道水による下腿部冷却も新たな簡易的な冷却方法として活用できる可能性を示唆した。
著者
安中 哲夫 大場 正昭 飯野 秋成 飯野 由香利 下地 恒英 小寺 定典
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.225-228, 2006-07-09

本研究では、通風、空調風および扇風機風下における2人の被験者の温熱環境評価の特性を明らかにするとともに、新標準有効温度SET^*を通風などの非定常な環境下で使用するための修正指針を示すことを目的とする。温熱環境評価を検討した結果、以下の知見を得た。1)通風時における各温熱環境評価の変化範囲は広く変化回数も多いのに対して、空調風と扇風機風の場合には、評価尺度の変化範囲はほぼ変わらず変化回数も1回以下である。2)平均風速が各温熱環境評価に及ぼす影響は大きく、空調風時の温冷感は通風よりも涼しい側の評価を示す。平均風速0.5m/s未満と以上で快適感と気流感が大きく異なり、風速が速いほど快適側や気流を感じる側評価になる。空調風と扇風機風の風向が変動する場合には、不快側評価や気流を感じない側評価を示す傾向がある。3)平均風速が0.5m/s以上の通風における気流環境でのSET^*は修正する必要性があることや、SET^*が温冷感や快適感の変化と良く対応していないことを明らかにした。
著者
大場 正昭 倉渕 隆 飯野 秋成 後藤 伴延 飯野 由香利
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、ウインド・クオリティに基づいて適度な室内温熱環境を形成実現するために、平成18年度と19年度に風洞実験、実測及びマクロモデル解析を行い、以下の研究成果を得た。1.通風局所相似モデルと換気マクロモデルの連成プログラムの開発:換気回路網計算の換気マクロモデルにおいて、流入開口及び流出開口に通風局所相似モデルを適用した連成プログラムを開発した。流量係数を一定としたオリフィスモデルに比べて通風量の予測精度が向上した。2.自然通風の気流特性の解析:通風は不規則に変動し風速も比較的速く、0.1Hz以下の低周波成分や低波数の割合が多い気流であった。一方、空調風は通風と比較して規則的で低風速であり、0.1Hz以上の周波数領域におけるパワースペクトルの割合が多いことから比較的小さい渦が多い気流である。風向が変動すると、規則性が顕著になりエアコンのスイングの周期に相当する0.01〜0.1Hzの周波数領域のパワースペクトルの割合が卓越して多くなった。3.通風時の温熱環境評価の特性:風速0.5m/s未満の通風時における温冷感や快適感は、空調時よりやや暑い側や不快側に評価され、気流感も空調時より感じない側の評価になっており、空調時の乾湿感には多少乾燥側の評価が見られた。風速0.5m/s以上の通風時では空調時よりも快適側に評価された。4.熱赤外動画像処理による通風時の人体表面熱収支の可視化:通風環境下および空調環境下におけるサーマルマネキンと被験者の部位別の表面温度変動の特徴を熱赤外動画像解析により示した。特に赤外線放射カメラによる30Hz熱赤外動画像と超音波風速計による20Hzの気流変動との関係を解析する方法を提示した。
著者
飯野 秋成 大場 正昭 飯野 由香利 安中 哲夫 下地 恒英 小寺 定典
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.221-224, 2006-07-09

2005年の夏季に実験棟内で2人の被験者に、通風(平均風速0.5m/s未満と以上)、空調風(風向一定と変動)および扇風機風(風向一定と変動)の気流下において、温冷感、快適感および気流感に関して評価してもらった。本研究の目的は、これらの気流下における温熱環境評価の特性を明らかにすることである。本報では、これらの気流性状の特性について検討し、以下の知見を得た。1)通風は不規則に変動し風速も比較的速く、低周波成分が多く大きな渦が多い。2)空調風は規則的で低風速であり、高周波成分が多く、比較的小さい渦が多い。3)扇風機風は0.1〜1Hz周波数領域のパワースペクトルを最も多く含む気流で、3種類の気流の中で最も小さい渦を多く含む。風向が変動すると、エアコンや扇風機のスイングの周期に相当する周波数領域のパワースペクトルの割合が卓越する。