著者
滝口 清昭 伊藤 誠吾 河野 賢司 袖山 洋子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.9-22, 2011

サメが生餌の発する微弱な電界を検知する生体センサには,大きな謎がある.それは最新テクノロジーでも到底実現しえない超高感度を接地なしに実現していることである.我々はサメの電界検知器の構造にヒントを得て新しい素子の試作に成功した.またレーザ光等の光照射によって物質や生体の表面に準静電界の発生を見出し,それを用いた新しい可視化技術を開発した.これは表面だけではなく対象物内部の電気特性を可視化できるものである.
著者
古賀 義久 栗田 昌裕
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.215-217, 2003

過去のわれわれの研究により変動磁場や裸眼立体視訓練による視力改善効果が示された。その効果を別な集団で再検討し、両者を併用した際の長期効果を検討した。【方法】対象は栗田式視力回復法講習の成人受講者10名。1週間に一度ずつ10回集まって訓練を行った。奇数週は「3分間後頭部磁気照射」(以下、磁気照射)、偶数週は「裸眼3D視」(以下、3D訓練)を行い、訓練前後で視力を測定し、5週ずつの平均値をデータとして使用した。【結果】以下平均値で示す。左右裸眼視力は、磁気照射では0.40→0.51となり0.11増加(28%増加)、3D訓練では0.42→0.51となり0.09増加した(21%増加)。左右矯正視力は、磁気照射では1.04→1.23となり0.19増加(18%増加)、3D訓練では1.06→1.28となり0.22増加した(21%増加)。裸眼視力と矯正視力のいずれでも、前後差と前後比に関して磁気照射と3D訓練の間には有意差を見なかった。十週間の長期効果は以下の通り。両裸眼視力は0.18→0.66と改善(0.36増加)。倍率の平均値は2.36倍、平均値相互の倍率は2.18倍だった。両矯正視力は0.78→1.71と改善(0.92増加)。倍率の平均値は2.25倍で、平均値の倍率は2.19倍だった。【考察】磁気照射と3D訓練には即時視力改善効果があることと、両者の効果には有意差はないこととが再確認できた。両者を併用して10週間訓練すると、視力が長期的に改善することが示された。
著者
橋爪 秀一 河野 貴美子 小久保 秀之 山本 幹男 桂川 秀嗣 鎌田 明彦 渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.73-77, 2014

甘味料のストレス改善効果を、心理生理学指標である皮膚伝導水準(SCL)と心拍(HR)とを用いて評価することを試みた。10名の大学生が被験者として参加し、先ずは3分間の安静の後、5分間の内田クレペリン検査及び3分間の暗算により、ストレスを負荷した。その後、甘味料として砂糖、エリスリトール及びサッカリン、更にはコントロールとしての5%デンプンペーストを1分間で摂取した後、椅子に静かに開眼で座ることによる安静を10分間、更に閉眼での安静を3分間行った。RussellとLaniusの気分特性モデル(Russell and Lanius model of the affective quality)により解析した結果、砂糖のみが強いストレス改善効果を有することが明らかになった。これらの結果から、甘味にストレス改善効果があるのではなく、砂糖は砂糖自身にストレス改善効果があると考えられる。
著者
吉田 勝志 吉福 康郎 青木 孝志 足達 義則
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.563-569, 2002

気功の一種であるスワイショウが下肢筋群に及ぼす影響を重心動揺の計測によって調べた。被検者は、10分間のスワイショウを4回続けて実施した。スワイショウの実施により、どの被検者の重心動揺の軌跡長も顕著に増加した。その傾向は、2回目のスワイショウ実施後まで漸増し、その後安定した。スワイショウによる軌跡長の増加は安静直後に比べおよそ1.7〜1.8倍、重心動揺の面積の増加はおよそ1.9〜2.0倍であった。これらの結果と被検者の感想から、スワイショウはかなり強い負荷強度であり、特に下肢筋力の衰えた高齢者に対し良い運動負荷となること、その効果的な実施時間は約20分であることが明らかになった。
著者
根本 泰行
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, 2020

故・江本勝博士は、1999年に水の氷結結晶写真集『水からの伝言』を出版した。『水からの伝言』の真意は、水の結晶写真を通じて、一般の人々に「水は情報を記憶する」ということ、さらには「意識によって人は物質世界に影響を与えることができる」ということを伝えることにあった。従来科学の枠組みにおいては、「水の情報記憶」について、なかなか認められなかったために、「『水からの伝言』は非科学的である」との批判を受けてきたものの、『水からの伝言』は様々な言語に翻訳されて世界各国に伝わっていき、多くの一般の人々が結晶写真について知ることとなった。しかしながら、『水からの伝言』が世界中に広まっていったことに呼応するように、過去10年ほどの間に、世界のトップレベルの科学者たちから、「水は情報を記憶する」ということを示唆する―もしくは完全に証明する―証拠が提示されてきている。ルパート・シェルドレイク博士の「形態場」仮説によれば、「多くの人々が何らかの事柄について学習すると、その効果は、形態共鳴を通して、それらの人々と直接的な接触のない人々に対しても、広がっていく」と考えられる。『水からの伝言』を知ることによって多くの人々が水の結晶写真を認知したことにより、「水は情報を記憶する」という可能性が人類の「形態場」にアップロードされ、さらには「形態共鳴」を通じて、人類全体の意識に広まった。最新の水の科学の世界において、「水は情報を記憶する」ということが実験的に示唆もしくは証明されるまでに至った理由として、そのような作用が働いたのではないか。その可能性について、議論する。
著者
菅野 久信 白水 重憲 白水 鋭子 川俣 保美 堤 巌
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.208-214, 2002

マイナスイオンが生体に及ぼす効果の評価に着手した。超音波加湿によりマイナスイオンを発生させ、被験者の心拍・血圧変動、加速度脈波及び末梢血流量を測定した。被験者の交感神経活動が大きい場合には、その抑制により血管の緊張を緩和する効果がある事が示唆された。
著者
町 好雄 劉 超 呉 人照
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.200-208, 1997

小周天という気功は一見座禅のように見える。この功法は、気を督脈から任脈に回すというが、これは目で見ることは出来ない。この報告はそれの科学的な測定の結果について報告するものである。その結果、呼吸が大切な働きをしており、呼吸の吸気と呼気を利用して回していることが判った。順式の呼吸で吸気の最大時にアルファ波が後頭葉から前頭葉に接げて、気の回転が督脈から任脈を回る一回となっている。また、心拍数、心電図のR点のリズムや脈波の電位が気功前に比べて変化することも判った。
著者
劉 超 福田 健(劉 町 好雄
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.29-40, 2004
被引用文献数
14 189

外気功治療法は、中国の中医伝統治療法の一つである。流動大手印は、仏家の手印と道家の指訣から発展してきた治療行為の内の一つである。この気功法は、特に、手、指の活動における各姿勢の順番を組み合わせ、また、意識を心の感覚によって、心身統一させる外気治療法である。ここで流動大手印におけるいくつかの難病の治療結果(アトピー性皮膚炎、緑内障、糖尿病その他)を示し、また、流動大手印の考え方を紹介する。
著者
種市 孝
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.145-149, 2015-09-01 (Released:2018-10-03)
参考文献数
3

パラサイトフェルミオンモデルは、高次元宇宙内で考えられる物質粒子の新規な存在様式の提案である。このモデルを心身問題に適用する試みは、超常現象が高次元宇宙描像に基づく物理学の研究対象となり得ることを示している。
著者
木戸 眞美 佐藤 眞志
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.200-209, 2001-03-01 (Released:2019-04-30)
被引用文献数
1

気功やヒーリングの延長としてしばしば行われている遠隔治療^<1)>を科学計測により調べた。東京の気功師から仙台の受け手に気を送り、その時の受け手の変化を血流及び自律神経機能関連の情報が得られる単一矩形パルス法^<2)>と脳内酸素代謝を測る近赤外線分光法により計測した。結果は気功により「受け手」に日頃不調な部分の身体の動きや下腹部の陥没が起こり、光のイメージを見たり心身ともに充足を感じたなどの報告が得られた。そしてそれに伴う生体変化が計測された。
著者
内田 誠也 藏本 逸雄 菅野 久信
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.153-161, 1996

本研究では、ヒーリングした木の葉のコロナ放電写真(キルリアン写真)のパターンの変化を研究した。対照実験と施術実験70づつ行ない、32人の施術者について調べた。測定については、木の葉の放電パターンと重量の変化を計測した。その結果、施術実験および対照実験の木の葉の重量がともに減少した。しかし、放電量について、施術された側の木の葉の減少の抑制が観測された。このことは、施術者が木の葉に対しなんらかの影響与えたことを示し、このコロナ放電写真が施術の効果を検定する一つのツールとなりうることが示唆された。
著者
大門 正幸
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.66, 2016

日本における超心理学研究の先駆者であり、念写現象の発見者であると言われる福来友吉博士は、研究によって得られた知見や哲学的考察、自身の宗教的体験を通して、一種の仏教的世界観を構築するに至った。それによれば、我々が自我と呼ぶものは認識するための主体としての識性と、生きようと活動する主体であるところの命我に分かれる。また、識性は伸縮自在であり、身体の束縛から解き放たれる時には、その認識範囲は無限に拡大し、宇宙そのものと一体となるが、その拡大された識性(普遍平等の絶対識我)を認識するためには、身体に捕われたまま内観を行ったり、身体に捕われた状態で経験したことを基に哲学的思索に耽るだけでは不十分であり、命我の執着を脱することが必要であると説く。本発表では、このような福来博士の世界観について、ベルグソンやジェームズ、ブロードやハクスリィらが主張した脳濾過装値論と比較しながら、考察していきたい。
著者
岡本 聡
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, 2015

『伊勢物語』注釈において三十九段の二条后が亡くなる場面は正徹注において秘伝化されている。心敬は、これを「本覚の都」(空)と表現し宗祗以後の「五大」循環思想につながっている。ところが新注と言われる契注においては「常見」「断見」を否定する形でこれに独自の解釈を加えている。本発表ではこれを中心に「魂」の存続非存続について考察したい。
著者
OZAKI Manami
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.115-122, 2007-03-01

目的:本研究の日的は、宗教的伝統のあるS大学の学生と一般大学学生におけるスピリチュアリティーを比較し、意志の働き、内的な喜び、超越性、道徳性にどのような差があるか探索することである。その結果より、スピリチュアル・ヘルスとメンタルヘルスの構成概念を再考し、モデル構築をも目的とする。方法:心理的成熟度として表れるスピリチュアリティーの測定尺度であるSBAS-TEST(尾崎、2005)を、首都圏の一般大学生(N=287)とS大学生(N=107)とに試行し、総得点、各カテゴリー、因子ごとの単純加算得点を比較した。結果:S大学学生は、信念に基づいた行動、超越次元への気づき、倫理観、気遣い、スピリチュアリティーで、一般学生より有意に高得点を示した。しかしながら内面からあふれ出るスピリチュアルな喜びに関しては、一般学生と比較し低い傾向を示した。考察:S大学の宗教教育を背景とするスピリチュアリティーの側面は、超越的次元への気づきと、それに伴う道徳1生として表れた。しかし喜び得点が低いことから、それが必ずしも精神衛生の高さを意味しない可能性を示唆した。道徳性の高次への変容をスピリチュアル・ヘルスとして、適応中心のメンタルヘルスから区別することにより、スピリチュアリティーが、道徳性で記述できる可能性が示された。結論:メンタルヘルスとスピリチュアリティーの高さは必ずしも一致しない。高次の道徳性は、スピリチュアル・ヘルスのひとつの指標となりうる。
著者
飛谷 ユミ子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.99-106, 2013

筆者は、お母さん達に「根っこのはった子育て」を提唱している。それは子どもたちが20年後,大人に成長した時に世の中が決して明るいとは限らないからである。「根っこのはった子育て」,それは生きる強い力を身につける手助けをする事,言い換えると軟弱な大人ではなく、存在感のある子どもに育てることである。私たち人間は動物の一種であるため、動物の本能である母親の愛情(母性本能)によって、人間としての根っこを育てることが可能であると考えられる。本論文では、筆者の経験や今までの見地に基づき、母親に子供の成長期に合わせてどのように対応するのか,子どもと向き合うのかについて述べる。この人間としての根っこが育つことにより、結果として様々な高い能力や個性が育っていくと考えられる。
著者
伊藤正敏 SINGH Laxmi Narayan 山口 慶一郎 三宅 正泰 鄭 明茎 JEONG Myeong Gi
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.473-479, 2002
被引用文献数
1

ヨガにより、心と肉体の調和と癒合が果たされるとされるが、これがどのような状態なのか脳画像を介して理解することを試みた。8年以上のハタ・ヨガ経験者7人の協力を得て放射性ブドウ糖(FDG)を服用した後、1時間にわたって14の姿勢(Assannas)を順にとってもらった。ヨガ終了の後、PET装置により脳画像を採取し、形態的標準化処理を用いて脳活動の変化部位を検出した。結果は、運動野、運動連合野のふかつと前頭側頭葉、大脳辺縁系、中脳の活動の低下を観察した。前者は、ヨガ姿勢をとることに関係し、後者は、ヨガが辺縁脳と反射脳を沈静化することを意味している。MacLeanの階層脳仮説に従えば、瞑想は、辺縁脳を介して理性脳が反射脳を制御する過程と解釈できる。
著者
崔 舜翔 亀井 勉 小林 洋子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.82-83, 2013

【目的】薬物を一切使わずに、気功入静法、刺絡療法と催眠療法の三者の同時導入により、摂食障害の諸症状の著しい改善が見られた一症例を報告する。【材料と方法】35歳、女性、幼児ごろより周りからのいじめ、未成年時の家出により、14歳から現在まで21年間摂食障害を患う。主な症状として、食事に対する恐怖心と罪悪感、人との外食や出勤時の食事ができず、仕事から帰宅すると暴食し、その自覚もなく、過食と嘔吐を繰り返す。また、20年以上の不眠症、左腹部の鈍痛感、呼吸困難に陥いたりする。鍼灸、整体、マッサージ、催眠療法、瞑想等各種治療法を試みたが、改善は得られなかった。2012年11月から、当院で気功入静法、刺絡療法と催眠療法と3つの組合せ治療を受ける。気功入静法は、徐々に時間を初回の15分から最長150分まで延ばし、呼吸法を行わずに、「人天合一、物我両忘」の虚無境界に入る方法を指導した。気功入静法のみを通じて摂食障害の要因ときっかけを探ることにした。刺絡療法は3回目以降から12正経の井穴に、自宅で週2~3回程度に行うように指導した。催眠療法は、3回目から1回約20分行い、気功入静法を実践するにつれて健康意識が自然に高まるという一般的な暗示を入れた。【結果】治療開始から今までの2ヶ月間計9回の治療(1回治療3時間)を経って、現在嘔吐はまだ多少あるものの、食事量が過食時の三分の一まで減り、上記の諸症状すべてが消え、著しい改善が認められた。【考察及び結論】中医理論では、喜・怒・思・憂・悲・恐・驚などの感情が行き過ぎると、陰陽のバランスの崩れ、気血の運行の乱れと臓腑の機能失調をもたらし、疾病を起こすとされる。本人が5回の指導と治療によって気功入静法をマスターできたために、気功入静による心理的障害の除去と健康増進の効果が現れたと考えられる。また、全身12経絡への刺絡療法によって自律神経と体性神経の異常亢進を抑制でき、そして、催眠療法によって健康意識が高まった。この三つの療法の相乗効果によって行き過ぎた感情が調整されたことが陰陽と気血及び臓腑の機能の改善につながり、結果的に摂食障害の諸症状の顕著な改善につながったと考えられる。
著者
クリップナー スタンレイ 小久保 秀之
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.165-184, 2014

夢は睡眠中に物語の形で起こる一連のイメージである。ほとんどの夢の出来事は我々が現実と呼んでいる世界を反映しないが、それは普通、覚醒中の生活体験の象徴や比喩になっている。しかし、西洋科学の時空の理解を超えるような特異な夢もある。いわゆるテレパシー的、透視的、予知的、さらに過去生の夢がそういう例だろう。もしそういった夢が現実と一致するなら、正に特異な夢と考えるしかない。多くの非西洋・土着の文化はこの種の夢に寛容で、かつその世界観に容易に同化させた。少数ではあるが西洋科学者が特異な夢体験を調査しようと努力し、継続研究に値する十分挑戦的な結果が得られている。
著者
渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.35-36, 2012

近代科学では「科学性=客観性」であるが、客観性の要件である公共性・再現可能性ある観測とは、「誰でもよい誰かによる」観測に他ならない。誰でもよい誰かによる観測データで造られた科学的世界の中の人間とは、「誰でもよい誰か」であって、この私でもなければ、あなたでもない。故に「自己」と「他者」は、科学的宇宙像の中での変則事象として、しばしば驚愕を以って体験されざるを得ない。本講演では、著名な科学者らに見るそのような驚愕体験を分析し、意識の超難問として定義し、その解決のために、独我論的な自己-他者構造を世界の基本単位として世界像を構成し直すという、反コペルニクス的転回の道を唱える。
著者
高橋 基子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.53-60, 2016 (Released:2016-08-01)
参考文献数
6

近年、我が国では、中高年における精神疾患罹患者が急増しており、平成25年、厚生労働省は、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病とともに精神疾患を「5大疾病」として、医療計画に加え、対策の必要性について示している。また、「健康意識に関する調査」では、健康に関して不安があると答えた中高年(40~64歳)の人は、不安要因として、「体力の衰え」(50.4%)「ストレス・精神的疲れ」(38.9%)をあげている。このことから、体力に自信がない人でも参加しやすく、ストレス軽減できる軽運動の需要は高まっていると考えられる。ルーシーダットンとは、タイの伝統医療における運動法である。呼吸法と姿勢(ポーズ)をとるだけでできる簡便な健康法とされており、近年、日本国内においても、運動プログラムとして行われている。しかしながら、ルーシーダットンの運動効果についての研究は見当たらない。そこで、本研究は、中年女性におけるルーシーダットンの一過性の心理的効果について検討する事を目的とした。C市在住の中年女性10名を対象者とし、回答不備による1名を除外した9名分のデータを解析した。ルーシーダットンを90分間行った事前事後において、8つの質問に答えることで、「活性度」「安定度」「快適度」「覚醒度」の4項目について、心理状態を測定できる2次元気分尺度TDMS (Two Dimensional Mood Scale)を用い、測定した。事前事後の測定結果を比較検討したところ、対象者全員に、心の安定度と活性度、快適度において増加がみられた。この事から、中年女性におけるルーシーダットンは、心理的な快適度を増加させ、ストレスを軽減させる軽運動であると示唆された。