著者
熊ノ郷 直人
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

区分的定数経路による時間分割近似法を用いて、相空間Feynman経路積分が数学的に厳密な意味を持つ2つの一般的な汎関数のクラスを与えた。各々のクラスは和、積、平行移動、線形変換、汎関数微分に関して閉じている。さらに、使用する際に注意が必要であるが、その相空間経路積分において、積分や極限との順序交換、平行移動や直交変換における自然な性質、汎関数に関する部分積分、Hamilton型の準古典近似を証明した。
著者
青山 友里 椎塚 久雄
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
no.109, pp.139-142, 2010-10-30

People live in stress time with various problems: for examples, friendship, jobs and money. Therefore, it is thought that people should release the stress to keep the mind and body healthy, and to keep the life relaxed and wealthy. A robot therapy was utilized in this research to release the stress in such a daily life. In recent years, the robot therapy is attracting attention instead of animal therapy. The robot therapy is a psychotherapy by which a robot (such as pet robot and personal robot) is utilized to heal patient's mind. In this research, whether the effect of stress mitigation would be acquired by contact to a dinosaur type pet robot named "PLEO" or not will be investigated. First, shortened version of POMS on "Current feelings" is asked (about five minutes). Afterwards, subjects touch PLEO (about 15 minutes). Shortened version of POMS is asked again after touch and answer to the "Current feeling after begin to touch" and the questionnaire concerning PLEO (free description and selection type) are answered (about ten minutes). 77.4% of the subjects felt the pressures reduction by coming in touch with PLEO.
著者
数馬 広二 KAZUMA Koji
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

江戸時代上野国に存在した剣術流派の中で強い継承力(約600年)をもった馬庭念流(まにわねんりゅう)を中心に、上野国(新田郡・群馬郡・多胡郡・甘楽郡・緑埜郡の武蔵国国境地域、)武蔵国(比企郡・秩父郡)の調査を通し、苗字や刀を持った農民が、学んだ剣術流派継承の実態(門人階層、経営状況、修行内容)を明らかにすることを目的とした。(1)新田郡において1770年〜1781年まで、39村で門人が確認され、免許を受けた新田岩松家由緒・田部井源兵衛(たべいげんべえ)が道場を開き、妻沼聖天宮など3神社に額を奉納(1854年)していた。門人は利根川沿岸の河岸問屋、日光例幣使街道沿いの商人、名主などであった。(2)多胡郡において1685年〜1835年までの門人所在村(入門者数)は、36村で、通算入門者数は馬庭村(289名)、吉井町・宿(79名)多比良村(68名)などが多かった。また馬庭村・松本家は、江戸時代初期、門人を指導していたことがあった。(僧偽庵よりの書状)(3)上野国甘楽郡・緑埜郡の武蔵国との国境域で1685〜1864年までの門人所在村は12村で、入門者合計で多い村から挙げれば、鬼石村(28名)、神原村(19名)、三波川村(18名)保美村(16名)などが多かった。(4)門人は、名主家、中世武士の系譜をもつ名主家や河岸業で成功した商人などがあり、彼らは馬庭念流が行った奉納額活動などの事業をバックアップするだけの経済的力量を持っていた。(5)上野国には、天真甲源一刀流、真之真石川流、小野派一刀流なども存在した。これらの調査は今後の課題とする。
著者
岡田 理香
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学共通課程研究論叢 (ISSN:09167706)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.49-62, 2008

J. R. R. トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』は、出版当初あまりよく売れない本だった。しかし年を経ていくうちに多くの人に読まれるようになり、今ではこの作品を知らない人はほとんどいない。今世紀の映画化によって、『ロード・オブ・ザ・リング』は世界中にその名を知らしめることとなった。 トールキンの作品は様々な要素を豊かに含んでいる。彼はミドルアースの歴史を作り、独自の言語を作り、登場人物たちの背景についても詳細に渡るまで書いた。さらにトールキンは伝説や神話、そして聖書などの要素を取り入れてこの作品を書き上げた。トールキン自身はこの作品にアレゴリーはないと述べているが、作者がカトリックの信者であったことから、作品の中に聖書的意味を見出すことは可能なものと思われる。例えば善と悪の戦い、登場人物の成長などが挙げられる。登場人物たちはそれぞれが役割を持ちながら、時折キリト的な性質に変わる。ガンダルフは戦いの後に蘇生して白のガンダルフへと生まれ変わり、フロドは他の人が負うことのできない重荷 --指輪-- を負ってモルドールへ向かう。アルゴルンはリーダーであり王でもある。サムはフロドの良き理解者であり、助け手でもある。また、最後に登場人物が別世界へ旅立つという点においては、著者が別世界The Kingdom of Heavenへ憧れていたことを示している。 トールキンはこの作品に、聖書に見られる人の賜物やキリストの姿、そして永遠の命を表わした。作品の中に深い意味を探ることは、作品を味わうという点でも、知識の幅を広げる点でも有益である。意味を知ることでより奥深い鑑賞ができ、それを共有することで、知恵も知識も深まっていくものと思われる。
著者
中川 優樹 石田 貴正 平野 晃昭 中村 納
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
no.111, pp.85-90, 2011-10

This paper considers a highly accurate extracting method for facial area and facial parts from a natural background based on moving and color information. To obtain facial parts, Q-element in the YIQ color model and Quesi-chrome (Qc) in the modefied HSV color model are mainly used. In our previous method, more than 90% of extracting accracy of facial areas was obtained. However, there still remain problems to be solved such as extraction accuracy and the evaluation of the facial area extracted. In this system a robust extraction system is proposed. From the computer simulation using 14,179 images, 97.10% for facial area and using 3,562 images, 92.70% for the mouth and 89.80% for the eyes are correctly extracted, respectively.
著者
時田 拓明 高信 英明 二上 将直 堀江 数馬 鈴木 健司 三浦 宏文 稲田 喜信
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.7-11, 2009-04-30

In the natural world, various crowds exist. Ants form a procession in the process of looking for food. Fish defend themselves from foreign enemies by crowding them. It is called "Swarm Intelligence" when a living thing takes a simple action to crowd in a unit and to do a complex and ordered action. For many controls of robots, Swarm Intelligence is advantageous. In this laboratory, a Swarm Intelligent robot has been researched. Two operations (approach and repulsion) have been achieved amongst three basic operations needed to achieve Swarm Intelligence. Concurrent motion insufficient in Swarm Intelligence to date was achieved with a geomagnetic sensor and communication system in this research. Moreover, to make the best use of the advantages of Swarm Intelligence, the function to deal was added to the breakdown. In addition, a geographical feature search system using a communication system is porposed.
著者
梅津 紀雄
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学共通課程研究論叢 (ISSN:09167706)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.17-33, 2008

1. ロシア・アヴァンギャルドと音楽との関係をどのように考えるべきか はじめに 20 世紀初頭から1930 年代初頭にかけての,ロシア革命前後の前衛的芸術運動,ロシア・アヴァンギャルドについてはその概要がすでに広く知られており,日本語の文献によっても,ある程度網羅的にその活動を把握することが可能である。しかしながら,それらの文献で音楽において語られることは非常に希である 。したがって,音楽に関心を抱くものがそれらの文献に目を通すならば,ロシア・アヴァンギャルドにおいて音楽は関わらなかったのか,それとも単に言及されていないだけなのか…という疑問が浮かぶであろう。 しかしながら,他方で,この領域(「ロシア・アヴァンギャルド音楽」)に関して日本語ではすでに安原雅之の労作があり ,その後に現れた新資料があるにせよ,基本的なことはすでに言い尽くされているようにも思われる。現在のところ,主要な例外は亀山−1996である。また,ロシア・アヴァンギャルド再発見の先鞭となった「パリ=モスクワ」展のカタログにおいては音楽を対象として一章が割り当てられていた(Paris-Moscou-1979)。これが英訳ないし邦訳されていたならば,今日の状況はまた違ったものになった可能性は大いにあり得る。他方,桑野隆の監訳により邦訳が進行中のコトヴィチ『ロシア・アヴァンギャルド事典』(Котович-2003)には,音楽関係の項目が相当数含まれており,同書が出版されれば,状況の大きな改善が期待できよう。安原−1987は,この領域の必読文献である。長木−1992にはそのエッセンスが収められている。安原−1994および安原−2006も併読をお勧めしたい。文献表には含めなかったが,野原泰子「ロシア・アヴァンギャルド」は簡潔に先行文献を要約している(http://www.geidai.ac.jp/labs/funazemi/terminology/russian_avant_garde.htm,最終閲覧日2008/07/04)。 以上の2 系統の文献から判断する限りにおいて,「ロシア・アヴァンギャルド音楽」については,以下の2 種類の立場があるように思われる。 a)音楽を専門としない研究者からみたロシア・アヴァンギャルドの(一部としての)音楽, b)音楽を専門とする研究者からみたロシアの前衛的な(アヴァンギャルド)音楽 このa)とb)の立場からは言及される対象に若干のずれが生じている。例えば,a)の立場からは,著名な作曲家であるプロコーフィエフやストラヴィーンスキイ,あるいはショスタコーヴィチは,通常,「ロシア・アヴァンギャルド音楽」としては言及されない(前2 者の場合には革命直後の時期に,ロシアにいなかった,という問題があるにせよ,それだけが問題なのではない)。 つまり,何が「アヴァンギャルド」か,という意識に,音楽の専門家とロシア・アヴァンギャルドの専門家とでズレがあるのである。ここで問題になるのは,どこに「前衛性」を見いだすか,ということにほかならない。
著者
山下 哲郎 佐藤 豪
出版者
工学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、首都直下地震が発生した際に,被災者の医療を受け持つフロントライン医療サービス拠点の規模を検討するための、新宿駅周辺の非住宅の死傷者数の推定である。調査は新宿駅の東西口周辺の歩行者数を把握するものである。その結果,西口側には4-6,000人,東口側には2-10,000人の歩行者数が確認された。これを元に負傷者数を推計すると、西口側の負傷者数は一日のどの時間帯でも80人程度と安定しているが、東口の場合,午前中は35人、午後は85人,夕方は100人と変動が大きい。同様に,建物内の負傷者数も推計した。更に, 2011年3月11日東日本地震当日の行動について,アンケート調査を実施した。それらの結果から、新宿西口周辺に13箇所のフロントライン災害医療拠点を設ける場合,各所で67人程度の負傷者の治療を行うことが推定され,負傷者の分布に基づいて、東に8箇所,西に5箇所を配置することになる。
著者
田村 雅紀
出版者
工学院大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は,建築ストックが,地震災害等により大量に発生した災害廃棄物を迅速かつ適正に処理可能とする方法・システムを具体的に提示した。続いて、震災廃棄物起源材料を分類し、再び建築材料に利活用した際の環境影響を評価した上で、実際に震災廃棄物起源材料を混和した各種建材を製造・性能評価を行なった。なお、研究開始直後に、東日本大震災が発生したため、実災害時に生じる課題を反映しながら研究を遂行した。
著者
数馬 広二 KAZUMA Koji
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、江戸幕末期、関東農村で農民の身体文化の一部と位置づけられる剣術の普及とその意義を明らかにすることを目的とする。とくに、上野国(馬庭念流)・下野国(神道無念流)農村における武術流派運営の実態を調査した。(1)上野国甘楽郡の馬庭念流門人調査上野国甘楽郡内の馬庭念流門人は78村域。門人は七日市藩士(前田家)、小幡藩士(織田家 松平家)、「関守」「僧」「医師」「農民」などであった。とくに「砥石」「蒟蒻」信州米、上州絹の商取引で栄えた宿場町(下仁田町・一宮町・富岡町)に門人が多く確認された。また門人であった関守・神戸家、市川家は信濃国佐久郡への新田開発や藩への献金も行っており、馬庭念流が信濃国への門人を拡大する上で大きな役割を果たしたと考えられる。また馬庭念流が伊勢神宮へ姓名額を奉納した件では、18世樋口十郎右衛門定伊が七日市藩士として中山道の交通上の特権に恵まれ、滞りなく行われたことがわかった。このことは近世剣術流派の一事業である奉額活動が藩によって支えられた事実を示す初めての研究であった。(2)下野国太平山神社の奉納額の調査栃木県大平町にある太平山神社に奉納された武術姓名額(倉庫に保管)について枚数、姓名などにつき調査を行い、的確な番号付けと再配置を行った。作業は5日間合計作業人足は26名となった。合計84枚の額のうち剣術は、神道無念流(文政6年・嘉永7年・慶應丁卯年)の計3枚、弓術は日置流・大和流(明治28年)・奉納弓術会(明治35年)、砲術は、武衛流(慶応3年)、外記流(年代不明)であった。
著者
藤尾 豪 椎塚 久雄
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.119-128, 2005-10-30

This paper presents a software for DJ mixing. Most valuable point of this software is that there are no GUI turntables that the user has to control. Therefore, anyone can easily enjoy listening to the songs that this software mixes. There are two important processes in this method. First, the user acquires the beat positions from the song using sound wave GUI. Then, two songs that are selected at random are mixed automatically on this software, and a WAVE data of the mixed song is folded in the exclusive folder. It is only necessary that the beat positions are acquired by user. However this process is not complicated.
著者
長嶋 祐二 原 大介 堀内 靖雄 酒向 慎司
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

本研究では、手話の単語レベル、対話レベルから、言語学的な解析や手話工学分野で利用可能な、多用途型日本手話データベースを構築するための方法論の検討、並びに、データベースの構築を目的とする。令和元年度は、前年度までのテスト撮影の結果を踏まえ以下の項目に対して検討を行い本格的な3次元動作と映像のデータの収録を行った。(1)前年度までに撮影した言語資料 1,000単語の検証作業を行い、今年度撮影の方針を検討した。その結果、3次元動作データは、カメラ系と3次元系の同期解析、並びに、CG生成を考慮して、昨年度決めたフレームレートをとした。単語の収録では、表情などの非手指動作の詳細分析を考慮して、正面映像だけだった4Kカメラを左右の両側面を追加した。(2)今年度収録する言語資料は、7月までに手話母語者の研究協力者と共同で候補単語3,800単語のプロンプタ用の映像の撮影を終了した。これと並行して、対話撮影のためのテーマ検討も行った。本格的な収録は、8月から9月にかけて東映東京スタジオで収録した。対話撮影は、8テーマのデータベース収録候補の同期撮影を実施した。単語撮影は、3,873ラベルで総動作単語数では4,965単語の収録を行った。3年間で、合計4,873ラベルで総動作数では6,359単語の収録が完了した。当初の目標の5,000単語を上回る成果が得られた。(3)アノテーション支援システムでは、昨年度までに完成したビュワーの組み込みが完了して、支援部の3次元動作分析部分に着手した。(4)対話データ処理では、追加予算を含めて3対話の3次元動作データの生成が完了し、先行した部分は終了して、追加予算の部分は現在進行している。次年度のデータ公開へ向け単語収録データの分割並びにラベルの張替え作業も進行している。