著者
坂下 琢治 羽原 政明
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.17-20, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
4

高温殺虫法の効果を,ヒラタコクヌストモドキ成虫を用い,製粉工場で試験した.(1) 加熱処理機 (ターモノックス) を用いることにより,ヒラタコクヌストモドキの防除が可能であることが示された.(2) ただし,場所により致死までの時間が異なったり,致死しない場所もあることが明らかになった.(3) 多少の粉の存在は,高温殺虫には影響しないことが示唆された.
著者
藤村 忠明 諏訪 將良
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.52-53, 1993-10-20
被引用文献数
1
著者
秋元 俊男
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-37, 1991-12-25

銅で作られた容器にはヤブカ類の発生を抑制する作用があるが,これは銅特有の現象と思われる.銅の影響はヤブカ類の産卵数に対しては見られないが,発育過程の幼虫に対して致死作用のあることを前報で明らかにした(秋元,1989).今回の試験では,その致死作用が銅イオンによるものであることを明らかにし,次に銅イオンの濃度と致死作用との関係を調べた.
著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.85-90, 2003-10-30
参考文献数
12
被引用文献数
5

屋外公共施設のゴキブリ相と季節消長について,2000〜2002年に東京都港区の屋外公共施設で夜間観察と粘着トラップによる捕獲により調査を行った.確認されたゴキブリの種類はクロゴキブリとヤマトゴキブリであった.夜間観察ではクロは7〜10月に,ヤマトは4,5,10,11月に多く見られた.クロは成・幼虫ともに同じ時期に確認数が増加したが,ヤマト成虫は5〜7月の幼虫の少なくなる時期に多くなる傾向があった.また,確認された幼虫はクロもヤマトも大型の個体が多かった.捕獲した幼虫の前胸背幅を測定した結果,クロは2〜4mmの小型幼虫が,ヤマトは4〜8mmの大型幼虫が多く捕獲された.
著者
宮ノ下 明大 今村 太郎 古井 聡 曲山 幸生
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.57-60, 2020-09-25 (Released:2021-09-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

唐辛子製品におけるノシメマダラメイガの発育について,28℃,相対湿度70%,日長:16L8Dの条件で調べた.供試試料として唐辛子は,ホール(無傷),横半分に切断,輪切りを用い,一味唐辛子はそれぞれ製造元の異なる5製品を用いた.試験は,孵化幼虫2個体を各唐辛子2.5 gに投入し,羽化までの発育日数,羽化率,成虫生体重を記録し,10~15回繰り返した.ホール唐辛子(無傷)では発育しなかった.横半分に切断したものでは,羽化率25%,平均発育日数(平均値±SE)は65.0±2.9日であった.輪切りでは,羽化率90%,平均発育日数は35.0±0.5日であった.平均成虫生体重は,横半分に切断したものに比べ,輪切りでは重くなった.これらの結果は,幼虫の発育に唐辛子の形状や硬さが影響を与えることを示している.一味唐辛子では,4製品では平均発育日数は42.5~48.3日の範囲に含まれ有意差がなかったが,1製品では81.0±10.2日で,他と比べ有意に長かった.乾燥唐辛子の揮発性成分には,昆虫に対する殺虫,忌避効作用が知られているものもある.これらの結果は,唐辛子の揮発性成分量は製品毎に異なり,幼虫の発育に影響を与える可能性を示している.
著者
吉澤 聡史
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.29-32, 2021-03-25 (Released:2022-03-25)
参考文献数
17

岡山市内において水分を含んだたばこの吸い殻に双翅目昆虫の幼虫が発生していることが発見された.これらの幼虫を室内(15〜20°C)で飼育した結果,5種の成虫が羽化してきた.これら5種の同定結果はナガサキニセケバエCoboldia fuscipes (Meigen)(ニセケバエ科),ナミクロコバエDesmometopa varipalpis Malloch(クロコバエ科),クロヒメイエバエFannia prisca Stein(ヒメイエバエ科),ワラベヒメイエバエF. pusio (Wiedemann),トウヨウクキイエバエAtherigona orientalis Schiner(イエバエ科)であった.
著者
緒方 一喜 渡辺 登志也 宮本 和代 川口 正将 豊田 耕治 小曽根 努 松岡 宏明 白石 啓吾 森岡 健志 吉岡 照太 鈴木 雅也 千保 聡 美馬 伸治 中村 友三 足立 雅也 芝生 圭吾 池田 文明 玉田 昭男 田中 生男 石原 雅典
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-58, 2012-11-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2

ヒトスジシマカ成虫に対する殺虫剤による防除実地試験を東京の寺院の庭で2010年の夏に実施した.5%ペルメトリン,10%フェノトリン,7%エトフェンプロックス水性乳剤の50倍希釈液を背負式噴霧機によって50 ml/m2の量で草むら,植木,空地に噴霧した.スイーピング法,ドライアイストラップによる捕集密度の変化,配置した成虫の死亡率から効果を評価した.結果として,ペルメトリンでは約10日間,他の2剤では4~5日間は成虫飛来密度が0近くに減少した.その違いは,処理面積の違いに基づくものであろうと考えた.その後密度は緩やかな回復に向かったが,吸血シーズンの終了に伴い散布前のレベルにまで回復することはなかった.以上の結果から,処理面積を大きくすることで,感染症発生時の緊急的媒介蚊防圧にこの手法は充分に実用的効果があるだろうと結論した.
著者
辻 英明
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.15-17, 2020-03-25 (Released:2021-03-12)
参考文献数
4
被引用文献数
1

現場で粘着捕獲された幼虫など,頭幅測定の手間をかけることは困難で,大型,中型,小型,などの記載ですますケースが多い.なるべく齢期やその範囲を推定したいので,頭幅測定せずに判断することをクロゴキブリで試みた.体色や斑紋のパターンは若齢の判断に特に有効であった.前胸背板の幅は安定しており,不安定な体長による判断の補正に役立った.触角の根元に近い白色あるいは淡色部分の状況や有無の判断も有効であった.
著者
青山 修三 村上 竜仁
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.25-29, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

2003年北海道内胆振,日高,石狩,留萌,宗谷,空知地方に点在する史跡におけるシロアリ生息調査をした結果,胆振地方室蘭市内で初めてヤマトシロアリの生息が確認された.また今回の調査範囲では現存する歴史的建築物にシロアリ被害は見られなかった.特に胆振と空知地方はいまだ家屋被害が発見されていないので,継続調査が必要であると考えられた.
著者
白井 正樹 太田 文彦 菅野 純弥 伊藤 憲彦 中島 慶人 竹内 亨
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.19-23, 2022-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
26

太陽光発電所では,カラス属の落石によるものと思われる太陽光パネルの破損が確認されており,パネル破損の発生メカニズムを理解するために,米倉山太陽光発電所(山梨県甲府市)でカラス属の飛来頻度とパネル破損の関係を調査した.ビデオカメラによるカラス属の飛来観測を2つの調査区画(区画A,B)で,2期(第1期:2017年10月24日-2018年1月18日, 第2期:2018年1月19日-3月9日)に亘ってのべ3,792時間行った.調査の結果,飛来頻度が最も多かった第2期・区画B(41個体/時)でのみパネル破損が確認され,パネル破損やパネル上の石の残留の発生確率はカラス属の飛来頻度と正の相関関係が認められた.本研究から,カラス属の飛来頻度が増加すると太陽光パネルの破損するリスクが上昇することが示唆された.
著者
今井 利宏
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.35-38, 2021-03-25 (Released:2022-03-25)
参考文献数
18

培養したカビを用いたオオメヒメマキムシの飼育法を確立した.1.5倍に希釈したオートミール寒天培地(寒天は規定濃度)でPenicillium rubensを培養し,胞子形成後に培地ごと乾燥して飼料とした.ろ紙を張った9 cmシャーレに飼料を置き,羽化1週間から2カ月後までの成虫50〜60個体(雌雄の区別なし)を接種し,1週間後に成虫を除去する.このような方法により,25〜30°Cでは成虫接種から3〜4週間で次世代の成虫が100〜200個体程度得られる.同様の方法で,ムナビロヒメマキムシとユウレイヒメマキムシの飼育が可能である.
著者
角野 智紀 齋藤 はるか 市岡 浩子
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.13-15, 2006-06-30 (Released:2019-04-10)
参考文献数
8

愛知県海部郡蟹江町の港湾地帯にある倉庫でトルキスタンゴキブリBlatta lateralisの若虫と成虫が2005年6月から10月にかけて捕獲されたが,これは愛知県では初記録であった.本種の生態と生活史を考え合わせ,当該倉庫内に定着している可能性があると判断した.今後,空調が完備した建築物等での本種の繁殖および害虫化が危惧される.
著者
小泉 智子 矢矧 束穂 長島 孝行
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-7, 2009
参考文献数
8

組織学的な手法(ミクロトーム法)を用いて昆虫の組織の切片を作成し,それを観察することによって,死後の時間経過に伴う変化,および様々な条件下での細胞の変化を観察した.その結果,昆虫の筋肉組織は,死亡した時点からかなり短時間で変化が生じることが示された.また,加熱やエタノール浸漬など様々な条件に供試した場合も同様に変化が表れたものの,その変化の仕方には相違が認められた.このことから,昆虫の細胞の変化を観察することによって,製品に混入した時期をより詳細に推定できる可能性が示唆された.
著者
宮ノ下 明大 今村 太郎 古井 聡 西田 典由
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.117-121, 2013

<p>ノシメマダラメイガの1齢幼虫を粒状アーモンドチョコレート製品で飼育した時の発育を28℃,70%RH,16L8Dの条件で調べた.供試したチョコレート製品は,ロースト・ホールアーモンドに3種類の異なるチョコレート(ミルクチョコレート,ホワイトチョコレート,粗く砕いた柿の種入りミルクチョコレート)を掛けて包んだ形状である.各製品での個別飼育の結果,成虫羽化数はミルクチョコレートでは1個体,ホワイトチョコレートでは0個体,柿の種入りチョコレートでは4個体であった.発育日数は,ミルクチョコレートで149日,柿の種入りチョコレートで80,87,91,101日(平均89.7日)であった.集団飼育(<i>n</i>=30)では,ホワイトチョコレートで2個体の成虫羽化がみられた(発育日数は149日と109日).30個体の幼虫が一度に摂食した場合でも,表面のチョコレートを穿孔し内部のロースト・ホールアーモンドを加害することはなかった.</p><p>今回の発育試験の結果から,日本において夏季に本種が粒状アーモンドチョコレート製品に産卵,幼虫侵入が生じた場合,成虫羽化までは80日以上かかると推測された.</p><p>ロースト・ホールアーモンドでの28℃での平均発育日数は,雄では30.2日,雌では32.3日で,成虫羽化率は88.4%(<i>n</i>=26)であった.本種幼虫が何らかの理由で粒状アーモンドチョコレート製品のアーモンドを加害できた場合は,そうでない場合に比べ,著しく発育が短縮(28℃の場合は30日程度)されると考えられた.</p>
著者
宮ノ下 明大 宍戸 功一 岩崎 修
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.19-22, 2019-03-25 (Released:2020-03-25)
参考文献数
8
被引用文献数
4

形状の異なる切り干し大根(輪切り,千切り,割り干し)におけるノシメマダラメイガの発育を,温度25°C,相対湿度60%,日長:明期16 h,暗期8 hの条件で調べた.その孵化幼虫から羽化までの平均発育日数は,輪切りでは34.8±0.3日,千切りでは37.0±0.4日,割り干しでは40.9±0.4日であり,それぞれ有意に異なっていた.これらの発育日数は,生きた本種幼虫が切り干し大根から発見された場合,その混入時期推定の目安になると思われる.同じ条件で玄米での平均発育日数は35.8±0.5日であり,切り干し大根の輪切りや千切りとは差がなかった.切り干し大根(割り干し)と玄米で発育した本種雌成虫の産卵選好性を,玄米と切り干し大根を対象にして調べたところ,いずれも切り干し大根に対して産卵する割合が有意に高かった.今回の発育や産卵選好性の試験結果から,切り干し大根は本種の食害や混入を受けやすいと考えられ,その管理・保管には注意する必要がある.
著者
橋本 知幸 伊藤 靖忠
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.53-59, 2007
参考文献数
12
被引用文献数
1

チャバネゴキブリの日周性や薬剤処理面への忌避行動の自動観察のための装置を,レーザー光センサーを用いて構築した.光条件を14L:10Dに設定して,雄成虫を自由に活動させたところ,暗時間帯におけるセンサ一部での通過数は,明時聞に比べて有意に多く(<i>p</i><0.01),これまでに知られていたゴキブリ類の夜間活動性を確認することができた.この傾向は雌成虫や1齢幼虫でも見られた.また雄成虫を24Dないし24Lの光条件に馴化させた場合,本来の日周性が乱れる傾向が観察された.ディートとペルメトリンをベニヤ板に処理した場合の,処理面上の通過数を観察した結果,ディートでは4 g/m<sup>2</sup>処理区でほぼ完全に通過忌避が認められたものの,ペルメトリンでは0.8 g/m<sup>2</sup>処理区で処理1日後に30%以上の平均ノックダウン率が認められたにもかかわらず,対照区との間で通過数に有意差は認められなかった.