- 著者
-
高見 具広
- 出版者
- 日本家族社会学会
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.50-57, 2022-04-30 (Released:2022-04-30)
- 参考文献数
- 17
在宅勤務(テレワーク)は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて急速に拡大したが,その実施有無には,学歴,業種,職種,企業規模,所得など,仕事特性や社会経済的地位による格差が見られた.コロナ禍で在宅勤務を行った者においては,生活時間の変化があり,男性も含め家事・育児時間が増加する傾向が確認された.在宅勤務は,その面でワークライフバランスに寄与した部分があるが,今後は,「働きすぎ」をいかに防ぐかが課題となる.場所を問わない柔軟な働き方は,コロナ禍以前から,情報通信技術(ICT)の利用可能性拡大に伴う論点であり,勤務先以外でも仕事を行えることでアウトプットを高められる反面,「いつでもどこでも仕事」という状況に陥り,生活領域(生活時間)が侵食されるリスクも存在する.今後の在宅勤務においては,ワークライフバランス上の課題に向き合うことが求められる.